日本からの輸出に関する制度 アルコール飲料の輸入規制、輸入手続き

  • 品目の定義

本ページで定義するアルコール飲料のHSコード

203:麦芽から醸造したビール
2204: ぶどう酒(強化ぶどう酒を含むものとし、生鮮のぶどうから製造したものに限る)およびぶどう搾汁(第20.09項のものを除く。)
2205:ベルモットその他のぶどう酒(生鮮のぶどうから製造したもので、植物または芳香性物質により香味を付けたものに限る。)
2206: その他の発酵酒(例えば、りんご酒、なし酒、ミードおよび日本酒)ならびに発酵酒とアルコールを含有しない飲料との混合物および発酵酒の混合物(ほかの項に該当するものを除く。)、清酒(Rice wine)。
2208: エチルアルコール(変性させてないものでアルコール分が80%未満のものに限る。)および蒸留酒、リキュールその他のアルコール飲料(ジン、ウオッカ、ウイスキー、焼酎)

具体的な製品の内容によって異なる場合があるため、詳細は必ず確認してください。

なお、米国では酒類はビール、ワインと蒸留酒に分類されます(連邦アルコール管理法Federal Alcohol Administration Act:FAA Act)。清酒は、内国歳入庁(Internal Revenue Service:IRS)の内国歳入コード(Internal Revenue Code:IRC)によってビールと同じ規制を受ける一方、容器のラベルはFAA Actに基づき、ワインと同じ扱いを受けるという二面性を持っています。すなわち、清酒には、連邦規則集(Code of Federal Regulations:CFR)Title 27 Part 25のビール規則と、Title 27 Part 4のワインの容器ラベル規則の2つが適用されます。

米国の食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2021年6月

ビール
26 U.S.C. 5052(a)によると、「ビール」とは、ビール、エール、ポーター、スタウト、およびその他の類似の発酵飲料(日本酒や類似の製品を含む)で、名称や説明を問わず、アルコール度数が0.5%vol以上のものをいい、全部または一部が麦芽、またはその代替物から醸造または製造されたものを指します。

ワイン
19 U.S.C. 2802によると、「ワイン」という用語は、次のような発酵アルコール飲料を意味します。
(A)ブドウまたはその他の果実から作られたもの。
(B)アルコール度数が0.5%以上24%以下で、製造過程による希釈や混合物を含む。
(C)非工業用。

蒸留酒
27 CFR 5.22によると、「蒸留酒」とは、エチルアルコール、エチルの水和酸化物、純アルコール、ウイスキー、ラム酒、ブランデー、ジンなどを意味し、さらにこれらのすべての希釈物および混合物を含みます。

アルコール飲料の定義は、州によって規格が異なっているため販売の際には州ごとに詳細を確認する必要があります。

例えば、カリフォルニア州では、麦芽飲料(ビール)は大麦、麦芽、ホップ、またはほかの同様の製品を煎じたものの発酵によって得られるアルコール飲料、またはそれらの組み合わせとして定義されていましたが、2019年7月に、麦芽飲料(ビール)は、蜂蜜、フルーツ、フルーツジュース、フルーツ濃縮物、ハーブ、スパイス、およびその他の食品材料を発酵の補助として使用して製造できると改正されました。一方でニューヨーク州では、麦芽飲料(ビール)とは、麦芽の全部もしくは一部、またはその代替物から製造された、あらゆる名称または記述の発酵飲料を含むとしています。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2021年6月

米国における農薬の規制は環境保護庁(EPA)と米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)が管轄しています。EPAは農薬の種類と最大残留農薬濃度(MRL)の承認と登録、FDAは食品においてEPAが設定した規制を執行する役割を担っています。

EPAは、農薬成分および未加工の農産物ごとに残留農薬の許容量を設定(ポジティブリスト制)しており、米国に輸入されるアルコール飲料は、その基準を満たしていなければなりません。一部の農薬成分については、人体に安全だとして許容量の設定を免除しているものもあります。

許容量が設定されている農薬成分がアルコール飲料に残留している場合には、次の3つの条件をすべて満たさなければなりません。
(1)加工前の原料における残留農薬が許容量を超えていない。
(2)適正製造規範(GMP)に基づく製造工程において、残留農薬ができる限り取り除かれている。
(3)アルコール飲料の残留農薬が、それぞれの原料の許容量を超えていない。

