外国企業の会社設立手続き・必要書類

最終更新日:2026年01月27日

外国企業の会社設立手続き・必要書類

設立文書(定款)、外国企業の参加がある場合はその企業の会社登記簿の抄本と公式翻訳文などを企業裁判所(Company Court)に提出して登記を行う。企業裁判所への書類提出(登記、変更、解散など)は、すべてハンガリー弁護士会に登録されている弁護士を通して行わなければならない。なお、手続きは電子化されている。

設立手順

企業を設立する場合、設立証書(定款)などの文書を作成し、企業裁判所に提出して登記を行う必要がある。また、ハンガリー商工会議所(MKIK)に会社の名称、本社所在地など基本的な情報を登録し、拠出金年5,000フォリントを納付する必要がある。

企業裁判所への書類提出は電子化されており、ハンガリー弁護士会で登録されている弁護士を通じて行われる(弁護士の副署は必須)。以前利用されていたWordベースの定款雛形は2025年3月をもって廃止され、現在は国指定のソフトウエアを用いた電子フォーム(XML形式)による申請が義務付けられている(電子フォーム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

登記完了までの期間は、この電子フォームを用いた「簡易登記手続き」を利用し、書類不備や課税番号の照会などに問題がなければ、申請受領から最短で1~2営業日以内に登録が行われる。ただし、個別の定款を作成する通常登記の場合は、従来どおり15営業日程度を要する。

登記申請に必要な基本書類

  1. 設立証書(定款):会社の名称、本社所在地、設立者、主要事業内容、資本金、出資者、代表者の名前、監査役会、会計士の名前など。
  2. 事業ライセンス:許可が必要な場合のみ。
  3. 商号予約書:予約している場合のみ。
  4. 外国企業の参加がある場合:外国企業の会社登記簿の抄本およびその抄本の公式翻訳文(3カ月以内に発行されたもの)
  5. 代表者と企業間に利益上の争いがない旨の代表者による宣誓書
  6. 電子署名および認証された署名の見本を示す文書
    ※EUの電子的な本人確認・認証・信頼サービス(eIDAS)規則に基づき、特定の電子署名が認められるほか、副署する弁護士によるビデオ通話を通じたリモートでの本人確認・署名認証も可能となっている。
  7. 非現金出資として不動産が会社に譲渡された場合:その不動産登記書の抄本(3カ月以内に発行されたもの)
  8. 登記手続きおよび登記した旨を政府出版物に公示するための費用の支払いを証明する文書
  9. (法律上の)代表者からの法定代理人の委任状、資本金の支払い(最低資本金が決められている場合)
  10. 付加価値税申告書(課税番号付き)

(留意点)外資企業による子会社設立にあたっては、多くの場合で所管大臣の審査を受け承認される必要がある。詳細は本章の末尾「その他」の項を参照。

有限責任会社(Kft)

基本書類1.~10.に加え、次の文書が必要。

  1. 出資者の登録書
  2. 出資金の支払いに関する金融機関の証明書、もしくは法定代理人などに証明された代表者による出資金支払いの宣言書
  3. 会社による非現金出資の使用が可能であることを証明する文書(代表取締役が作成)

公開株式会社(Nyrt)

基本書類1.~10.に加え、次の文書が必要。

  1. 出資者の登録書
  2. 資本金の支払いに関する銀行証明書
  3. 設立計画書
  4. ハンガリー金融機関監督機関が承認した、会社情報が記載された文書
  5. 設立者総会の招請がなされたことを証明する文書
  6. 設立者総会の記録および出席者表
  7. 設立時資本割り当ての支払いに関する銀行の証明書
  8. 会社による非現金出資の使用が可能であることを証明する文書(代表取締役が作成)
  9. 監査人による非現金出資の評価

非公開株式会社(Zrt)

基本書類1.~10.に加え、次の文書が必要。

  1. 設立時資本割り当ての支払いに関する銀行の証明書
  2. 会社による非現金出資の使用が可能であることを証明する文書(代表取締役が作成)
  3. 監査人による非現金出資の評価

