イタリアの貿易投資年報

要旨・ポイント

  • 2025年の実質GDP成長率は0.5%、民間消費や投資などの国内需要が下支え。
  • 輸出は過去最高額を更新し、上位5品目は総じて増加。輸入も増えたが貿易収支は黒字。
  • 対内・対外直接投資は鈍化したが、M&Aは堅調
  • 対日輸出は微増も増勢を維持し、輸出金額、貿易黒字額ともに過去最大。

公開日:2026年9月30日

マクロ経済

国内需要に支えられプラス維持するも力強さに欠ける成長

2025年のイタリアの実質GDP成長率は0.5%で、2024年の0.8%から減速し、プラス成長を確保したものの力強さに欠けた。需要項目別に見ると国内総固定資本形成は前年比3.5%増、政府最終消費支出は0.6%増、民間最終消費支出は1.0%増となり、国内需要が成長を支えた。国内需要のうち、民間最終消費支出では、情報通信(前年比2.8%増)、運輸(2.1%増)、衣類・履物(1.8%増)などの分野の伸びが顕著だった一方、教育(3.7%減)および医療サービス(2.3%減)の支出は減少した。国内総固定資本形成は前年の減少(3.1%減)から増加に転じ(3.5%増)、分野別では建設投資(3.3%増)、機械設備投資(2.2%増)、輸送機器投資(9.1%増)などが伸びた。財・サービスの輸出は1.2%増、同輸入は3.6%増となり、輸出は増えたものの、その伸びを上回る輸入の増加により、純対外需要の寄与はマイナス(0.7ポイント減)となった。財・サービスの供給面での付加価値額は、鉱工業が0.3%増、建設業が2.4%増、サービス業が0.3%増となった一方、農林・水産業は0.1%の減少となった。

イタリア銀行(中央銀行、以下、中銀)の2025年の年次報告書によると、投資の回復はデジタル化および脱炭素化への移行に向けた税制優遇措置、EU基金を活用した国家復興・レジリエンス計画(PNRR)による施策、および金融政策の段階的な緩和によって後押しされた。機械設備への支出は再生可能エネルギーへの投資拡大を背景に増加した。建設投資は、住宅部門では減少したが、非住宅部門は公共投資プロジェクトの進展により増加した。イタリアのPNRRは、助成金と融資を合わせて総額1,944億ユーロで、2026年6月時点で第9回分の128億ユーロが支払われ、全体の85%に相当する約1,660億ユーロの資金が承認されている。中銀は、公共投資や民間投資促進策が潜在成長力に与える影響を評価するには時期尚早としつつも、既にPNRRは行政のデジタル化、脱税対策、高速鉄道路線の拡張・近代化などを通じて公共投資の回復に大きく寄与したとしている。また、支出手続きや公共調達管理の効率性向上、公共事業の実施時間短縮などの成果も表れ始めていると評価している。

イタリア国家統計局(ISTAT)は2026年6月5日に2026~2027年の経済見通しを発表し、2026年の実質GDP成長率を0.7%と予測した。ISTATは見通しの中で、2026年のGDP成長率は在庫を差し引いた国内需要のプラス寄与(2025年比プラス0.9ポイント)によって支えられる一方、中東紛争およびそれに伴うエネルギー価格上昇による悪影響を受ける純輸出がマイナス寄与(マイナス0.2ポイント)となることを見込む。民間消費は、1人当たり賃金の伸びの鈍化やインフレ率の上昇により、0.6%増と前年比で伸びが鈍化すると見込んでいる。また、国内総固定資本形成は、PNRRが2026年6月にプロジェクト完了期限を迎えたものの、2.2%増の伸びを予測している。

表1 イタリアの需要項目別実質GDP成長率(単位:%)(△はマイナス値)〔注〕四半期の伸び率は前期比(季節調整済み)
項目 2023年 2024年 2025年
年間 Q1 Q2 Q3 Q4
実質GDP成長率 0.9 0.8 0.5 0.3 0.0 0.2 0.3
民間最終消費支出 0.5 1.2 1.0 0.1 0.3 0.3 0.1
政府最終消費支出 1.0 1.5 0.6 △ 0.3 0.4 0.1 0.2
国内総固定資本形成 10.1 △ 3.1 3.5 1.4 1.6 1.2 1.0
財・サービスの輸出 △ 0.2 △ 0.4 1.2 2.5 △ 1.7 2.2 △ 1.0
財・サービスの輸入 △ 1.9 △ 1.0 3.6 1.9 0.2 2.0 1.3

〔注〕四半期の伸び率は前期比(季節調整済み)

〔出所〕イタリア国家統計局(ISTAT)

貿易

輸出入ともに増加、輸出は過去最高額を更新

2025年の貿易は、輸出が前年比3.3%増の6,431億5,300万ユーロ、輸入は3.2%増の5,924億5,100万ユーロとなった。世界的な貿易摩擦や地政学リスクが続く中でも、輸出額は過去最高額を更新、貿易収支は507億200万ユーロの黒字となり、黒字幅は前年の482億8,700万ユーロから拡大した。

輸出を品目別に見ると、最大の機械(構成比15.5%)は前年比でほぼ横ばいだった。輸出先首位の米国向け(12.4%)は3.4%減、次いでドイツ(9.7%)、フランス(7.6%)はそれぞれ1.8%減、2.7%減となったが、スペインは11.0%増、アラブ首長国連邦(UAE)は36.8%増と好調だった。こうした中、品目内訳では、主力の非家庭用冷凍・換気機器・家庭用エアコンディショナーが4.7%増加し、タップ・バルブ、ポンプ・コンプレッサーなども伸びた。

2位の医薬品(構成比10.8%)は前年比28.5%増と大きく伸長し、輸出額全体の伸びを牽引し、前年の6位から順位を上げた。輸出先首位の米国(22.8%)は54.1%増と伸びに大きく寄与したほか、2位のスイス(14.0%)は6.4%増、ベルギー(11.2%)は9.6%増だった。その他2.1倍となったフランスや2.6倍となったスペインも伸びに貢献した。イタリアの医薬品産業の輸出額は692億ユーロ、生産額は740億ユーロとなり、EU域内トップクラスで、2015年からの10年間で約3.5倍となっている。

