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電動バイクや太陽光発電パネル洗浄キットで環境負荷を低減(インド)
コロナ禍でSDGsに取り組むグジャラート州発スタートアップ

2020年12月1日

インド北西部グジャラート州は、ナレンドラ・モディ首相の出身州として知られる。これまで、環境保全への対策で他州に先行してきた。持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた機運は、インド全体で高める動きがある。そこに投資可能性もあるとする見方も出てきた。

そのような中、新型コロナウイルス禍でビジネスを拡大し、SDGsの目標達成にも取り組むグジャラート州スタートアップ企業が現れるようになった。本レポートでは、その中から2社を紹介する。具体的には、短時間充電・長距離走行を可能とする電動バイクを開発するエモート・エレクトリックと、太陽光発電清浄機およびロボティクス利用機器を開発・販売するエス・ブイ・エー・ロボティクスだ。

グジャラート州、環境保全で他州をリード

グジャラート州は、これまで環境保全への取り組みで、他州をリードしてきた。その一例として、粒子状物質に特化した排出権取引制度の導入(2019年9月24日付ビジネス短信参照)や、2022年までに使い捨てプラスチック全廃を呼び掛ける式典の開催(2019年10月10日付ビジネス短信参照)などがある。また、モディ首相は2020年7月7~17日にビデオ会議で開催された「国際連合経済社会理事会(ECOSOC)ハイレベル政治フォーラム2020外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」で、「(国際社会の共通目標の)2030年までにインドがSDGsの目標を達成する上で、『 Sabka Saath, Sabka Vikas 』(一緒に、みんなの成長のために)理念は役立つ」と言及した(「インディア・ドットコム」紙2020年7月17日)。

英国金融大手のスタンダードチャータード銀行が発行した「SDG投資マップ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」には、2030年までに投資機会として可能性が高い目標として「7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに」 が示されている。その中で、新興・途上国市場あわせて約4兆2,300億ドルの投資機会を試算。特に投資可能性の高い国として、1位インド(7,015億ドル)、2位インドネシア(1,475億ドル)、3位バングラデシュ(739億ドル)が挙げられた。

完全充電時間わずか15分で300キロ走行可能な電動バイクを開発

インテージ社がインド人消費者を対象として実施した消費者意識・購買行動に関するアンケート調査によると、ロックダウン前に利用していた移動手段のうち公共交通機関(シェアリングを含む)の1位は「メトロ・電車」だった(回答率57%)。2位に、「バス」と「タクシー(インド配車大手オラやウーバを含む)」が続く(それぞれ42%)。しかし、ロックダウン後の利用予定に関しては、順に8%、13%、15%と大幅に減少した。他方、公共交通機関以外の移動手段については、いずれも上昇する回答結果になった。例えば、ロックダウン前に1位だった「バイク・スクーター」は、45%から、ロックダウン後は50%に伸びた。2位「徒歩」が33%から36%に、3位「乗用車」が26%から28%にと増えた。コロナ禍でインド消費者に行動変容が起き、公共交通やシェアリングモビリティを避け、自家用車や二輪車などでの移動が主流になりつつあることが確認できる。

そのような消費者の行動変容がある中、電動バイクを開発・販売するエモート・エレクトリック外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの創業者プラナウ・シンガナパリ氏にヒアリングを行った(10月19日)。同社は、グジャラート州の最大都市アーメダバードに拠点を置く。イノベーションを推進する活動などを行う米国の非営利活動法人Alliance for Commercialization and Innovative Research (ACIR) (注)のNEXUS インキュベーションにおいて、参加企業200社中ベスト15に選出されたこともある。また2020年には、インド工科大学(IIT)ガンディナガル校のスタートアップインキュベーション対象企業に選出された。

質問:
貴社の強みは、どこにあるか。
答え:
自社開発のモーターの最高時速は120キロ。完全充電時間わずか15分で300キロの走行が可能だ。また、ガソリンを利用しないため、月間1,500キロの走行距離で年間5万ルピー(約7万円、1ルピー=約1.4円)の燃料を節約できる。また、年間350キログラムの二酸化炭素の排出削減を実現可能だ。
質問:
コロナ禍下、ビジネス展開に変化はあるか。
答え:
パンデミックを契機に、移動手段の安全性・確実性・節約性を実現できる電動バイクへの関心が高まっている。インド国内では、デリーやタミル・ナドゥ州の一般ユーザーからの問い合わせが多い。ロシアやアフリカからの問い合わせも受ける。2020年末には、インドで販売を開始する予定だ。
質問:
SDGsの位置付けは。
答え:
第4世代移動通信システム(4G)、全地球測位システム(GPS)、人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)を利用した電動バイクを多くの人々に利用してもらうことで、SDGsの要素の環境と公衆衛生に十分配慮した選択肢を提供できる。また、インド社会の発展にも貢献すると考える。
質問:
日系企業との協業、関心分野については。
答え:
品質の高い製品を世界に送り出してきた日系企業との提携や協力関係を望む。将来的には、日本製のバッテリーがインド国内で入手しやすくなり、自社製品に利用できるようにしたい。

時速120キロ、完全充電時間わずか15分で300キロ走行可能な電動バイク「SURGE」(同社提供)

家庭用太陽光発電パネル普及を目指すスタートアップも

環境への負荷を低減するエネルギーに太陽光がある。太陽光発電清浄機およびロボティクス利用機器を開発・販売するエス・ブイ・エー・ロボティクス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、家庭用太陽光発電パネル清浄機を考案した初めての会社だ。太陽光で81万キロワット相当を発電し、インドの一般家庭の市場独占を目指す。同社は、グジャラート大学スタートアップ起業者評議会(GUSEC)で、創業者3人が2019年7月に設立した。その後、2020年2月にインド工科大学(IIT)ウダイプール校で「ベスト・ニュー・アイデア・アワード」を受賞。このほか、グーグルクラウド・スタートアップ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにも参加している。

同社の創業者の1人、ラビンドラシン・ラヘワール氏は、製品開発の背景ついて、「一般家庭でも環境保全のために、太陽光発電を導入する件数が増えている。他方、メンテナンス支援の不足や費用が高いといった課題があった」と語る。そこで同社は、太陽光発電パネルを清浄する設備を自ら開発して、メンテナンスの簡易化と節水技術により、コストダウンを実現した。こうした技術開発と同時に、一般消費者に太陽光発電への切り替えを促した。グジャラート州政府の再生可能エネルギー発電の容量目標設定や補助金政策の後押しもあり(2019年9月19日付ビジネス短信参照)、太陽光発電パネル設置件数は今後、増加が見込まれる。2020年8月に特許申請した、太陽光発電パネル洗浄システムの販売を2020年度中に開始の予定だ。ラヘワール氏は「代替エネルギー利用に対する許容度をインド社会で高め、環境保全を目指す」と語った。


SVA Roboticsが特許出願済の太陽光発電パネル洗浄システム(同社提供)
執筆者紹介
ジェトロ・アーメダバード事務所
丸崎 健仁(まるさき けんじ)
2010年、ジェトロ入構。ジェトロ・チェンナイ事務所で実務研修(2014年~2015年)、ビジネス展開支援部、企画部海外地域戦略班(南西アジア)を経て、2018年3月よりジェトロ・アーメダバード事務所勤務。

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