日本からの輸出に関する制度 アルコール飲料の輸入規制、輸入手続き

米国の食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2019年6月

「蒸留酒」とは、エチルアルコール、エチルの水和酸化物、純アルコール、ウイスキー、ラム酒、ブランデー、ジンなどを意味し、さらにこれらのすべての希釈物および混合物を含みます。

「ワイン」は、ワインおよびスパークリングワイン、炭酸ワイン、凝縮ブドウから作られたワイン、模造ワイン、ワインとして販売されている化合物、ベルモット、サイダー、ペリー酒、清酒などを含み、アルコール含有量は7%以上24%以下のものを指します。

「麦芽飲料」は、ホップを含む大麦麦芽などのアルコール発酵によって製造される飲料を指します。

アルコール飲料の定義は、州によって規格が異なっていますので販売の際には州ごとに詳細を確認する必要があります。

例えば、カリフォルニア州では、麦芽飲料(ビール)は大麦、麦芽、ホップ、またはほかの同様の製品を煎じたものの発酵によって得られるアルコール飲料、またはそれらの組み合わせとして定義されていましたが、2019年7月に、麦芽飲料(ビール)は、蜂蜜、フルーツ、フルーツジュース、フルーツ濃縮物、ハーブ、スパイス、およびその他の食品材料を発酵の補助として使用して製造できると改正することが発表され、2020年に発効予定となっています。一方でニューヨーク州では、麦芽飲料(ビール)には、すべてのアルコールビール、ラガービール、エール、ポーター、スタウト、およびモルトから全体的または部分的に製造されたほかのすべての発酵飲料、または体積で半分の1%以上のアルコールを含む代替品から製造されたすべての発酵飲料が含まれる、と定義されています。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2019年6月

米国における農薬の規制は環境保護庁(EPA)と米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)が管轄しています。EPAは農薬の種類と最大残留農薬濃度(MRL)の承認と登録、FDAは食品においてEPAが設定した規制を執行する役割を担っています。

EPAは、農薬成分および未加工の農産物ごとに残留農薬の許容量を設定(ポジティブリスト制)しており、米国に輸入されるアルコール飲料は、その基準を満たしていなければなりません。一部の農薬成分については、人体に安全だとして許容量の設定を免除しているものもあります。

許容量が設定されている農薬成分がアルコール飲料に残留している場合には、次の3つの条件をすべて満たさなければなりません。(1)加工前の原料における残留農薬が許容量を超えていない。(2)適正製造規範(GMP)に基づく製造工程において、残留農薬ができる限り取り除かれている。(3)アルコール飲料の残留農薬が、それぞれの原料の許容量を超えていない。
また、EPAが残留農薬の許容量の設定も免除も行っていない農薬成分が残留しているアルコール飲料は、米国に輸入することができません。
食品の残留農薬に関する基準の詳細は、「米国連邦規則集第40巻パート180(40CFR Part180)」に係る説明項目(Indexes to Part 180 Tolerance Information for Pesticide Chemicals in Food and Feed Commodities)で確認してください。

関連リンク

関係省庁
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米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
合衆国法典
米国連邦規則集
その他参考情報
米国環境保護庁(EPA)から入手できる主な情報
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報
米国財務省・酒類たばこ税貿易管理局(TTB)から入手できる情報
ジェトロから入手できる主な情報

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2019年6月

食品に含まれる有毒および有害な物質の許容量は、食品医薬品化粧品法第406条に基づく規則で定められています。現在、FDAが規則で食品に関して暫定残留許容濃度を定めている物質はポリ塩化ビフェニール類(PCB類)のみで(21CFR Part109.30)、ヒ素および有害重金属などの汚染に関する規制については、総括的な法的水準は決められていないのが現状です。それぞれの有毒・有害物質が長期的に健康に与える影響は不明確とし、有害な物質の含有はなるべく避けることが望ましいとされています。

