インド政府、健康、インフラなど6つの柱の2021年度予算案を発表

(インド)

ニューデリー発

2021年02月12日

インド財務省は2月1日、2021年度(2021年4月~2022年3月)の国家予算案を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。次年度予算案は毎年2月1日に発表されるのが恒例となっており、ニルマラ・シタラマン財務相は2時間弱に及ぶ演説でその全容を明らかにした。

歳出は総額34兆8,324億ルピー(約48兆7,654億円、1ルピー=約1.4円)。財政赤字はGDP比6.8%の15兆ルピーを見込む。主要分野別予算(添付資料表参照)をみると、利払い費を除けば、国防費が3兆4,709億ルピーと最大で、前年度比0.9%増だった。州政府への交付金は41.7%増の2兆9,330億ルピーと大きく増額された。

2021年度予算案は、1.健康と福祉(Health and Wellbeing)、2.金融資本・インフラの充実(Physical & Financial Capital, and Infrastructure)、3.上昇志向のインドへ向けた包括的な開発(Inclusive Development for Aspirational India)、4.人的資本の再活性化(Reinvigorating Human Capital)、5.イノベーションと研究開発(Innovation and R&D)、6.最小の政府・最大のガバナンス(Minimum Government and Maximum Governance)、の6つの柱から構成された。

基本関税率については、コンプレッサーやプリント基板、車載用強化ガラスなど、自動車や電気・電子部品で一部税率が引き上げられた。一方、鉄鋼製品では一部関税率が引き下げられている。インフラプロジェクトへの支出増による、鉄鋼製品への需要の高まりが背景にあるとみられる。

また、不良債権処理のための資産再建会社(Asset Reconstruction Company)の設立についても発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされた。インドは「新型コロナ禍」以前より、不良債権の増加が成長率停滞の一因となっていた(2020年6月3日記事参照)。インド準備銀行は、「新型コロナ禍」での不良債権は不良債権比率算出時の対象外とする措置を取っていたが、これが仮に9月に終了すると、インドの不良債権比率は13.5~14.8%に上るとする現地報道もある(「エコノミック・タイムズ」紙2月1日)。

外資規制に関しては、保険業における外資の出資上限比率が49%から74%に引き上げられた(2月1日付財務省発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照)。直接税・間接税制に大きな変更はなかったが、細かな変更や財政法案なども同時に発表されている。

日本企業においては、自身のビジネスに関連する分野について、インド政府の予算案ポータルサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで詳細を確認されたい。

(磯崎静香)

(インド)

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