3位の金属製品(構成比10.7%)は前年比9.8%増となった。最大品目の貴金属および半製品が97.2%増と伸長した。輸出額が最大のドイツ(15.7%)は2.5%増、次いでスイス(12.9%)は2.3倍、フランス(10.8%)は3.2%増、英国(4.2%)は29.9%増となった一方、米国(5.0%)は7.9%減となった。イタリア鉄鋼連盟(Federacciai)によると、2025年のイタリアの鉄鋼生産量は前年比3.6%増の2,070万トンとなり、2023年比5.0%減だった2024年から回復の兆しを見せている。

4位の食品・飲料・たばこ(構成比9.7%)は前年比4.3%増を記録した。特にバターやヨーグルトなどの乳製品(前年比13.5%増)や、チョコレートやキャンディーなどの菓子類(20.7%増)などが好調だった。

輸送機器(構成比9.7%)は前年比4.1%増で、順位は前年と同じ5位だったが増加に転じた。輸出先の首位は米国(14.9%)で16.8%増、ドイツ(14.8%)は12.5%増だったが2位へ後退した。次いでフランスと英国向けは、それぞれ2.6%減、22.0%減となったが、スペイン向けは20.1%増と伸びた。主力の自動車、自動車部品はそれぞれ6.9%減、0.6%減と振るわなかったが、宇宙・航空機は21.9%増、船舶および海洋構造物は1.9倍、レジャー・スポーツボートが2.6%増と好調だった。イタリア造船大手のフィンカンティエリ(Fincantieri)は2026年第1四半期決算発表の中で、2039年までの総受注残が742億ユーロと過去最高を更新したと発表した。

5割超占めるEU向け輸出は増加に転じ、米国や中東向けも好調

輸出を国・地域別に見ると、EU(構成比54.7%)が前年比3.8%増となり回復に転じた。最大の相手国であるドイツ(11.2%)は2.4%増と低調ではあるものの持ち直した。最大品目の自動車は0.9%増で微増にとどまり、次いで医薬品は14.7%減、これに続く自動車部品は0.6%減となった。貴金属・半製品は28.2%増、船舶および浮体構造物用の金属製・非金属製構造物は727倍と輸出を押し上げた。後者は、イタリア造船大手フィンカンティエリからドイツのTUIクルーズ(TUI Cruises)へクルーズ船が引き渡されたことが影響した。EU域内2位の輸出先フランス(10.1%)も5.3%増とプラスに転じ、主な品目のうち医薬品は2.2倍と伸長した。次いで自動車は4.2%減、自動車部品は4.1%増となった。

EU域外では、米国(構成比10.8%)向けが前年比7.2%増加した。首位の医薬品(前年比55.8%増)をはじめ、船舶および海洋構造物(2.9倍)、宇宙・航空機(28.7%増)が輸出を伸ばした一方、自動車(18.5%減)、貴金属・宝飾品(8.1%減)、ワイン(10.9%減)、荷役・運搬用機器(19.8%減)、汎用機械(52.7%減)などはいずれも低調だった。イタリアの輸出にとって米国は引き続き重要な役割を果たしており、米国の関税措置の影響はまだ広範囲には及んでいない。2026年1月のISTAT調査によると、米国へ輸出していた多数の企業が販売した商品の数量や価格に顕著な変動はみられなかった。一方で関税の影響は企業によって異なり、同国を主要市場としていた企業で影響が確認されている。業種別では、家具部門への影響が大きかった。その他、輸出の伸びが顕著だった国のうち、構成比5.5%のスイス(16.3%増)は貴金属(3.3倍)、宝飾品(24.4%増)などが大きく伸びた。

中東(構成比4.4%)は、大規模なインフラ投資計画や高所得消費者の需要拡大で、イタリアにとって機械類、宝飾品、繊維・衣料品、金属、食品・飲料、医薬品などの輸出先として戦略的に重要な地域となっている。UAE(構成比1.5%)向けは、前年比19.7%増と2024年に続いて伸長した。輸出額の上位を占めた宝飾品・金細工品(前年比12.5%増)、貴金属・半製品(10.8倍)、靴(14.6%増)、医薬品(3.5倍)、非家庭用冷却・換気機器・家庭用エアコンディショナー(71.6%増)など多様な品目で輸出が拡大した。

トルコ(構成比2.1%)向けは前年比23.1%減となった。2023年の未加工金への輸入割当制度導入により2024年に急増した宝飾品の需要が、その反動で2025年に減少したことを受け、輸出額が66.2%減となったほか、自動車や自動車部品もそれぞれ22.5%減、8.1%減と低迷した。貴金属および半製品は2.3倍と好調だった。

中国(構成比2.2%)向けは前年比6.6%減だった。最大品目の医薬品は56.7%増で好調だった一方、主力のファッション関連製品や機械類(特にガスタービン)が減少し、輸出全体を押し下げた。

インド(構成比0.9%)向けは前年比9.4%増と拡大し、特に機械(前年比36.5%増)、 化学製品(10.6%増)、金属製品(9.2%増)、医薬品(7.8%増)、輸送機器(5.4%増)、電気機器(5.0%増)の各品目で伸長した。政府はインドをイタリアの輸出にとって最も有望な新興市場の1つと位置付けており、2026年1月にはEU・インド間のFTA交渉が妥結した。

金属製品が輸入増のほか、医薬品も米国や中国が牽引し上位に

輸入を品目別に見ると、最大の金属製品(構成比11.0%)が前年比6.2%増となった。首位の鉄・鋳鉄・鋼鉄・合金鉄の金属材料(前年比3.5%増)、貴金属および半製品(11.3%増)、銅および半製品(1.6%増)、アルミニウムおよび半製品(19.4%増)などが牽引した。

2位の輸送機器(構成比10.3%)は前年比0.8%減となった。自動車(前年比1.2%減)、自動車部品(2.1%減)、宇宙・航空機(4.8%減)、自動車用電気・電子機器(1.7%減)などが減少した一方、オートバイ(14.8%増)、船舶および海洋構造物(7.4%増)などは増加した。

医薬品(構成比9.8%)が前年比35.5%増で3位に上昇し、個別品目では医薬品およびその他の医薬製剤が9.5%増、基礎医薬品が94.1%増と押し上げた。輸入元の首位は米国(構成比25.4%)で前年比2.0倍、次いで中国(13.4%)が10.3倍となり、輸入増加に大きく寄与した。