また、EPAが残留農薬の許容量の設定も免除も行っていない農薬成分が残留しているアルコール飲料は、米国に輸入することができません。

食品の残留農薬に関する基準の詳細は、「米国連邦規則集第40巻パート180(40CFR Part180)」に係る説明項目(Indexes to Part 180 Tolerance Information for Pesticide Chemicals in Food and Feed Commodities)で確認してください。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2021年6月

食品に含まれる有毒および有害な物質の許容量は、食品医薬品化粧品法第406条に基づく規則で定められています。現在、FDAが規則で食品に関して暫定残留許容濃度を定めている物質はポリ塩化ビフェニール類(PCB類)のみで(21CFR Part109.30)、紙製の食品包装材のPCBの残留物に対する暫定的な許容量は10ppmとなっています。一方で、ヒ素および有害重金属などの汚染に関する規制については、総括的な法的水準は決められていないのが現状です。それぞれの有毒・有害物質が長期的に健康に与える影響は不明確とし、有害な物質の含有は避けることが望ましいとされています。

1.有毒・有害物質の欠陥対策レベル
FDAは、有毒・有害物質に関する欠陥対策レベルをガイダンス「ヒト向け食品および動物飼料に含まれる有毒・有害物質に関する対策レベル」として2000年に発行しています。同ガイダンスでは、19種類の有毒・有害物質について、食品と飼料の品目別に対策レベルの値(ppmなど)が設定されています。
なお、このガイダンスには規則のような法的拘束力はありませんが、FDAが法的措置を発動するかどうかを決定する際の基準と位置付けられています。従って、有毒・有害物質の含有量が欠陥対策レベルを下回っている必要があります。
2.トータルダイエットスタディに基づく参考指標
米国では、1991年からさまざまな食品に含まれる物質(ヒ素および有害重金属などを含む)のトータルダイエットスタディ(Total Diet Study:TDS)が実施されており、FDAのウェブサイト上で結果が公開されています。これは法的に設定された許容量や基準値ではありませんが、米国で消費されているさまざまな食品中におけるヒ素や有害重金属などの含有量について、最小値、最大値、平均値などを知ることができるため、参考指標として有効利用することができます。
2017年発表の直近データでは、2006年から2013年に行ったサンプリングで次のような結果となっており、米国で消費されている食品に含まれるヒ素および有害重金属などの参考指標として活用することができます。当データには酒、焼酎、ウイスキーのデータが見当たりませんが、ここでは例としてワインとビールについて取り上げます。
ワイン(白・赤)に含まれるヒ素および有害重金属などの参考指標(mg/kg)
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 0.000 0.024 0.008
カドミウム 0.000 0.003 0.001
0.000 0.029 0.007
マンガン 0.80 3.30 1.40
ビールに含まれるヒ素および有害重金属などの参考指標(mg/kg)
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 0.000 0.000 0.000
カドミウム 0.000 0.003 0.0002
0.000 0.000 0.000
0.000 0.006 0.0003
マンガン 0.000 0.22 0.01
亜鉛 0.000 0.000 0.000
3.その他
米国では、連邦レベルより州レベルでさらに厳しい規制を設けている場合があるため、詳しくは、州、地方自治体のウェブサイトで確認してください。
一般的に、カリフォルニア州は、全米で最も食品に対する規制が厳しいとされています。具体的には、カリフォルニア州法プロポジション65(安全飲料水および有害物質施行法:Prop.65)の警告表示に係る改正で、2018年8月30日以降は、警告文に有害物質名を少なくとも一種類表示し、その物質を’含む’ではなく、’暴露する’という表現にする、インターネットでの販売にも該当する製品には警告文の表示をすることが義務付けられました。Prop.65の有害物質リストは900種類以上におよび、年に2~3回はリストの内容が更新されます。2021年6月にも新たに4つの発がん性物質の追加の意向が発表されています。確認の際には必ず直近のリストを参照してください。
また、近年、Prop.65の有害化学物質のアクリルアミドについて警告文がない事による訴訟が急増していましたが、2021年3月に連邦裁判所はアクリルアミドを対象としたProp.65訴訟を一時的に禁止する暫定的な差し止め命令を発行しました。
アクリルアミドはアミノ酸と糖分が加熱される際に自然に発生する物質で、食品製造工程で添加されるものではありません。カリフォルニア州は現在次のような修正案を協議中ですが、まだ結論は出ていません。
  1. 製造業者が現在可能な限り、アクリルアミドを最小化する製造プロセスを取っていればProp.65の対象外となる
  2. 食品別に最大許容量を設定する

