外資に関する規制

最終更新日:2025年12月27日

規制業種・禁止業種

外国企業による法人設立や株式取得は原則として自由であるが、国家の安全保障や経済的利益を保護するため、国有企業については制限、また民間企業には多くの分野で審査制度が設けられている。

外資に関する規制は、[1]国有企業、[2]一般FDI制度(国家安全保障分野に属する民間企業)、[3]特別FDI制度(より幅広い経済的戦略セクターに属する民間企業)の3つで規定されている。

  1. 国有企業への出資制限(国家資産法)
    国家経済に不可欠な特定国有企業の政府保有比率を維持するための制限。
    1. 法的根拠
      「国家資産に関する法」(2011年制定 CXCVI号)
    2. 対象投資家
      すべての外資および国内民間資本
    3. 内容
      国家経済にとって重要と指定される国有企業(例:MVM/電力、MAV/国鉄、Magyar Posta/郵便、輸出入銀行、開発銀行、陶器製造ヘレンド、各地域の森林管理会社など)について、国が維持すべき最低株式保有率を規定している。
      法律で「100%国有」や「過半数国有」が義務付けられている企業については、外資による支配権の取得は事実上不可能である。取得を希望する場合は、法改正による変更が必要となる。
  2. 一般FDI制度(国家安全保障投資審査)
    国家安全保障に直結する特定分野への第三国投資家による出資について、所管大臣への事前届け出を義務付け審査する制度。
    1. 法的根拠
      「国家安全保障を損なう外国投資家の考査に関する法」(2018年制定 LVII号)
    2. 対象投資家
      第三国企業(日本、米国、中国などEU/EEA/スイス以外の国)
      ※第三国資本が実質的に支配するEU域内法人も対象となる可能性がある。
    3. 内容
      武器・軍事技術、諜報関連、デュアルユース品、一部の金融サービス、エネルギー、水道、通信などでの投資を審査。
      1. 届け出条件:直接・間接的に株式の25%以上(株式公開会社Nyrt.は10%以上)の取得、または民法上の支配的影響力の確保、新規子会社設立の場合。
      2. 所管:内務大臣
      3. 審査期間:原則60営業日以内。大臣は国家安全保障上のリスクを理由に投資を禁じることができる。禁止決定には異議申し立てが可能。
  3. 特別FDI制度(戦略的セクター投資審査)
    幅広い経済分野を「戦略的セクター」と定め、外資参入を監視する制度。
    1. 法的根拠
      ウクライナ情勢等に伴う非常事態下で導入された政令(561/2022号等)を法制化した「2025年法律第L号」(2025年8月19日施行)。※2020年以降の新型コロナ禍やウクライナ侵攻の非常事態宣言下で、暫定的に「政令」として導入されていた広範な投資審査制度を、2025年8月に「法律」として再整備したもの。
    2. 対象投資家(届け出義務の対象者)
      すべての外資。ただし第三国企業にはより厳しい届け出義務が課されている。
      1. 第三国企業(日本、米国、中国など):株式5%以上かつ投資額3億5,000万フォリント以上を取得する場合(株式公開会社Nyrt.は3%以上)。ただし、取得する株式割合や額に関わらず、取得後の累計出資比率が10%、20%、50%の「しきい値」を超える場合。
      2. EU/EEA/スイス企業:株式または議決権の過半数(50%超)を取得し、支配権を得る場合。
    3. 内容
      審査対象は「戦略的セクター」として極めて広範に設定されている。製造業(車両、電気機器、電子機器、食品飲料、化学、医薬品、金属加工、機械など)、小売、物流、通信(出版、放送、コンテンツ配信など)、ヘルス、ホスピタリティーなどが含まれる。※同法付属書1にリストが記載されている。
      1. 所管:国家経済大臣
      2. 審査期間:原則30営業日以内(特定分野や複雑な案件では延長可)。
      3. 法律の期限:現在の規定では2026年12月31日まで適用される予定。

なお、正式名称ではないが、英語の実務用語として、「2.一般FDI法」はGeneral FDI Regime、「3.特別FDI法」はSpecial FDI Regimeと呼ばれている。

出資比率

100%による外資出資も可能。

外国企業の土地所有の可否

農地以外の土地は、取得、所有とも可能である。

非居住者、外国国籍者、企業などの法人は、農地・森林でない限り、土地の取得、所有が可能である。2014年5月1日には新土地法が施行され、ハンガリー市民に加え、EU市民(自然人)による農地・森林の取得も可能となった。
しかし、農業従事者やその近親者は300ヘクタールまでの取得が可能だが、未経験者は1ヘクタールまでに制限される。また、こうした土地は、利用が農業目的などに限定される。

法人は、一定の例外を除き、引き続き取得は禁じられている(例外:国家、農協、宗教団体、当該農地が所在する地方公共団体など)。
ただし、地方自治体、同自治体が属する県当局が農地・森林指定を解除し、工業用地等へ転用すれば、取得、所有は可能になる。

資本金に関する規制

外国企業の資本参加の有無にかかわらず、会社の形態によって最低資本金額が定められている。

最低資本金額

  • 株式非公開会社(Zrt):500万フォリント(現物出資でも可能)
  • 株式公開会社(Nyrt):2,000万フォリント
  • 有限会社(Kft):300万フォリント(現物出資でも可能)
  • その他:合名会社、合資会社については、最低資本金の規定はない。

その他規制

国内外企業を問わず、金融保険業、飲食業、医療サービス、賭博業などは監督当局から許可を得ることが必要。
たばこの小売販売は、営業権(コンセッション)を得た事業者のみが可能。また、こうしたたばこ小売事業者へ直接販売ができるのは、国から営業権を得た「たばこ供給会社(卸売会社)」のみ。たばこメーカーおよび輸入業者は、「たばこ供給会社」を通してのみ、国内販売が可能である。
小売業については、新規店舗建設、増築、賃貸などに関する規制がある。これらの措置は国内・外国資本を問わず、すべてに適用されるが、実際には規模や売上高の高い外資系の小売りチェーンが最も大きな影響を受けている。

小売業の店舗に関する規制(「プラザ・ストップ」と呼ばれている)

  1. 建設、増築の場合
    小売業の場合、400平方メートルを超える新規店舗建設および増築は原則禁止。
    例外扱いを求めるためには、政府内の小委員会に申請しなければならない。小委員会の審査結果を基に、中央政府ハイドゥ・ビハル県地方局が最終決定する。決定に対し異議申し立てがあった場合は、ヘヴェシュ県地方局が最終決定する。
    増築については、既存店舗床面積と併せて400平方メートル超になる場合は原則禁止となる。
  2. 改築の場合
    2018年8月から、改装の場合も建設当局の許可が必要になった。許可申請の際は、中央政府ハイドゥ・ビハル県地方局の意見書の添付が必要(背景:外資系スーパーが規制回避のために、ハンガリー資本スーパーの既存店舗を買収し、その後改装してリニューアルオープンするという方法への対抗措置である)。
  3. 賃貸・所有権移転の場合
    2025年9月から、400平方メートルを超える不動産において、食料品や日用品の小売販売店を設置・運営する目的で賃貸契約を締結したり、所有権を移転(不動産の売買)したりする場合も、事前に「用途変更許可」の取得が義務付けられた(背景:既存の建物をそのまま賃借して開店するケースを規制するのが目的。いわゆる「プラザ・ストップ」政令2018年143号を改正)。