4位の化学品(構成比9.0%)は前年比2.5%増となり、中国からの輸入が9.1%増でドイツを上回り首位となった。イタリア化学工業連盟(Federchimica)によると、イタリアの化学品業界は低迷しており、2025年1~8月の化学品の生産量は前年同期比で1.7%減少した。エネルギー集約型で国際的な過剰生産の影響を受けやすい基礎化学品と比較して、イタリアが特化している高付加価値化学品の落ち込みは比較的小さい。それでも地政学的緊張や産業需要の低迷、エネルギーコストなどの競争上不利な要因が重なり、イタリアでの化学品生産は4年連続減少した。さらに、米国の中国製品に対する関税措置により、中国産化学品の欧州への流入が進行し、競争圧力が高まった。

鉱物・石油・天然ガス(構成比8.1%)は6位へ後退し、前年比14.3%減となった。中でも主力の天然ガスの輸入額は3.7%増加(輸入量では2.6%増加)した。天然ガスの調達元上位5カ国を見ると、アルジェリア13.3%減(2.6%減)、アゼルバイジャン6.1%増(2.8%減)、米国約2倍(約1.8倍)、ノルウェー53.0%増(45.1%増)、カタール16.3%増(0.2%減)となり、天然ガスの輸入量は5カ国で9割以上を占める。一方、原油は28.1%減(輸入量では13.1%減)で、調達元上位3カ国は、リビア16.2%減(1.5%増)、アゼルバイジャン31.3%減(15.4%減)、カザフスタン43.9%減(33.5%減)となった。

輸入を国・地域別で見ると、EU(構成比57.4%)が前年比2.6%増となった。最大の相手国ドイツ(14.4%)は2.9%増で、個別品目では首位の自動車が5.8%増、銅および半製品が18.5%増と増えた一方、医薬品が12.4%減、自動車部品が4.3%減、鉄、鋳鉄・鋼鉄・合金鉄などの金属材料が6.7%減と減少した。

EU域外では、中国(構成比10.2%)が前年比16.4%増となった。基礎医薬品(前年比約10.3倍)と医薬品(約10.5倍)が急増したほか、自動車(63.2%増)、コンピューターおよび周辺機器(9.2%増)、家電機器(15.9%増)などの増加も目立った。米国(構成比6.0%)は35.9%増と拡大し、構成比7割を占める輸入上位4品目の基礎医薬品(前年比約2.2倍)、天然ガス(約2.0倍)、貴金属および半製品(65.2%増)などが増加した。

表2 イタリアの主要品目別輸出入(単位:100万ユーロ、%)(△はマイナス値)〔注〕EU域外貿易は通関ベース(輸出はFOB、輸入はCIF)、EU域内貿易は各企業のインボイス報告などに基づく。
品目 輸出(FOB) 輸入(CIF)
2024年 2025年 2024年 2025年
金額 金額 構成比 伸び率 金額 金額 構成比 伸び率
機械 99,481 99,498 15.5 0.0 39,140 41,993 7.1 7.3
医薬品 53,881 69,243 10.8 28.5 42,705 57,869 9.8 35.5
金属製品 62,806 68,961 10.7 9.8 61,283 65,065 11.0 6.2
食品・飲料・たばこ 59,851 62,428 9.7 4.3 44,985 48,129 8.1 7.0
輸送機器 59,767 62,203 9.7 4.1 61,726 61,204 10.3 △ 0.8
繊維・衣料品・皮革製品 61,987 60,828 9.5 △ 1.9 36,438 38,407 6.5 5.4
化学品 40,620 40,155 6.2 △ 1.1 52,127 53,433 9.0 2.5
その他製造業の製品 40,343 37,499 5.8 △ 7.0 18,138 19,173 3.2 5.7
ゴム・プラスチック・非金属鉱物製品 32,398 32,321 5.0 △ 0.2 21,652 21,673 3.7 0.1
電気機器 31,882 31,989 5.0 0.3 26,670 27,654 4.7 3.7
コンピュータ・電子・光学機器 22,339 21,762 3.4 △ 2.6 36,975 36,212 6.1 △ 2.1
燃料・石油精製品 16,355 13,853 2.2 △ 15.3 12,723 11,354 1.9 △ 10.8
木材・木工品・紙製品・印刷物 10,669 10,684 1.7 0.1 13,261 13,787 2.3 4.0
農林水産物 9,179 10,043 1.6 9.4 21,264 25,099 4.2 18.0
鉱物・石油・天然ガス 1,831 2,363 0.4 29.0 56,019 48,007 8.1 △ 14.3
合計(その他を含む) 622,607 643,153 100.0 3.3 574,320 592,451 100.0 3.2

〔注〕EU域外貿易は通関ベース(輸出はFOB、輸入はCIF)、EU域内貿易は各企業のインボイス報告などに基づく。

〔出所〕イタリア国家統計局(ISTAT)

