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外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用

最終更新日:2019年01月15日

外国人就業規制

新労働法(2005年9月閣議承認)では、一部の業種・職種への就職については、サウジアラビア人に限定されている。

民間警備事業、不動産事務所、物資輸送、野菜・果物小売業などでは、外国人労働者の就労が禁止されている。また、業種によって規制内容は異なるが、主に採用担当者、受付係、政府担当職員、出納係、警備職などについては、サウジアラビア人以外を雇用することはできない。

本規定に違反する企業には、次のような罰則が適用される。

  • 雇用申請が受理されない。
  • 政府への入札資格のはく奪。
  • 融資など、政府による優遇措置の対象から外される。

労働・社会発展省:サウジアラビア人限定の職種 "Occupations Reserved for Saudis OnlyPDFファイル(248KB)"(Nitaqat Program 資料より抜粋)

在留許可

外国人は、就労ビザを取得する必要がある。労働・社会発展省が、就労ビザの審査およびビザの種類の決定を管轄する。

外国人がサウジアラビアに赴任する場合、渡航前に就労ビザを取得し、赴任後に現地で滞在許可証(イカーマ)を取得する。

外国人のサウジアラビアへの入国および同国滞在に際しては、「スポンサー制度」に留意する必要がある。
入国のためには、原則として、あらかじめサウジアラビア国内に身元保証人(スポンサー)を確保した上で、査証を取得する必要がある。

現地人の雇用義務

サウジアラビア政府は、増加する若年層の雇用対策として、「サウダイゼーション」と呼ばれる、一連のサウジアラビア人雇用義務の強化政策を実施している。
2011年6月には、労働省(現労働・社会発展省)が、サウジアラビア人雇用比率の低い企業にペナルティーを科すルール「ニタカート・プログラム」を発表し、企業活動に大きな影響を与えている。

すべての企業(地場・外資を問わず)は、サウジアラビア人雇用義務基準「ニタカート・プログラム」に従う必要がある。
同プログラムでは、各企業が業種と企業規模に応じたサウジアラビア人の雇用割合(%)によって6段階で評価され、その評価に基づいて企業にインセンティブやペナルティーが付与されるというもの。新規査証の発給不可、既存の外国人労働者の労働許可更新不可などのペナルティーは企業活動に影響を与えるため、サウジアラビア国内の企業はニタカート・プログラムを順守し、可能な限りペナルティーのない高位に評価される必要がある。

なお、サウジアラビア人の雇用促進を目的として設立された人材開発基金(HRDF)は、職業訓練や訓練済みの新入社員の給与・諸手当などを一定期間補助している。

新労働法(2005年9月改正、2006年施行、2015年4月改正、10月施行)

同法ではかつて、外国企業における全従業員の75%以上をサウジアラビア人とするよう義務付けていたが、2008年12月の労働省(当時)発表では、「2010年までは、民間企業におけるサウジアラビア人比率の達成目標を30%とする」という緩和措置が取られた。
現在、企業が順守すべき雇用基準は「ニタカート・プログラム」で、業種ごとに示されている。
また、次の業種については、サウジアラビア人しか雇用できないとされている。
軍服の縫製、警備員、女性向け写真店、女性教育および学生の送迎、小規模青果店、羊市場、陸上輸送、カギ複製店、中古家具店、衛星放送機器設置、コピー店、携帯電話販売店等。

2018年11月以降、特定の小売り分野12業種でも、サウジアラビア人の雇用70%が義務付けられるなど、段階的に現地人雇用義務は拡大してきている。
2018年9月13日付ジェトロの記事「小売り12業種で段階的にサウジ人雇用政策導入」を参照。

新労働法では、女性の雇用拡大も目標に掲げられた。従来は限定されていた女性の職業についても「女性に適切だと思われる業種であれば自由」(149条)とされ、産休や忌引も認められるようになった。ただし女性を雇う場合には、原則として男女が同じスペースで働くことがないように配慮する必要がある。
また、2011年6月の国王命令(女性の就業機会促進)により、下着売場(2012年1月より)および化粧品売場(2012年7月より)においては、女性販売員の雇用が義務化された。ショッピングモール内のアバヤ(サウジ人女性が着用する民族衣装)および衣料販売店では、女性販売員の雇用が義務化されている。

2015年4月の労働法改正については、2015年6月22日付ジェトロの記事「労働法を改正、労働者保護を前面に」を参照。

ジェトロ:調査レポート「中東・北アフリカ諸国の労働法制度(アラブ首長国連邦(UAE)・サウジアラビア・イラン・トルコ・エジプト)(2012年3月)

