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外資による土地利用権の購入を一部容認へ(ラオス)
2019年改正土地法が施行(前編)

2020年9月4日

ラオスで2020年8月末から、新土地法が施行された。16年ぶりの改正となる。同国では、歴史的に見ても著しく社会経済状況が変化。特に外国人や外資による開発や投資・投機が進む。そうした中、土地政策の根幹を成す土地法がどう改正され、規制はどのように盛り込まれたのか。逆に、投資を推進する方向性がどのくらい示されたのか。

前編では、土地所有権の規定および新たに導入された外国人・外資企業による期限付き購入の容認を中心に説明する。

社会経済の急激な変化にあわせ、16年ぶりに改正

ラオスの国家主席は2019年8月2日、改正土地法(No.70/NA)を公布。2020年8月27日から施行された(注1)。土地法は、ラオスでの土地の帰属、管理、利用、処分についての原則が定められ、国家の土地政策の根幹を成すものだ。新たな土地法(以下、2019年土地法)は、2003年土地法(No.04/NA)から実に16年ぶりに改正されたことになる。これは、所有権や占有権を規定する民法典(2020年5月施行)の策定に時間を要したことに加え、急激に変化する社会経済の実情に合わせた土地政策の議論を尽くさざるを得なかったのが原因だ。

今回の土地法の改正審議の中で、とりわけ外国人や外国企業による土地の保有をどこまで容認するかという点が注目された。ラオスでは、土地は国家共同体が所有するというのが基本だ。永代的な土地利用権は、ラオス国民だけに付与される。一方で2000年ごろから、外資の流入が急激に増加。これに伴って、外国人や外資企業による不動産開発やコンドミニアム投資なども広く行われるようになってきた。そのような中で、外国人や外資企業による土地利用権の保有をどの程度まで容認し、さらなる経済開発や土地投資を推進するために、どのように条文に反映させるのかが注目されていた。


売り地の看板。最近は土地を細分化して販売するスタイルが増えている(ジェトロ撮影)

土地所有権と利用権は、従来の規定を踏襲

2019年土地法上、土地の所有権と利用権は、従来の概念を踏襲している。具体的には、2003年土地法および2015年改正憲法にならい、ラオス領土内の土地は国家共同体が所有権を持つ財産と規定。政府が代表となって、これを全国統一的に管理するとした。またラオス国籍保有者およびその組織は、土地利用権の付与を受けることができる。これは、永続的に利用することができるとされた(2019年土地法第3条)。一方で、今回、土地利用権の及ぶ範囲を地表面に限定した点は新しい。また、地表、地中のあらゆる天然資源(鉱物資源など)について、その所有権を国家共同体のものと明記したのも新設規定だ。

また、従来通り、土地利用権が付与された者の権利と利益は政府が長期安定的かつ効果的に保護するとした(第7条)。土地利用権の取得者は、土地の保護権(第134条)、土地使用権(第135条)、土地からの収益権(生産・借地・担保化など)(第136条)、土地利用権の譲渡権(販売、配分、交換、株式化など)(第137条)、土地利用権の相続権(138条)、の5種類の権利が維持されている。

なお、ラオスでは、土地は農地、林地、水域の土地、工業用地、交通用地、文化用地、国防治安維持用地、建物用地の8つに分類される(第21条)。2003年土地法では、個人や世帯が農地、林地、建設用地を保有できる面積の上限が規定されていた。しかし実際には、上限以上の土地を保有するケースが多く見られるのが現状なことから、原則として削除された。ただし、農地だけは県レベルで社会経済状況に応じて最大保有面積を規定し、地方議会の承認を受けるものとされた(第38条)。大地主化への一応の歯止めを残したかたちだ。

外国人や外資企業による土地利用権の購入を期限付きで容認

外国人や外資企業(注2)による土地利用権の購入の可否については、長らく論点となってきた。結果として、改正法においても、ラオス国籍者が有する土地利用権を外国人・外資企業が無条件で購入することは認められなかった。一方で、外国人や外国企業による国有地の土地利用権の購入を、期限付きで認めた点が注目される。改正法では、新都市やコンドミニアムなどの分譲開発のために、政府は最大50年間の制限付きで国有地の土地利用権を、ラオス国籍者だけでなく外国人・外資企業に販売することができるとした(第123条)。さらに、関係機関の合意があれば、その土地や建物を他人や法人に売却、貸し出し、相続、担保化、証券化することも可能とした(第124条)。

かつて、2009年投資奨励法には、50万ドル以上の登録資本金で事業を行う外国人投資家は800平方メートルまでの土地利用権を購入する権利が付与されるという規定があった。しかし、土地法上の規定がなく、実際には適用できなかった。その後、2016年投資奨励法で当該条項が削除された経緯がある。

今回、2019年土地法に外国人・外資企業による購入が規定されたことで、政府が積極的に国有地開発を推進する契機となる可能性がある。


注1:
ラオス語の原文は、官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 参照。施行日は、公布から365日後かつ官報掲載15日後と規定された。官報への掲載は2020年8月12日付だったことから、8月27日が施行日とみられる。
注2:
この法律では、外国企業についての定義が規定されていない点に注意が必要だ。他の外資規制にも共通するが、ラオスでは明確に外資企業の定義を定めた法は存在しない。ただし一般的な解釈では、少しでも外国資本がある企業は外資企業としてみなされる。

2019年改正土地法が施行

  1. 外資による土地利用権の購入を一部容認へ(ラオス)
  2. コンドミニアム条項を追加、リース・コンセッション期限も長期化へ(ラオス)
執筆者紹介
ジェトロ・ビエンチャン事務所
山田 健一郎(やまだ けんいちろう)
2015年より、ジェトロ・ビエンチャン事務所員

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