表3 イタリアの主要国・地域別輸出入(単位:100万ユーロ、%)(△はマイナス値)〔注1〕アジア大洋州はASEAN+6(日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インド)に香港および台湾を加えた合計値。北米は、米国、カナダ、メキシコの3カ国の合計値。 〔注2〕ユーロ圏と非ユーロ圏の合計がEUと合致しないのは統計上どの国にも分類できない誤差脱漏が含まれていないため。 〔注3〕EU域外貿易は通関ベース、EU域内貿易は各企業のインボイス報告などに基づく。
国・地域 輸出(FOB) 輸入(CIF)
2024年 2025年 2024年 2025年
金額 金額 構成比 伸び率 金額 金額 構成比 伸び率
EU 338,607 351,615 54.7 3.8 331,566 340,220 57.4 2.6
ユーロ圏 258,484 270,463 42.1 4.6 268,476 280,428 47.3 4.5
ドイツ 70,532 72,200 11.2 2.4 83,198 85,576 14.4 2.9
フランス 61,686 64,981 10.1 5.3 44,120 47,356 8.0 7.3
スペイン 34,497 38,155 5.9 10.6 33,898 33,096 5.6 △ 2.4
ベルギー 19,195 20,023 3.1 4.3 25,302 26,493 4.5 4.7
オランダ 19,232 18,883 2.9 △ 1.8 35,721 39,364 6.6 10.2
オーストリア 12,540 13,240 2.1 5.6 12,498 13,363 2.3 6.9
非ユーロ圏 56,884 59,407 9.2 4.4 53,390 54,823 9.3 2.7
ポーランド 19,655 20,807 3.2 5.9 16,271 15,910 2.7 △ 2.2
ルーマニア 10,147 10,390 1.6 2.4 8,507 8,458 1.4 △ 0.6
チェコ 8,168 8,545 1.3 4.6 8,857 9,808 1.7 10.7
スウェーデン 5,953 6,199 1.0 4.1 5,519 5,818 1.0 5.4
ハンガリー 5,777 5,894 0.9 2.0 7,371 7,645 1.3 3.7
デンマーク 3,850 4,240 0.7 10.1 3,499 3,849 0.6 10.0
スイス 30,163 35,070 5.5 16.3 15,739 15,348 2.6 △ 2.5
英国 27,380 26,991 4.2 △ 1.4 8,128 7,509 1.3 △ 7.6
トルコ 17,824 13,702 2.1 △ 23.1 12,073 12,437 2.1 3.0
ウクライナ 2,140 2,296 0.4 7.3 1,845 1,896 0.3 2.7
ロシア 4,385 3,709 0.6 △ 15.4 3,491 1,643 0.3 △ 52.9
アジア大洋州 59,101 58,739 9.1 △ 0.6 87,180 95,272 16.1 9.3
中国 15,335 14,321 2.2 △ 6.6 52,064 60,610 10.2 16.4
ASEAN 10,721 11,432 1.8 6.6 12,858 13,709 2.3 6.6
日本 8,228 8,400 1.3 2.1 4,416 3,966 0.7 △ 10.2
韓国 6,205 5,897 0.9 △ 5.0 5,242 4,973 0.8 △ 5.1
インド 5,211 5,702 0.9 9.4 9,159 8,545 1.4 △ 6.7
オーストラリア 5,434 5,379 0.8 △ 1.0 589 568 0.1 △ 3.6
香港 5,020 4,708 0.7 △ 6.2 409 323 0.1 △ 20.9
北米 77,722 81,940 12.7 5.4 30,613 39,602 6.7 29.4
米国 64,960 69,633 10.8 7.2 26,077 35,442 6.0 35.9
メキシコ 6,629 5,980 0.9 △ 9.8 1,510 1,544 0.3 2.3
カナダ 6,133 6,327 1.0 3.2 3,027 2,616 0.4 △ 13.6
中東 26,409 28,299 4.4 7.2 23,950 19,687 3.3 △ 17.8
アラブ首長国連邦(UAE) 7,920 9,477 1.5 19.7 2,065 1,352 0.2 △ 34.5
サウジアラビア 6,224 6,315 1.0 1.5 5,164 3,988 0.7 △ 22.8
イスラエル 3,546 3,536 0.5 △ 0.3 1,036 1,065 0.2 2.8
カタール 2,364 2,004 0.3 △ 15.2 2,417 2,839 0.5 17.4
アフリカ 20,041 20,276 3.2 1.2 36,257 34,357 5.8 △ 5.2
チュニジア 3,300 3,364 0.5 1.9 3,475 3,130 0.5 △ 9.9
アルジェリア 2,815 3,203 0.5 13.8 11,240 9,788 1.7 △ 12.9
モロッコ 2,770 2,995 0.5 8.1 2,229 1,757 0.3 △ 21.2
エジプト 2,818 2,873 0.4 2.0 2,487 3,050 0.5 22.6
リビア 2,316 1,924 0.3 △ 16.9 7,168 6,002 1.0 △ 16.3
中南米 20,994 20,287 3.2 △ 3.4 12,558 13,762 2.3 9.6
ブラジル 5,790 5,795 0.9 0.1 4,587 5,282 0.9 15.1
合計(その他を含む) 622,607 643,153 100.0 3.3 574,320 592,451 100.0 3.2

〔注1〕アジア大洋州はASEAN+6(日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インド)に香港および台湾を加えた合計値。北米は、米国、カナダ、メキシコの3カ国の合計値。
〔注2〕ユーロ圏と非ユーロ圏の合計がEUと合致しないのは統計上どの国にも分類できない誤差脱漏が含まれていないため。
〔注3〕EU域外貿易は通関ベース、EU域内貿易は各企業のインボイス報告などに基づく。

〔出所〕イタリア国家統計局(ISTAT)

対内・対外直接投資

対内・対外直接投資は地政学的不確実性によりいずれも鈍化

中銀によると、2025年の対内直接投資額(国際収支ベース、ネット、フロー)は、前年比89.4%減の27億8,200万ユーロとなった。主要な投資元であるEUは全体では引き揚げ超過となり、フランスは30.6%減、スペインは70.1%減だったほか、ルクセンブルクは引き揚げ超過となった。一方、ドイツ、マルタ、ベルギーからの投資は拡大した。EU以外では、スイスが70.7%減、米国が47.9%減、英国が引き揚げ超過に転じた。

英国に本拠を置くコンサルティング企業アーンスト・アンド・ヤング(EY)によると、外国直接投資の縮小はイタリアおよび欧州全体で見られる傾向で、依然として複雑な経済・地政学的状況がそれを裏付けるものだとした。国際的な緊張、紛争の長期化、そしてより強硬な通商政策が企業の投資判断やバリューチェーンの再構築に引き続き影響を及ぼしている。また、イタリアでは製造業・モビリティー分野の投資が増加したとし、イタリアの製造業基盤の重要性や高度な専門性、欧州におけるサプライチェーン再編をその背景として挙げている。人工知能(AI)の需要の高まりを受けて、データセンター関連プロジェクトも増加した。

2025年の主な対内直接投資案件(M&A以外)を見ると、英国のデータセンター企業アプト(Apto)は5月、大規模データセンターキャンパスをミラノ近郊に建設することを発表し、投資総額は約30億ユーロを見込む。そのほか、スイス・オランダ系の化学・香料メーカーDSM-フィルメニッヒ(DSM-Firmenich)は6月、イタリア北部のエミリア=ロマーニャ州パルマに、食品向けの香料および機能性ブレンド製品の新生産施設を建設すると発表した。新工場は2027年第1四半期の完成を予定し、100人超の雇用創出を見込む。

