税制

最終更新日:2024年02月01日

法人税

営利事業所得税という。移転価格税制および最低税負担(ミニマム・タックス)制度を導入し、2018年度より税率が原則17%から20%になった。

営利事業所得税税率〔所得税法第5条第5項〕

課税所得額 税率 税額の上限
12万台湾元以下 免税
12万台湾元超 20% 課税所得額の12万台湾元超過分の半額
(例外)
12万台湾元超、50万台湾元以下
2018年度:18%
2019年度:19%
2020年度以降:20%
課税所得額の12万台湾元超過分の半額

その他、2018年度以降、毎年新たに発生する未配当利益については、表とは別に5%が課税される〔所得税法第66-9条第1項〕。
また、営利事業を営む会社組織が青色申告または会計監査を受け、管轄税務機関により審査確定されている欠損金については、10年間繰越し、課税所得から控除できる。
ただし、2009年1月6日の所得税法修正施行前の繰越欠損金については、税務機関より審査確定を受け、かつ課税所得から控除に供していないものに限られる〔所得税法第39条〕。

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移転価格税制

2004年12月28日に〔営利事業所得税に係る通常の処理に適合しない移転価格審査準則〕が公布され、台湾でも移転価格税制が本格的に始動した。

なお、財政部は「開示を要する関係者間取引資料」〔2007年1月9日台財税字第09604503530号通達〕と、「その他の書類証拠により移転価格報告書を代替し得る関係者取引金額の基準」〔2008年11月6日台財税字第09704555160号通達〕の移転価格税制セーフハーバー規定を公布している。

ジェトロ:台湾 法人税「移転価格税制」PDFファイル(289KB)
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最低税負担(ミニマム・タックス)制度

2006年1月1日より施行された〔所得基本税額条例〕により、一部の例外を除き、個人または営利事業者は規定に従って、別途計算される基本税額が通常の方法により計算された税額を上回る場合には、その差額を追加で納付するという最低税負担制度(ミニマム・タックス税制)の適用を受けることとなった。
また、消費者物価指数累計上昇率が10%以上に達した年において、非課税基本所得額および控除額などが調整される。

ジェトロ:台湾 法人税「最低税負担(ミニマム・タックス)制度」PDFファイル(140KB)
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租税回避対策税制(PEM税制とCFC税制)

タックスヘイヴンによる租税回避という問題に対処するために、2016年7月27日に改正された〔所得税法〕では、PEM(Place of Effective Management)制度とCFC(Controlled Foreign Company)制度が追加された。
CFC制度は、2023年度から施行されたが、PEM制度は2023年12月現在、同規定はまだ発効していない。

CFC税制

低課税地域に設立し、台湾の営利事業者およびその関係者が直接または間接を問わず50%以上の株式または資本金を保有する会社、またはその外国企業に重大な影響力を有する会社は、同法の被支配外国法人(CFC)に該当し、実質的な事業運営がある場合、または当年度の利益が財政部の定める基準を超えていない場合を除き、CFCの株主である営利事業者は、CFCの当年度の利益につき、持株比率・保有期間により、投資による利益との認定を受け、当年度の所得に算入し納税しなければならない。

PEM税制

低課税地域に設立された外国法人につき、その実質的管理場所(PEM)が台湾にあると認定された場合、台湾域内の営利事業者とみなし、営利事業所得税が課せられる。次の3つの要件を満たした場合、PEM税制が適用される。

  1. 重大な経営管理、財務管理および人事管理に関する意思決定者が台湾域内に居住する個人、または本店が台湾に所在する営利事業者である場合、またはかかる決定場所が台湾域内にある場合。
  2. 財務諸表、会計帳簿、取締役会または株主総会の議事録の作成または保管場所が台湾域内にある場合。
  3. 実際に台湾域内で主要な経営活動を行う場合。

二国間租税条約

台湾の租税協定政策は、二重課税および脱税の防止と、経済関係の強化を目的とし、租税協定はOECDモデルに従い、双方の政治、財政、経済、および貿易状況を考慮。2024年1月現在、34の包括的二国間租税条約および12の二国間租税条約(国際輸送/海運・空運)に調印し、発効。

包括的二国間租税条約

イスラエル、イタリア、インド、インドネシア、英国、オーストラリア、オーストリア、オランダ、ガンビア、キリバス、シンガポール、スイス、スウェーデン、スロバキア、エスワティニ(旧スワジランド)、セネガル、タイ、デンマーク、ドイツ、ニュージーランド、パラグアイ、ハンガリー、フランス、ベルギー、ベトナム、北マケドニア(旧マケドニア)、マレーシア、南アフリカ共和国、ルクセンブルク、カナダ、ポーランド、チェコ、サウジアラビア(2021年11月1日に発効)。なお、日本については、日台民間租税取決めが、2016年6月13日より発効。

二国間租税条約(国際輸送/海運・空運)