外国企業の会社清算手続き・必要書類

債務超過状態になければ、株主総会で解散を決議、また清算人を選出し、その後、清算人が債権、債務、財産等を清算し、解散する。

概要

会社を解散する場合、債務超過状態になければ株主総会で解散の決議を行い、清算人を選出する。その後、解散、清算人の登記を行い、清算人が債権、債務、財産等を清算する。清算がすべて終了した後、抹消登録をして完了となる。
この方法は「任意解散(voluntary dissolution)、任意清算(voluntary liquidation)」と呼ばれ、日本の「通常清算」に相当する。

任意解散は「新民法典」(Act V of 2013. on the Civil Code、法人についての規定は第3法典)で規定される。手続きに関する細則は「会社公開情報、登記裁判所手続き・解散手続き法」(Act V of 2006 on Publicly Available Company Information, Company Court Procedures and Solvent Liquidation)第8章で規定される。

一方、債務超過にある会社が清算を行う場合は、「破産・清算法(Act XLIX of 1991 on Bankruptcy Proceedings and Liquidation)」が適用される。

任意解散の主な流れ

  1. 解散決議、清算人の選任(株主総会)
    株主総会で、解散決議、および清算人選任の決議を行う。決議の採択とともに、代表取締役はその地位を失い退任することになる。代表取締役に代わり、清算人が会社の代表として今後の清算事務を行う。営業行為は停止となる。
  2. 解散登記と事業決算書等の作成
    1. 企業裁判所への解散登記申請 (清算人)

      清算人は、会社の解散決議後15日以内に、本社所在地を管轄する企業裁判所(Company Court)に解散登記を申請する。また租税当局にも通告する。企業登記裁判所は、申請を15日以内に審査、判断する。裁判所が申請を認めた場合は、裁判所が電子的に租税当局に報告する。

      なお、解散登記申請の書類上の主な記載事項は次のとおり。

      • 株主総会の決議によって解散する旨とその年月日
      • 清算開始の日
      • 清算人の任命に関する決議
      • 清算人についての情報(自然人の場合は、名前、税番号、住所、出生地、母親の名前)
      • 元代表取締役等の退任
    2. 解散決議前までの会社事業についての報告書作成(元代表取締役)

      a.と並行し、会社の元代表取締役は、清算手続き開始30日以内に、主に次の書類作成、通告を行う。これらの事項を怠った場合は、元代表取締役は法的責任が問われる。

      • 解散日までの会社の事業決算書、貸借対照表の作成
        * これを基に、清算人は清算貸借対照表を作成する。
      • 文書目録の作成。
      • 従業員に対して、清算手続きを開始する旨の通告を直ちに行う。
  3. 解散公告(企業裁判所)、関連当局への通告(清算人)
    企業裁判所は、解散登記を認めた後、清算手続きの開始を企業官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで公告する(解散公告)。
    この解散公告には、清算対象の会社名、本社住所、税番号、会社登録番号などの基礎的情報のほか、債権者に対して40日以内に債権取り立ての申し立てを行う旨などが記載される。
    また、清算人は解散公告後15日以内に、不動産管理当局、地元の雇用安定所、環境保護当局、口座を保有する金融機関等に、会社の解散登記を行ったことを通告する。
  4. 債権回収、債務弁済、財産の清算(清算人)

    清算手続き中の清算人の主な任務は次のとおり。

    1. 会社の財産の評価、目録の作成(解散決議時点でのすべての財産、また清算手続き開始後に取得した会社財産のすべてが、清算の対象になる)。必要に応じ、財産の換価処分(財産を売却し資金に替える)。
    2. 債権の取り立て、回収
    3. 債務の弁済(未払い金や、金融機関からの借入金の返済)

    * 清算が開始1年以内に結了しない場合は、会計法に従い毎会計年度に決算と税申告を行わなければならない。また、企業裁判所に対し、清算手続きが延びている理由、および結了の予定時期を伝えなければならない。
    * 債権者への返済が完了するまでは、出資者への財産分配は禁止される。

  5. 清算結了

    清算が結了した場合、清算人は主に次の書類をとりまとめ、株主の承認を受ける。

    1. 税申告書
    2. 最終事業年度の決算書等
    3. 残余財産の分配に関する提案(清算人への報酬も含まれる。また、財産分配は市場価値で行われる)
    4. 清算事務決算報告書