関連リンク

関係省庁
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国カリフォルニア州環境保護庁有害物質管理局(OEHHA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
第21巻パート109.30(21CFR Part109.30)「PCB暫定残留許容濃度」 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報
米国カリフォルニア州環境保護庁有害物質管理局(OEHHA)から入手できる主な情報
カリフォルニア州司法省から入手できる主な情報
ジェトロから入手できる主な情報

4. 食品添加物

調査時点:2021年6月

米国に輸入されるアルコール飲料に含まれる食品添加物に関する規制は、合衆国法典第21巻348条(21U.S.C.348)Food Additivesに基づいて行われています。食品添加物の定義は合衆国法典第21巻321条(21U.S.C.321)により規定されており、食品に対して直接または間接に使用が認められている食品添加物やそれに係る規則は、米国連邦規則集第21巻パート170 から189(21CFR170-189)に列挙されています。

米国において新規の食品添加物を使用する場合には、GRAS通知、食品添加物申請(Food Additive Petition(FAP))をFDAに申請し、事前許可を得る必要があります。

なお、食品の製造、梱包、包装、輸送または保管に用いられる資材を構成している物質であって、食品の性質に技術的な影響を与えないものを食品接触物質とよび、食品添加物として定義しています。食品接触物質に関する情報は、「5.食品包装規制」の項目を参照してください。

着色料に関する規制は、合衆国法典第21巻379条e(21USC379e)に基づいて行われています。使用することができる着色料は、日本で許可されているものとは異なるため、FDAウェブサイト上の「使用が許可されている着色料一覧(Color Additive Status List)」と「米国連邦規則集第21巻パート70~82(21CFR Part70-82)」を確認してください。

特に、赤色102号については日本をはじめEUやアジアの主要国では食品添加物として使用が認められていますが、米国では認められていません。また、クチナシ、ベニバナ、ベニコウジも日本では古くから着色料として広く使用されていますが、米国では食品添加物として使用することはできません。

5. 食品包装規制(食品容器の品質または基準)

調査時点:2021年6月

製造/加工、梱包、包装、保管または輸送に用いられる資材を構成している物質であって、食品の性質に技術的な影響を与えないものを食品接触物質(Food Contact Substances:FCS)といいます(食品医薬品化粧品法第 409 条(h)(6)、合衆国法典 21USC348(h)(6))。FDAは、食品接触物質を間接添加物(Indirect additive)として、食品添加物として定義しています。なお、梱包、包装などの資材を構成している成分が溶出し食品に移るかどうかの判断と責任は、資材の製造業者が負うことになります。

食品接触物質は、FDA 規則に合致している物質(次の1を参照)でない場合は、FDA への食品接触物質通知(次の2を参照)が必要です。

1.食品接触物質の規制の適合確認
次の規則に当てはまらない食品接触物質は、FDA への食品接触物質通知をしなければなりません。
  • 間接添加物(連邦規則集 21CFR Part174~179)
  • GRAS(連邦規則集 21CFR Part 182,184,186)
  • 1958年以前に容認されている物質(Prior-Sanctioned Material, 連邦規則集 21CFR Part 181)
  • 規制の適用除外になる物質(Threshold of Regulation Exemption, 連邦規則集 21 CFR Part 170.39)
2.FDAへの食品接触物質通知(Food Contact Substance Notification
食品接触物質の製造業者あるいは供給業者は、市販の 120 日以上前にその物質の情報をFDAに通知しなければなりません(連邦規則集 21CFR Part170.100)。通知から120 日の間にFDAから異議申し出がない場合はその通知が有効となり、食品接触物質の使用が合法となります(連邦規則集 21CFR Part170.104)。ただし、食品接触物質通知は、申請した製造業者に対して有効となるものであるため、同じ物質であっても申請した製造業者以外の製造業者には、通知の効果は及びません。提出方法および提出先については、関連リンク「その他参考情報」の「申請フォーム FDA3480」を参照してください。
なお、カリフォルニア州におけるビスフェノールA(BPA)の警告表示については、食品関連の規制「3.重金属および汚染物質」を参照してください。

