WTO・他協定加盟状況

最終更新日:2023年06月30日

WTO(1995年1月1日加盟、GATT加盟1986年8月24日)、NAFTA(1994年1月発効、北米自由貿易協定)、ラテンアメリカ統合連合(ALADI、1981年3月)、FTA締結国46カ国(日本とも2004年9月17日に経済連携協定(EPA)に調印し、2005年4月1日に発効)、CPTPP(2018年12月30日発効、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)、USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定、NAFTAを改定し2020年7月1日発効)

ラテンアメリカ統合連合(ALADI)

  1. メキシコはFTAのほか、ALADIの枠内で、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ、エクアドル、ペルー、キューバなどの中南米各国と、経済補完協定(ACE)を含む部分的到達協定(AAP)を締結し、特定品目について関税を一定の割合で相互に譲許しあっている。なお、ACE、AAPは2年、あるいは3年などの期限付きであり、満期ごとに更新するか否かを両国で決定している。詳細はALADIウェブサイト参照。
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  2. メルコスール加盟国(アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイ、パラグアイ)との間では、特に自動車や自動車部品等につき、相互に特恵関税を供与する協定(ACE 55)が発効している。なお、アルゼンチンとは2006年以降、ブラジルとは2007年以降、完成車貿易は完全に自由化されていたが、2012年3月に、ブラジルとの間で3年間の無税輸入枠が設定された。アルゼンチンとは、2012年6月には一時的に協定が停止したが、同年12月には3年間の無税輸入枠が設定され、2015年3月に同枠は4年間の再延長がなされた。2019年に3年間の再延長がなされ、2022年4月5日にはACE55号附属書Ⅰ(メキシコ‐アルゼンチン自動車協定)の第9次追加議定書が発効し、完成車の無税輸入枠(金額ベース)がさらに3年間延長され、2025年3月まで適用されることとなった。

    また、附属書Ⅱ(メキシコ‐ブラジル)の第7次追加議定書交渉は、第5次および第6次追加議定書が定める2019年3月18日の交渉期限に間に合わず、3月19日以降は完成車の無関税輸入枠(金額ベース)は撤廃されて自由貿易に戻った。ただし、完成車と自動車部品の域内原産割合(RVC)の閾値は35%から40%に引き上げられた。加えて、第6次追加議定書第2条の定める特定自動車部品のRVC軽減措置も同時に撤廃され、全自動車部品のRVCは40%となった。2020年6月25日、ACE55号付属書Ⅱ(通称「メキシコ‐ブラジル自動車協定」)の第7次追加議定書を締結し、対象に大型車両が加えられた。同年7月から3年間かけて段階的に大型車両の関税を相互に撤廃する。ACE55号付属書Ⅱが定める特恵関税の現行対象品目は、a)乗用車、b)車両総重量8,845キログラム以下の貨物自動車、c)農業用トラクター・建設用車両、d)自動車部品だが、これに車両総重量が8,845キロを超える車両を追加する。

    2022年3月18日、ACE55号付属書Ⅰ(メキシコ-アルゼンチン自動車協定の第7次追加議定書が締結され、翌19日に発効した。完成車や自動車部品の域内原産割合(RVC)の閾値(いきち)は、従来の35%が2025年3月18日まで維持される。2025年3月19日以降に適用されるRVCの閾値と計算公式については、今後、両国間で交渉して決定される(議定書第4条)。カーオーディオやギヤボックスなどの特定自動車部品に適用されていたRVCの軽減措置も継続される(第7条)。完成車の新モデルについての販売開始から2年間の時限的RVC軽減措置(20%)も変更がない(第6条)。第7次追加議定書の締結により、メキシコとアルゼンチンの間では完成車の無関税輸入割当も3年間維持されるが、その金額は2021年度(3月19日~翌年3月18日)の7億7,312万5,578ドルが変更されずに、今後3年間維持される。過去5年間のメキシコからアルゼンチンへの完成車輸出額をみると、2017年が最高の6億5,448万ドルで、それ以降は減少傾向だ。2017年時点の輸出額でも割当額の84.7%にすぎないため、影響は少ないとみられる。

    ジェトロ:メキシコ-ブラジル自動車協定(ACE55号附属書Ⅱ)対象品目リスト(HS2022版)
    表1:メキシコ-ブラジル自動車協定(ACE55附属書Ⅱ)対象品目(完成車)PDFファイル(129KB)
    表2:メキシコ-ブラジル自動車協定(ACE55附属書Ⅱ)対象品目(自動車部品)PDFファイル(249KB)

太平洋同盟(Alianza del Pacífico

チリ、コロンビア、メキシコ、ペルーの4カ国首脳は、2014年2月10日、コロンビアのカルタヘナで開催された第8回太平洋同盟首脳会議において、「太平洋同盟枠組み協定の追加議定書」(以下、追加議定書)に署名した。追加議定書は、2012年6月に署名された枠組み協定に基づき、加盟国間の貿易・投資の促進に向けた具体的な取り決めをまとめたもの。市場アクセスに関しては、92%の品目の関税が即時撤廃となり、残りの品目には段階的な関税削減スケジュールが設定されており、投資、サービス、政府調達などにおける内国民待遇といった広範な内容を含む自由貿易協定(FTA)となっている。追加議定書は、各国議会の批准承認を経て2016年5月1日に発効した。