1.有毒・有害物質の欠陥対策レベル
FDAは、有毒・有害物質に関する欠陥対策レベルをガイダンス「ヒト向け食品および動物飼料に含まれる有毒・有害物質に関する対策レベル」として2000年に発行しています。同ガイダンスでは、19種類の有毒・有害物質について、食品と飼料の品目別に対策レベルの値(ppmなど)が設定されています。
なお、このガイダンスには規則のような法的拘束力はありませんが、FDAが法的措置を発動するかどうかを決定する際の基準と位置付けられています。従って、有毒・有害物質の含有量が欠陥対策レベルを下回っている必要があります。
2.トータルダイエットスタディに基づく参考指標
米国では、1991年からさまざまな食品に含まれる物質(ヒ素および有害重金属などを含む)のトータルダイエットスタディ(Total Diet Study:TDS)が実施されており、FDAのウェブサイト上で結果が公開されています。これは法的に設定された許容量や基準値ではありませんが、米国で消費されているさまざまな食品中におけるヒ素や有害重金属などの含有量について、最小値、最大値、平均値などを知ることができるため、参考指標として有効利用することができます。
2017年発表の直近データでは、2006年から2013年に行ったサンプリングで次のような結果となっており、米国で消費されている食品に含まれるヒ素および有害重金属などの参考指標として活用することができます。当データには酒、焼酎、ウイスキーのデータが見当たりませんが、ここでは例としてワインとビールについて取り上げます。
ワイン(白・赤)に含まれるヒ素および有害重金属などの参考指標(mg/kg)
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 0.000 0.024 0.008
カドミウム 0.000 0.003 0.001
0.000 0.029 0.007
マンガン 0.80 3.30 1.40
ビールに含まれるヒ素および有害重金属などの参考指標(mg/kg)
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 0.000 0.000 0.000
カドミウム 0.000 0.003 0.0002
0.000 0.000 0.000
0.000 0.006 0.0003
マンガン 0.000 0.22 0.01
亜鉛 0.000 0.000 0.000
3.その他
米国では、連邦レベルより州レベルでさらに厳しい規制を設けている場合があるため、詳しくは、州、地方自治体のウェブサイトで確認してください。
一般的に、カリフォルニア州は、全米で最も食品に対する規制が厳しいとされています。具体的には、カリフォルニア州法プロポジション65(安全飲料水および有害物質施行法:Prop.65)の警告表示に係る改正で、2018年8月30日以降は、警告文に有害物質名を少なくとも一種類表示し、その物質を’含む’ではなく、’暴露する’という表現にする、インターネットでの販売にも該当する製品には警告文の表示をすることが義務付けられました。なお、生殖毒性があるとされるビスフェノールA(BPA)に関しては、当該製品の容器に表記する、または小売店の棚の表示でも製品を明確にすることにより消費者などに警告することが義務付けられました。BPAに関しては、緊急法に基づく暫定措置として、全体警告を認め、個々の商品もしくは商品棚への警告の義務は免れていましたが、2017年12月30日で終了し、2017年12月31日以降は個々の商品もしくは商品棚への警告表示が必要となり、全体警告も認められません。また、酒類を含む発酵食品に天然に存在する物質であるカルバミン酸エチルもProp.65に含まれます。Prop.65の有害物質リストは900種類以上に及び、年に2~3回はリストの内容が変更されるので、確認の際には必ず直近のリストを参照してください。

4. 食品添加物

調査時点:2019年6月

米国に輸入されるアルコール飲料に含まれる食品添加物に関する規制は、合衆国法典第21巻348条(21U.S.C.348)Food Additivesに基づいて行われています。食品添加物の定義は合衆国法典第21巻321条(21U.S.C.321)により規定されており、食品に対して直接または間接に使用が認められている食品添加物やそれに係る規則は、米国連邦規則集第21巻パート170 から189(21CFR170-189)に列挙されています。

米国において新規の食品添加物を使用する場合には、GRAS通知、食品添加物申請(Food Additive Petition(FAP))をFDAに申請し、事前許可を得る必要があります。

なお、食品の製造、梱包、包装、輸送または保管に用いられる資材を構成している物質であって、食品の性質に技術的な影響を与えないものを食品接触物質とよび、食品添加物として定義しています。食品接触物質に関する情報は、「食品包装規制」の項目を参照してください。

着色料に関する規制は、合衆国法典第21巻379条e(21USC379e)に基づいて行われています。使用することができる着色料は、日本で許可されているものとは異なるため、FDAウェブサイト上の「使用が許可されている着色料一覧(Color Additive Status List)」と「米国連邦規則集第21巻パート70~82(21CFR Part70-82)」を確認してください。

