外国企業の会社設立手続き・必要書類

最終更新日:2017年03月31日

外国企業の会社設立手続き・必要書類

ブラジルにおける会社設立手続きは煩雑かつ言葉の問題があるため、進出企業は地元の弁護士事務所や会計事務所に委託するケースが多い。日本語あるいは英語が使える事務所も多数存在する。一般的に、設立が比較的簡単な有限会社形式をとるケースが多い。現地法人を設立しない駐在員事務所は、特別なケースを除き認められない。会社設立準備から現地法人登記、必要なライセンスの申請・取得、事業スタートまでには半年から1年以上かかることもある。

会社設立手続きの流れ

  1. 代理人の任命
  2. 会社形態の選択
  3. 会社定款の作成
  4. 定款登記、法人登録番号(CNPJ)の取得
  5. 資本金の送金、ブラジル中央銀行への登録
  6. 該当業界の許可取得
  7. 輸入許可・製造許可の取得

代理人の任命

ブラジル人のほか、帰化した外国人や永住ビザを取得した外国人が会社を設立することができる。また、会社経営者はブラジル居住者でなくてはいけないため、新設企業の場合、現地の弁護士や会計士などを代理人に任命し、会社を設立するケースが多い。駐在員は永住ビザを取得し、ブラジルへの赴任後に代理人から経営者を交代する。

会社形態の選択

法人格を有する団体の形態は、次の2種類に分けられる。

  1. 企業型法人(Sociedade Empresária) 
    出資者は出資のみで、実際の役務は従業員が遂行する法人。一般的な会社形態であり、多くの企業が企業型法人の形態をとっている。
    設立時の所轄機関は、州商業登記所(Junta Comercial)、連邦国税庁(Receita Federal)、財務局(Secretaria da Fazenda)、市役所(Prefeitura Municipal)など。
  2. 簡易形態型法人(Sociedade Simples)
    弁護士事務所、会計事務所、コンサルタント事務所、歯科医院など、定款に記載されている出資者本人が直接役務を遂行する法人。
    出資者以外に補助業務の社員がいたとしても、出資者本人が役務を提供しているのであれば、簡易形態型法人となる。
    設立時の所轄機関は、法人民事登記所(Cartório de Registro Civil das Pessoas Jurídicas)、連邦国税局、市役所など。

    さらに、法人形態は次の7種類に分けられる。
    1. 合名会社(Sociedade em Nome Coletiva/Collective Name Company)
    2. 合資会社(Sociedade em Comandita Simples/Limited Co-Partnership)
    3. 個人有限会社(Empresa Individual de Responsabilidade Limitada/Individual Limited Liability Company)
    4. 有限会社(Sociedade Limitada / Limited Liability Company)
    5. 株式会社(Sociedade Anônima / Joint-Stock Company):企業型法人のみ設立可能。
    6. 株式合資会社(Sociedade em Comandita por Ações / Limited Partnership by Shares)
    7. 協同組合(Cooperativa / Cooperative Company):簡易形態型法人のみ設立可能。

    ブラジルでは、「駐在員事務所」という概念が法律上定められていない。また、「支店」の設立には連邦政府による事前認可が必要だが、特別なケースを除き認可されない。
    結果として、ブラジルで事業活動を行うには「現地法人」の設立が必要となるが、外国企業が設立する現地法人は、通常「有限会社」と「株式会社」のいずれかである。ブラジルで設立される会社の90~95%は有限会社と言われている。進出日系企業の場合も有限会社の形態を選択する例が多い。
    有限会社と株式会社の特色は次のとおり。

    〔有限会社の特色〕
    • 財務諸表は最低年1回開催される総会で承認されればよく、公告が不要。
    • 共同出資者全員が書面で議決する場合、総会の開催が不要。
    • 業務執行者(日本の取締役の役割を担う者)が最低1人で良い。
    • 経営審議会の常設が不要(任意で設立することも可能)。
    • 増資、株式譲渡、定款変更、会社清算手続き等は、75%以上の出資者の合意により可能。
    • 定款記載事項を変更する場合、商業登記所への登録が必要。
    • 外部の会計監査人が不要。ただし、総資産が2億4,000万レアル以上、あるいは年間売上高が3億レアル以上の“大規模有限会社”の場合には必要。
    • 零細・中小企業向け簡易税務申告制度のシンプレス(SIMPLES NACIONAL)の選択が可能。ただし、法人や海外居住者が出資者に含まれる場合には適用できず、業種や売上高の制限もある。
    〔株式会社の特色〕
    • 最低2名以上の株主が必要。
    • 年に一度の定時株主総会の開催が必要。
    • 2名以上の取締役によって構成される役員会の設置が必要。
    • 3~5名で構成される監査役会の設置が必要。
    • 公開会社の場合、3名以上で構成される経営審議会の設置が必要。
    • 財務諸表の公告が必要。
    • 出資者の加入、脱退は株式移転台帳に反映されればよく、会社定款の改定は不要。
    • ブラジル証券市場への上場が可能。
以下、ブラジル進出の際に、多くの外国企業が利用する法人形態の「有限会社」をベースに記述.