    清算人は、企業裁判所に登録抹消を申請する。その際、株主総会で承認された解散関連文書を付記する。企業登記裁判所は、租税当局から会社に税の未納・滞納、処分措置の問題がないとの報告を電子的に受けてから、登録を抹消する。
    なお、租税当局による企業裁判所への報告は、清算人の要請がなくても自動的に行われる。

その他留意点
  • 清算手続きが3年以内に完了しない場合は、裁判所が「強制解散(involuntary dissolution, forced liquidation)」を命じる。
  • 清算手続き開始後は、会社名の後に"v.a."を付ける(ハンガリー語で「清算手続き下にある=vegelszlalmolas alatt」の略)。
  • 会社が清算手続き下にあるかどうかは、「企業官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(ハンガリー語のみ)で検索できる。

その他

外資企業によるハンガリー国内の企業の株式取得、または子会社設立にあたっては、多くの場合で所管大臣への届け出が義務となっており、審査を受け承認される必要がある。審査には「一般FDI制度(国家安全保障投資審査)」と「特別FDI制度(戦略的セクター投資審査)」がある。

一般FDI制度(国家安全保障投資審査)

国家安全保障に直結する特定分野への第三国投資家による出資について、所管大臣への事前届け出を義務付け審査する制度。

  1. 法的根拠
    「国家安全保障を損なう外国投資家の考査に関する法律」(2018年制定 LVII号)
  2. 対象投資家
    第三国企業(日本、米国、中国などEU/EEA/スイス以外の国)
    ※第三国資本が実質的に支配するEU域内法人も対象となる可能性がある。
  3. 内容
    武器・軍事技術、諜報関連、デュアルユース物品、一部の金融サービス、エネルギー、水道、通信などでの投資を審査。
    1. 届け出条件: 直接・間接的に株式の25%以上(株式公開会社Nyrt.は10%以上)の取得、または民法上の支配的影響力の確保、新規子会社設立の場合。
    2. 所管:内務大臣
    3. 審査期間:原則60営業日以内。所管大臣は国家安全保障上のリスクを理由に投資を禁じることができる。禁止決定には異議申し立てが可能。

特別FDI制度(戦略的セクター投資審査)

幅広い経済分野を「戦略的セクター」と定め、外資参入を監視する制度。

  1. 法的根拠
    ウクライナ情勢等に伴う非常事態下で導入された政令(561/2022号等)を法制化した「2025年法律第L号」(2025年8月19日施行)。※2020年以降の新型コロナ禍や、ウクライナ侵攻の非常事態宣言下で暫定的に「政令」として導入されていた広範な投資審査制度を、2025年8月に「法律」として再整備したもの。
  2. 対象投資家(届け出義務の対象者)
    すべての外資。ただし第三国企業にはより厳しい届け出義務が課されている。
    1. 第三国企業(日本、米国、中国などEU/EEA/スイス以外の国)の届け出条件:株式5%以上かつ投資額3億5,000万フォリント以上を取得する場合(株式公開会社Nyrt.は3%以上)。ただし、取得する株式割合や額に関わらず、取得後の累計出資比率が10%、20%、50%の「しきい値」を超える場合。
    2. EU/EEA/スイス企業の届け出条件: 株式または議決権の過半数(50%超)を取得し、支配権を得る場合。
  3. 内容
    審査対象は「戦略的セクター」として極めて広範に設定されている。製造業(車両、電気機器、電子機器、食品飲料、化学、医薬品、金属加工、機械など)、小売、物流、通信(出版、放送、コンテンツ配信など)、ヘルス、ホスピタリティーなどが含まれる。※同法付属書1にリストが記載されている。
    1. 所管:国家経済大臣
    2. 審査期間:原則30営業日以内(特定分野や複雑な案件では延長可)。
    3. 法律の期限:現在の規定では2026年12月31日まで適用される予定。

なお、正式名称ではないが、英語の実務用語として、「一般FDI法」はGeneral FDI Regime、「特別FDI法」はSpecial FDI Regimeと呼ばれている。