2019年12月からホテル業界にサウダイゼーションを義務化

(サウジアラビア)

リヤド発

2019年08月01日

サウジアラビアのアル=ラージヒー労働・社会発展相は7月26日、ホテル産業の特定のポストを段階的にサウジ人化(サウダイゼーション)することを義務付ける省令を発表した。

労働・社会発展省のウェブサイトに掲載された概要(アラビア語のみ)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、対象となるのは3つ星以上のホテル、および4つ星以上のリゾート・ホテル、ホテルアパートメント、ビラが対象。

対象となる主な部署・ポストは次のとおり。

  1. 100%サウジ人化しなくてはならない部署:予約部門、購買部門、マーケティング部門、フロントオフィス部門(ドライバーとドアマンを除く)
  2. 100%サウジ人化しなくてはならない主なポスト:ホテルのマネジャー代理、IT部門のアシスタント・マネジャー、総務部長、総務担当事務職員、アシスタント・セールス・マネジャー、フィットネスセンターのスーパーバイザー
  3. 70%サウジ人化しなくてはならないポスト:イベント・会議担当セールスマネジャー、同アシスタント・マネジャー
  4. 部署を有していれば少なくとも1人はサウジ人を配置しなければならないポスト:飲食部門スーパーバイザー、ルームサービス部門スーパーバイザー、宴会部門スーパーバイザー、ランドリー部門スーパーバイザー

なお、上記部署・ポストへのサウジ人化導入の段階的スケジュールは次のとおり。

  • 2019年12月27日(ヒジュラ歴1441年第5月1日)以降、運営職および専門職が対象
  • 2020年6月22日(同1441年第11月1日)以降、スーパーバイザーおよびアシスタント・マネジャークラスが対象
  • 2020年12月1日以降(同1442年第5月1日)以降、マネジャークラスが対象

サウジアラビアには日系ホテルの進出事例がないため、今回のサウジ人化規制強化は日本企業への直接的な影響は見られない。しかし、ホテル側にとってはサウジ人の雇用拡大は人件費増加につながることから、その経費が単純に宿泊費用へ転嫁されれば、同国への出張者など消費者側への負担は増えそうだ。ホテル業界では従来、マネジャー、アシスタント・マネジャークラスには、エジプト人やレバノン人などアラビア語圏の外国人が勤務する事例が多く、今回の措置でホテル業界を支えてきた外国人の流出は避けられない。

なお、2019年第1四半期(1~3月)の失業率は12.5%と、2018年第4四半期(10~12月)から微減にとどまっており、近年の一連のサウジ人化政策の大幅な効果はまだ出ていないのが実情だ。

(柴田美穂)

(サウジアラビア)

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