日本からの輸出に関する制度 アルコール飲料の輸入規制、輸入手続き

  • 品目の定義

本ページで定義するアルコール飲料のHSコード

2203:麦芽から醸造したビール
2204:ぶどう酒(強化ぶどう酒を含むものとし、生鮮のぶどうから製造したものに限る)およびぶどう搾汁(第20.09項のものを除く。)
2205:ベルモットその他のぶどう酒(生鮮のぶどうから製造したもので、植物または芳香性物質により香味を付けたものに限る。)
2206:その他の発酵酒(例えば、りんご酒、なし酒、ミードおよび日本酒)ならびに発酵酒とアルコールを含有しない飲料との混合物および発酵酒の混合物(ほかの項に該当するものを除く。)、清酒(Rice wine)。
2208:エチルアルコール(変性させてないものでアルコール分が80%未満のものに限る。)および蒸留酒、リキュールその他のアルコール飲料(ジン、ウオッカ、ウイスキー、焼酎)

具体的な製品の内容によって異なる場合があるため、詳細は必ず確認してください。

なお、米国では酒類はビール、ワインと蒸留酒に分類されます(連邦アルコール管理法Federal Alcohol Administration Act:FAA Act)。清酒は、内国歳入庁(Internal Revenue Service:IRS)の内国歳入コード(Internal Revenue Code:IRC)によってビールと同じ規制を受ける一方、容器のラベルはFAA Actに基づき、ワインと同じ扱いを受けるという二面性を持っています。すなわち、清酒には、連邦規則集(Code of Federal Regulations:CFR)Title 27 Part 25のビール規則と、Title 27 Part 4のワインの容器ラベル規則の2つが適用されます。

米国の輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2023年10月

これまで米国は、東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、福島県産のコメや原木シイタケなどについて輸入停止措置を講じていましたが、2021年9月22日に撤廃されました。

米国の食品安全基準に違反していないことの証明または米国側でのサンプリング検査などを課しています。輸入警告(インポートアラート)は米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)のウェブサイトで公開されていますが、その内容は頻繁にアップデートされているため、注意が必要です。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2023年10月

日本からアルコール飲料を輸入するためには、米国食品医薬品局(FDA)に食品施設登録と事前通知などが必要となります。

【FDAへの食品施設登録】
米国に輸入されるアルコール飲料の製造/加工、梱包、保管施設について、バイオテロ法第305条により、FDAに登録することが義務付けられています。また、食品安全強化法〔Food Safety Modernization Act(FSMA)〕第102条により、この施設登録は西暦偶数年の10月1日から12月31日の間に更新することが義務付けられています。
食品施設登録の方法については、関連リンクのジェトロ「バイオテロ法に関する情報(FDA食品施設登録・事前通知)」を参照してください。
食品安全強化法の詳細は、「その他」の食品安全強化法〔Food Safety Modernization Act(FSMA)〕および関連リンクのウェブサイトなどを参照してください。また、FDAのウェブサイトに、FSMAに関する主要規則のファクトシートの日本語訳も提供されていますので、あわせて参照してください。
【FDA向け事前通知】
食品の到着までに事前通知を提出する必要があります。(連邦規則集第21巻第1.279(c):21 CFR 1.279(c))
また、アルコール飲料を輸出するためには、日本において輸出酒類卸売業免許を取得する必要があります。詳細は、関連リンクの国税庁「酒類の免許」および税務署「酒類卸売業免許の申請等の手引」を参照してください。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2023年10月

なし

米国の食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2023年10月

ビール
合衆国法典 第26巻5052条(26 U.S.C. 5052)(a)によると、「ビール」とは、ビール、エール、ポーター、スタウト、およびその他の類似の発酵飲料(日本酒や類似の製品を含む)で、名称や説明を問わず、アルコール度数が0.5vol%(体積パーセント濃度)以上のものをいい、全部または一部が麦芽、またはその代替物から醸造または製造されたものを指します。
ワイン
合衆国法典 第19巻2802条(19 U.S.C. 2802)によると、「ワイン」という用語は、次のような発酵アルコール飲料を意味します。
  • ブドウまたはその他の果実から作られたもの。
  • アルコール度数が0.5vol%以上24vol%以下で、製造過程による希釈液や混合物を含む。
  • 非工業用。
蒸留酒
連邦規則集 第27巻パート5.1(27 CFR Part 5.1)によると、「蒸留酒」とは、エチルアルコール、エチルの水和酸化物、純アルコール、ウイスキー、ラム酒、ブランデー、ジンなどを意味し、さらにこれらのすべての希釈物および混合物を含みます。