会社定款の作成

会社定款に規定すべき主な項目は次のとおり。

  1. 会社商号
    事前に商号を調査し、同一の商号の有無を確認する。一般的に、商号の一部に主たる業務内容を入れる必要がある。
  2. 会社の所在地
    所在地を説明する書類(賃貸契約、使用許可など)を必要とし、所在地によっては、事業活動が制限されることがある。
  3. 事業内容
    定款の事業内容に“輸出入業務”や“製造業務”を加えると、設立時に関係するライセンスの取得が必要となり、手続きに長時間を要する。
    設立時の定款の事業内容は必要最低限のものに留め、必要に応じ事業内容を後から追加・変更していくのが一般的。
  4. 出資者・出資比率
    会社設立には最低2人の出資者が必要で、出資比率とともに定款に記載する。出資者は個人あるいは法人のどちらでもよい。
    ブラジルに居住しない外国人・外国企業が出資者となる場合は、ブラジルに居住するブラジル人または永住ビザを保有する外国人を法定代理人に任命する。法定代理人に対する委任状はブラジル領事館の認証が必要。
  5. 業務執行者
    会社のサイン権限を持ち、会社を代表し業務を行う業務執行者を、有限会社の場合には最低1人選任する。
    業務執行者はブラジルに居住するするブラジル人のほか、永住ビザを保有する外国人がなれる。駐在員が永住ビザを取得し赴任するまでの間は、現地の弁護士や会計士等を業務執行者に委任するケースが多い。
    なお、業務執行者の権限を定款内に規定する必要がある。
  6. 定款の変更
    会社資本の4分の3を有する出資者は、定款を一方的に変更できる。新たな出資者を加える場合にも、出資者の4分の3の承認が必要。
    非出資社員を業務執行者に任命する場合、資本の払込みが完了していれば、出資者の3分の2以上の承認が必要。資本の払込みが完了していなければ、出資者100%の承認が必要。
定款登記・法人税登録番号(CNPJ)の取得

作成した定款は本社が所在する州商業登記所(Junta Comercial)に登記する。
定款登記が終わると、国税庁より法人税登録番号(CNPJ)が発行される。法人登録番号は銀行口座の開設などにも必要。

資本金の送金、ブラジル中央銀行への登録

資本金は円やドルで送金することができる。最低資本金の規制はないが、国外の企業が会社を設立し、駐在役員を置く場合、50万レアル相当以上の投資を行うことにより、駐在役員1人分の永住ビザが発給される。
複数の永住ビザが必要な時、50万レアル相当額×人数分の投資が必要。
ブラジル国外からの投資は、ブラジル中央銀行に登録する。この登録を行わない場合、駐在員の永住ビザの申請、配当金の国外送金や投資引き上げの際、権利が確保されない。
企業が出資者となる場合には、外国企業も法人税登録番号(CNPJ)の取得が必要となる。

該当業界の許可取得

業種によっては、各業界が定める許可の取得や登録が必要とされる。例えば、金融機関、製薬会社、食品会社、保険会社など。

輸入許可・製造許可の取得

輸出入業務を行う場合、財務省連邦収税局へ申請し、輸出入業者登録(RADAR)の資格取得が必要(RADARの規定については「貿易管理制度:輸入管理その他」参照)。
新設企業の場合、通常制限付きライセンス(Submodalidade Limitada)が与えられる。同ライセンスでは、6カ月間にCIFベース15万ドル相当の輸入が可能で、輸出額には制限がない。
6カ月間の輸入額が15万ドル相当を超える場合には、限度額の増額申請を行うか、無制限ライセンス(Submodalidade Ilimitada)に切替える必要がある。
工場の建設・操業等では、環境ライセンスの所得が必要で、その基準や取得手続きは州や市により異なる。

※会社・ビジネスの簡易登記・認可ネットワーク(Redesimples)

連邦政府、州財務局、州商業登記所、自治体(市)、連邦収税局、小企業・零細企業支援サービス機関(SABRAE)等が連携し、2007年にスタートした制度。〔2007年法令第11598号〕
同制度を採用した自治体で会社を設立する場合、現物書類の提出が省略され、WEB経由で会社設立申請ができる。最短で5営業日以内に会社設立が認可される。主に小企業・零細企業で、ビジネスリスクが低いとされる事業を行う企業が同制度の対象となる。
地元紙によると、2016年7月までに全国の31%の自治体が採用。 サンパウロ市でも2016年9月に同制度の採用を認める行政令を出している。〔行政令第57298号〕

外国企業の会社清算手続き・必要書類

ブラジルから撤退する場合、投資した資本を本国に送還できる。会社の清算・撤退手続きとそれに要する時間は、進出形態や投資優遇措置を受けているか否かによっても異なる。一般的に、会社の清算には長い時間がかかる。

ブラジルに設立した会社を清算し、撤退する場合、払込資本金の本国への送還が認められている。ただし、現地会社への投下資本がブラジル中央銀行に登録されており、かつ、純資産がマイナスになっていないことが条件。

本国への送還額が払込資本金を下回る場合は源泉所得税の課税対象にならない。
払込資本金を超える金額を本国へ送還する場合、差額はキャピタル・ゲインとみなされ、源泉所得税の課税対象となる。
税率はキャピタル・ゲインの額により異なり、500万レアル以下15%、500万超~1,000万レアル以下17.5%、1,000万超~3,000万レアル以下20%、3,000万レアル超22.5%。

会社の清算および撤退手続きとそれに要する時間は、進出形態(販売・サービス会社か、製造会社か)や、投資優遇措置を受けているか否か等により異なる。

  1. 販売・サービス会社:一般的に土地や工場を所有していないことや、解雇対象の従業員が少ないことから、相対的に手続きを簡単に進めることが可能。
  2. 製造会社:人員整理に伴う労働裁判や土地・工場の売却などに長時間を要するケースが多い。また、事業規模が大きい場合には、詳細な税務検査が行われ、清算手続きに長い時間を必要とする。
    投資優遇措置を受けていた場合には、通常の手続きに加え、所管の監督機関に対する手続きが発生するため、さらに時間を要する場合もある。
    税制恩典を受けた企業が撤退する場合には、遡及して税の支払いを求められるなどのペナルティが課せられることもある。
    なお、税務や労働債務が未決の場合、会社の清算手続きは認められない。
    ブラジルの税務訴訟の訴求期間は5年、労働訴訟の提訴期間は退職または解雇後2年あるため、この期間内に清算手続きを完了させることは容易でない。
    会社登記を完全に抹消するまで、長期にわたり法人格を存続し続けなくてはいけないケースもある。

会社の清算・消滅に必要な一般的な手続きは次のとおり。

  1. 臨時株主総会で会社清算を決議
    臨時株主総会を開催し、会社の清算を決議し、清算人を任命する。
    清算人は会社の財産の管理、資産の現金化、残余債務の支払い、総会の開催・議事録の作成、所轄機関(州商業登記所や連邦・州・市の税務局、社会保障院(INSS)、地方労働監督局、組合等)への必要な手続きなどを行う。
  2. 州商業登記所に対する解散の登録
    清算決議決定の日から30日以内に、会社の本店が所在する州の州商業登記所に対し、会社清算の総会議事録を登記する。
  3. 会社の清算を公告
    清算人は、官報および広く流通している新聞に、会社の清算を発表する。
  4. 会社登録の更新
    法人登録番号(CNPJ)や社会保障院(INSS)、勤続年数保証基金(FGTS)など、連邦、州、市に対する会社の登録に関し、会社が清算手続き中であることを通知する手続きをとる。
  5. 清算手続き中の会社業務
    会社の法人格は、清算手続き中も存続しており、会社の商号の使用は可能。ただし、社名に「清算中」の文言の追加が必要。
    会社業務は必要最小限に制限され、新たな業務を引き受けることや契約を結ぶことなどはできなくなる。
  6. 債務の弁済および資産の分配
    清算人は資産や所有物、未払債務の処分を行い、債権者に対する債務の弁済を行う。
    残余財産の株主への分配はすべての債務の弁済の終了後、または資産価値が債務を十分上回る場合に認められる。
  7. 清算手続きの完了(会社の消滅)
    清算人は総会を開催し、清算手続きの完了と会社の消滅を承認する決議を行い、総会議事録を州商業登記所に登記する。その際、社会保障院(INSS)と勤続年数保証基金(FGTS)への納付金、税金の完納証明の提出が必要となる。
    会社の清算が州商業登記所に登記されることにより、正式に会社が消滅したことになる。
    清算人は、会社の消滅の事実を官報や広く流通する新聞に公告する。
    出資者またはその代理人は、法人登録番号(CNPJ)や社会保障院(INSS)、勤続年数保証基金(FGTS)の登録を中止し、ブラジル中央銀行に対する外国投資登録の中止手続きを行う。

その他

ブラジルは金利が高く、国内での資金調達手段は少ない。そのため、他国・地域への進出に比較し、親会社からの資本金を資金計画の柱にし、事業拡大などによる資金需要には増資で対応するケースも少なくない。外資系企業は親会社からの借入れ(いわゆる親子ローン)や外貨建てローン、輸出企業は輸出ファイナンスなども利用。ブラジル国内で銀行業務を行っている日系金融機関は、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3行。

短期のレアル建て融資は、日系金融機関、地場銀行ともに取扱っている。
中・長期のレアル建て融資は、ブラジル国立経済社会開発銀行(BNDES)の制度金融を除き、高金利のため、利用実績は非常に限られている。

ブラジル国内銀行からのドル建て借入れ(3844号ローン)や、外国の銀行や親会社からの外貨建て借入れ(4131号ローン)の利用も可能。
外貨建て借入れはレアル建て借入れと比較し、低金利で長期の借入れが可能だが、為替リスクが発生する。現地会社の為替リスクを避けるため、レアル建ての親子ローンを採用する日系企業もある。
輸出入取引をする企業の場合は、貿易金融を利用するケースも少なくない。
国内での外貨預金は認められていない。また、ブラジル国外の銀行での口座開設も原則、認められていない。

外貨建て借入れ

  1. 3844号ローン:ブラジルの銀行からの外貨建て借入れ
    ブラジルの銀行が外国で外貨を調達し、これを国内企業に転貸するシステム。
    契約は外貨建てだが、受け払いは現地通貨で行われる。外貨建てのため、4131号ローンとともに、一般的に借入金利は国内の現地通貨建てに比べ低い。長期借入れが可能だが、借り手は為替リスクを負う。
    借入期間に制限はないが、180日以内の借入れの場合、金融取引税6%が課せられる。〔中央銀行決議2010年3月23日付第3844号〕
  2. 4131号ローン:企業による外国からの外貨建て借入れ
    ブラジル企業による外国の金融機関や親会社からの外貨建て借入れ方式で、いわゆる“親子ローン”も含まれる。受け払いは現地通貨で行われる。借入条件は中央銀行システムに登録する必要がある。
    借入期間に制限はないが、180日以内の借入れの場合、金融取引税6%が課せられる。
    金利に対する源泉所得税は通常15%。貸出人が日本の居住者であれば、日ブラジル租税協定が適用され、税率は12.5%。親会社からの借入れを資本に切替えることも可能。〔1962年9月3日付法令第4131号〕
  3. 貿易ファイナンス
    輸出前貸(ACC)、輸出手形買取(ACE)、輸入ファイナンス、輸出ファイナンスなどがある。
    輸出前貸と輸出手形買取は、実行時にドル建ての輸出債権額を上限に、レアルに転換した金額を調達。返済は輸出債券の回収代金を銀行に直接支払うため、輸出代金決済時の為替手続きが不要。
    輸出振興の目的から、輸出前貸と輸出手形買取および輸出ファイナンスでは、金利に対する源泉所得税と金融取引税が免除。輸出前貸と輸出手形買取ともに、原則キャンセルは認められず、輸出契約が不成立時にはペナルティが科される。

国内通貨建て借入れ

ホットマネー、当座貸越、証書貸付などがある。固定金利式と変動金利式がある。
為替リスクはないが、一般的に借入れ金利は高い。短期資金の調達手段として利用されるケースが多い。
ブラジル国立経済社会開発銀行(BNDES)の制度融資を除き、長期の資金調達は難しい。
金融取引税の対象となり、税率は借入れ時に0.38%、借入期間に応じ日歩0.0041%(上限は365日分で1.4965%)。1年間の借入れを行う場合、金融取引税だけで合計約1.88%発生する。

ブラジル国立経済社会開発銀行(BNDES)の制度融資

国内産業の育成、近代化、輸出促進を目的に、支援目的別に各種融資制度を扱っている。経済情勢に応じ、特別プログラムも随時実行している。実際の借入れはBNDESに登録された金融機関を通じて行われる。
借入条件(金利、借入期間、限度額、資金使途等)は、融資プログラムと借り手の与信により異なるが、一般の融資に比べて低金利で、レアル建ての長期資金の調達が可能。
国際協力銀行(JBIC)がBNDESに資金を提供し、優遇条件で融資を行う2ステップローンの制度もある。
BNDESによる融資は、金融取引税の免除措置が取られていたが、2015年9月以降、一般の融資と同じく課税対象となっている。

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