外資に関する奨励

最終更新日:2025年12月27日

奨励業種

自動車・同部品、電気自動車(EV)および車載電池関連、バイオテクノロジー・製薬、エレクトロニクス、食品、再生可能エネルギー、ITサービス、ロジスティクス、シェアードサービスセンター(SSCもしくはBSC)を含む全業種。

現政権(オルバーン・ビクトル首相)は2010年の発足以来、工業立国を目指し、特に雇用増大や国内サプライヤーの成長、輸出増加につながる投資を重要視してきた。
近年は、電気自動車(EV)・車載電池関連や高付加価値製品の製造、生産工程のデジタル化などに結び付く投資事業の誘致に力を入れている。

各種優遇措置

返済不要の補助金、法人税の一部免除など。優遇措置の総額が投資総額に占める割合の上限は、EU規制に準拠している。

概要

主な優遇措置は次のとおり。

  1. 政府が案件ごとに額を決定する「個別補助金」(VIP cash subsidy):[1]資産投資向け、[2]サービスセンター向け、[3]職業訓練向け、[4]研究開発向けがあり、組み合わせも可能。
  2. 開発のための税優遇措置(法人税の最大80%免除)
  3. EUとハンガリー政府の共同資金援助

各種の優遇措置を受けるには、外国・ハンガリー資本の区別なく、投資額などの条件を満たしていなければならない。雇用創出条件は2020年1月に、国内失業率の低下に伴い、廃止もしくは緩和された。また、EUの国家援助規制に従い、これら優遇措置の総額が投資総額に占める割合の上限は、地方ごとに決められている。2021~2027年のEU中期予算開始を受け、補助率は地域により0%、30%、50%、60%となっている。
基本的な考え方として、国内北東部、東部など開発が遅れ、失業率も全国平均を上回る地域での投資に対しては、優遇措置を受ける条件が緩和され、より手厚い支援が施される。逆に、首都ブダペスト市、その周辺、および国内北西部など、開発が進んでいる地域での投資に対しては、条件も厳しく、補助率も低くなっている。

なお、国から「優先的投資」の指定を受けた場合、各種許認可の取得がスピードアップされるといった「VIP待遇」を受けられる。

個別補助金(subsidy based on individual government decisionVIP cash subsidy“)

政府が投資案件ごとに内容を審査する「返済不要の補助金」。

  1. 資産投資に対する補助金
    土地取得、建築費あるいは期間中の建物賃料、インフラ整備費、新たな設備および機械、無形資産の購入費が対象。2025年の改正により、低開発地域への投資額下限が大幅に引き下げられた。また、義務的運営期間中の条件もより柔軟になった。
    1. 投資額
      1. 低開発地域(11県):200万ユーロ以上(例:ボルショド県、バラニャ県、ザラ県など)
      2. 中・高開発県内の村:300万ユーロ以上(例:ペシュト県、ジュール県、フェイェール県などに属す村)
      3. 開発レベルが中程度の都市:500万ユーロ以上(例:ミシュコルツ市、ペーチ市、ニーレジハーザ市など)
      4. 主要都市:1,000万ユーロ以上(例:ジュール市、セーケシュフェヘールヴァ―ル市、ケチケメート市など)
    2. 補助金受給の条件(コミットメント)
      補助金受給後、一定の「義務的運営期間(モニタリング期間)」中に以下の条件を達成する必要がある。※義務的運営期間:大企業は5年間、中小企業は3年間。
      1. 基本義務
        期間中の累計で売上高1,500万ユーロ以上、賃金総額200万ユーロ以上の増加が必要。
      2. 選択義務(以下のいずれか1つ達成)
        義務的運営期間中、[1]1人当たりの売上高30%増(投資前年度比・各年平均)、[2]1人当たりの賃金コスト30%増(投資前年度比・各年平均)、[3]新規雇用25人以上(学生・実習生の算入も可能)のいずれかを達成すること。※前年度の従業員数が50人未満の場合は、ハンガリー投資促進庁(HIPA)と個別交渉が可能。
      3. 追加条件(以下から2つ以上選択して履行)
        義務的運営期間中、[1]10人以上のR&D職の創出、[2]使用エネルギーの30%以上を自社製再生可能エネルギーで供給、[3]デュアル教育・実習生の受け入れ(10人増)、[4]R&D費用の30%増加、[5]半径100km以内の地元サプライヤーからの調達比率30%以上、[6]HIPAが実施するサプライヤー開発活動への協力
    3. 補助率
      最大補助率は地域援助マップに基づき、地域ごとに定められている(0%、30%、50%、最大60%)。
  2. シェアードサービスセンター(SSCもしくはBSC)の設置・拡大に対する補助金
    高付加価値サービス(経理、IT、人事など)を提供するビジネスサービスセンター(BSC)の設立を支援する。※2025年の改正で新規雇用要件は従来の「50人以上」は半分に緩和された。
    1. 投資額
      条件なし
    2. 条件
      25人以上の新規雇用
    3. 補助率
      最大補助率は、地域により異なる。
  3. 職業訓練事業に対する補助金
    従業員のスキルアップを目的とした研修費用を支援する。2025年の改正により、新規投資プロジェクトを伴わない単独の研修でも申請可能になった。
    1. 対象
      投資企業+直接所有者合計従業員100人以上の中堅・大企業対象
    2. 条件
      1. 研修費用総額は25万ユーロ以上
      2. 受講者は25人以上
    3. 補助内容
      1. 職業訓練事業費用の最大50%(補助金の上限額は300万ユーロ)
      2. 従業員1人当たり最大5,000ユーロ
      3. 補助事業の最大期間は36カ月
  4. 研究開発(R&D)に対する補助金
    2025年10月から、これまでの「運営費補助(プロジェクト型)」に加え、「資産投資補助(センター設立型)」が導入された。
    1. 投資額
      100万ユーロ以上
    2. 条件
      1. 従業員50人以上
      2. 10人以上の新規雇用(うち50%以上は高等教育学位保持者)。
      3. (センター設立型の場合)ハンガリー国内の高等教育機関(大学など)との新しいR&D協力協定の締結。
    3. 補助内容
      1. プロジェクト型:R&D運営費(人件費など)の最大50%(ただし上限2,500万ユーロ)。
      2. センター設立型:地方での拠点設立にかかる資産投資(建設・設備)を補助対象に含めることが可能。

