外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用

最終更新日:2024年02月14日

外国人就業規制

EUおよびEFTA加盟国国籍の保有者は、就労許可証なしで就業可能(EFTA加盟国は、アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、スイス)。
これら以外の国であっても条件により就業可能。2024年1月1日、第三国国籍保有者の滞在と就労に関する新法が施行。

EUおよびEFTA加盟国以外の国(第三国)の国籍保有者であっても、ハンガリー人と婚姻関係にあり在留許可など諸要件が満たされる場合は、就労許可証なしで就業可能。
その他の第三国国籍者が、就労目的でハンガリーに滞在する場合(180日間に90日以上)、一部の例外を除き、滞在許可と就労許可が一体となった「就労滞在許可証」(または「単一許可」、英語:single permit、ハンガリー語:osszevont engedely)を取得する必要がある。

第三国国籍保有者の滞在と就労に関する新法

2024年1月1日、第三国国籍保有者の滞在と就労を包括的に規定する新法が施行された。同法では特に、高度な知識や技能を持たない「ゲストワーカー」の滞在と就労に関しては移住・定住につながらないよう規則が厳格化された。
第三国国籍保有者の就労に関しては、大きく分けて、[1]ゲストワーカー(高度な知識や技能がない、いわゆる出稼ぎ労働者)、[2]高資格保有者(企業内派遣、アスリート、スポーツコーチなど指導者、研究者、自営業者など含む)の2つのカテゴリーとなる。労働許可と滞在許可が一体となった「就労滞在許可証」を得る点には変更ない。

司法省の法令検索ページ:「第三国国籍保有者の入国と滞在の権利を包括的に規定する法律」(Act XC of 2023 on the general rules for the entry and right of residence of third-country nationals外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

  1. ゲストワーカー

    ゲストワーカーに関しては、あくまでもハンガリー労働者では求人が埋まらない場合に受け入れが可能。1年間の受け入れ可能人数は、雇用当局に登録されている前年の未充足求人数を上限とする。政府の判断で、可能人数はそれよりも低く抑えることもできる(例:2023年の未充足求人数は約8.1万人分だったが、2024年のゲストワーカー受け入れ可能人数は6.5万人と決定された)。また、移住・定住させないように滞在期間は厳しく限定し、滞在許可失効後6日以内に帰国させることは雇用主の義務。この義務を怠った雇用主は罰せられる。家族の帯同は許可されていない。

    ゲストワーカーの在留資格の種類と在留有効期間は次のとおり。

    1. 季節労働:上限6カ月。延長は通算1年(上限6カ月を2回まで)。
    2. 投資事業実施のための就労(工事現場の作業員などを想定):投資事業完了まで。ただし上限3年。延長なし。
    3. 就労目的:上限2年。延長は1年(1回限り可能)。
    4. ゲストワーク(政府指定の「優遇雇用主(preferred employer)*」もしくは指定派遣会社により雇用される労働者):上限2年。延長は1年(1回限り可能)。

      *「優遇雇用主」の定義は、

      • 政府と戦略的パートナーシップ協定を締結済みの雇用主
      • 国民経済の観点から突出して重要な投資事業を行う雇用主
      • 優先輸出企業パートナーシップ・プログラム(KEPP)の枠組みの中でパートナーシップ協定を締結済みの雇用主(これまでハンガリー資本企業40社が参加)
  2. 高資格保有者

    高度な専門知識や技能を持つ者の滞在および就労に対する考え方は従来から変更はない。滞在期間の延長も複数回可能であり、家族の帯同も許可されている。

    高資格保有者の在留資格の種類と在留有効期間は次のとおり。

    1. ハンガリーカード(専門的知識・技能を使い企業などに雇用される者、または企業などの経営者・高度管理者;プロスポーツ選手など興行、スポーツなど指導者、芸術家、映画制作会社勤務者など):上限3年。延長は3年(複数回可能)。
    2. EUブルーカード:上限4年。延長は4年(複数回可能)。
    3. 企業内転勤:上限は条件により1~3年。同じ期間だけ延長可能(複数回可能)。
    4. 研究者:上限は条件により1~2年。同じ期間だけ延長可能(複数回可能)。
    5. 企業カード(ハンガリーへの事業移転):上限4年。延長は4年(複数回可能)。
  3. その他

    セルビア、ウクライナ国籍保有者は「ナショナルカード」の交付を受けることができる。また、いわゆる「ゴールデンビザ」として、ハンガリーの特定のファンドや財団に25万~100万ユーロ投資した場合、最初にゲスト投資家ビザ(2年有効)を取得し、その後在留許可10年(延長10年、複数回可能)を得ることができる。公用、インターン、デジタルノマド(「ホワイトカード」と分類される)には別途規定あり。

在留許可

第三国国籍者(EU、EFTA以外の国)が就労目的で滞在(180日間に90日以上)するには、一部の例外を除き、滞在許可と就労許可が一体となった就労滞在許可(「単一許可」)を取得する必要がある。

