日本からの輸出に関する制度

牛乳・乳製品の輸入規制、輸入手続き

米国の輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2023年7月

これまで米国は、東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、県単位での輸入停止措置を講じていましたが、2021年9月22日に撤廃され輸出が可能となりました。

米国の食品安全基準に違反していないことの証明または米国側でのサンプリング検査などを課しています。輸入警告(インポートアラート)は米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)のウェブサイトで公開されていますが、その内容は頻繁にアップデートされているため、注意が必要です。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2023年7月

日本から乳製品を輸入するためには、米国食品医薬品局(FDA)に食品施設登録と事前通知などが必要となります。

【FDA食品施設登録】
バイオテロ法により、米国内でヒトや動物の消費に供するための食品を製造/加工・梱包・保管する米国内外の施設の所有者、経営者またはエージェントは、FDAに食品施設を登録することを義務付けられています。さらに食品安全強化法により、登録は偶数年の10月1日から12月31日の間に更新することが義務付けられています。
【FDA向け事前通知】
食品の到着までに事前通知を提出する必要があります。(連邦規則集第21巻第1.279(c):21 CFR Part1.279(c))
さらに、牛乳・乳製品は多くの場合、米国農務省(USDA)の管轄でもあり、日本からの乳製品輸入にはVSパーミット(USDAの動物検疫検査局であるAPHIS発行の獣疫許可)や証明書が必要となる場合があります。
また、牛乳およびクリームの輸入については、FDAが管理する連邦輸入牛乳法(Federal Import Milk Act:FIMA)の対象になり、FIMAに基づく輸入牛乳許可証が必要です。詳細は、「輸入手続き」の1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)も参照してください。
VSパーミットの要否は、各乳製品の種類や形態、殺菌方法、含まれている原材料などにより必要な許可やその取り扱いが細かく異なっているため、USDA APHISのデータベースであるVSパーミットアシスタントで確認してください。乳製品を含んだ菓子類についても同様です。

FIMAに基づく輸入牛乳許可証の発行にあたり、次の要求事項があります。

  1. 輸入時の一年以内の期間にすべての牛が健康であるということを実際に確認する必要があります。
  2. 輸入時に牛乳またはクリームが生の場合(低温殺菌で処理された場合を含む)、すべての牛は輸入の一年以内の期間にツベルクリン試験に合格する必要があります。
  3. 酪農場および牛乳またはクリームが処理される各工場は検査され、衛生基準が満たされている必要があります。
  4. 輸入時の生乳、生クリーム、低温殺菌牛乳、低温殺菌クリームの細菌数は制限を超えてはいけません。
  5. 輸入時の牛乳またはクリームの温度は50º F(10º C)を超えてはいけません。

また、次のカテゴリーに入る乳製品については輸入前の手続きが必要です。米国に輸出する前に、輸出業者、現地の輸入業者、通関業者などに輸入の適否も含め、確認してください。

密封容器(レトルトパウチや缶詰、瓶詰など)入りの低酸性缶詰食品(常温流通)と酸性化食品(常温流通)
○水分活性が0.85より高く、pHが4.6より高い、密封・常温で流通する食品は、低酸性缶詰食品として、連邦規則集第21巻第108条および第113条(21CFR Part108,113)が適用されます。当該食品を製造/加工、梱包する施設は、食品缶詰施設登録様式FDA-2541、またはオンラインのFDA産業システム(FDA Industry Systems)により施設(FCE)登録を行う必要があります。また、それぞれの食品、容器の大きさと種類、製造方法ごとに、殺菌条件などの製造工程に関する情報を様式FDA-2541d、もしくは2541f、2541gの適切なフォームでFDAに提出しなければなりません。
○水分活性が0.85より高く、酸または酸性食品を加えることによりpHを4.6以下の酸性状態にした加工食品を密封・常温で流通する場合は、酸性化食品として、連邦規則集第21条第108条および第114条(21CFR Part108,114)が適用されます。当該食品を製造/加工、梱包する施設は、食品缶詰施設登録様式FDA-2541、またはオンラインのFDA産業システム(FDA Industry Systems)により施設(FCE)登録を行う必要があります。また、それぞれの食品、容器の大きさと種類、製造方法ごとに、殺菌条件などの製造工程に関する情報を様式FDA-2541eでFDAに提出しなければなりません。

なお、一貫して冷蔵または冷凍で保存・流通する場合は、FCE登録や製造工程情報の提出は不要です。

関連リンク

関係省庁
米国食品医薬品局(FDA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国農務省動植物検疫局(USDA APHIS)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国農務省食品安全検査局(USDA FSIS)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
動物検疫所外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
連邦規則集
連邦食品医薬品化粧品法(Federal Food, Drug, and Cosmetic Act:FD&C Act)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
連邦規則集
その他参考情報
米国農務省(USDA)から入手できる主な情報
食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報
ジェトロから入手できる主な情報

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2023年7月

USDA APHISにより輸出国政府発行の証明書が必要な乳製品は、日本の動物検疫所による輸出検疫を受けて輸出検疫証明書を取得することが必要です。証明書の要否は、USDA APHISのデータベースであるVSパーミットアシスタントで確認してください。
動物検疫の詳細は、関連リンクの動物検疫所のウェブサイト「乳製品の検疫開始について」を参照してください。

関連リンク

関係省庁
動物検疫所外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
米国農務省(USDA)から入手できる主な情報
動物検疫所「乳製品の検疫開始について」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます