日本からの輸出に関する制度

コメの輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義するコメのHSコード

1006.20 :玄米
1006.30 :精米(研磨の有無またはつや出しの有無を問わない)
1102.90 :米粉など(小麦粉およびメスリン粉、とうもろこし粉、大麦粉および裸麦粉などを除く)
19049010:コメの調整食料品(あらかじめ加熱による調理その他の調製をしたもの)

調査時点での最新の情報を記載していますが、2021年4月以降混合食品含め、植物衛生、動物衛生、公的管理の規則が新制度に移行されたため、記載事項は常に変更される可能性がある点に留意してください。
2021年4月以降に施行された新制度については、ジェトロ「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」も参照してください。

関連リンク

根拠法等
規則(EEC)No 2658/87(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
その他参考情報
財務省貿易統計外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロレポート「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」

EUの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2021年9月

なし

また、本項目に関して、主要加盟国(ドイツ、フランス、イタリア、オランダ)において、EU規制に上乗せで課される独自規制は確認されていません。

ただし、パックご飯の原材料に動物由来加工製品が含まれている場合には、混合食品規制の対象になりますので、注意が必要です。混合食品に関する規制は、EU ポータルサイト「混合食品」を参照してください

※本項以降では、EU規制に加え、主要EU加盟国がEU規制に上乗せで定めている独自規制についても言及していますが、これは、ジェトロで把握できた範囲において言及しているものであり、各国の独自規制を網羅しているものではありません。また、各項目で明示的な言及がない国については、記載できる情報がないということであり、独自規制が存在しないということではありません。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2021年9月

コメを日本から海外へ、販売などの目的で輸出する場合は、「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」(食糧法)第36条に基づき、事前に最寄りの農政局管内の窓口へ輸出数量の届け出を行うことが義務付けられています。届け出を行わなかったり、虚偽の届け出によりコメを輸出したりした場合には、20万円以下の過料に処せられることがあるため注意が必要です。個人的使用に供するために非商業的に輸出される米穀や、コメ加工品(レトルト米飯、米粉など)は届け出の必要はありません。詳細は関連リンクの「米麦等を輸出される方へ」(農林水産省)を確認してください。

パックご飯の原材料に動物由来加工製品が含まれている場合には、混合食品規制の対象になりますので、注意が必要です。混合食品に関する規制は、EU ポータルサイト「混合食品」も参照してください。

その他、通常の船積み書類、通関書類が必要です。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2021年9月

日本からEUにコメを輸出する場合、特別な検疫上の措置は求められません。植物検疫証明書の取得も不要です。ただし、栽培用のコメについては植物検疫証明書が必要となります。

ただし、パックご飯の原材料に動物由来加工製品が含まれている場合には、混合食品規制の対象になりますので、注意が必要です。混合食品に関する規制は、EU ポータルサイト「混合食品」も参照してください。

また、本項目に関して、主要加盟国(ドイツ、フランス、イタリア、オランダ)において、EU規制に上乗せで課される独自規制は確認されていません。

関連リンク

関係省庁
欧州委員会 保健衛生・食の安全総局(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
植物防疫所外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
実施規則(EU)2018/2019外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則 (EU) No 2016/2031(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
実施規則(EU)2019/2072(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
その他参考情報
植物防疫所 輸入規則等詳細情報 欧州連合(EU)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(243 KB)

EUでの輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2021年9月

EUの共通農業政策(CAP)保護対象農産品の輸入規則により、玄米または精米を、1トンを超えて輸入する輸入事業者は、事前に輸入ライセンスを取得する必要があります(委員会委任規則(EU)2016/1237)。ただし、輸入関税割当制度を利用する場合は、輸入する重量にかかわらず、ライセンスの取得が必要です(輸入関税割当制度については「輸入関税等」の「1. 関税」の項を参照)。玄米または精米の輸入ライセンスを取得するには、1トンあたり30ユーロの担保の預入が求められます(輸出額が100ユーロ以下の場合は不要)。

輸入ライセンスを取得すると、輸入の許可と同時に義務も負います。輸入量の実績が許可された量の±5%以内であれば、輸入義務が果たされたとみなされます。輸入義務が果たされなかった場合、預け入れた担保は払い戻されません。
輸入ライセンスを取得した輸入事業者には、当該ライセンスに定められた有効期間内に、当該ライセンスで定められた数量(±5%)を輸入することが認められます。輸入ライセンスは、貨物が税関に到着するまでに取得する必要があります。

また、輸入ライセンスの有効期間は、取得した月から2カ月後の月末までとされています。輸入関税割当制度を利用する場合は、輸入ライセンスの申請受付期間が限定されているため、注意が必要です。 輸入ライセンス効力の対象国は「国」ではなく「EU域内」のため、輸入ライセンスを取得すれば、ライセンス取得国のみならず、EU全体への輸入が可能です。
ライセンスは、電子申請が可能です。申請様式は、欧州委員会規則(EU)No 2016/1239 ANNEX Iに定められています。

フランスの場合、仏農業・食料省管轄のFranceAgriMer(仏農業省関連機関Etablissements National des Produits de l'Agriculture et de la Mer)が管轄しており、輸入ライセンス(Certificat d’importation AGRIM)をFranceAgriMerに申請・取得する必要があります。申請書に必要事項を書き込み、社印を押印し、保証金の支払いと合わせて郵送します。申請書が受理されると、後日、輸入許可が送付されます。最初の申請の場合には輸入業者の3カ月以内に入手したK-bisのオリジナル(登記情報)、銀行情報(RIB)、社名入りレターヘッドなども必要となります。

その他、パックご飯など、原材料に動物由来加工製品を含む場合には、混合食品規制が適用されますので、EU ポータルサイト「混合食品」を参照してください。

関連リンク

関係省庁
欧州委員会 貿易ヘルプデスク(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
フランス FranceAgriMer(仏語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
規則(EU)No 2016/1237(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EU)No 2016/1239(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
その他参考情報
フランス 農業・食糧省 輸入ライセンスの入手(仏語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
AGRIMER 輸入ライセンス申請書(仏語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(38KB)

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2021年9月

日本からEU域内にコメを輸入する際に、次の書類が必要になります。

  1. 通関申告書(単一管理文書 (SAD : Single Administrative Document)) EU域外の第三国とのすべての輸出入手続きに必要な共通申請書。様式は委員会実施規則(EU) 2016/341 Appendix B1に記載されています。
  2. インボイス(商業送り状)
  3. パッキングリスト(包装明細書: P/L)
  4. 価格申告書(Customs Value Declaration) CIF価格が2万ユーロを超える場合、SADとあわせて価格申告書の提出を求められます。様式は規則 (EU) 2016/341 ANNEX 8に記載されています。
  5. 船荷証券(Bill of Lading: B/L)/航空運送状(Air Waybill: AWB)その他保険書類など

有機製品の場合、共通衛生入域文書(Common Health Entry Documents: CHED)
その他、原材料に動物由来加工製品を含む場合には、混合食品規制が適用され、共通衛生入域文書(CHED-P)および公的証明書/自己宣誓書が必要となります。詳細は、EU ポータルサイト「混合食品」を参照してください。

貨物の到着1日前までに共通衛生入域文書(CHED : Common Healthy Entry Document)をTRACES などの電子システム経由で国境管理所(BCP:Border Control Post)に通知する必要があります。

関連リンク

関係省庁
欧州委員会 保健衛生・食の安全総局(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
規則(EU)No 2017/625 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
規則(EU)No 2016/341(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
欧州委員会 TRACES(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会 BCPs(指定国境管理所)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会 各加盟国の国境検査所 BCPs(動物検疫)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2021年9月

EUに日本からコメを輸出する場合、特別な検疫上の措置は求められませんが、規則(EU)No 2017/625第44条および第47条に基づき、国境管理所に到着するすべての輸入検疫対象貨物に対し、書類検査が実施され、リスクに応じて同一性検査(添付書類と貨物の同一性の確認)と現物検査(検査施設でのサンプル検査など)が実施されます。同一性検査と現物検査の実施率は、実施規則(EU) 2019/2129で定められており、混合食品の場合は、同一性検査100%、現物検査15%となっています。

残留農薬検査のサンプリング手法は、欧州委員会指令2002/63/ECに定められていますが、同指令の内容はCODEX(コーデックス委員会)の推奨するサンプリング手法を踏襲しているため、CODEXの手法と原則同じ内容です。
検査に要した費用は請求されます。

なお、パックご飯の原材料に動物由来加工製品が含まれている場合には、混合食品規制の対象になり、国境管理所(Border Control Posts:BCP)での公的管理(いわゆる輸入検疫)の対象となりますので、注意が必要です。混合食品に関する規制は、EU ポータルサイト「混合食品」も参照してください。

