関税制度
最終更新日:2020年11月12日
管轄官庁
財務省(Ministry of Finance)
財務省(Ministry of Finance
)
Address:1 Kaplan St. Jerusalem 9103002, P.O.Box 3100, Israel
Tel:+972-2-5317215
Fax:+972-2-5695347
関税率問い合わせ先
Israel Tax Authority
Israel Tax Authority
イスラエルの関税率表の英語版は出版されていないが、前記ウェブサイトでは、英語での検索が可能。
関税体系
複税制(MFNに基づく一般税制とFTAによる税制)
イスラエルの関税体系は、WTOの最恵国待遇の原則(MFN)に基づく一般税制と、自由貿易協定締結国に対する税制から成る。日本に対しては、MFNによる税制が適用されている。
品目分類
1988年よりHS分類を適用。
1988年1月よりHS分類を適用。輸入品は8ケタの番号で分類されている。
関税の種類
従価税と従量税を併用。
従来、従価税(Ad Valorem)と従量税(Specific duties)、あるいはその混合税が併用されてきたが、2000年9月より、多くの品目が従量税から従価税に変更され、現在では、関税コードのうち、86.6%が従価税、0.7%が従量税、両者の混合が2.5%、選択制が10.2%となっている。
2016年8月、財務相が輸入魚(ボラ、鯉、ティラピア)の関税引き下げ命令に署名、同時に、キロ当たり5シェケルの関税を課している輸入魚の関税を撤廃した。関税率は、2018年、2019年、2020年の1月1日にさらに12.66%まで削減予定であったが、2020年5月に財務省、農業省、農業組合、漁業組合が協定書に署名し、鮮魚については関税率を下げないことに合意した。他方、冷凍魚(ティラピア、鯉、ボラ)に対する関税率は二段階で削減する(詳細は次の表を参照)。
削減時期 | 冷凍魚(ティラピア、鯉、ボラおよびその他の冷凍魚) | その他の冷凍魚の切り身 | 冷凍ティラピアの切り身 | 冷凍ティラピアの切り身(加工品) |
---|---|---|---|---|
第一段階(2020年5月即時) | 3.3%→2.15% | 5.5%→3.25% | 7.5%→4.65% | 6.91%→4.35% |
第二段階(2021年1月1日あるいは2022年1月1日) | 2.15%→1% | 3.25%→1% | 4.65%→1.8% | 4.35%→1.8% |
課税基準
CIF価格
対日輸入適用税率
日本からの輸入に対してはMFNを適用。
特恵等特別措置
物価高騰に関する特別減免税措置あり。
2011年に発生した大規模な物価高騰反対運動を受けて、農産品、加工食品、自動車および関連パーツを除くすべての工業製品・消費財を2段階で減免税することが決定された(2011年10月政府決議案No.3783)。
第1段階にあたる2012年には、財務省が指定する消費財が免税となる。
第2段階としては、次のとおり。
- 2015年1月1日時点で、イスラエルがFTAを締結していない国の場合
- 2013年1月以降、関税は2011年10月30日比10%減となる。
- 2014年1月以降は、同15%減となる。
- 2015年以降は、財務大臣がさらなる減税の実施について決定する。
- 2015年1月1日までにイスラエルとのFTAを締結している国の場合
- 締結国からの輸入品は、2017年1月まで年率15%(2011年10月30日比)のペースで減税され、最終的には免税となる。
- 2013年1月より、繊維品(例:下着を除く衣類品)の関税が廃止される。
- 2013年1月より、これまで課税の対象となっていなかった工業用品および消費財は課税の対象より外される。
- 2014年より工業用品の関税が15%減税される。
- 2012年1月より個人輸入に対する減税を導入。商業用については、75ドル未満相当の物品が免税。個人使用向けについては、325ドル未満相当の物品が免税となる。
関連法
Customs Ordinance of 1957、Customs Order of 1986
関税以外の諸税
物品購入税(最大75%)、付加価値税(17.0%)等。
物品購入税(Purchase Tax)