ニタカート・プログラム(2011年6月)

2011年6月、 労働・社会発展省は「ニタカート・プログラム」と称する新たなサウジアラビア人雇用基準を発表した。若年層の雇用対策が喫緊の課題であることを踏まえ、サウジアラビア国内のすべての企業は、地場企業、外国企業と問わず、この雇用基準を順守する必要がある。同プログラムの導入以降、内容は不定期に改定されている。

労働・社会発展省:ニタカート・プログラム "UNIFIED GUIDELINES OF NITAQAT PROGRAM(2018 Ver.3.0)PDFファイル(952KB)"

雇用状況の評価
  1. ニタカート・プログラムにおいて、各企業は労働・社会発展省の定めた業種区分に従い、サウジアラビア人の雇用割合(%)により評価される。
    企業は割合別に、[1] プラチナ、[2] 緑(高)、[3]緑(中)、[4]緑(低)、[5] 黄、[6] 赤の6段階に分類される。[1] プラチナ、[2] 緑(高)、[3]緑(中)のいずれかであれば、次のようなインセンティブを得られるが、[5] 黄、[6] 赤の企業については、厳しいペナルティーが科されることになる。
    1. インセンティブの例
      • 外国人ビザの申請が容易
      • ビザの職種の変更が可能
      • 労働許可証更新のための有効期間の制限なし
      • 最終出国する労働者のビザ更新が可能
      • 黄・赤の企業からの従業員のリクルートが容易
    2. ペナルティーの例
      • 外国人のビザの新規発給の停止
      • スポンサー(身元保証人)の変更の禁止
      • ビザの職種の変更不可
      • 労働許可証の更新の禁止
      • [5]黄・[6]赤企業に所属している従業員が、[5]黄・[6]赤企業の同意なしに[1]プラチナ・[2][3][4]緑の優良企業に転職可能
    3. 雇用割合(%)例
      雇用割合は、労働・社会発展省が設定した業種の区分および従業員数によって異なるが、各業種におけるサウジアラビア人雇用比率の実態や、サウジアラビア人の雇用のしやすさを考慮した割合となっている。対象となる企業は、従業員数6名以上である。

      従業員数による分類は次のとおり。
      6~49人(小B)、50~99人(中A)、100~199人(中B)、200~499人(中C)、500~2,999人(大)、3,000人以上(巨大)

      • 金融機関・銀行業:従業員50~99人(中A)※の場合
        91%以上がプラチナ、56~90%が緑、36~55%が黄
        他業種より厳しい条件が設定されている。
      • 外国人労働者の多い工業製品製造業:従業員50~99人(中A)※の場合
        30%以上がプラチナ、16~29%が緑、7~15%が黄
        比較的緩やかな基準が採用されている。

      なお、従業員数5人以下の事務所に対しても、「最低1人」サウジアラビア人雇用という条件が付与されている。

    自社の達成度については、労働・社会発展省のウェブサイト上で、各企業が労働・社会発展省に開設している投資識別番号(File700)または従業員の滞在許可証(イカーマ)の番号を入力すると、業種や従業員数などの各種データが表示され、自動的に判定内容が表示される仕組みになっている。

    労働・社会発展省:ニタカート(Nitaqat)・プログラムの内容外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(アラビア語のみ)

  2. パラレル・ナショナライゼーション
    新たなニタカート・プログラムの施行と同時に、パラレル・ナショナライゼーションが施行された。これはニタカートで定められた割合に到達できない企業を救済するためのものであり、上位のランクに到達するために月額費用を支払うものである。支払われた費用は、人材開発支援基金(HRDF)にて求職中のサウジ人の職業訓練に使用される。
    労働・社会発展省(パラレル・ナショナライゼーション)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(アラビア語)
    パラレル・ナショナライゼーション(決議No. 79088)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(アラビア語)
若年層や女性の雇用機会の増進

労働・社会発展省は、ニタカート・プログラムによるルールの厳格化に加え、各種施策を通じて、サウジアラビア人、特に若年層や女性の雇用機会の増進を図っている。
具体的には次のとおり。

