税制

最終更新日:2026年01月26日

法人税

法人税標準税率は、一律9%。グローバル・ミニマム課税制度に基づき、一部の多国籍企業や大企業は15%。一方、中小企業や個人事業者には法人税などを含む税負担が全般的に軽減される制度がある。

企業向けの法人税には、[1]標準課税9%、[2]グローバル・ミニマム課税15%(一部の多国籍大企業が対象)、[3]中小企業向け簡易一括納税制度(KIVA)、[4]零細企業・個人事業者向け定額納税制度(KATA)がある。

法人税

標準税率は一律9%。ハンガリーはフラット税制を採用しており、後述のグローバル・ミニマム課税の対象でない限り、売上高に関係なく一律。

グローバル・ミニマム課税

2024年から、売上高が7億5,000万ユーロ以上の多国籍企業およびハンガリーの大企業に対し、世界共通の最低法人税率15%が課せられている。ハンガリー国内で税額を計算する際は、法人税に加えて、地方事業税、エネルギー業者に対する特別税、イノベーション貢献税も含まれる。なお、軽課税支払ルール(UTPR)は2024年12月31日以降に開始する事業年度に適用される。

中小企業向け簡易一括納税制度(KIVA)

KIVA(small business tax)は、中小企業が選択できる税。法人税(9%)、社会貢献税(13%)を別々に支払わずに、一括10%で支払うことが可能。
適用対象事業者は、2026年1月から従業員100人以下、年間売上高60億フォリント以下と、従来(30億フォリント以下)から大幅に緩和され、より多くの企業が利用できるようになった。

個人事業者向け定額納税制度(KATA)

個人事業主が、法人税、個人所得税、社会保険料など公租公課を個別に支払わずに、一括で月に5万フォリントの定額納税を行える制度。個人事業主の納税額と事務負担の軽減が目的。
2026年1月から、本制度の適用が受けられる年間売上高の上限が従来の1,800万フォリントから2,000万フォリントへ引き上げられた(以降、2027年に2,200万フォリント、2028年に2,400万フォリントと段階的拡大が決定済み)。売上高が上限を超過した場合は、その超過分に対して一律40%の税が課せられる。制度利用は原則として個人客(一般消費者)相手の売上に限られるが、タクシー運転手は例外的に法人客からの収入があっても本制度を利用できる。

二国間租税条約

あり。

その他税制

法人税のほか、主要税目としては、付加価値税(VAT)、物品税、個人所得税、雇用関係の税(社会貢献税)、地方事業税がある。その他、特定の業界に対する特別税や細かい税も合わせると約50の税目がある。頻繁に制度が改正されるため注意が必要。2022年には、時限措置として「超過利益税」の導入や、既存税の税率引き上げが行われた。政府は当初、2023年までの2年間の措置と発表していたが、2025年も一部は残る。

付加価値税(value added tax:VAT)

標準税率は27%。軽減税率として18%と5%がある。
軽減税率と対象品目・サービスは次のとおり。

  1. 18%:穀物や小麦などを使用した製品、乳製品など。
  2. 5%:牛乳、卵、鶏肉、豚肉、魚などの食品、医療品、本、セントラル・ヒーティング、商業宿泊施設、飲食店での食事、インターネット接続サービス、新築住宅など特定の品物・サービス。
    なお、新築住宅の軽減税率適用は、2026年末までに建設許可証が交付されていれば、2030年12月31日まで。

物品税(excise tax

物品税は、酒類(ビール、ワイン、蒸留酒など)、自動車燃料(ガソリン、軽油など)、たばこを対象とする。
これらの製品への物品税は、毎年1月1日に、前年7月の消費者物価指数(CPI)に連動して自動的に引き上げられる仕組みとなっている。2025年7月のCPIは4.3%だったため、2026年1月から同率の引き上げが行われる。ただし、例外的にガソリンと軽油については、政府とハンガリー商工会議所が景気対策の一環として、引き上げを6カ月間先送りし2026年7月1日から実施することで合意した。毎年の具体的な物品税額は国家税・関税局のウェブサイトで確認できる。

物品税額の例(2026年1月1日現在。同年7月1日から引き上げ予定)
ガソリン:158.8フォリント/リットル
軽油:148.76フォリント/リットル

運送会社には、軽油の物品税還付制度がある。具体的な還付額は、国家税・関税局(NAV)が四半期ごとに発表する(当該四半期開始の15~5営業日前に発表)。

個人所得税(personal income tax

一律15%。
ただし、以下の場合は免除される。

  1. 3人出産した女性(生涯免除)。従来は4人以上だったが2025年10月1日から3人出産した女性にも適用。さらに2人出産した女性も2026年1月から年齢に応じて段階的に生涯免除となった(2026年:40歳未満、2027年:50歳未満、2028年:60歳未満、2029年:全年齢)。※過去に出産し、子供が既に成人している場合も対象。
  2. 25歳未満の労働者(免除の上限は、前年7月時点の国の平均給与所得への個人所得税納付額まで)
  3. 30歳未満で出産した女性(30歳になるまで免除。2026年1月から所得上限が廃止され全額免除)

個人所得税制度は、扶養家族控除、法定最低賃金、福利厚生支給関連で細かく規定が存在し、毎年変更されるので注意が必要。例として、扶養家族控除額は2025年7月と2026年1月の2段階で50%ずつ引き上げられ、最終的に従来の2倍になった。一方、ハンガリーで労働する第三国国籍保有者*は、2025年1月から扶養家族控除や25歳未満の個人所得税免除の対象外となった(*EEA加盟国およびセルビア、ウクライナ以外の国の国籍保有者)。

雇用関連の税

社会貢献税(social contribution tax):従業員の給与その他の報酬総額の13%を雇用主が納税。
加えて、「身体障害者雇用促進のための拠出金(contribution to the Rehabilitation Fund)」がある。雇用主が身体障害者の法定雇用率(*)を満たすことができなかった場合、納付義務が生じる。拠出額は、雇用しなかった障害者1人につき、法定最低賃金(月額)の9倍/年(2026年は、法定最低賃金が32万2,800フォリントのため、年間納付額は雇用しなかった障害者1人につき290万5,200フォリントとなる)。
*従業員数25人以上の場合、全従業員の5%以上。

※参考:従業員による社会保険負担(国民年金、医療保険、雇用保険)は18.5%。

日・ハンガリー社会保障協定が2014年1月1日に発効。この協定によって、両国の年金制度などに二重に加入する必要がなくなったほか、両国での加入期間を通算して、それぞれの国における年金の受給権を確立できるようになった。

地方税

地方税には主に「地方事業税」「建物税」「土地税」があり、「地方税法」(Act C of 1990 on Local Taxes)により、これら税目の上限率・上限額が定められている。各地方自治体はその範囲内で、採用する税目、および税率・税額を毎年決定する。最も重要な税目は、売上高に課される「地方事業税」である。

地方事業税(local business tax

課税ベースは、売上高から売上原価・原材料費などの経費を控除したもの。法律で定められている最高税率は2%で、各地方自治体が毎年税率を決定する。
売上原価・原材料費など経費の控除が可能な割合は、純売上高の規模に応じている。純売上高が大きいほど、控除可能な割合が小さくなる。
2016年1月からは、運送業者は国内外の高速道路・国道などの通行料金費用の7.5%を、地方事業税から控除することが可能になった。

2023年1月からは、年間売上高が2,500万フォリント未満の中小企業は、簡素化された納税額計算法を選択できる。

  • 売上高1,200万フォリント未満:課税ベースは250万フォリント
  • 売上高1,200万以上~1,800万フォリント未満:同600万フォリント
  • 売上高1,800万以上~2,500万フォリント未満:同850万フォリント

特定の業界に対する特別税(銀行、エネルギー、通信、広告業界など)