また、公的管理の強化期間中に同じ業者または国からの貨物が同じ違反を3回した場合は、欧州委員会は第三国の発送国の当局に対し必要な調査と是正を要請します。

4. 販売許可手続き

調査時点:2021年9月

コメの販売について、EUレベルでの規制はされていませんが、販売国ごとの規制を確認する必要があります。

ただし、EU域内で販売される食品については、欧州議会・理事会規則(EC)No 178/2002に基づきEU規制が求める衛生基準などとの同等性(輸出国と特定の合意がある場合はその合意事項)を満たす必要があります(同規則Article 11)。同規則では、食品がヒトの健康や環境に甚大なリスクをもたらす可能性があると判断された場合、EUが当該食品の上市停止などの緊急措置をとることが認められています(同規則Article 53)。

この衛生に関する要件(「衛生パッケージ」)は、欧州議会・理事会規則 (EC) No 852/2004 (一般食品衛生規則)、欧州議会・理事会規則 (EC) No 853/2004 (動物由来食品衛生規則)
そして、欧州議会・理事会規則 (EU) 2017/625(新公的管理規則)により補完されます。

また、コメそのものの販売には関連しませんが、動物性食品を使用するコメ調理品などの販売に関しては施設のHACCP衛生認可などが必要となる場合があります。詳細は関連リンクの「その他参考情報」にあるジェトロレポート「EU・フランスにおけるコメ調理品の流通規制調査」で確認することができます。

関連リンク

根拠法等
規則(EC)No 178/2002(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則 (EC) No 852/2004 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則 (EC) No 853/2004 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EU)No 2017/625 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
その他参考情報
ジェトロ「EU・フランスにおけるコメ調理品の流通規制調査」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

5. その他

調査時点:2021年9月

なし

EU内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2021年9月

関税および統計的分類表ならびに共通関税率に関する欧州理事会規則(EEC)No 2658/87では、共通関税を設定するために合同関税品目分類表(CN)とよばれる物品の分類表を設定しており、これはHSコードに相当します。そのため、当該合同関税品目分類表のCNコードの中から該当する品目の関税率を特定する必要があります。

なお、2019年2月から、日本からEUへの輸出品は、日EU経済連携協定の適用対象となりますが、コメは関税撤廃の対象外です。
2020年3月に実施規則(EU)2020/383により、玄米の輸入関税が65.00ユーロ/1,000kgから42.50ユーロ/1,000kgに引き下げられています。

玄米および精米が該当するCNコードと関税率
CNコード/品目 関税率
1006.20.9200
玄米のうち短粒種
42.50ユーロ/1,000kg
1006.30.9210
完全精米(研磨してあるかないかまたはつや出ししてあるかないかを問わない)
短粒種のうち、正味重量が5キログラム以下に包装されたもの
175.00ユーロ/1,000kg
1006.30.9220
完全精米(研磨してあるかないかまたは、つや出ししてあるかないかを問わない)
短粒種のうち、正味重量が5キログラム超20キログラム以下に包装されたもの
175.00ユーロ/1,000kg
1006.30.9290
完全精米(研磨してあるかないかまたは、つや出ししてあるかないかを問わない)短粒種のうちその他のもの
175.00ユーロ/1,000kg
1904.90.10
コメ由来の事前調理品
100kgあたり8.30% + 46.00ユーロ
1102.90.50
米粉など
138.00 ユーロ/1,000kg

なお、精米については、欧州委員会実施規則(EU)No1273/2011に基づき、米国、タイ、オーストラリア以外のすべての国の合計で年間1,805トンの輸入関税割当が設けられています。この割当の枠内に該当する輸入については、関税率がゼロに設定されます。
また、玄米については、同規則に基づき、従価税が15%とされており、うち、すべての国の合計で年間1,634トンの輸入関税割当が設けられています。なお、日本産の玄米の場合、通常、価格単価が高いため、関税割当を用いた場合の関税率よりも、通常の関税率の方が低くなる場合があります。

輸入関税割当を利用するには、輸入ライセンスを取得する必要があります。輸入ライセンスについては、「輸入手続き」の「1.輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)」の項を参照してください。

その他、関税率は、欧州委員会通商総局が提供する「Access2Markets」や税制・関税同盟総局が提供する「TARIC Consultation」などで検索できます。さらに、日EU経済連携協定(EPA)の原産地ルールや税率に関しても、「Access2Markets」で確認することができます。

関連リンク

関係省庁
European Commission Taxation and Customs Union (欧州委員会 税制関税同盟総局)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
規則(EEC)No 2658/87(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EEC)No 1273/2011(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
実施規則(EU) 2020/383(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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その他参考情報
欧州委員会Access2Markets (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会TARIC Consultation(関税検索ページ) (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
一般社団法人全日本コメ・コメ関連食品輸出促進協議会「令和元年度日本産コメ・コメ加工品輸出ハンドブック」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会 日EU・EPAガイダンス「特恵の要求、確認および否認」(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(454KB)
欧州委員会日EU・EPAガイダンス「原産地に関する申告」(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(481KB)
ジェトロ「経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定(日EU・EPA)ガイダンス要求、確認および特恵の否認(2019年12月更新版)(ジェトロ仮訳)」PDFファイル(722KB)
ジェトロ「経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定(日EU・EPA)ガイダンス原産地に関する申告(ジェトロ仮訳)」PDFファイル(711KB)