物品購入税は、政府が歳入不足を補うために採用してきた税制の1つで、自動車の75%を最高にほとんどの消費財と一部の中間財、原材料に課せられている。しかし、1980年代末からの経済発展に伴い、これまで段階的に減税措置が講じられてきた。
2002年2月より小型電気製品(ラジオ、テープレコーダー、携帯音楽プレーヤー、ディスクカメラなど)の物品購入税は、45%からゼロに引き下げられた。「小型」の範囲は、縦・横・高さが17cm×10cm×4.5cm以下の製品である。
2012年10月よりテレビ、DVD、ステレオなどの家電製品物品購入税が免税となった。また、2016年1月より、テレビ用チューナの購入税が廃止された。
2017年12月、娯楽用電子機器(高価なテレビ、携帯電話等)の購入税が廃止された。
- 車両
2005年2月より、4.5トン以上のトラックに課税されていた5%の物品購入税は廃止された。
環境対策の一環から、2009年8月から「グリーン車両税」が導入された。電気自動車およびハイブリッド車を除く自家用車、商用車とも、物品購入税が90%に設定され、車両の排気汚染レベルにより、同購入税額から最大で1万5,000シェケルが免除される。
電気自動車とハイブリッド車については、税額の免除ではなく、電気自動車購入税が8%、ハイブリッド車購入税が30%と、一律に課税される。
2017年1月1日より、グリーン車両税が改訂された。新基準は3.5トン以上の車両について、27%低い、より厳しい汚染基準を規定。経験則では、これにより環境に優しい車両の輸入が増える。
プラグイン式ハイブリッド車については、購入税が2013年末まで20%に設定され、以降、2014年には30%、2015年45%、2016年60%、2017年には普通ガソリン車と同じ税率が加算される。2013年8月より、自動車に搭載される安全装置について、税務局の定義に基づき最大で2,250シェケルの購入税が減税される。
2015年6月、免税されていた自動車向けパーツ(バック走行センサー、タイヤ空気圧センサーなど安全装置に関するものは除外)に対し、19.2%の課税が追加された。2017年7月より、シリンダーサイズが125ccより小さい、および11KWより小さい小型二輪車の購入税率が40%から25%に引き下げられた。これは、公害防止および交通渋滞緩和を狙ったもの。
- 燃料
- ガソリン
2009年5月にガソリン税が30アグロット値上げされ、2.70シェケルに設定された。
2011年1月よりガソリン税、ディーゼル税が20アグロット値上げされた。
※1シェケル=100アグロット - バイオディーゼル燃料
国内の飲食店やホテルで使用される再生油もしくは動物油脂(バイオディーゼル)から抽出される燃料税を2年間 (2015~2017年)1,000リットル当たり28.68シェケルに据え置いたが、その後段階的に引き上げ、2019年9月1日から2022年8月31日までの期間は1,000リットル当たり1,435.86シェケルに設定されている。
- ガソリン
- 鉄
2008年6月より、鉄の輸入に係る関税が廃止された。 - たばこ類
2019年2月21日、財務大臣は、巻きタバコの税金を引き上げ、最低税額を他のタバコ製品と同じ水準にした。
未処理タバコ、紙巻たばこ、加熱ユニット用のバルクタバコ:1キロ当たり1,093.92シェケル(最低税額) - アルコール飲料
2012年7月、ビール(アルコール濃度3.8%以上)の購入税が1リットル当たり2.18シェケルから4.19シェケルに引き上げられた。
2013年7月1日より、アルコール1リットル当たりの購入税が21.28シェケルより105シェケルに引き上げられた。
2015年8月、ビール(アルコール濃度3.8%以上)の購入税が1リットル当たり2.31シェケルに引き下げられた。アルコール度3.8%未満のビールについては従来どおり免税。ウオッカ、ウイスキー、ジンなどのアルコール飲料については、1リットル当たりの購入税が106.90シェケルから85シェケルに引き下げられた。 - 奢侈品