アルコール飲料の定義は、州によって規格が異なっているため販売の際には州ごとに詳細を確認する必要があります。

例えば、カリフォルニア州では、麦芽飲料(ビール)は大麦、麦芽、ホップ、またはほかの同様の製品を煎じたものの発酵によって得られるアルコール飲料、またはそれらの組み合わせとして定義されていましたが、2019年7月に、麦芽飲料(ビール)は、蜂蜜、フルーツ、フルーツジュース、フルーツ濃縮物、ハーブ、スパイス、およびその他の食品材料を発酵の補助として使用して製造できると改正されました。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2023年10月

米国における農薬の規制は環境保護庁(EPA)と米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)が所管しています。EPAは農薬の種類と最大残留農薬濃度(MRL)の承認と登録、FDAは食品においてEPAが設定した規制を執行する役割を担っています。

EPAは、農薬成分および未加工の農産物ごとに残留農薬の許容量を設定(ポジティブリスト制)しており、米国に輸入されるアルコール飲料は、その基準を満たしていなければなりません。一部の農薬成分については、人体に安全だとして許容量の設定を免除しているものもあります。残留農薬の許容量に関する詳細は、「関連リンク」の「その他参考情報」にある農林水産省の「諸外国における残留農薬基準値に関する情報」や連邦規則集40CFR Part180で確認してください。連邦規則集での確認方法はEPAのウェブサイトを参照してください。

許容量が設定されている農薬成分がアルコール飲料に残留している場合には、次の3つの条件をすべて満たさなければなりません。(FD&C 法第 408 条(a)(2)、合衆国法典21USC346a(a)(2))。

  1. 加工前の原料における残留農薬が許容量を超えていない。
  2. 適正製造規範(GMP)に基づく製造工程において、残留農薬ができる限り取り除かれている。
  3. アルコール飲料の残留農薬が、それぞれの原料の許容量を超えていない。

また、EPAが残留農薬の許容量の設定も免除も行っていない農薬成分が残留しているアルコール飲料は、米国に輸入することができません。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2023年10月

食品に含まれる有毒および有害な物質の許容量は、食品医薬品化粧品法第406条に基づく規則で定められています。現在、FDAが規則で食品に関して暫定残留許容濃度を定めている物質はポリ塩化ビフェニール類(PCB類)のみで(21CFR Part109.30)、紙製の食品包装材のPCBの残留物に対する暫定的な許容量は10ppmとなっています。一方で、ヒ素および有害重金属などの汚染に関する規制についてはFDAが中心に行っていますが、総括的な法的水準は決められていないのが現状です。それぞれの有毒・有害物質が長期的に健康に与える影響は不明確とし、有害な物質の含有は避けることが望ましいとされています。

1.有毒・有害物質の欠陥対策レベル
FDAは、有毒・有害物質に関する欠陥対策レベルをガイダンス「ヒト向け食品および動物飼料に含まれる有毒・有害物質に関する対策レベル」として2000年に発行しています。同ガイダンスでは、19種類の有毒・有害物質について、食品と飼料の品目別に対策レベルの値(ppmなど)が設定されています。各物質の欠陥対策レベルの値は食品によって異なりますが、同ガイダンスでは、例えばアフラトキシンについて「一般食品」においては20ppbと設定しています。
なお、このガイダンスには規則のような法的拘束力はありませんが、FDAが法的措置を発動するかどうかを決定する際の基準と位置付けられています。従って、有毒・有害物質の含有量が欠陥対策レベルを下回っている必要があります。
2.トータルダイエットスタディに基づく参考指標
米国では、1991年からさまざまな食品に含まれる物質(ヒ素および有害重金属などを含む)のトータルダイエットスタディ(Total Diet Study:TDS)が実施されており、FDAのウェブサイト上で結果が公開されています。これは法的に設定された許容量や基準値ではありませんが、米国で消費されているさまざまな食品中におけるヒ素や有害重金属などの含有量について、最小値、最大値、平均値などを知ることができるため、参考指標として有効利用することができます。
公表されている直近データは、2018年から2020年に実施されたサンプリングによるもので、次のような結果となっています。調査時点では、当データに清酒、焼酎が見当たりませんが、ここでは例としてビール、ワイン(赤、白)、ウイスキー/スコッチとウオッカについて取り上げます。
アルコール飲料に含まれるヒ素および有害重金属などの参考指標(ppb)
ビール
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 検出なし 3.5 2.1
カドミウム 検出なし 検出なし N/A
検出なし 検出なし N/A
検出なし 検出なし N/A
マンガン 検出なし 80 49
検出なし 検出なし N/A
ワイン、赤
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 4.3 6.7 5.5
カドミウム 検出なし 検出なし N/A
170 210 197
4.3 7.1 5.3
マンガン 1,400 1,500 1,467
亜鉛 600 760 697
ワイン、白
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 9.9 12 11
カドミウム 検出なし 検出なし N/A
150 170 160
11 15 13
マンガン 1,200 1,200 1,200
亜鉛 750 870 817
ウイスキー/スコッチ
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 検出なし 検出なし N/A
カドミウム 検出なし 検出なし N/A
検出なし 検出なし N/A
検出なし 検出なし N/A
マンガン 検出なし 検出なし N/A
亜鉛 検出なし 検出なし N/A
ウオッカ
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 検出なし 検出なし N/A
カドミウム 検出なし 検出なし N/A
検出なし 検出なし N/A
検出なし 4.1 1.4
マンガン 検出なし 検出なし N/A
亜鉛 検出なし 検出なし N/A
3.その他
米国では、連邦レベルより州レベルでさらに厳しい規制を設けている場合があるため、詳しくは、州、地方自治体のウェブサイトで確認してください。
一般的に、カリフォルニア州は、全米で最も食品に対する規制が厳しいとされています。具体的には、カリフォルニア州法プロポジション65(安全飲料水および有害物質施行法:Prop 65)の警告表示にかかわる改正で、2018年8月30日以降は、警告文に有害物質名を少なくとも一種類表示し、その物質を’含む’ではなく、’有害物質にさらされる’という表現にする、インターネットでの販売にも該当する製品には警告文の表示をすることが義務付けられました。Prop 65の有害物質リストは1,000種類以上に及び、年に2~3回はリストの内容が更新されます。確認の際には必ず直近のリストを参照してください。