EYによると、2025年のイタリアを対象としたM&A案件(買収側企業がイタリア企業の場合も含む)は前年とほぼ同水準の件数で、取引額は増加した。海外買収側企業の国籍トップ3は米国、フランス、英国となった。イタリアにおけるM&A市場動向は、ニアショアリング(既存の事業拠点から地理的に近い近隣国へ事業移転すること)やフレンドショアリング(政治的・経済的な友好国に生産や調達を移転・集中させること)、業界およびサプライチェーンの統合戦略に基づき、サプライチェーンの安全性や地政学的リスクへの対応などを目的としたものであると分析している。

海外企業によるM&A案件では、米国の投資会社コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)が4月、バイオ燃料やモビリティーサービス事業などを展開するエニライブ(Enilive)の株式30%をエネルギー大手エニ(Eni)から約35億ユーロで取得した。また、フランスの保険大手アクサ(AXA)は11月、オンライン保険会社のプリマ・アッシキュラツィオーニ(Prima Assicurazioni)の株式51%を5億3,800万ユーロで取得した。

海外M&Aは堅調、国際情勢の変化に対応する傾向

中銀によると、2025年の対外直接投資額(国際収支ベース、ネット、フロー)は前年比49.7%減の212億8,900万ユーロとなった。主要投資先のEU加盟国の中ではドイツやルクセンブルクがそれぞれ2.6倍、2.2倍と拡大したが、フランスは64.7%減、EU全体では67.4%減と縮小した。EU以外では英国が26.9%減、米国は46.5%減となった。

2025年の主な対外直接投資案件(M&A以外)を見ると、航空宇宙企業のアヴィオ(Avio)は12月、米国バージニア州に固体ロケットモーター製造工場を建設すると発表し、総投資額は約5億ドルを見込む。そのほか、電線大手のプリズミアン(Prysmian)は6月、約5億ドルを投資し、米国テキサス州の子会社において中電圧ケーブルなどの生産能力を拡張すると発表した。

EYによると、2025年のイタリア企業による海外M&A案件は件数、買収額ともに増加しており、堅調だった。特に金額の伸びは大きく、昨今の地政学的な国際情勢変化へのイタリア企業の積極的な対応能力を強く示しているとした。同案件の半分超は米国、スペイン、ドイツ、英国、フランスの5カ国に集中し、南米や中東など一部の新興ターゲット市場への投資も拡大傾向がみられた。業種別では製造業・化学品分野やテクノロジー分野で案件数の増加が目立った。

イタリア企業による海外M&A案件では、エネルギー大手のエネル(Enel)が2月、再生可能エネルギー分野における成長戦略の一環として、スペインに34カ所の水力発電所を有するコーポラシオン・アクシオナ・ヒドラウリカ(Corporación Acciona Hidráulica)を約10億ユーロで買収した。また、電線大手のプリズミアンは12月、米国通信機器メーカーのチャネル・コマーシャル(Channell Commercial)を11億5,000万ドルで完全子会社化した。

表4 イタリアの国・地域別対内・対外直接投資〔国際収支ベース、ネット、フロー〕(単位:100万ユーロ、%)(△はマイナス値)〔注〕2025年は暫定値。アジア大洋州は、ASEAN+ 6 (日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インド)に香港、台湾を加えた合計値。 北米は、米国、カナダ、メキシコの3カ国の合計値。EU、アフリカ、南米、中東は表に掲載していない国も含む。
国・地域 対内直接投資 対外直接投資
2024年 2025年 2024年 2025年
金額 金額 伸び率 金額 金額 伸び率
EU 7,060 △ 695 — 25,857 8,442 △ 67.4
フランス 6,482 4,499 △ 30.6 6,010 2,120 △ 64.7
ドイツ △ 201 1,875 — 2,817 7,352 161.0
マルタ 327 1,150 251.7 1,490 11 △ 99.3
スペイン 2,451 734 △ 70.1 4,058 △ 36 —
アイルランド 2,167 658 △ 69.6 2,590 △ 3,499 —
ベルギー △ 327 527 — 1,626 △ 3,081 —
オーストリア 928 419 △ 54.8 1,392 1,258 △ 9.6
デンマーク 708 268 △ 62.1 1,159 △ 30 —
ルーマニア 81 △ 80 — 1,055 496 △ 53.0
ルクセンブルク 2,079 △ 400 — 1,174 2,542 116.5
キプロス 600 △ 2,143 — 4 6 50.0
オランダ △ 7,808 △ 7,739 △ 0.9 △ 1,159 △ 1,599 38.0
スイス 8,493 2,486 △ 70.7 287 342 19.2
ウクライナ △ 28 8 — △ 27 △ 13 △ 51.9
ロシア 275 △ 47 — 984 640 △ 35.0
英国 1,487 △ 1,683 — 4,351 3,182 △ 26.9
アフリカ 98 △ 272 — 19 297 1,463.2
アルジェリア 12 12 0.0 △ 382 △ 32 △ 91.6
エジプト △ 116 9 — △ 98 △ 339 245.9
モロッコ 23 3 △ 87.0 276 70 △ 74.6
ナイジェリア 20 0 △ 100.0 1,238 △ 10 —
南アフリカ共和国 △ 427 △ 31 △ 92.7 104 209 101.0
エチオピア △ 103 △ 237 130.1 △ 40 △ 36 △ 10.0
北米 5,326 1,828 △ 65.7 7,143 4,741 △ 33.6
米国 3,686 1,919 △ 47.9 8,619 4,611 △ 46.5
メキシコ 19 △ 13 — △ 1,738 △ 29 △ 98.3
カナダ 1,621 △ 78 — 262 159 △ 39.3
南米 344 △ 182 — 2,552 1,860 △ 27.1
アルゼンチン △ 3 30 — 128 62 △ 51.6
ペルー 5 0 △ 100.0 △ 80 △ 44 △ 45.0
エクアドル 2 △ 4 — 21 1 △ 95.2
チリ △ 2 △ 10 400.0 653 259 △ 60.3
ブラジル 24 △ 240 — 1,857 1,480 △ 20.3
アジア大洋州 2,743 1,375 △ 49.9 1,059 2,202 107.9
香港 418 490 17.2 △ 272 126 —
中国 1,277 398 △ 68.8 1,116 1,172 5.0
韓国 200 138 △ 31.0 △ 6 131 —
日本 78 132 69.2 79 296 274.7
インド 83 127 53.0 △ 129 241 —
シンガポール 372 117 △ 68.5 252 △ 1 —
タイ 87 5 △ 94.3 17 △ 23 —
マレーシア 94 0 △ 100.0 △ 32 20 —
台湾 49 0 △ 100.0 △ 95 △ 15 △ 84.2
オーストラリア 32 △ 29 — 145 349 140.7
中東 382 △ 264 — 380 △ 79 —
サウジアラビア 98 3 △ 96.9 167 92 △ 44.9
イラン 6 0 △ 100.0 5 5 0.0
イスラエル 62 △ 6 — 23 17 △ 26.1
カタール △ 270 △ 8 △ 97.0 △ 184 △ 2 △ 98.9
UAE △ 134 △ 15 △ 88.8 122 △ 19 —
トルコ 235 △ 107 — 275 △ 184 —
合計(その他含む) 26,316 2,782 △ 89.4 42,328 21,289 △ 49.7