特に、赤色102号については日本をはじめEUやアジアの主要国では食品添加物として使用が認められていますが、米国では認められていません。また、クチナシ、ベニバナ、ベニコウジも日本では古くから着色料として広く使用されていますが、米国では食品添加物として使用することはできません。

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2019年6月

製造/加工、梱包、包装、保管または輸送に用いられる資材を構成している物質であって、食品の性質に技術的な影響を与えないものを食品接触物質(Food Contact Substances:FCS)といいます(食品医薬品化粧品法第 409 条(h)(6)、合衆国法典 21USC348(h)(6))。FDAは、食品接触物質を間接添加物(Indirect additive)として、食品添加物として定義しています。なお、梱包、包装などの資材を構成している成分が溶出し食品に移るかどうかの判断と責任は、資材の製造業者にゆだねられています。

食品接触物質は、FDA 規則に合致している物質(次の1を参照)でない場合は、FDA への食品接触物質通知(次の2を参照)が必要です。

1.食品接触物質の規制の適合確認
次の規則に当てはまらない食品接触物質は、FDA への食品接触物質通知をしなければなりません。
  • 間接添加物(連邦規則集 21CFR Part174~179)
  • GRAS(連邦規則集 21CFR Part 182,184,186)
  • 1958年以前に容認されている物質(Prior-Sanctioned Material, 連邦規則集 21CFR Part 181)
  • 規制の適用除外になる物質(Threshold of Regulation Exemption, 連邦規則集 21 CFR Part 170.39)
2.FDAへの食品接触物質通知(Food Contact Substance Notification
食品接触物質の製造業者あるいは供給業者は、市販の 120 日以上前にその物質の情報をFDAに通知しなければなりません(連邦規則集 21CFR Part170.100)。通知から120 日の間にFDAから異議申し出がない場合はその通知が有効となり、食品接触物質の使用が合法となります(連邦規則集 21CFR Part170.104)。ただし、食品接触物質通知は、申請した製造業者に対して有効となるものであるため、同じ物質であっても申請した製造業者以外の製造業者には、通知の効果は及びません。提出方法および提出先については、関連リンク「その他参考情報」の「申請フォーム FDA3480」を参照してください。
なお、カリフォルニア州におけるビスフェノールA(BPA)の警告表示については、食品関連の規制「3. 重金属および汚染物質」を参照してください。

また、蒸留酒とワインの容量はそれぞれ次が許可されています。

  • 蒸留酒:50ml、100ml、200ml、375ml、700ml、720ml、750ml、900ml、1L、1.75L、1.8L
  • ワイン:50ml、100ml、187ml、200ml、250ml、355ml 、375ml、500ml、750ml、1L、1.5L、3L

関連リンク

関係省庁
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根拠法等
合衆国法典
米国連邦規則集
その他参考情報
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報
ジェトロから入手できる主な情報

6. ラベル表示

調査時点:2019年6月

アルコール飲料の販売に際しては、次の項目を英語でラベルに表記しなければなりません。これ以外にも、必要に応じて表記が求められる項目があります。詳しくは、米国財務省・酒類たばこ税貿易管理局(TTB)のラベル表示マニュアルおよび根拠法を確認してください。

  1. 銘柄
  2. 分類名称
  3. アルコール度数(パーセンテージ表示)
  4. 内容量
  5. 輸入業者の名称と住所
  6. 着色料が使われている場合には、その名称あるいは着色料を使用している旨を表す文言
  7. 飲酒が及ぼす影響についての警告文(TTBが定める定型文)
  8. 原産国

ただし、7%未満の清酒(米国ではワインの分類)のラベルは、TTB管轄ではないので、FDAの食品表示規定を順守する必要があります。

7. その他

調査時点:2019年6月

米国へ輸入されるアルコール飲料は、FDAが定める「現行適正製造規範(Current Good Manufacturing Practice: CGMP)」を順守して、製造/加工、梱包、包装、保管されたものでなければなりません。
また、米国へ輸入される清酒・焼酎は、バイオテロ法および食品安全強化法の一部規則(基本的には適用除外)の適用を受けます。詳しくはFDAのウェブサイトを確認してください。ジェトロで作成した解説資料は、関連リンクの「その他参考情報」から参照できます。