関連リンク

関係省庁
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国カリフォルニア州環境保護庁有害物質管理局(OEHHA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
第21巻パート109.30(21CFR Part109.30)「PCB暫定残留許容濃度」 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報
米国カリフォルニア州環境保護庁有害物質管理局(OEHHA)から入手できる主な情報
ジェトロから入手できる主な情報

4. 食品添加物

調査時点:2023年10月

米国に輸入されるアルコール飲料に含まれる食品添加物に関する規制は、合衆国法典第21巻348条(21U.S.C.348)Food Additivesに基づいて行われています。食品添加物の定義は合衆国法典第21巻321条(21U.S.C.321)により規定されており、意図的に使用することにより、直接的または間接的に食品の成分となる、またはなりうる物質、あるいは、食品の性質に影響を及ぼす、または及ぼし得る物質です。食品に対して直接または間接に使用が認められている食品添加物やそれにかかわる規則は、連邦規則集第21巻パート170 から189(21CFR170-189)に列挙されています。

使用可能な食品添加物のリストについては、関連リンクの「使用が許可されている着色料一覧」および「使用が許可されている添加物一覧(着色料以外)」から確認することが可能です。米国において新規の食品添加物を使用する場合には、GRAS通知、食品添加物申請(Food Additive Petition(FAP))をFDAに申請し、事前許可を得る必要があります。

着色料に関する規制は、合衆国法典第21巻379条e(21USC379e)に基づいて行われています。使用することができる着色料は、日本で許可されているものとは異なるため、FDAウェブサイト上の「使用が許可されている着色料一覧(Color Additive Status List)」と「連邦規則集第21巻第70条から第82条(21CFR Part70-82)」を確認してください。

特に、赤色102号については日本をはじめEUやアジアの主要国では着色料として使用が認められていますが、米国では認められていません。また、クチナシ、ベニバナ、ベニコウジも日本では古くから着色料として使用されていますが、米国では使用することはできません。

また、カリフォルニア州では発がん性など健康を損なうリスクが大きいとされる4種類の食品添加物を用いた食品製造や使用、販売を禁止するカリフォルニア州食品安全法が2023年10月に成立しました。規制対象となっているのは、臭素化植物油(VBO)、臭素酸カリウム、プロピルパラベン、および赤色3号で、2027年1月1日以降、これらの添加物を含む加工食品をカリフォルニア州で製造、販売(カリフォルニア州への輸入を含む)することが禁止されます。違反した個人や団体は、初回5,000ドル以下、2回目以降は1万ドル以下の罰金が科されます。

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2023年10月

食品の製造、包装、梱包、輸送または保管に用いられる資材を構成している物質であって、食品の性質に技術的な影響を与えないものを食品接触物質(Food Contact Substances:FCS)といいます〔食品医薬品化粧品法第409条(h)(6)、合衆国法典21USC348(h)(6)〕。米国食品医薬品局(FDA)は、食品接触物質を間接添加物(Indirect additive)として、食品添加物と定義しています。なお、包装などの資材を構成している成分が溶出し食品に移行するかどうかを確認する責任は、資材の製造業者あるいは供給業者が負うことになります。