〔注〕2025年は暫定値。アジア大洋州は、ASEAN+ 6 (日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インド)に香港、台湾を加えた合計値。
北米は、米国、カナダ、メキシコの3カ国の合計値。EU、アフリカ、南米、中東は表に掲載していない国も含む。

〔出所〕イタリア銀行(中央銀行)

表5-1 イタリアの主な対内直接投資案件(2025年)〔M&A以外〕
業種 企業名 国籍 時期 投資額 概要
ITインフラ アプト(Apto) 英国 2025年5月 約30億ユーロ 英国のアプトはミラノ近郊に大規模データセンターキャンパスを建設する計画を発表した。敷地面積は22万8,000平方メートル、総電力容量は300メガボルトアンペア(MVA)となる予定。本プロジェクトは、既に同社が立ち上げたアテネ拠点に続くもの。
ITインフラ エシュロン・データセンター(Echelon Data Centres) アイルランド 2025年10月 約30億ユーロ アイルランドのエシュロン・データセンターは米国投資会社スターウッド・キャピタルグループ(Starwood Capital Group)の関連会社と共同で、ミラノ近郊にイタリア最大級のデータセンターキャンパスを建設する計画を発表した。敷地面積は37エーカー(約15万平方メートル)、総電力容量は250MVA。エシュロンにとってイタリア市場初進出の大型プロジェクトとなる。
エネルギー ヴェルディアン(Verdian) オランダ 2025年12月 非公開 オランダの再生可能エネルギー(再エネ)事業者ヴェルディアンはイタリア国内の合計917メガワット(MW)の蓄電池および風力発電プロジェクトを取得した。イタリア南部カンパーニア州およびプーリア州の蓄電池案件のほか、中部ラツィオ州、トスカーナ州などの風力発電案件が含まれる。蓄電池案件は2026年に着工し、2027年末の運転開始を見込む。
食品 DSM-フィルメニッヒ(DSM-Firmenich) スイス、オランダ 2025年6月 非公開 スイス・オランダ系の化学・香料大手DSM-フィルメニッヒはイタリア北部の食品産業集積地パルマに食品向けの香料および機能性ブレンド製品の新生産施設を建設すると発表した。新工場では最新のカプセル化技術や自動包装設備を導入し、植物由来食品向けや栄養強化食品向け製品の開発・生産を強化する。2027年第1四半期の完成を予定し、100人超の雇用創出を見込む。

〔出所〕各社発表および報道などから作成

表5-2 イタリアの主な対内直接投資案件(2025年)〔M&A〕
被買収企業(事業) 買収企業 時期 投資額 概要
業種 企業名 企業名 国籍
エネルギー エニライブ(Enilive) コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR) 米国 2025年4月 約35億ユーロ 米国投資会社のKKRはイタリアのエネルギー大手エニ(Eni)傘下でバイオ燃料やモビリティーサービス事業などを展開するエニライブの株式30%を2025年4月に取得した。高成長のエネルギー事業を展開するエニの知見と、エネルギーインフラ分野への豊富な投資実績を持つKKRの資金力・運営ノウハウを組み合わせることで、エニライブの成長を加速させる。
エネルギー プレニチュード(Plenitude) アレス・マネジメント(Ares Management) 米国 2025年11月 約20億ユーロ 米国の資産運用会社アレス・マネジメントはエニ傘下で再生可能エネルギー事業を展開するプレニチュードの株式20%を取得した。プレニチュードは15カ国以上で事業展開し、2028年までに再エネ設備容量を現在の4.8ギガワット(GW)から10GWへ拡大する計画で、そのための資金基盤を強化する。アレス・マネジメントは成長するエネルギー転換分野への投資拡大が目的。
保険 プリマ・アッシキュラツィオーニ(Prima Assicurazioni) アクサ(AXA) フランス 2025年11月 5億3,800万ユーロ フランスの保険大手アクサはイタリアのオンライン保険会社プリマ・アッシキュラツィオーニ(プリマ)の株式51%を取得した。プリマは技術開発、価格設定、保険金請求管理などに強みを持ち、イタリアの個人向け自動車保険市場において約10%のシェアを有する。アクサグループ傘下入りにより、両社はデジタル保険分野での競争力強化と事業拡大を目指す。
エネルギー ソルジェニア(Sorgenia) シックス・ストリート(Sixth Street) 米国 2025年8月 非公開 イタリアの投資ファンドF2iはエネルギー転換分野の事業をイタリアのエネルギー事業会社ソルジェニアに統合し、米国投資会社のシックス・ストリートを戦略パートナーとして迎えると発表した。シックス・ストリートはソルジェニアの株式約38%を取得し、F2iはイタリア最大級の太陽光発電事業者のEFソラーレ(EF Solare)およびスペインの再生可能エネルギー事業をソルジェニアに統合する。本取引により、ソルジェニアは欧州有数のエネルギー転換プラットフォーマーを目指す。

