超過利益税を含む強化課税策が明らかに、開始は7月1日

(ハンガリー)

ブダペスト発

2022年06月15日

ハンガリー政府は、5月26日に特定業種に対して超過利益税を導入することを発表したが(2022年6月10日記事参照)、その他の新たな強化課税策を含む政令が6月4日付の官報PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で公布された。施行は7月1日。

企業に直接影響を与える項目には、社用車に対する課税の引き上げがある。自動車の性能や環境対応区分によって規定されている税額が、これまでの7,700~4万4,000フォリント(約2,772~1万5,840円、1フォリント=約0.36円)から1万4,000~8万1,000フォリントと、約2倍になる(添付資料表1参照)。企業はこの差額を2022年7月1日から12月末日まで毎月納付する。

また、7月1日から電気、灯油、自動車用燃料、石炭、液化石油ガスに対する物品税は、約15.5%程度引き上げられる。

2022年から適用される7つの産業分野(2023年から課税される広告を除く)に影響する超過利益税/追加課税の詳細も、同政令で定められた(添付資料表2参照)。ナジ・マールトン経済発展担当相は、6月5日の公共ラジオのインタビューで、「企業が超過利益税のコストを消費者に転嫁しないよう、政府が常に観察」することを再び強調し、転嫁した場合は「迅速かつ強固な措置を取る」とした。

加えて、7月1日からは、「不健康な」食品に対する国民健康製品税も上昇する。例えば、加糖飲料の税率は、現在の1リットル当たり15フォリントから23フォリントになる。エナジードリンク、塩味のスナック、フレーバービールなども対象。

そのほかにもビジネスに影響がある制度変更を予定

超過利益税以外にも、中小企業に影響を与える制度の変更が2つ発表されている。1つ目は、現在、政府が小規模企業(売上高40億フォリント以下、従業員10人以下)に対して認めていた、電気・ガス料金の補助を、今後は個人事業主に絞る方針とした。諸経費削減のルールはもともと一般家庭のために導入されたもので、「新型コロナ危機」を受け、2021年末に中小企業を対象に含めることを認めた特別措置だったことが理由。2つ目は、政府が2020年末に導入し、2021年末に延長した、中小企業に対する地方事業税の50%減額は、2022年末までに終えることだ。これは2023年度国家予算案の正式提出後、バルガ・ミハーイ財務相が国会での記者会見で記者からの質問に答えて明らかになった。

現在、価格上限が主要食料品(2022年1月18日記事参照)や燃料に対して設定されているが、その終了期限はこれまで延長され、現在は6月30日まで有効だ。その再延長措置については政府が間もなく決定することになるが、ビジネスニュースポータル「g7.hu外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が実施したオンライン調査(6月8日公開)によると、国内の乗用車所有者の半数以上が「ガソリンが市場価格で788フォリント(6月6日現在、ディーゼルでは771フォリント)になると払うことができず」、乗用車所有者の3分の2は「ガソリン価格が800フォリント以上になれば、車を全く使わなくなる」と回答している。

(バラジ・ラウラ)

(ハンガリー)

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