食品接触物質は、FDA 規則に合致している物質(次の1.を参照)でない場合は、FDA への食品接触物質通知(次の2.を参照)が必要です。

1.食品接触物質の規制の適合確認
次の規則に当てはまらない食品接触物質は、FDA への食品接触物質通知をしなければなりません。
  • 間接添加物(連邦規則集第21巻第174条から第179条:21CFR Part174-179)
  • GRAS(連邦規則集第21巻第182条、第184条、第186条:21CFR Part182,184,186)
  • 1958年以前に容認されている物質(Prior-Sanctioned Material, 連邦規則集第21巻第181条:21CFR Part 181)
  • 規制の適用除外になる物質(Threshold of Regulation Exemption, 連邦規則集第21巻第170.39条:21 CFR Part170.39)
2.FDAへの食品接触物質通知(Food Contact Substance Notification
食品接触物質の製造業者あるいは供給業者は、市販の 120 日以上前にその物質の情報をFDAに通知しなければなりません(連邦規則集第21巻第170.100条:21CFR Part170.100)。通知から120 日の間にFDAから異議申し出がない場合はその通知が有効となり、食品接触物質の使用が合法となります(連邦規則集第21巻第170.104条:21CFR Part170.104)。ただし、食品接触物質通知は、申請した製造業者に対して有効となるものであるため、同じ物質であっても申請した製造業者以外の製造業者には、通知の効果は及びません。提出方法および提出先については、関連リンク「その他参考情報」の「申請フォーム FDA3480」を参照してください。
3.PFAS
PFASとは、パーフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質と呼ばれる化学物質の部類で、非粘着性およびグリース(潤滑性)、耐油性、耐水性に優れた特性により調理器具、食品包装、および食品加工において使用されています。FDAは食品接触物質として長鎖PFASを2011年に禁止しましたが、短鎖PFASは許可してきました。しかし、FDAは、6:2フルオロテロマーアルコール(6:2 FTOH)を含む短鎖PFASの安全性に関しても懸念し、規制の変更措置を取り始めています。さらに、米国環境保護庁(EPA)が飲料水に関する規制を発表し、米国素材メーカーの3Mが2025年末までの製造および使用の中止を発表しています。
また、FDAの連邦レベルにおける動きだけでなく、ワシントン州、ニューヨーク州、カリフォルニア州などいくつかの州は食品包装などのPFASを禁止する動きがありますので注意が必要です。
4.フタル酸エステル類
FDAは、可塑剤、接着剤、消泡剤、表面潤滑剤、樹脂、および殺ダニ剤として使用される23種類のフタル酸エステルと、ほかの2つの物質の食品接触使用許可を取り消しました。この措置により、これらのフタル酸エステルは、第21巻第175条から第178条(21CFR Part175-178)の規制によって認可された物質のリストから削除され、食品接触用途ではフタル酸エステルの使用は残り9つに制限されます。このうち8つは可塑剤としての使用が許可され、1つはモノマーとしての使用が許可されています。
連邦レベルのFDAのみならずミネソタ州、ミシガン州、ニュージャージー州、ニューヨーク州は現在、立法会議でフタル酸エステル類を制限する法案を検討しています。メイン州では食品包装中のフタル酸エステル類の禁止法が2019年に可決されているなど注意が必要です。
5.食品包装用リサイクルプラスチック
米国では、プラスチックを含む使用済みリサイクル(PCR:post-consumer recycled)材料の使用を増やすことに重点が置かれています。一方で、食品接触用品におけるPCRプラスチック材料の使用に関するFDAの主な安全上の懸念は、次の3点です。
  1. PCR材料中の汚染物質がリサイクル材料から作られた最終的な食品接触製品に出現することで食品に移行する可能性があること、
  2. PCR材料は食品接触用途として規制されていない可能性があること、
  3. PCRプラスチック中のアジュバント(添加剤・補助物質)は食品接触用途としての規制を順守していない可能性があること
リサイクルプラスチックから作られた食品接触物品の製造業者は、未使用の材料と同様に、リサイクルされた材料が意図された用途に適した純度であり、未使用の材料のすべての既存の仕様を満たすことを保証する責任があります。従って、リサイクルポリマーに新規添加物を使用する場合、あるいは未使用ポリマーに現在許可されている添加物の量を超えて認可された添加物を使用する場合は、食品接触物質通知(FCN)または食品添加物申請(FAP)が必要です。FDAは、食品包装材メーカーがPCRプラスチックを食品包装材に使用するための工程を評価する際の参考として「産業界向けガイダンス - 食品包装における再生プラスチックの使用:化学上の検討事項(Guidance for Industry - Use of Recycled Plastics in Food Packaging:Chemistry Considerations)」を作成しています。また、FDAは食品接触物品の製造に使用されるPCRプラスチックを製造するための特定のプロセスの適合性に関して肯定的な意見を出した申請のリストを公開しています。

