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中国の2017年対外投資(3)対日直接投資はプラスに回復(日本)

2018年12月13日

日本の財務省の国際収支統計によると、2017年の中国からの対日直接投資(ネット、フロー)は2016年のマイナス112億円から1,080億円のプラスに転じた。2017年末の中国からの対日直接投資残高は2,866億円と増加したが、対日直接投資の残高総額(2017年末で28兆5,545億円)に占める割合は1%と限定的だ(表参照)。

対日直接投資残高総額に占める割合は限定的

財務省発表の国際収支統計によると、2017年の海外からの対日直接投資(ネット、フロー)は2兆1,179億円で、内訳は、アジアが6,320億円、北米が6,465億円、中南米が2,983億円、大洋州が280億円、欧州が5,053億円、中東が68億円、アフリカが10億円となっており、アジアが北米に次いで多かった。うち中国は1,080億円と、アジアではシンガポールの3,847億円、韓国の1,094億円に続き、国別全体では第8位だった。ちなみに、第1位は6,568億円の米国であった。

2017年末の中国の対日直接投資残高は2,866億円で、前年末の1,893億円と比べ増加している。対日直接投資の残高総額に占める構成比も2016年末の0.7%から2017年末は1.0%に拡大したものの、全体に占める割合は依然として限定的である。アジア諸国・地域の中でも、シンガポールの2兆5,421億円、香港の9,602億円、台湾の6,743億円、韓国の4,582億円と比べ大きな差がある。

表:対日直接投資残高(地域・国別) (単位:億円、%)(―は値なし)
国・地域 2000年末 2005年末 2010年末 2015年末 2016年末 2017年末
金額 金額 金額 金額 金額 構成比 金額 構成比
合計 57,821 119,033 175,020 247,702 282,318 100.0 285,545 100.0
アジア 4,522 7,873 18,975 43,001 51,864 18.4 52,978 18.6
階層レベル2の項目 中国 96 120 325 2,301 1,893 0.7 2,866 1.0
階層レベル2の項目 香港 2,018 3,068 3,297 10,447 11,146 3.9 9,602 3.4
階層レベル2の項目 台湾 1,722 1,635 1,838 5,281 7,644 2.7 6,743 2.4
階層レベル2の項目 韓国 123 367 1,576 3,895 4,016 1.4 4,582 1.6
階層レベル2の項目 シンガポール 460 2,537 11,331 18,084 23,675 8.4 25,421 8.9
北米 18,658 56,072 60,236 70,114 72,955 25.8 68,513 24.0
階層レベル2の項目 米国 16,255 51,559 59,092 68,394 71,032 25.2 66,702 23.4
階層レベル2の項目 カナダ 2,403 4,512 1,144 1,720 1,922 0.7 1,811 0.6
中南米 4,051 9,655 19,231 14,718 16,139 5.7 18,168 6.4
階層レベル2の項目 ケイマン諸島 n.a. 6,578 15,311 10,681 11,993 4.2 14,138 5.0
大洋州 625 561 1,015 3,103 3,953 1.4 4,159 1.5
階層レベル2の項目 オーストラリア 621 555 801 2,639 3,350 1.2 3,553 1.2
西欧(欧州)(注1) 29,812 44,761 75,155 115,997 136,620 48.4 140,917 49.4
階層レベル2の項目 ドイツ 5,548 6,937 8,158 7,657 9,059 3.2 8,937 3.1
階層レベル2の項目 英国 4,245 3,563 7,650 19,274 22,030 7.8 17,210 6.0
階層レベル2の項目 フランス 9,494 12,661 15,644 30,496 33,765 12.0 34,995 12.3
階層レベル2の項目 オランダ 6,149 13,691 30,069 36,826 38,578 13.7 45,950 16.1
階層レベル2の項目 スイス 2,499 2,659 4,296 11,077 12,939 4.6 12,586 4.4
東欧・ロシアなど 48 55 102 120 0.0 147 0.1
中東 104 17 48 598 579 0.2 587 0.2
アフリカ 0 1 315 133 171 0.1 186 0.1
注1:
2010年末以降は東欧・ロシアなどを含む欧州。
注2:
国際収支統計の基準変更により、2014年以降とそれ以前のデータに連続性はない。
出所:
財務省国際収支統計

中国側の統計では、中国による対日直接投資(ネット、フロー)は2015年が2億4,042万ドル(約291億円、1ドル=121.05円)、2016年が3億4,401万ドル(約374億円、1ドル=108.84円)、2017年が4億4,405万ドル(約498億円、1ドル=112.19円)と、日本側の統計(2015年772億円、2016年マイナス112億円、2017年1,080億円)とは大きな開きがある(注)。中国企業の対日直接投資の特徴として、第三国・地域[英領バージン諸島、ケイマン諸島(英国)、香港]経由によるものが多いと推察されており、統計だけでは全体像を把握することが難しい。そのため、中国企業の対日直接投資を把握するには、事例も見ておく必要がある。

世界で存在感を高める中国の対外投資

報道や各社プレスリリースによれば、2017年11月、中国のハイセンスグループの中核事業会社である青島海信電器に東芝映像ソリューションの発行済み株式の95%が譲渡された。ハイセンスは世界第3位のテレビメーカーに成長しており、社会インフラ、エネルギー、電子デバイスなどを中期的な事業の中核に定める東芝のテレビ事業を買収した形だ。

また、近年の中国人の世帯収入の増加に伴い、品質や安全性を重視する消費者が増えており、かつては日本に旅行して日本製品を直接購入する中国人が多かったが、現在はインターネット上で購入することが主流になりつつある。こうした中国人消費者の日本製品の購買スタイルの変化に伴い、商品調達の効率化や企業との取引拡大のため、日本に調達網を広げる動きがみられる。2017年8月にJD.com(京東集団)が、日本製品の直接取引拡大を狙い、東京に拠点を設立したのはその一例だ。

国連貿易開発会議(UNCTAD)によると、2017年の世界の対外直接投資の国・地域別ランキングにおいて、中国の1,246億3,000万ドルは、米国(3,422億6,900万ドル)、日本(1,604億4,900万ドル)に次ぐ第3位で、2000年の34位、2005年の19位、2010年の5位から着実に順位を上げている。

中国では、2013年に「一帯一路」構想が提唱され、現在では80カ国以上にまたがる広大な経済圏構想に発展している。2018年4月に海南省ボアオで開催されたボアオアジアフォーラムにおいて、習近平国家主席は「一帯一路」をグローバル化推進の普遍的な国際協力プラットフォームにすると宣言した。こうした流れの中で、中国企業による、日本を含む海外進出は今後、さらに拡大することが予想される。


注:
為替レートは年間平均値(TTM)を採用。
執筆者紹介
ジェトロ海外調査部中国北アジア課 課長代理
水谷 俊博(みずたに としひろ)
2000年、ブラザー工業入社。2006年、ジェトロ入構。ジェトロ・ヤンゴン事務所勤務(2011~2014年)。ジェトロ海外調査部アジア大洋州課(2014~2018年)を経て現職。

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