  1. 通称「銀行税」(surtax on financial institution=bank tax
    銀行、信用組合等が対象。
    総資産* 500億フォリントまで:0.15%
    総資産500億フォリント超:0.20%(2019年1月1日から)
    *総資産は2年前の年末時点

    ※金融機関には前記に加えて「超過利益税」が上乗せされており、2026年の税率は税引き前利益200億フォリントまでは10%、超過分には30%(2025年の13%から大幅増)。また、金融機関の国債(政府証券)の保有残高増加に伴う税額控除の上限も、従来の50%から最大30%へと縮小された。

    ※「超過利益税」は、政府が2022年に一部の業種に対して「新型コロナ禍やウクライナ情勢による金利や価格上昇で予定外の大規模な臨時収入を得た」として導入した臨時的な措置。2024年末で大半は廃止になったが、金融機関、小売業界向けなど一部は残っている。※超過利益税の詳細は、2022年6月15日付ジェトロの記事「超過利益税を含む強化課税策が明らかに、開始は7月1日」参照。

  2. 通称「ロビンフッド税」(Robin Hood tax
    エネルギー供給会社(電力、天然ガス、石油卸等)が対象。課税率は利益の31%。
  3. 金融取引税
    主に銀行が対象。
    1. 標準課税率:取引額の0.45%(銀行送金、チェックを利用した光熱料金支払い、為替交換等)。1回の取引につき、課税上限額は2万フォリント(個人口座からの送金に関しては5万フォリントを超える金額に課税)。
      ※海外送金サービスを提供するレボリュート(Revolut)やワイズ(Wise)などの取引額も対象にする。
    2. その他
      ATM、銀行窓口からの現金引き出し:0.9%、課税上限額なし。
      ただし、1カ月当たり最大で2回、合計15万フォリントまでの個人によるATMからの現金引出しには、銀行が手数料を課すことは禁止されている(2026年2月1日からは30万フォリントまでに倍増される)。手数料の無料化を受けるためには、口座を有する銀行の窓口、もしくはネットで登録が必要。
  4. 通信サービス税(通称「電話税」)
    納税義務者は通信サービス事業者。税額は次のとおり。
    1. 法人契約の場合
      電話通話に対し3フォリント/分。ショートメッセージ・サービス(SMS)、マルチメディア・メッセージング・サービス(MMS)に対し3フォリント/回。課税上限額は5,000フォリント/月。
    2. 個人契約の場合
      電話通話に対し2フォリント/分。ショートメッセージ・サービス(SMS)、マルチメディア・メッセージング・サービス(MMS)に対し2フォリント/回。課税上限額は700フォリント/月。
  5. 広告税
    テレビ会社、新聞社、ネット上のニュースサイト運営会社などの前年の広告収入に対して課税。これまで税率は0%で実質的に課税が停止されていたが、2026年7月1日からは前年の広告収入が1億フォリント以上の場合は7.5%(1億フォリント未満は引き続き0%)。
  6. 小売税
    新型コロナ禍による歳入減を補うものとして2020年に導入された。その後、2022年からは「超過利益税」として税率が上乗せになっていたが、2025年11月には恒久化が決定した。その際、税率も改定となった(年間売上高に応じた累進課税となっており、外資系など売上が多い企業ほど負担は大きい)。課税対象は日用消費財(FMCG)を販売するスーパーマーケットチェーンやオンラインプラットフォーム事業者(2025年からは海外オンラインプラットフォーム事業者も国内売上分に対して課税される)。
    2025年および2026年開始の会計年度においての税率は以下のように規定されている。
    1. 売上高10億フォリント以下:0%
    2. 売上高10億超~500億フォリント以下:0.15%
    3. 売上高500億超~1,500億フォリント以下:1%
    4. 売上高1,500億フォリント超過分:4.5%

その他

  1. エネルギー税
    対象は、電気・天然ガス関連事業者、および電気・ガスの産業用としての消費者。個人消費者は対象外。
  2. 環境汚染税
    対象は、大気・水・土壌に対し環境負荷を与えている法人。汚染規模や排出物質の種類によって税率は異なる。
  3. 研究・技術・イノベーション基金への拠出
    中規模以上の企業が課税対象。地方税課税標準の0.3%、ただし研究開発費分は控除可能。
  4. 環境保護製品税(environmental protection product charges