蒸留酒とワインの容量はそれぞれ次が許可されています。充填基準の要件は清酒には適用されません。

  • 蒸留酒:50ml、100ml、200ml、375ml、700ml、720ml、750ml、900ml、1L、1.75L、1.8L
  • ワイン:50ml、100ml、187ml、200ml、250ml、355ml 、375ml、500ml、750ml、1L、1.5L、3L

2022年5月に、米国財務省・酒類たばこ税貿易管理局(TTB)は、ワインと蒸留酒の容器の容量の変更案を発表しました。その中では次の2つの案が提案されています。

案1:ワインの容量基準にさらに 次の10容量を提案し、180ml、300ml、330ml、360ml、550ml、620ml、700ml、720ml、1.8L、2.25Lが追加。

案2:ワインの最小容量基準を除くすべて、および、蒸留酒の最小容量基準と最大容量基準を除くすべてを削除。

この変更案に対するコメントは2022年7月25日で締め切られています。

関連リンク

関係省庁
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
連邦規則集
連邦規則集
合衆国法典
食品医薬品化粧品法
その他参考情報
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報
連邦官報
厚生労働省から入手できる主な情報
ジェトロから入手できる主な情報

6. ラベル表示

調査時点:2023年10月

アルコール飲料の販売に際しては、次の項目を英語でラベルに表記しなければなりません。これ以外にも、必要に応じて表記が求められる項目があります。詳しくは、米国財務省・酒類たばこ税貿易管理局(TTB)のラベル表示マニュアルおよび根拠法を確認してください。

  • 銘柄
  • 分類名称
  • アルコール度数(パーセンテージ表示)
  • 内容量
  • 輸入業者の名称と住所
  • 着色料が使われている場合には、その名称あるいは着色料を使用している旨を表す文言
  • 飲酒が及ぼす影響についての警告文(TTBが定める定型文)
  • 原産国

アルコール度数が14%を超えるワインについては、許容誤差は±1%、アルコール度数が7%以上14%以下のワインについては、許容誤差は±1.5%となっています(27 CFR 4.36(b))。蒸留酒のアルコール度数は許容誤差±0.3%です(27 CFR 5.37(b))。アルコール度数が0.5%以上の麦芽飲料については、許容誤差は±0.3%、アルコール度数0.5%未満の麦芽飲料については、実際のアルコール度数は表示されたアルコール度数を超えてはなりません(27 CFR 7.71(c))。蒸留酒とワインについては、測定温度は原則華氏60度で計測し、それ以外の温度で測定する際には補正が必要となります。

内容量の許容誤差は、27CFR4.37(d)で定められる例外を除き、認められていません。

アルコール度数が7%未満の清酒(米国ではワインの分類)や連邦アルコール管理法(FAA法)における「麦芽飲料」の定義を満たしていないビールのラベルは、TTB所管ではないため、FDAの食品表示規定を順守する必要があります。FDAのラベル規制の対象となるのは、一般的に2つのカテゴリーに分類されます。

  • アルコール度数が7%未満のワイン、サイダー、砂糖ベースのハードセルツァー
  • 麦芽の代替品(ソルガム、米、小麦など)を使用したビールや、ホップを使用していないビール

また、TTBは2022年2月に、アルコール飲料の表示および広告規制の最新化に関する規則策定のフェーズ2を実施する最終規則を発表しました。同規則には、TTB規則2015-1に基づき、「ビール」、「エール」、「ポーター」、「スタウト」、「ラガー」、または「モルト・リカー」と指定された発酵飲料の製造において、伝統的な原料として一般的に認識されているとTTBが判断した原料で風味付けまたは発酵された麦芽飲料のラベル表示について、組成の記載ではなく、取引上の理解に基づく表示の使用を認めることなどが含まれています。

関連リンク

関係省庁
米国財務省・酒類たばこ税貿易管理局(TTB)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
連邦規則集
その他参考情報
米国財務省・酒類たばこ税貿易管理局(TTB)から入手できる主な情報
連邦官報
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米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報
国税庁から入手できる主な情報
ジェトロから入手できる主な情報

7. その他

調査時点:2023年10月

米国で販売されるアルコール飲料の安全性は、FDAとTTBが所管しています。米国へ輸入されるアルコール飲料は、FDAが定める「現行適正製造規範(Current Good Manufacturing Practice:CGMP)」を順守して、製造/加工、梱包、包装、保管されたものでなければなりません。