〔出所〕各社発表および報道などから作成

表6-1 イタリアの主な対外直接投資案件(2025年)〔M&A以外〕
業種 企業名 投資先国 時期 投資額 概要
航空宇宙・防衛 アヴィオ(Avio) 米国 2025年12月 約5億ドル イタリアの航空宇宙企業アヴィオは米国子会社アヴィオUSAが固体ロケットモーター製造の新工場建設地として、米国バージニア州を選定したと発表した。新工場では防衛ミサイル、宇宙分野向けの固体ロケットモーターを生産し、1,000人超の雇用創出を見込む。同社は、米国の防衛産業基盤強化への貢献とともに、米国市場での事業拡大を図る。
電線・エネルギーインフラ プリズミアン(Prysmian) 米国 2025年6月 約5億ドル イタリアの電線大手プリズミアンは、2024年に買収した米国テキサス州の子会社エンコア・ワイヤー(Encore Wire)の生産能力拡張に今後5年間で約5億ドルを投資すると発表した。米国でのデータセンター需要拡大や送配電網強化に対応するため、最新の中電圧ケーブル工場の2027年稼働開始と約120人の新規雇用創出を見込む。
エネルギー エニ(Eni) モザンビーク 2025年10月 非公開 イタリアのエネルギー大手エニはモザンビーク沖合のLNG開発事業「コーラル・ノース(Coral North)」への投資を発表した。年産360万トンの浮体式LNG設備を建設する計画で、エニ(50%出資)ほか4社によるジョイントベンチャーによって実施される。世界で2件目の超深海での大型浮体式LNGプロジェクトであり、2028年の稼働開始を目指す。
エネルギー エネル・グリーン・パワー(Enel Green Power) ブラジル 2025年1月 約4億7,400万ドル イタリアの再エネ大手エネル・グリーン・パワーはブラジルのミナスジェライス州で総出力611メガワット(MW)の同国最大級の太陽光発電コンプレックスの商業運転を開始した。100万枚超の太陽光パネルを設置、年間約1.4テラワット時(TWh)を発電し、約68万世帯分の電力需要をまかなう能力を有する。

〔出所〕各社発表および報道などから作成

表6-2 イタリアの主な対外直接投資案件(2025年)〔M&A〕
買収企業 被買収企業(事業) 時期 投資額 概要
企業名 業種 企業名 国籍
ベンディング・スプーンズ(Bending Spoons) ソフトウエア ヴィメオ(Vimeo) 米国 2025年11月 約13億8,000万ドル イタリアのソフトウエア開発企業ベンディング・スプーンズは米国の動画配信プラットフォーム運営会社ヴィメオを買収した。両社は人工知能(AI)機能を含む動画配信分野の企業向け製品開発やサービス強化を進める。同時にベンディング・スプーンズは米国ほか重点市場への投資を拡大していく方針。
エネル(Enel) エネルギー コーポラシオン・アクシオナ・ヒドラウリカ(Corporación Acciona Hidráulica) スペイン 2025年2月 約10億ユーロ イタリアのエネルギー大手エネルはスペインの子会社エンデサ・ヘネラシオン(Endesa Generación)を通じて、同国の(Acciona Energías)から水力発電事業会社コーポラシオン・アクシオナ・ヒドラウリカ(CAH)の全株式を取得した。CAHはスペイン北東部に34カ所の水力発電所(総発電容量626MW)を有する。本買収により、エネルのイベリア半島における水力発電容量は5.3GW超、再エネ設備容量は約10.7GWに拡大する。
プリズミアン(Prysmian) 通信機器 チャネル・コマーシャル(Channell Commercial) 米国 2025年6月、12月 11億5,000万ドル イタリアの電線大手プリズミアンは米国通信機器メーカーのチャネル・コマーシャル(チャネル)を買収し(2025年6月:9億5,000万ドル、同12月:2億ドル)、完全子会社化した。本買収により、プリズミアンの光ファイバーケーブル製品とチャネルの通信機器を組み合わせ、包括的なFTTH(ファイバー・トゥ・ザ・ホーム)ソリューションの提供を強化するほか、北米市場での事業基盤拡大や5G(第5世代移動通信システム)、データセンター市場の成長需要への対応を図る。
ブレンボ(Brembo) 自動車部品 オーリンズ・レーシング(Öhlins Racing) スウェーデン 2025年1月 4億500万ドル イタリアのブレーキシステム大手ブレンボはスウェーデンの高性能サスペンションメーカーのオーリンズ・レーシングを買収した。本件はブレンボにとって最大の買収案件で、二輪車・自動車向けサスペンション技術を取り込むことで製品ポートフォリオを拡充する。これにより、ブレンボはブレーキ製品中心の事業から、統合的かつ高度な自動車ソリューションを提供する事業への転換を進める。

〔出所〕各社発表および報道などから作成

対日関係

対日輸出は微増、輸入は前年に続き低迷

2025年の対日貿易は輸出が前年比2.1%増の84億ユーロ、輸入が10.2%減の39億6,600万ユーロだった。貿易収支は44億3,400万ユーロの黒字となり、黒字額は前年から拡大した。

対日輸出を品目別に見ると、繊維・衣料品・皮革製品(構成比25.8%)が最大だったが、前年比3.3%減となった。主力品目の鞄・皮革製品(前年比9.8%減)、靴(7.8%減)、スポーツウエア(17.0%減)などが縮小したが、アウターウエア(7.5%増)、皮革製衣類(23.1%増)は伸びた。イタリアファッション産業連盟(Confindustria Moda)によると、2025年の繊維・アパレル製品の輸出においては、特にアジアからの輸入、とりわけウルトラファストファッションの流入増大がイタリアのサプライチェーン競争力に対する圧力を高めたとした。2位の食品・飲料・たばこ(構成比20.0%)は11.7%減と低迷した。特に最大のたばこが17.8%減となったほか、加工・保存された果物および野菜(前年比12.1%減)、ワイン(5.1%減)、オリーブオイル(24.9%減)などが押し下げの要因となった。3位の輸送機器(構成比17.1%)は27.4%増と輸出全体を牽引した。中でも最大の自動車は27.7%増と回復に転じ、航空宇宙機器(前年比37.7%増)、自動車部品(12.4%増)、オートバイ(15.2%増)、レジャーボート(2.7倍)なども好調だった。

対日輸入を品目別に見ると、最大の輸送機器(構成比28.5%)が前年比25.5%減と低迷した。同品目内で最大の自動車が52.1%減となったことが大きく影響した。一方、オートバイ(前年比16.0%増)、自動車部品(2.1倍)、自転車部品(15.2%増)、自動車車体・トレーラー(5.0倍)などは増加した。2位の機械(構成比20.8%)は5.0%増だった。主力の内燃機関(輸送機器用除く)(前年比25.3%増)、鉱山・建設現場用機械(3.2%増)、非家庭用冷却・換気装置、家庭用エアコン(12.2%増)などがプラスに転じたことが押し上げの要因となった。次いで化学品(構成比10.1%)が1.0%増の微増ながら3位に上昇した。同品目内で最大の有機基礎化学品は20.1%減少したが、一次形態のプラスチック(前年比11.1%増)、無機基礎化学品(13.9%増)、農業用化学製品(肥料を除く)(69.7%増)と拡大した。

