サウジアラビア、認可された工業施設の外国人労働者の人頭税を撤廃

(サウジアラビア)

リヤド発

2025年12月19日

12月17日付サウジアラビア国営通信(SPA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子兼首相が議長を務める内閣は、経済開発評議会(CEDA)の勧告に基づき、認可された工業施設(工業ライセンス:licensed industrial establishments)の外国人労働者に対する人頭税(Expat levy)を撤廃することを承認した。

同国は、労働市場における課題(高い失業率・低いサウジ人雇用率)への対策の一環として2015年に初期の人頭税を導入、2017年7月1日から本格運用開始した。サウジアラビアで就労する外国人に対する人頭税は、1人当たり月間700リヤル(約2万9,400円、1リヤル=約42円)または800リヤルだ(企業内のサウジアラビア人従業員と外国人従業員との比率によって金額が異なる)。また、2017年7月以降は外国人従業員の扶養家族も課税対象となり、1人当たり月額400リヤルが課されている。なお、政府は2019年10月1日から2025年12月31日までの期間、認可された工業施設への人頭税は免除してきていた。

バンダー・ビン・イブラヒム・アール・ホライェフ産業・鉱物資源相は「この決定はムハンマド皇太子から工業部門が継続的に受けている支援と権限委譲を反映したものであり、『サウジ・ビジョン2030』に沿って国家経済の多様化の重要な柱として工業が位置づけられている」と述べた。また、同相は「過去6年間(2019年10月1日から2025年12月31日までの第1および第2免除期間を通じて)の人頭税免除が、工業部門の質的成長を促進し、サウジアラビアの産業基盤の拡大に重要な役割を果たした」と強調した。

さらに、同相は「認可を受けた工業施設に対する人頭税を廃止するという内閣の決定は、特に産業エコシステムが提供する各種インセンティブや促進要因を考慮すると、サウジアラビアの持続可能な産業発展をさらに強化し、産業能力を向上し、質の高い投資を誘致することにつながる。また、この決定は、工場の運用コストを削減、工場の拡張・成長、生産量の増加を支援するとともに、自動化、人工知能、高度製造技術など近代的運用モデルの導入を加速させる。その結果、産業セクター全体の効率性が向上し、国際競争力の一層の強化につながる」と述べた。

(林憲忠)

(サウジアラビア)

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