2011年1月に成立した食品安全強化法(Food Safety Modernization Act:FSMA)第103条により、米国で消費される食品を製造/加工、梱包、保管する施設は、危害分析およびリスクに基づく予防管理(Hazard Analysis and Risk Based Preventive Controls)として、食品安全計画の策定と実施が義務付けられています。米国へ輸入される連邦酒類管理法または1986年内国歳入法の下でTTBに所管されているアルコール飲料は、食品安全計画の策定と実施は適用除外です。バイオテロ法および食品安全強化法の一部規則(基本的には適用除外)の適用を受けます。詳しくはFDAのウェブサイトを確認してください。ジェトロで作成した解説資料は、関連リンクの「その他参考情報」から参照できます。

米国での輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2023年10月

連邦アルコール管理法 (FAA Act) で定義されている蒸留酒、ワイン、または麦芽飲料を米国に輸入する場合、米国財務省・酒類たばこ税貿易管理局(TTB)に輸入許可証を申請する必要があります。輸入許可証を取得するには、「連邦アルコール管理法に基づく基本許可の申請」を TTB の国家歳入センター(NRC) に提出する必要があります。このプロセスは、オンラインまたは紙のコピーを提出することによって行うことができます。許可証の発行に手数料はかかりません。

そして、新たにアルコール飲料を米国に輸入しようとする者は、TTBに輸入業者の申請を行います。輸入業の許可を取得するには、輸入者は米国内に事業拠点をもつ必要があります。米国でビジネスを行うことができない場合は、米国内の既存の認可を受けた輸入業者と契約する必要があります。

輸入許可証を受け取った後、輸入者は、FAA法で定義されている蒸留酒、ワイン、麦芽飲料の固有の製品・ラベルごとに、TTB発行のラベル承認証明書(Certificate of Labeling Approval:COLA)を取得しなければなりません。また、同じ製品を複数の輸入者が輸入する場合、COLAは輸入者ごとに申請が必要です。COLAを取得するためには、輸入者は「ラベル/ボトル承認の申請および認証/免除」をTTBのAlcohol Labeling and Formulation Division(ALFD)に提出する必要があります。この手続きは、オンラインまたは紙のコピーを提出することによって行うことができます。輸入者はアルコールの輸入時にCOLAを所持していなければなりません。

COLAのプロセスには、COLA事前承認が含まれる場合があります。この事前承認は、輸入されるアルコールの種類によって異なります。承認のためのCOLA事前評価では、次のことが確認されます。

  • アルコールに禁止成分が含まれていない。
  • 税法上および製品上の分類が明確である。
  • 原材料が決められた制限の範囲内にある。
  • 亜硫酸塩の申告がない飲料は、二酸化硫黄が10ppm以下である。

事前承認のルールは、一部のワイン、麦芽飲料、蒸留酒に適用されます。輸入品にCOLA事前評価が必要な場合は、COLA申請時にすべての書類を提出する必要があります。

また、米国に輸入されるワインおよび蒸留酒の中には、年数や原産地の証明が必要なことがあります。詳細は、輸入アルコール飲料の年数証明書と原産地要件に関するウェブサイトを参照してください。

さらに、米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)への食品施設登録や米国に輸入される前にFDAに通知すること(事前通知)も必要となります。

詳細は、「輸入規制」の「2.施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」を参照してください。

加えて、州政府や地方自治体の酒類取り扱い許可が必要な場合があるため、事前に十分な確認が必要です。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2023年10月

日本からアルコール飲料を輸入するにあたって必要な書類などは主に次のとおりです。

【通関書類】
  1. エントリーマニフェスト(CBP Form 7533)あるいは貨物引き取り申告(CBP Form 3461)、またはポートディレクターが要求する商品の引き取りに必要なその他の書類
  2. 通関権の証明(※)海上輸送の場合はBill of Lading、航空輸送の場合はAir Waybill
  3. 商業インボイスなど
  4. パッキング・リスト
  5. その他輸入が認められるか否かを判断するために必要な関連資料・情報(エントリーサマリー(CBP Form 7501)、米国財務省・酒類たばこ税貿易管理局(TTB)からの輸入許可証、原産地証明(必ずしも必要ではないが求められることもあり)、など)
  6. インポート・セキュリティ・ファイリング(Import Security Filing: ISF)。(海上輸送で米国に輸入される貨物は、最後の外国港を出発する24時間前にISFの申請が必要となります。)

また、日本からアルコール飲料を輸入するにあたって、アルコール飲料の加工施設は、米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)への食品施設登録と事前通知などが必要になります。事前通知とは、食品(動物向け食品を含む)が米国に輸入される、または輸入のために提供されるとき、米国に当該食品が到着する前にFDAに通知することを言います。また事前通知には施設登録番号が必要となります。事前通知の期限は、空路で到着4時間前、海路で到着8時間前となります。「輸入規制」の「2.施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」を参照してください。