2013年9月1日より、販売価格が1台当たり30万シェケル以上の自動車について、既存の購入税(83%)に加え、30万シェケルを超えた金額(販売価格-30万)に20%課税されることになった。さらに、オフロード用車両の購入税が30%から50%、50インチ以上のテレビ購入税が15%から30%へそれぞれ引き上げられた。また、内容積が800リットルを超える冷蔵庫については550シェケル、自家用飛行機、ヨットには15%、ジェットスキー機材、毛皮、アンティーク家具には20%、ジャクジーは19.2%の購入税がそれぞれ追加された。 - バイク購入税(電動自転車を含む)
スクーターとバイクは排気量に応じて課税する。排気量(cc)・定格出力(KW)別バイク購入税 排気量(cc) ~11KW 12KW以上~25KW未満 25KW以上~35KW未満 35KW以上~75KW以下 76KW以上 125以下 25% 40% 50% 60% 70% 126~500 40% 50% 50% 60% 70% 501~800 50% 50% 50% 60% 70% 800超 70% 70% 70% 70% 70% なお、ABS(アンチロックブレーキシステム)を搭載する二輪車は、前記税率に基づき、次の税額分が減税される。
税率 減税額(シェケル) 40% 610 50% 1,000 60% 1,400 70% 1,700 Purchase Tax and Compulsory Payments 1864 - the Customs Tariff and Exemptions and Purchase Tax Order on Goods (Temporary Provisions No. 23), 5778-2018
- キャラバン購入税
2015年9月、レンタル使用を目的としたキャラバン(モーターホーム)購入税が83%から60%に引き下げられた。この免除は2019年12月31日まで延長された。国税庁は同免除措置の2022年6月までの延長を計画中。
付加価値税(VAT)
付加価値税(VAT)は、輸入品を含めほとんどすべての製品、サービスに対して課せられる。CIF価格に物品購入税を加算した価格に対して課税される。VATの支払いが免除されているものには、輸出品、国際間の貨物・人の移動(運賃)、外貨で支払われるホテル、レンタカーなど観光サービスの一部、生鮮野菜・果物などがある。
2020年11月現在の付加価値税率は17%。
2010年1月より、年間売上400万シェケル以上の企業については、財務省税務局が指定するインターネットサイトを使用した付加価値税の申告が義務付けられている。
2012年3月、付加価値税法に導入された変更に基づき、中小企業(年間売上高が195万シェケル未満の製造業など)に対して、付加価値税を支払い後14日以内に、請求書(Tax invoice)を発行することなどが認められた。
2015年7月より、食品産業で使用される一部の輸入加工食品および原材料に対し、次の条件で輸入関税が免税された。
- オレンジジュース:年間7,000トン以内、2019年末まで
- ワイン産業用グレープジュース:2019年末まで
750キロ以上の包装:1,500トン以内、3リットルまでの包装:300トン以内 - きゅうりのピクルス:1万2,000トン以内、2019年末まで
2020年も同免除措置は継続しているが、ライセンスの取得など一定の手続きが必要。詳しくは経済省輸入管理局(690KB)のサイトを参照。
その他
国内産業保護としてのTAMA(CIF価格にある一定の割合を乗せて価格を上げる独特のシステム)。
TAMA(国内産業保護目的の追加課税措置)
イスラエルは、国内産業を保護することを目的とした「TAMA(追加という意味)」というシステムがある。これは、CIF価格に対して一定の比率をかけて価格を意図的に上昇させるもので、前述の物品購入税と連動している。TAMAの加算率は、産業界の意向をベースに最終的に財務省が決定する。
例えば、CIF価格が100ドルの輸入品があり、この製品のTAMAが50%、物品購入税が10%とした場合、TAMAが加算された時点で価格は150ドルになり、さらにこの価格に物品購入税の10%が課税される。
TAMA、物品購入税ともに、税率が関税率表に記載されている。なお、現在関税率表はヘブライ語のものしか作成されておらず、外国人にとって非常に不便な状況である。
埠頭使用料
2003年1月より、それまで輸入品のCIF価格に1.1%課されていた埠頭使用料をCIF価格の1.02%に引き下げた。