また、蒸留酒とワインの容量はそれぞれ次が許可されています。

  • 蒸留酒:50ml、100ml、200ml、375ml、700ml、720ml、750ml、900ml、1L、1.75L、1.8L
  • ワイン:50ml、100ml、187ml、200ml、250ml、355ml 、375ml、500ml、750ml、1L、1.5L、3L

関連リンク

関係省庁
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
連邦規則集
合衆国法典
食品医薬品化粧品法
その他参考情報
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報
ジェトロから入手できる主な情報

6. ラベル表示

調査時点:2021年6月

アルコール飲料の販売に際しては、次の項目を英語でラベルに表記しなければなりません。これ以外にも、必要に応じて表記が求められる項目があります。詳しくは、米国財務省・酒類たばこ税貿易管理局(TTB)のラベル表示マニュアルおよび根拠法を確認してください。

  1. 銘柄
  2. 分類名称
  3. アルコール度数(パーセンテージ表示)
  4. 内容量
  5. 輸入業者の名称と住所
  6. 着色料が使われている場合には、その名称あるいは着色料を使用している旨を表す文言
  7. 飲酒が及ぼす影響についての警告文(TTBが定める定型文)
  8. 原産国

アルコール度数が14%を超えるワインについては、許容誤差は±1%、アルコール度数が7%以上14%以下のワインについては、許容誤差は±1.5%となっています(27 CFR 4.36(b))。蒸留酒のアルコール度数は許容誤差±0.3%です(27 CFR 5.37(b))。アルコール度数が0.5%以上の麦芽飲料については、許容誤差は±0.3%、アルコール度数0.5%未満の麦芽飲料については、実際のアルコール度数は表示されたアルコール度数を超えてはなりません(27 CFR 7.71(c))。蒸留酒とワインについては、測定温度は原則華氏60度で計測し、それ以外の温度で測定する際には補正が必要となります。

内容量の許容誤差は、27CFR4.37(d)で定められる例外を除き、認められていません。

7%未満の清酒(米国ではワインの分類)や連邦アルコール管理法(FAA法)における「麦芽飲料」の定義を満たしていないビールのラベルは、TTB管轄ではないため、FDAの食品表示規定を順守する必要があります。FDAのラベル規制の対象となるのは、一般的に2つのカテゴリーに分類されます。

  1. アルコール度数が7%未満のワイン、サイダー、砂糖ベースのハードセルツァー
  2. 麦芽の代替品(ソルガム、米、小麦など)を使用したビールや、ホップを使用していないビール。

関連リンク

関係省庁
米国財務省・酒類たばこ税貿易管理局(TTB)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
連邦規則集
その他参考情報
米国財務省・酒類たばこ税貿易管理局(TTB)から入手できる主な情報
連邦官報
米国財務省・酒類たばこ税貿易管理局(TTB)から入手できる主な情報
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報
国税庁から入手できる主な情報
ジェトロから入手できる主な情報

7. その他

調査時点:2021年6月

米国へ輸入されるアルコール飲料は、FDAが定める「現行適正製造規範(Current Good Manufacturing Practice: CGMP)」を順守して、製造/加工、梱包、包装、保管されたものでなければなりません。

また、米国へ輸入される清酒・焼酎は、バイオテロ法および食品安全強化法の一部規則(基本的には適用除外)の適用を受けます。詳しくはFDAのウェブサイトを確認してください。ジェトロで作成した解説資料は、関連リンクの「その他参考情報」から参照できます。

米国での輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2021年6月

連邦アルコール管理法 (FAA Act) で定義されている蒸留酒、ワイン、または麦芽飲料を米国に輸入する場合、米国財務省・酒類たばこ税貿易管理局(TTB)に輸入許可証を申請する必要があります。輸入者の許可を取得するには、輸入者は「連邦アルコール管理法に基づく基本許可の申請」を TTB の国家歳入センター (NRC) に提出する必要があります。このプロセスは、オンラインまたは、紙のコピーを提出することによって行うことができます。許可証の発行に手数料はかかりません。