輸入を行う準備が整ったら、米国税関が管理するリモートロケーションファイリング(RLF) プロトタイプおよび電子インボイスプログラム(EIP)に基づいて商品のエントリーを提出できます。これらのプログラムでは、エントリーフォームに記入してエントリー概要を作成し、物品税と輸入手数料を支払い、TTBから受け取った書類を提出する必要があります。

すべての輸入申告には、インボイスを添付する必要があります。インボイスには、輸入業者、輸出業者、および通関港の名前が記載されている必要があります。また、輸入する製品の番号、価格、重量、および詳細な説明を含める必要があります。インボイスがない場合、税関は輸入を拒否する場合があります。

輸入時には、米国税関・国境警備局(CBP)税関職員にEIPおよびRLFの商品エントリーを行ったときに与えられたコードも提出する必要があります。税関職員が閲覧を要求する場合があるため、すべての書類を持参することが必要です。情報を持っていない場合は、書類を入国管理局にファックスまたは郵送することもできます。

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2023年10月

ランダムチェックの対象として検査される可能性はあるものの、通常は検査、検疫の対象とはなっていません。

4. 販売許可手続き

調査時点:2023年10月

アルコール飲料を米国に輸入・販売するには、米国財務省・酒類たばこ税貿易管理局(TTB)が発行する輸入業許可(Importer's Basic Permit)を保有していなければなりません。また、自身の輸入業許可で輸入したもの以外のアルコール飲料を購入し、卸売りをする場合には、これとは別にTTBが発行する卸売業許可(Wholesaler’s Basic Permit)を保有していなければなりません。なお、輸入業許可と卸売業許可は、同時に申請することができます。

さらに、米国内で清酒・焼酎を販売するには、事業を始める前に、TTBにアルコール販売者登録(Alcohol Dealer Registration)を行わなければなりません。輸入業者の場合は、輸入業許可の発行を受けてからアルコール販売者登録を行う必要があります。なお、輸入業許可、卸売業許可の申請およびアルコール販売者登録には、米国内国歳入庁(IRS)が発行する雇用主証明番号(EIN)が必要です。

加えて、州、地方自治体が定める免許の取得や事業の登録などを行わなければなりません。これらは、州、地方自治体が独自に定めており、業態や取り扱うアルコールの種類などによって必要となる手続きは異なります。詳しくは、TTBおよび州、地方自治体のウェブサイトで確認してください。

5. その他

調査時点:2023年10月

なし

米国内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2023年10月

米国でアルコール飲料を輸入・販売するにあたって課せられる税金には、大きく分けて

  1. 関税などの通関に要する税、
  2. 米国歳入庁(IRS)に納付する連邦酒税、
  3. 州、地方自治体へ納付する酒税、売上税、があります。関税表は、米国国際貿易委員会(USITC)が管理しています。

2.および3.については「2.その他の税」を参照してください。

表:アルコール飲料の関税率
HSコード 税率
2203:麦芽から醸造したビール 0%
2204:ぶどう酒(強化ぶどう酒を含むものとし、生鮮のぶどうから製造したものに限る)およびぶどう搾汁(第20.09項のものを除く。) 5.3~22.4セント/ リットル
4.4セント/ リットル+31.4セント/ プルーフ・リットル
2205:ベルモットその他のぶどう酒(生鮮のぶどうから製造したもので、植物または芳香性物質により香味を付けたものに限る。) 3.5~4.2セント/リットル
2206:その他の発酵酒(例えば、りんご酒、なし酒、ミードおよび日本酒)ならびに発酵酒とアルコールを含有しない飲料との混合物および発酵酒の混合物(ほかの項に該当するものを除く。)、清酒(Rice wine)。 0.4~13.9セント/ リットル
3.1セント/ リットル+22.1セント/ プルーフ・リットル(エチルアルコール含有量)
2208:エチルアルコール(変性させてないものでアルコール分が80%未満のものに限る。)および蒸留酒、リキュールその他のアルコール飲料(ジン、ウオッカ、ウイスキー、焼酎) 0%
21.1~23.7セント/ プルーフ・リットル