日本との直接投資は対内・対外ともに拡大

2025年の日本からイタリア向け直接投資額は、1億3,200万ユーロで前年比69.2%増となった。 横河電機は10月、サイバーセキュリティーおよびデジタルトランスフォーメーション(DX)ソリューションを提供するインテリシンク(Intellisync)と、高度な電力グリッド制御およびエネルギー管理ソリューションを開発するウィズナム(WiSNAM)の2社の買収を発表した。本買収により、同社はサイバーセキュリティーソリューションおよび先進的なグリッド制御製品を拡充し、再生可能エネルギービジネス分野でのプレゼンス向上を図る。また、品川リフラは12月、製鉄プラントメーカーのダ二エリ(Danieli)とイタリア北東部トリエステで連続鋳造用のモールドフラックスの製造・販売事業を行う合弁会社「SHINDAN」(品川リフラ51%、ダニエリ49%)を設立し、新工場建設を決定したと発表した。高速連続鋳造設備のマーケットリーダーであるダニエリと協力することで、欧州で高い性能を持つモールドフラックスを製造し、欧州・中東・アフリカ地域の鉄鋼メーカーへ製品供給していく。

2025年のイタリアの対日直接投資額は、2億9,600万ユーロで前年比3.7倍に拡大した。イタリアのトリノ工科大学は9月、学術研究事務所ポリト・ジャパンハブ(PoliTo Japan Hub)の新拠点を東京に開設した。在日イタリア商工会議所のサテライトオフィスに設置され、同大学の日本パートナー(日本の大学、研究センター、企業など)との協力活動を行う教員・研究者に利用される。同大学は、既に20以上の日本の大学と協力関係を築き、数多くの共同プロジェクトや科学的成果を出している。また、持続可能な観光・森林・水産など幅広い分野での第三者認証を展開するイタリアの国際認証機関ヴィレオ(Vireo)は12月、日本市場におけるGSTC(グローバル・サステナブル・ツーリズム協議会)認証およびサステナブル認証の監査体制を強化するため、日本のサステナ認証センターとパートナー契約を締結し、ヴィレオ・ジャパンとして事業を開始した。世界各地でサステナブルツーリズムの取り組みが進む中、日本での自治体・観光地域づくり法人(DMO)・観光事業者による国際認証取得ニーズに対応すべく、申請受付・監査・情報提供などのサポートを提供する。

表7-1 イタリアの対日主要品目別輸出(FOB)〔通関ベース〕(単位:100万ユーロ)(△はマイナス値)
品目 2024年 2025年
金額 金額 構成比 伸び率
繊維・衣料品・皮革製品 2,242 2,168 25.8 △ 3.3
食品・飲料・たばこ 1,906 1,683 20.0 △ 11.7
輸送機器 1,130 1,439 17.1 27.4
医薬品 727 883 10.5 21.4
機械 656 707 8.4 7.9
その他製造業の製品 394 425 5.1 7.8
化学品 431 390 4.6 △ 9.6
コンピュータ・電子・光学機器 167 166 2.0 △ 1.2
ゴム・プラスチック・非金属鉱物製品 141 159 1.9 13.1
金属製品 153 157 1.9 2.9
電気機器 156 110 1.3 △ 29.1
木材・木工品・紙製品・印刷物 32 35 0.4 9.0
農林水産物 33 30 0.4 △ 11.5
鉱物・石油・天然ガス 2 2 0.0 8.9
燃料・石油精製品 1 1 0.0 △ 7.2
合計(その他込み) 8,228 8,400 100.0 2.1

〔出所〕イタリア国家統計局(ISTAT)

表7-2 イタリアの対日主要品目別輸入(CIF)〔通関ベース〕(単位:100万ユーロ)(△はマイナス値)
品目 2024年 2025年
金額 金額 構成比 伸び率
輸送機器 1,517 1,130 28.5 △ 25.5
機械 785 825 20.8 5.0
化学品 398 402 10.1 1.0
その他製造業の製品 289 321 8.1 11.2
金属製品 414 295 7.4 △ 28.6
繊維・衣料品・皮革製品 236 244 6.1 3.3
コンピュータ・電子・光学機器 240 227 5.7 △ 5.7
ゴム・プラスチック・非金属鉱物製品 202 200 5.0 △ 1.1
電気機器 140 134 3.4 △ 4.4
医薬品 118 116 2.9 △ 1.6
食品・飲料・たばこ 27 29 0.7 8.3
木材・木工品・紙製品・印刷物 19 19 0.5 △ 0.4
農林水産物 7 8 0.2 12.1
鉱物・石油・天然ガス 2 3 0.1 39.0
燃料・石油精製品 0 0 0.0 9.5
合計(その他込み) 4,416 3,966 100.0 △ 10.2

〔出所〕イタリア国家統計局(ISTAT)

基礎的経済指標

〔注〕 貿易収支:国際収支ベース(財のみ)
項目 単位 2023年 2024年 2025年
実質GDP成長率 (%) 0.9 0.8 0.5
1人当たりGDP (米ドル) 39,282 40,405 43,270
消費者物価上昇率 (%) 5.7 1.0 1.5
失業率 (%) 7.8 6.6 6.3
貿易収支 (100万ユーロ) 36,919 54,693 51,510
経常収支 (100万ユーロ) 5,323 24,121 25,050
外貨準備高(グロス) (100万米ドル) 84,819 84,875 89,705
対外債務残高(グロス) (100万ユーロ、期末値) 2,529,090 2,649,489 2,824,151
為替レート (1米ドルにつき、ユーロ、期中平均) 0.9248 0.9239 0.8850

〔注〕
貿易収支:国際収支ベース(財のみ)

〔出所〕
実質GDP成長率、消費者物価上昇率、失業率:イタリア国家統計局(ISTAT)
1人当たりGDP、外貨準備高(グロス)、為替レート:IMF
貿易収支、経常収支、対外債務残高(グロス):イタリア銀行(中央銀行)