そして、新たにアルコール飲料を米国に輸入しようとする者は、TTBに輸入業者の申請を行います。輸入業の許可を取得するには、輸入者は米国内に事業拠点をもつ必要があります。米国でビジネスを行うことができない場合は、米国内の既存の認可を受けた輸入業者と契約する必要があります。

輸入許可証を受け取った後、輸入者は、FAA法で定義されている蒸留酒、ワイン、麦芽飲料の固有の製品・ラベルごとに、TTB発行のラベル承認証明書(Certificate of Labeling Approval: COLA)を取得しなければなりません。COLAを取得するためには、輸入者は「ラベル/ボトル承認の申請および認証/免除」をTTBのAlcohol Labeling and Formulation Division (ALFD)に提出する必要があります。この手続きは、オンラインまたは、紙のコピーを提出することによって行うことができます。輸入者はアルコールの輸入時にCOLAを所持していなければなりません。

COLAのプロセスには、COLA事前承認が含まれる場合があります。この事前承認は、輸入されるアルコールの種類によって異なります。承認のためのCOLA事前評価では、次のことが確認されます。

  • アルコールに禁止成分が含まれていない。
  • 税法上および製品上の分類が明確である。
  • 原材料が決められた制限の範囲内にある。
  • 亜硫酸塩の申告がない飲料は、二酸化硫黄が10ppm以下である。

事前承認のルールは、一部のワイン、麦芽飲料、蒸留酒に適用されます。輸入品にCOLA事前評価が必要な場合は、COLA申請時にすべての書類を提出する必要があります。

さらに、米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)への食品施設登録や米国に輸入される前にFDAに通知すること(事前通知)も必要となります。

加えて、州政府や地方自治体の酒類取り扱い許可が必要な場合があるため、事前に十分な確認が必要です。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2021年6月

日本からアルコール飲料を輸入するにあたって、主な必要書類などは次のとおりです。

  1. 米国財務省・酒類たばこ税貿易管理局(TTB)からの輸入許可書
  2. TTB向けラベルの事前登録

また、日本からアルコール飲料を輸入するにあたって、アルコール飲料の加工施設は、米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)への食品関連施設登録と事前通知などが必要になります。事前通知とは、食品(動物向け食品を含む)が米国に輸入される、または輸入のために提供されるとき、米国に当該食品が到着する前にFDAに通知することを言います。また事前通知には施設登録番号が必要となります。事前通知の期限は、空路で到着4時間前、海路で到着8時間前となります。「輸入規制」の「2.施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」を参照してください。

輸入を行う準備が整ったら、米国税関が管理するリモートロケーションファイリング(RLF) プロトタイプおよび電子インボイスプログラム(EIP)に基づいて商品のエントリーを提出できます。これらのプログラムでは、エントリーフォームに記入してエントリー概要を作成し、物品税と輸入手数料を支払い、TTBから受け取った書類を提出する必要があります。

すべての輸入申告には、インボイスを添付する必要があります。インボイスには、輸入業者、輸出業者、および通関港の名前が記載されている必要があります。また、輸入する製品の番号、価格、重量、および詳細な説明を含める必要があります。インボイスがない場合、税関は入国を拒否する場合があります

入国時には、CBP 税関職員にEIPおよびRLFの遠隔入国を行ったときに与えられたコードも提出する必要があります。税関職員が閲覧を要求する場合があるため、すべての書類を持参することが必要です。情報を持っていない場合は、書類を入国管理局にファックスまたは郵送することもできます。

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2021年6月

ランダムチェックの対象として検査される可能性はあるものの、通常は検査、検疫の対象とはなっていません。

4. 販売許可手続き

調査時点:2021年6月

アルコール飲料を米国に輸入・販売するには、米国財務省・酒類たばこ税貿易管理局(TTB)が発行する輸入業許可(Importer's Basic Permit)を保有していなければなりません。また、自身の輸入業許可で輸入したもの以外のアルコール飲料を購入し、卸売りをする場合には、これとは別にTTBが発行する卸売業許可(Wholesaler’s Basic Permit)を保有していなければなりません。なお、輸入業許可と卸売業許可は、同時に申請することができます。

さらに、米国内で清酒・焼酎を販売するには、事業を始める前に、TTBにアルコール販売者登録(Alcohol Dealer Registration)を行わなければなりません。輸入業者の場合は、輸入業許可の発行を受けてからアルコール販売者登録を行う必要があります。なお、輸入業許可、卸売業許可の申請およびアルコール販売者登録には、米国内国歳入庁(IRS)が発行する雇用主証明番号(EIN)が必要です。