2. その他の税

調査時点:2023年10月

1.連邦酒税
輸入業者は、アルコール飲料の輸入にあたって、連邦酒税を納付しなければなりません。例えば清酒(蒸留酒が添加されていないもの)にはビールと同じ税率が適用され、18ドル/バレル(31ガロン)が、焼酎に対しては13.50ドル/プルーフ・ガロンが課せられます。これらは米国財務省・酒類たばこ税貿易管理局(TTB)が徴収しています。
連邦酒税は、ビール、ワインと蒸留酒に大きく分類されます。
  • ビール:18ドル/バレル(1バレル=31ガロン)
  • ワイン
    • アルコール度数16%以下のワイン:1.07ドル/ガロン
    • アルコール度数16%超21%以下のワイン:1.57ドル/ガロン
    • アルコール度数21%超24%以下のワイン:3.15ドル/ガロン
    • スパークリングワイン:3.40ドル/ガロン
  • 蒸留酒:13.5ドル/プルーフ ガロン
2.州、地方自治体へ納付する酒税、売上税
米国内では地方自治体により売上税が課されます。州ならびに郡や市の地方自治体により売上税の合計税率が異なるため、USITC、米国税関・国境警備局(CBP)、州、地方自治体のウェブサイトで確認する必要があります。連邦酒税と同様、これらも蒸留酒の添加された清酒と添加されていない清酒で、差がでてくることがあります。
さらに、アルコール飲料については酒類とアルコール度数によって異なる酒税が、州、郡、市レベルでかかってくるため、各州の歳入庁のウェブサイトで確認する必要があります。

3. その他

調査時点:2023年10月

商業貨物税関使用料、港湾維持料
輸入業者はアルコール飲料の輸入にあたって、関税だけでなく商業貨物税関使用料(Merchandise Processing Fee:MPF)を納付する必要があります。正式通関(Formal Entry)の場合、MPFは輸入申告価格(FOB価格)の0.3464% で、最低31.67ドル、最高614.35ドルとなっています。さらに、船便による輸入の場合には、輸入業者は貨物価格の0.125% の港湾維持料(Harbor Maintenance Fee:HMF)を納付しなければなりません。これらは米国税関・国境警備局(CBP)が徴収しています。

その他

調査時点:2023年10月

食品安全強化法〔Food Safety Modernization Act(FSMA)
米国では2011年1月4日、食品安全強化法〔Food Safety Modernization Act(FSMA)〕が成立し、米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)の権限が多岐にわたって強化されました。同法の焦点は、食品汚染への対応を未然予防にシフトすることで、米国内の食品供給をより安全にすることを目的としています。FSMAにより、FDAは食品サプライチェーンを網羅する、予防をベースとした包括的な管理を行う権能を持つことになりました。
FSMAの規定は、米国に輸入されるアルコール飲料にも一部適用されます。例えば、アルコール飲料の製造/加工、梱包、保管施設は、バイオテロ法第305条により、FDAに登録することが義務付けられていましたが、FSMA第102条により、この施設登録は西暦偶数年の10月1日から12月31日の間に更新することが義務付けられました。
なお、TTB所管のアルコール飲料施設には、FSMA第103条に基づく食品安全計画(Hazard Analysis and Risk-Based preventive Controls) の策定やサプライチェーン・プログラム、および第301条に基づく外国供給業者検証プログラム (Foreign Supplier Verification Program:FSVP)に関しては、適用されません(詳細な免除条件は、第21巻117.5(i)条(21CFR Sec. 117.5(i)、および第21巻1.501(e)条(21CFR Sec. 1.501(e))を参照のこと)。ただし、現行適正製造規範については順守するよう求められているため、食品(アルコール飲料含む)に有害物質や汚染物質、異物、有害微生物などが含まれないよう管理することが必要です。
詳細は、FSMAおよびバイオテロ法が記載されている、関連リンクのウェブサイトなどを参照してください。また、FDAのウェブサイトに、FSMAに関する主要規則のファクトシートの日本語訳も提供されていますので、あわせて参照してください。
国家有機プログラム執行の強化
2023年1月に、米国農務省のNOP(National Organic Program)が、有機製品の監視を強化し、不正を防止するための規則(Strengthening Organic Enforcement)を最終決定しました。新規則は、米国へ輸入されるすべての有機製品に電子NOP輸入証明書の使用を義務付け、有機認証取得には輸入業者やトレーダーを含むより多くのサプライチェーン内の企業の参画を要するなど、有機製品への信頼性強化のために、当局の監視と執行の権限を大幅に強化するものです。本規制の適用期限は2024年3月19日です。
なお、同等性相互認証により米国へ輸出する場合は、従来から輸入証明書の添付が必要です。酒類については米国と日本の同等性の対象品目ではないため、同等性相互認証の仕組みを活用した輸出は現在できません。最新状況は農林水産省のウェブサイト「有機食品の検査認証制度」で確認してください。
米国食品医薬品局(FDA)による食品施設の査察
米国では2011年1月4日、食品安全強化法(FSMA)が成立し、FDAの権限が多岐にわたって強化されました。FSMAの制定により日本企業への影響は、さまざまな点で生じています(食品関連の規制「7.その他」を参照)。特に、同法の第201条に基づき、FDAによる外国の食品関連施設への査察権限が強化され、日本の食品関連施設でもFDAによる査察が実施されるようになりました。そのため、米国で消費される食品の関連施設はFDAからの査察がいつ入っても対応ができるように、米国の規則に沿った対応をすることが必要になっています。