2. その他の税

調査時点:2021年9月

EUへの輸入には、輸入関税に加え、各国が独自に定める付加価値税(VAT)や物品税が課されます。これらの税率は国によって異なるため、最終消費国ごとに確認する必要があります。なお、VATに関する共通システムに関しては理事会指令2006/112において規定されています。加盟国ごとのヒトの消費用コメ、パックご飯、米粉などに適用されるVATの税率は次のとおりです。ただし、用途によって異なる税率が適用される場合がありますので、注意が必要です。

各加盟国のVAT税率
加盟国 税率 加盟国 税率
ベルギー 6% / 21% リトアニア 21%
ブルガリア 20% ルクセンブルク 3%
チェコ 15% ハンガリー 18% / 27%
デンマーク 25% マルタ 0%
ドイツ 7% オランダ 9%
エストニア 20% オーストリア 10%
アイルランド 0% ポーランド 5%
ギリシャ 13% ポルトガル 6% / 23%
スペイン 4% / 10% ルーマニア 9%
フランス 5.5% / 20% スロベニア 9.5%
クロアチア 25% スロバキア 20%
イタリア 10% フィンランド 14%
キプロス 5% スウェーデン 12%
ラトビア 21%

関連リンク

根拠法等
指令2006/112(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。

3. その他

調査時点:2021年9月

なし

その他

調査時点:2021年9月

有機食品に関する規制

EU域内で有機食品を第三国から輸入、販売するための要件およびそのラベル表示に関する規制は、欧州理事会規則(EC)No 834/2007および規則(EC)1235/2008で規定されていますが、新公的管理の規則(EU)No 2017/625に照らし合わせ、新規則(EU)2018/848が2021年1月1日から適用される予定でしたが、コロナ渦の影響により、規則 (EU) 2020/1693により2022年1月1日からの適用に延長されています

調査時点では、日本の有機JAS制度は、EUの有機制度との同等性を有するとみなされており、EU域内で「有機」として販売が可能な国のリスト(第三国リスト)に掲載されているため、同リストに掲載された有機JAS登録認定機関が発行する証明書を添付することにより、有機食品としてEU加盟諸国に輸出することが可能です。輸出時には当該証明書を、有機JAS食品に添付しなければなりません。なお、当該証明書は、2017年10月19日からTRACESシステムを用いて電子的に提出することが義務付けられており、証明書を発行する登録認定機関がTRACESに登録されている必要があります。

また、食品に「organic」などの語句を表示してEU域内で販売する際には、有機JAS登録認定機関の認証機関コード番号もラベル表示(事前包装されていない場合は当該商品に言及したボードなど)に記載しなければなりません。また、任意でEUの有機ロゴ(ユーロリーフ)の使用もできますが、日本から輸入した有機JAS認定食品の場合は「non-EU Agriculture」の表示もあわせて記載する必要があります。生産国が日本のみの場合は、「non-EU」を国名で代替・補足することも可能です。

EUの有機ロゴ(ユーロリーフ)

図:EUの有機ロゴ(ユーロリーフ)

日本の有機JAS制度はEUの有機制度との同等性が認められていますが、日本の有機JAS制度においては一部農薬(無機銅など)の使用が認められており、かつ残留農薬基準が日本よりEUのほうが低く設定されている場合があります。その場合は有機JAS農産物であってもEUの残留農薬基準を満たさない可能性があることについて留意が必要です。

なお、欧州理事会規則(EC)No 834/2007および欧州委員会規則(EC)No 889/2008に基づき、EU域内に有機食品を輸入・流通させるにあたっては、EU側の輸入者・販売者にも当局への登録、査察の受け入れ、証明書の保持などが義務付けられています。このため、輸出に際してはEU域内の相手方事業者がこれらの要件を満たす事業者であるかどうかについて確認を行うことも必要です。

前述のとおり、新公的管理の規則(EU)No 2017/625に照らし合わせ、新規則 (EU) 2018/848が今後適用されると有機の第三国との同等性の規則が失効されることが示唆されています。規則 (EU) 2020/1693によると、EU有機と日本の有機JASの同等性の失効期限は2026年12月31日までとなっているため、有機JAS制度を利用したEUへの有機食品の輸出ができなくなる可能性があります。