    石油精製製品、タイヤ、乾電池・バッテリー、ソーラー・パネル、家電製品、石鹸、洗剤、化粧品、ペットボトル、包装用品などに課せられる。
    製造業者(輸入の場合は輸入業者)が納税義務を負う。

    ただし、2023年7月1日から導入された拡大生産者責任料金 (extended producer responsibility fee:EPR料金*)を支払っている場合は、その負担分を環境保護製品税から控除できる。EPR料金の方が環境保護製品税よりも数倍高いため、両方の対象になっていても実質的にはEPR料金のみの支払いになることが多い。

    * EPR料金は、生産者の他、輸入業者、オンライン販売業者も負担する。対象製品は、容器・包装材(紙、プラスチック、金属、木材など)、特定の使い捨ておよびその他のプラスチック製品(食品保存容器、飲料ボトル、飲料カップ、ウェットティッシュ)、電気・電子機器、 バッテリー(車載蓄電池含む)、自動車、タイヤ、事務用紙、印刷物、揚げ油・脂、一部の繊維製品、一部の木製家具など。

  5. 国民健康製品税(俗称「ポテト・チップス税」)
    塩分、糖分、カフェイン等の含有量が高く、大量摂取すると健康に害を及ぼし得る食品や飲料品に対して課せられる。
    製造業者(輸入の場合は輸入業者)が納税義務を負う。
    食品群により課税額は異なる。毎年対象品目が増加、課税額上昇の傾向があるので注意が必要。
  6. 保険料税
    任意自動車保険(CASCO)は保険料の15%、強制加入の自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)は保険料の23%、火災および損害保険は保険料の10%。
  7. 所有権移転税(property transfer tax
    1. 不動産
      不動産、もしくは不動産を所有する会社の株式を取得した場合、市場価値10億フォリントまでは4%、超過分に対して2%。ただし、不動産1件当たりの税額は2億フォリントを上限とする。
    2. 自動車
      自動車を購入した場合の所有権移転税は、エンジン出力と車の使用年数によって税額が決定される。
  8. 自動車登録税(registration tax
    新車または輸入車を購入し国内登録する際に課せられる税。
    エンジン出力(kw)と環境負荷の度合いにより細かく決められている。内燃式で出力が大きく、環境負荷が大きいほど税額は高くなる。障がい者認定を受けている場合は軽減される。税額は毎年、前年7月の物価上昇率に連動して引き上げられる。二酸化炭素(CO2)排出量がゼロのバッテリー式電気自動車(ハンガリーの分類では5E)および水素燃料電池車(同5Z)の場合は非課税。租税当局NAVの公式ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、車両についての情報を入力すると、税額を算出できる機能がある。
  9. 社用車税(company car tax
    法人名義所有の自動車に課税される。エンジン出力と環境負荷の度合いにより、2026年は月額1万7,500~10万1,000フォリント。2027年以降は毎年、前年の7月時点の物価上昇率に連動して引き上げられる。
    CO2排出量がゼロの電気自動車の場合は非課税(2025年1月1日よりも前に登録されていた電気自動車については2026年12月31日まで非課税)。
  10. 食品農産品監督局への監督料金
    国家フードチェーン安全監督局(National Food Chain Safety Office:NEBIH)の監督対象となっている分野の業者および個人は、「監督料金」として、前年の売上高の0.1%を毎年納付しなければならない(食品製造加工業、食品卸売小売業を含む)。
  11. 国債購入奨励のための税
    政府は国債購入奨励措置として、2023年7月から個人の銀行預金利息や株式におけるキャピタルゲインに対する税を引き上げた。具体的には、従来の個人所得税15%に加えて、社会貢献税(social contribution tax、ハンガリー語:Szocho)13%が課せられることになった。国債の利子は非課税。