  1. Hafiz(ハフィズ):月額2,000リヤルの失業手当(最長申請後1年間だが、更新可能)
  2. Liqaat(リカート):企業とサウジアラビア人労働者との就職マッチングイベント
  3. 女性の雇用促進強化(2011年6月の国王命令(女性の就業機会促進))
  4. サウジアラビア人を1人雇用したとみなす最低給与水準を設定:3,000リヤル/月(注1)
  5. 外国人従業員が半数を上回る企業への課徴金:1人当たり年間2,400リヤル(注2)

(注1)4.は2012年10月1日より、労働・社会発展省によって適用。すべての民間企業(外資・地場を問わない)に適用され、最低賃金が3,000リヤルの公務員との不平等感を解消し、民間企業への就職促進を図る狙いがある。

(注2)5.は労働・社会発展省が2012年11月21日に公表した新ルールで、すべての民間企業(外資・地場を問わない)が、従業員の労働ビザを更新または新規申請する際に、外国人従業員の数が全体の従業員の半数を上回る場合には、その上回った人数分に対し、1人当たり年間2,400リヤルの課徴金を徴収すると定めている。本ルールは、ニタカート・プログラムにおけるサウジアラビア人雇用割合に関係なく適用されているが、2018年からは、外国人従業員がサウジ従業員よりも少ない企業にも毎月課税し(外国人が多い場合月額400リヤル、少ない場合300リヤル)、翌年から月額200リヤルずつ増額し、2020年には外国人1人当たり月額最高800リヤル(外国人従業員が多い場合の課税額、少ない場合は700リヤル)課税するとしている。

各規制については、労働・社会発展省ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(アラビア語のみ)を参照。

違法就労の外国人労働者の取締り強化

サウジアラビア人雇用推進策の一環として、政府は違法就労している外国人労働者の取締りを強化している。

自国民の職業訓練と教育

人材開発基金(Human Resources Development Fund:HRDF外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

  1. 基金設立の背景
    人口急増による、サウジアラビア人若年層の民間部門での雇用拡大の必要性に対応すべく、2000年7月31日付の閣僚会議決定および8月5日付の勅令M/18により、「人材開発基金」設立が承認され、2001年に実際の活動が開始された。
  2. 基金の目的と機能
    • 民間部門において、サウジアラビア人の資格、職業訓練、教育を実施するための助成金を支給すること
    • 民間部門におけるサウジアラビア人の資格、職業訓練、教育を実施するための費用に対してサポートを行うこと
    • 資格取得や職業訓練の後、民間部門において新しく社員となるサウジアラビア人の給与に対し、一定の割合の金額を支給すること
    • 外国人労働者からサウジアラビア人に置き換えるためのプログラム、プロジェクトならびに調査に対し、資金的支援をすること
    • 関係する調査分析を実施すること
  3. 基金の組織
    本基金は独立した財源と行政機能を有する。本部はリヤドにあり、地方の主要都市に支部を持つ。
  4. 具体的な助成金制度について
    HRDF "Programs and Services外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

    新規雇用や女性雇用など、それぞれに助成金制度がある。ただし、助成を受けるためには、ニタカート・プログラムにおいて緑またはプラチナ企業であることや、小規模企業であることなどの条件がある。

その他

外国人への課徴金は、扶養家族にも適用。
Wage Protection System(給与支払い監視システム)が小規模企業にも適用。

外国人への課徴金

サウジアラビアで就労する外国人に対する人頭税(1人当たり月間300リヤルまたは400リヤル)が課されている。
2017年7月からは従業員の扶養家族に対しても課税されている。1人当たり月間100リヤルだった課税金額は段階的に引き上げられており、2019年1月時点では1人当たり月間200リヤル。2019年7月には1人当たり月間300リヤルとなる予定。

Wage Protection System

2013年に導入され、銀行と労働・社会発展省をシステムで繋ぎ、従業員への給与が雇用契約に基づき、社会保険庁(GOSI)への登録どおりに支払われているかを監視するためのもの。2013年は従業員3,000人以上の大企業のみに適用開始されたが、徐々に従業員数の少ない企業にも適用されており、最終的にはすべての企業へ適用される。適用対象となってから2カ月以内に対応しない場合には、労働許可の新規・更新が受けられない、制裁金が科せられるなどのペナルティーがある。

労働・社会発展省:Wage Protection System外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

労働・社会発展省のスケジュールでは、2017年8月1日から従業員60人以上の事業所が対象、同7月に15~19人、同9月に11~14人の企業が対象になる予定であったが、当初発表されたスケジュールよりも、導入時期は遅れている模様である。

ご相談・お問い合わせ

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