イスラエル首相、米大統領と会談、イランの核問題や相互関税などについて協議
(イスラエル、米国、中国、イラン、トルコ、日本、シリア、パレスチナ、リビア)
テルアビブ発
2025年04月09日
イスラエル外務省によると、ベンヤミン・ネタニヤフ首相は4月7日、ホワイトハウスで米国のドナルド・トランプ大統領と会談を行い、イランの核問題、ガザ問題、トルコとの関係、米国の相互関税などについて協議を行った。
当初予定されていた共同記者会見は中止となったが、両首脳は大統領執務室での会談後に記者団の取材に答えた。トランプ大統領はイランの核問題について、「イランが核兵器を持たないようにするという目標でわれわれは一致団結している」と述べ、4月12日にイランと「高官レベルで直接協議」を行うことを明らかにした。ガザ問題については、「戦闘はそう遠くない将来に終わると思う」と答え、ガザ地区の将来について、「米国のような平和部隊がガザ地区を支配することは良いことだと思う」と述べた。
イスラエルがトルコによるシリアへの影響力拡大を懸念していることに関し、トランプ大統領は「私はエルドアン(トルコ大統領)と素晴らしい関係を築いている」と述べ、ネタニヤフ首相に「もしトルコと問題を抱えているのなら、私は本当に解決できると思う」と伝えたことを明らかにした。
トランプ大統領がイスラエルに対して17%の追加関税を課す決定をしたことに対し(2025年4月3日記事、4月4日記事参照)、ネタニヤフ首相は「われわれは対米貿易赤字の解消を迅速に行う。また、不必要に設定されたさまざまな貿易障壁も撤廃する」と発言した。トランプ大統領は、各国との交渉のために関税を一時停止する可能性について「それは考えていない」と答え、「多くの国々がわれわれと交渉しようとしており、それは公正な取引になるだろう」と述べた。また、トランプ大統領は石破茂首相との電話協議について、「非常に良い議論ができたが、日本は自国を開放する必要があると伝えた」ことを明らかにした。中国に対しては、34%の相互関税への対抗措置を撤廃しなければ「50%の関税を上乗せする」と警告した。
ネタニヤフ首相は4月8日、ワシントンを出発前に声明を発表し、「イランが核兵器を持たないことに同意するが、『リビア方式』(注)である場合に限る」とし、協議を長引かせた場合には「軍事的選択肢をとる」と述べた。ガザについて「われわれはハマスの殲滅(せんめつ)を決意しており、同時に人質全員を取り戻す決意を固めている」とし、トルコについて、「トルコはシリアに軍事基地を設置しようとしており、われわれはこれに反対している」と述べた。
イスラエルとハマスの衝突の詳細についてはジェトロの特集を参照。
(注)「リビア方式」は核廃棄を実行した後に、見返りとして制裁を解除する方式。
(中溝丘)
(イスラエル、米国、中国、イラン、トルコ、日本、シリア、パレスチナ、リビア)
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