太平洋同盟への加入は、現正規加盟国の4カ国と個別にFTAを発効する必要がある。特に、エクアドルは太平洋同盟への加入に意欲を示しており、2022年11月にメキシコで開催予定だった第17回太平洋同盟首脳会談での主要な議題の一つであったが、ペルー大統領の渡航中止により、急遽中止となった。そのため、2023年6月現在、エクアドルの正式加入については未承認のままである。

太平洋同盟は、既に二国間FTAを相互に締結し、自由貿易主義を標榜する4カ国が形成する経済統合の枠組みで、2012年6月6日に署名された枠組み協定に基づいて発足した。枠組み協定は、経済統合の目的や組織・体制などについて大まかに定めたもので、加盟国間の貿易・投資促進に向けた具体的な取り決めがなされているわけではなかった。枠組み協定の締結後、閣僚会合や次官級の高級事務レベル会合(GAN)、作業部会などを通じて交渉が行われ、貿易、投資、サービスなどの分野における具体的な取り決め事項としてまとめられたのが追加議定書。

追加議定書は第1.1条において、GATT第24条およびサービス貿易に関する一般協定(GATS)第5条に基づいて自由貿易地域を設立すると規定しており、この追加議定書が実質的にすべての貿易を自由化する複数国間のFTAであることを明らかにしている。追加議定書は全19章から成り、市場アクセス(モノの貿易)、原産地規則、貿易円滑化と税関協力、衛生・植物検疫措置(SPS)、貿易の技術的障害(TBT)、政府調達、越境サービス貿易、投資、金融サービス、海運サービス、Eコマース(電子商取引)、通信、透明性、協定の運営、紛争解決、例外事項などの内容を含む。

既存の二国間FTAにはなかった海運サービス、金融サービスの章などがあるほか、投資やサービスなどの分野で自由化の度合いが既存の二国間FTAよりも高まっている。また、政府調達に関する内容も盛り込まれ、既存の二国間FTAでは政府調達の取り決めがなかったチリ・ペルー間およびメキシコ・ペルー間では、今後、両国間で基準額以上の対象公的機関の調達入札における内国民待遇が保証されることになる。

CPTPP(Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership

米国のトランプ大統領が2017年1月に離脱を表明した環太平洋パートナーシップ協定(TPP)が、米国を除いた11カ国の間で環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)として2018年3月8日に署名され、同年12月30日にオーストラリア、カナダ、日本、メキシコ、ニュージーランド、シンガポールの6カ国で発効した。さらに、2019年1月14日にベトナム、2021年9月19日にペルー、2022年11月29日にマレーシア、2023年2月21日にチリが発効国に加わった。残すはブルネイのみであるが、2023年6月時点で未発効のままである。CPTPPは米国が離脱したことにより12カ国のTPPオリジナルからいくつかの項目を凍結したもので、米国が復帰する場合には凍結が解除される。

メキシコは、アジア太平洋地域では日本としかFTAを締結していなかったが、CPTPPによりベトナム、マレーシア、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランドといったアジア・オセアニアの国々への輸出拡大が期待できる。また、日本との間でも農水産品を中心に新たな関税削減効果があり、両国間の農水産品・食品の貿易拡大が期待できる。
メキシコは、議会における批准承認が必要な国の中では、いち早く2018年4月24日にCPTPPの承認を終える等、CPTPP実現に積極的であった。2017年後半に米国との間でNAFTA再交渉が難航するにつれて、積極的にCPTPPの実現に協力するようになり、2017年11月のダナン閣僚会合の時点で、メキシコとして反対していたベトナムが主張する労働紛争解決ルールの適用猶予期間(10年)についても、2018年1月には日本政府の説得に応じ、発効後の取り扱いについて各国でサイドレターを取り交わすことで合意し、2018年3月8日の11カ国による協定署名への道筋をつけた。

USMCA(United States‐Mexico‐Canada Agreement

2017年1月に就任したトランプ大統領は、NAFTAからの離脱、あるいは米国に有利な内容に変える再交渉を行うと発表、2017年8月から交渉が開始された。交渉は自動車分野の原産地規則、紛争解決メカニズム、メキシコ産農産品に対する季節関税、協定の一定期間ごとの見直しに関する条項(サンセット条項)などを巡り難航したが、2018年8月27日にメキシコとの間で暫定合意、同年9月30日にカナダとも暫定合意を達成。新協定を「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA:United States‐Mexico‐Canada Agreement)」と名付け、2018年11月30日に正式に署名。2019年12月10日に、米国下院議会での承認を容易にするためにUSMCAの内容を一部修正する議定書に署名した。3カ国の議会における批准承認を得て、2020年7月1日に発効した。これにより、1994年1月に発効したNAFTAはUSMCAとして生まれ変わった(NAFTAは失効)。

自由貿易協定、関税同盟、特恵貿易協定、その他の貿易協定

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