2014年1月1日より、第三国国籍者がハンガリーでの就労を目的として滞在する場合、労働許可と滞在許可を別々に申請することなく、一括で申請することが可能となった。このように一体化された「就労滞在許可証」は、「単一許可」(英語:single permit、ハンガリー語:osszevont engedely)と呼ばれる。

単一許可の申請手続き(2018年1月1日より)

  1. 就労目的の滞在許可を、現在の居住国または国籍のある国のハンガリー公館に申請する。
    申請手続きに必要な主な書類は次のとおり。
    1. 滞在許可申請書(定型フォーム:Application for Residence PermitPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(260KB))(移民局、正式名称は国家外国人対策局)
    2. 滞在許可申請・就労目的向け追加付属書(定型フォーム:Appendix 10 for Residence Permit for EmploymentPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(122KB))(移民局)
    3. 雇用契約書(サンプルフォーム:Preliminary agreement for the establishment of employment relationship(recommended sample)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、ダウンロード)(移民局)

      雇用契約書には、申請者の具体的な職務、就労場所の住所、職務遂行のために必要な技能に関する説明と資格、報酬額、雇用契約期間などが記載されていなければならない(雇用契約期間は、一部の例外を除き、最長2年)。
      雇用契約書は法的拘束力があり、これが実施されない場合、当局は滞在許可を取り消すことができる。

    4. 申請者がその職務遂行のために必要な技能を有している、もしくは教育を修了していることを証明する書類とその翻訳(翻訳証明書が必要)。

    その他、写真(撮影3カ月以内)、パスポート、手続き料金の支払いが必要。また、申請(滞在許可の延長手続きも含む)が認められなかった場合、EU域内から退去する旨の宣言書も必要。

  2. 移民局の担当地域局が滞在許可申請を認めた場合、ハンガリー公館に対し、入国ビザ(Dタイプ=D vizum)の発給権限を与える。それに基づき、公館は申請者に発給する。
    (Dタイプビザは、第三国国籍者がハンガリー到着後、滞在許可証に切り替えるために与えられるもの)
  3. ハンガリー到着後、国内の居住地を管轄する移民局の地域局に赴き、就労滞在許可証を受け取る。なお、Dタイプビザは、1回限りの入国を許可するもので、滞在有効期間は最長30日である。そのため、移民局は、到着後、速やかに地域局に赴くことを勧めている。

留意事項

  1. 単一許可申請は、健康上のやむを得ない事情がない限り、原則として申請者本人が出向いて行う。
  2. ただし、「優遇雇用主」による雇用の場合、雇用主が申請を行うことも可能である。その場合でも、申請者と雇用主がその旨、合意した文書の提出が必要。また、雇用主が手続きを進める場合も、当局が本人に出向くことを求めた際は、従わなければならない。
  3. 単一許可による滞在の有効期間は、専門機関の判断で決定される。延長する場合は、ハンガリー国内の移民局で手続きすることができるが、少なくとも有効期限30日以上前に行わなくてはいけない。
  4. 移民局による滞在可否の審査期間は最長70日。ただし、優遇雇用主の場合は、最長60日。
  5. 就労滞在許可証には、顔および指紋の生体認証情報が含まれるため、申請時に顔画像の撮影、指紋の採取が義務付けられている。
  6. 移民局に赴く際は、オンラインでの予約が必要。移民局のAppointment booking外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますのページから予約が可能。

問い合わせ先

移民局(国家外国人対策局、National Directorate-General for Aliens Policing外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

従来の移民管理局(Immigration and Asylum Office)に代わり、2019年7月1日に発足した。

  • 単一許可申請に関する詳細説明(Single Application Procedure外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
  • 雇用目的の滞在許可申請に関しては、前述の第三国国籍保有者の滞在と就労を包括的に規定する新法が2024年1月1日に施行されたことに伴い、移民局は2024年2月29日まで新規の申請受付を全面的に停止している(駐日ハンガリー大使館発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

ブタペスト市本局窓口
所在地:1117 Budapest, Budafoki ut 60.
問い合わせ(コールセンター):+36-1-463-9292
(英語対応可能。受付時間:月曜~木曜は8時~16時、金曜は8時~13時30分)

駐日ハンガリー大使館外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

所在地:108-0073 東京都港区三田 2-17-14
領事部直通:03-5730-7442
詳細問い合わせ先:consulate.tio@mfa.gov.hu

  • 駐日ハンガリー大使館:ビザ申請方法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    ※ビザ申請にはオンラインでの予約が必要。

現地人の雇用義務

特になし。ただし、特定の税優遇措置を受けるためには、一定数以上の現地労働者の雇用が条件。
なお、資本の過半が外資である企業が第三国国籍保有者を雇用する場合、労働監督局は就労許可交付に際して、国内労働市場への影響の観点から適切かどうか判断する。ただし、従業員総数の20%まではこうした考査は免除される。

その他

日本とハンガリーの間では、ワーキング・ホリデー制度がある。

ワーキング・ホリデー制度

日本とハンガリーは2017年、ワーキング・ホリデー制度で合意した。対象年齢は18~30歳、滞在期間は最長1年である。日本からの年間募集の枠は最大200人(2018年)。

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