開発のための税制優遇措置(development tax allowance、法人税の一部免除)

法人税を最大80%減額できる税制優遇策。「個別補助金(VIP cash subsidy)」と併用は可能だが、その合計額(現金補助+税額控除の現在価値の合算)がEUの国家援助規制に基づく地域別の補助上限率を超えてはならない。

  1. 対象となる事業
    例として、以下がある。
    1. 30億フォリント以上の投資(指定地域での投資の場合は10億フォリント以上)
    2. 研究開発事業で1億フォリント以上の投資
    3. 環境保護事業で1億フォリント以上の投資
    4. 雇用創出につながる投資(投資額の要件はなし)
    5. 中小企業のうち、小規模事業者の場合5,000万フォリント以上、中規模企業の場合1億フォリント以上の投資(『小規模事業者』は従業員50人未満、売上高1,000万ユーロ以下、『中規模事業者』は同250人未満、年間売上高5,000万ユーロ以下)

    ※2020年1月から、新規雇用、賃金費用増加の要件はない。しかし原則として、投資開始前3年間の平均従業員数を、法人税一部免除の開始から4年間は維持しなければならない。

  2. 免除内容

    投資プロジェクト完了後、最大13年にわたり、法人税の最大80%を免除する。免税率は、投資総額などによる。

エネルギー効率化投資事業に対する法人税一部控除

エネルギー効率化を目的とした投資、改修事業に対して、法人税の最大70%控除を申請できる。
税額控除は、ブダペスト市の場合、対象費用の30%まで。それ以外の場所は45%まで。小規模事業者の場合はさらに20%上乗せ、中規模事業者の場合は10%上乗せが可能。ただし、いずれの場合も上限は3,000万ユーロ。

EUとハンガリー政府の共同資金援助(EU-co-financed tenders

返済不要の補助金。「個別補助金」(VIP cash subsidy)が政府との1対1の交渉であるのに対し、EUとの共同ファイナンスは公開入札(Tender)方式で決定する。条件は個別に発表される。EUの現中期予算(2021~2027年)に基づいて、例としてデジタル化推進などのためのGINOP Pluszなどがある。

EU規制による、各地方の国家補助許容上限率

EUの国家援助規制に従い、優遇措置の総額が投資総額に占める割合の上限は、地方ごとに決められている。開発が進んでいる地域には補助が与えられない。2024年から一部地域の補助上限率が引き上げられ、低開発地域、失業率の高い地域の上限は60%と高くなっている。

その他

研究開発事業に関する税の控除。
クリーン産業向けのインセンティブ措置(CISAF、2026年から)。
バッテリー式電気自動車(BEV)購入奨励の補助金(2026年2月末まで)。

研究開発(R&D)事業に関する税の控除

研究開発などの事業に関しては、人件費などの経費が税額控除の対象となる。

クリーン産業向けのインセンティブ措置(CISAF)

欧州委員会は2025年6月、クリーン産業への移行加速と欧州の競争力強化を目的とした「クリーン産業ディール国家補助枠組み(Clean Industrial Deal State Aid Framework):CISAF」を採択した。これに基づき同年12月、ハンガリーでも戦略的投資を支援する総額41億ユーロの支援プログラムが承認された。本制度は、2025年末に終了した従来のグリーン産業支援「暫定危機・移行枠組み(TCTF)」を実質的に引き継ぎ、さらに拡充したものである。

  1. 支援内容:助成金の直接提供(返済不要)または税制上の優遇措置、もしくは両方。
  2. 対象:EUの「ネットゼロ産業法(NZIA)」が規定するクリーン技術、およびその主要部品の製造。
    1. 例:バッテリー、太陽光パネル、風力発電用タービン、ヒートポンプ、水素製造用の電解槽、炭素回収・利用・貯留(CCUS)など。
    2. 原材料:前記に関連する「重要な原材料(クリティカル・マテリアル)」の生産およびリサイクルも対象。
  3. 支援上限:
    1. ブダペスト市内:1億5,000万ユーロ
      補助率上限は、大企業は15%、中規模企業は25%、小規模企業は35%
    2. ブダペスト市以外の場所:3億5,000万ユーロ
      補助率上限は、大企業は35%、中規模企業は45%、小規模企業は55%
  4. 期限:援助に関する契約締結は2030年12月末まで。
  5. その他:従来のTCTF制度と同様、投資完了後、一定期間の施設運営が義務付けられる(義務的運営期間)。期間は大企業は5年間、中小企業は3年間。

EV購入のための補助金

政府はバッテリー式電気自動車(BEV)の普及のため補助金制度を実施しており、直近では2024年2月から企業向けに実施。総枠で400億フォリント。

  1. 対象:BEVの乗用車、バン、ミニバスの購入
  2. 補助金額:1台につき280万~400万フォリント(返済不要)。金額はバッテリー容量による。
  3. 企業規模による購入可能台数:
    1. 個人事業主および零細(従業員9人まで):1台
    2. 小規模(同従業員10~49人):5台
    3. 中規模(同50~249人):10台
    4. 大規模(同250人以上):16台
  4. 申込受付期限:2026年2月末