加えて、州、地方自治体が定める免許の取得や事業の登録などを行わなければなりません。これらは、州、地方自治体が独自に定めており、業態や取り扱うアルコールの種類などによって必要となる手続きは異なります。

詳しくは、TTBおよび、州、地方自治体のウェブサイトで確認してください。

5. その他

調査時点:2021年6月

なし

米国内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2021年6月

米国でアルコール飲料を輸入・販売するにあたって課せられる税金には、大きく分けて (1)関税などの通関に要する税、 (2)米国歳入庁(IRS)に納付する連邦酒税、 (3)州、地方自治体へ納付する酒税、売上税 があります。関税表は、米国国際貿易委員会(USITC)が管理しています。

(2)および(3)については「2. その他の税」を参照してください。

表:アルコール飲料の関税率
HSコード 税率
2203:
麦芽から醸造したビール
無税
2204:
ぶどう酒(強化ぶどう酒を含むものとし、生鮮のぶどうから製造したものに限る)およびぶどう搾汁(第20.09項のものを除く。)
4.4〜22.4セント/リットル(種類、リットル当たりの価格により異なります)
2205:
ベルモットその他のぶどう酒(生鮮のぶどうから製造したもので、植物または芳香性物質により香味を付けたものに限る。)
3.5〜4.2セント/リットル(種類、リットル当たりの価格により異なります)
2206:
その他の発酵酒(例えば、りんご酒、なし酒、ミードおよび日本酒)ならびに発酵酒とアルコールを含有しない飲料との混合物および発酵酒の混合物(ほかの項に該当するものを除く。)、清酒。
0.4〜13.9セント/リットル(種類、リットル当たりの価格により異なります)
2208:
エチルアルコール(変性させてないものでアルコール分が80%未満のものに限る。)および蒸留酒、リキュールその他のアルコール飲料(ジン、ウオッカ、ウイスキー、焼酎)
無税

2. その他の税

調査時点:2021年6月

1.連邦酒税
輸入業者は、アルコール飲料の輸入にあたって、連邦酒税を納付しなければなりません。例えば清酒(蒸留酒が添加されていないもの)にはビールと同じ税率が適用され、18ドル/バレル(31ガロン)が、焼酎に対しては13.50ドル/プルーフ・ガロンが課せられます。これらは米国財務省・酒類たばこ税貿易管理局(TTB)が徴収しています。
連邦酒税は、ビール、ワインと蒸留酒に大きく分類されます。
a.ビール:18ドル/バレル(1バレル=31ガロン)
b.ワイン
(1)アルコール度数16%以下のワイン:1.07ドル/ガロン
(2)アルコール度数16%超21%以下のワイン:1.57ドル/ガロン
(3)アルコール度数21%超24%以下のワイン:3.15ドル/ガロン
(4)スパークリングワイン:3.40ドル/ガロン
c.蒸留酒:13.5ドル/プルーフ ガロン
2.州、地方自治体へ納付する酒税、売上税
米国内では地方自治体により売上税が課されます。州ならびに郡や市の地方自治体により売上税の合計税率が異なるため、USITC、CBP、州、地方自治体のウェブサイトで確認する必要があります。連邦酒税と同様、これらも蒸留酒の添加された清酒と添加されていない清酒で、差がでてくることがあります。
さらに、アルコール飲料については酒類とアルコール度数によって異なる酒税が、州、郡、市レベルでかかってくるため、各州の歳入庁のウェブサイトで確認する必要があります。

3. その他

調査時点:2021年6月

商業貨物税関使用料、港湾維持料
輸入業者はアルコール飲料の輸入にあたって、関税だけでなく商業貨物税関使用料(Merchandise Processing Fee:MPF)を納付する必要があります。正式通関(Formal Entry)の場合、MPFは輸入申告価格(FOB価格)の0.3464% で、最低27.23ドル、最高528.33ドルとなっています。さらに、船便による輸入の場合には、輸入業者は貨物価格の0.125% の港湾維持料(Harbor Maintenance Fee:HMF)を納付しなければなりません。これらは米国国土安全保障省・税関・国境警備局(CBP)が徴収しています。