EU(海運)、オランダ(空運・海運)、カナダ(空運)、韓国(空運・海運)、スウェーデン(海運)、タイ(空運)、ドイツ(海運)、日本(空運・海運)、ノルウェー(海運)、米国(空運・海運)、マカオ(空運)、ルクセンブルク(空運)

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移転価格税制の施行に合わせ、外国営利事業の台湾における恒久的施設が、当該租税条約に基づき計算する台湾課税の営利事業所得および課税方式は、〔所得税協定適用審査準則第28、32条〕に規定されている。

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税務用途情報交換

  1. 金融口座情報:日本、オーストラリア、英国
    2020年9月以降、台湾は日本とオーストラリアとは、共通報告基準(Common Reporting Standard:CRS)に基づき、金融口座情報の自動交換を開始することで合意した。
    また、台湾と英国は2021年から、金融口座情報の自動交換が開始された。
  2. 国別報告書:日本、ニュージーランド、オーストラリア、スイス
    台湾と日本との間、および台湾とニュージーランドとの間の国別報告書に関する情報交換は、2017年1月1日以降の国別報告書が適用される。また、台湾とオーストラリアとの間は、2018年1月1日以降の国別報告書が適用される。
    台湾とスイスとの間は、2019年1月1日以降の国別報告書が適用される。

    ジェトロ:台湾 法人税「移転価格税制」PDFファイル(289KB)をご参照。

その他税制

台湾の現行課税項目は国税および地方税に分かれている。また、各自治体は財政の必要に応じて、自治体議会の立法を経て、特別税、臨時税および一部国税に対する地方付加税の徴収が許されている。2011年より、特種物品および労務税(ぜいたく税)を創設。

課税

  1. 台湾の現行課税項目は国税、地方税(直轄市および県(市)にて徴収)に分かれている。
  2. 租税の最高行政機関は財政部である。
    財政部:eTaxポータル(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
  3. 国税:関税は関務署所轄の台北、基隆、台中、高雄関税局が、その他税目は台北市、高雄市、北・中・南区の国税局がそれぞれ徴収。
  4. 直轄市税:台北市、新北市、桃園市、台中市、台南市および高雄市の税務徴収機関が徴収。
  5. 県(市)税:各県市の税務徴収機関が徴収。

主要税品目

  1. 国税:中央政府が使用できる税収。
    1. 所得税:総合所得税、営利事業所得税、房地合一税(不動産取引所得税)
    2. 相続税および贈与税
    3. 証券取引税
    4. 先物取引税
    5. 営業税(消費税)
    6. 関税
    7. 物品税
    8. 酒・タバコ税
    9. 特種物品および労務税(ぜいたく税)
  2. 地方税:地方政府が使用できる税収で、直轄市および県(市)税を含む。
    1. 地価税(土地税)
    2. 土地増値税(土地税)
    3. 田賦(1987年から現在まで、徴収が停止されている。)
    4. 家屋税
    5. 契約税
    6. 印紙税
    7. 鑑札税(ナンバープレート使用税)
    8. 娯楽税

ジェトロ:台湾 税制「その他の税制ー税目」PDFファイル(289KB)

個人総合所得税(所得税に相当)

外国人の一般的なケースについて説明する。
「台湾で源泉所得がある」外国人は、その源泉所得について、所得税を納めなければならない。
外国人は居留期間により、非居住者と居住者に分けられ、それぞれの納税方式は次のとおり。

  1. 非居住者
    1. 1課税年度(1月1日~12月31日)において、台湾滞在が90日以内の場合、台湾での所得はそれぞれの徴収率(給与は原則18%)に応じて源泉徴収され、申告の必要はない。
      ただし、源泉徴収に該当しない所得(家賃収入等)は出国の際に申告しなければならない。
    2. 1課税年度において、台湾滞在が91日以上183日未満の場合、台湾での所得は源泉徴収される。
      ただし、源泉徴収に該当しない所得(海外雇用主が台湾での役務提供に対して支払う報酬を含む)については、徴収率に応じて納税申告の必要がある。
    3. 台湾国内で労務の提供による給与所得については、次の3要件を満たす場合には、日本でのみ課税され、台湾では課税されない〔日台租税協定第15条第2項〕。
      • 日本居住者が暦年度中に開始または終了する12カ月の期間において、台湾に連続または累計で滞在日数が183日を超えない。
      • 当該報酬が、台湾の居住者でない雇用主またはこれに代わる者から支給されている。
      • 当該報酬が、当該雇用主の台湾での恒久的施設または固定的施設により負担されていない(雇用者である日本法人の台湾にある恒久的施設(台湾支店等)が負担していないことの意)。

      なお、これら3要件を満たし、納税が必要でない場合も、暦年で91日以上の滞在となる場合には、申告自体は必要である。

      日本・国税庁:外国居住者等所得相互免除法第2章関係(台湾関係)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

      日本・財務省:平成28年度税制改正の大綱「五 国際課税 1 日台民間租税取決めに規定された内容の実施に係る国内法の整備」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(704KB)

      日本台湾交流協会:日台民間租税取決め(日台租税協定)(2016年6月15日付)英文PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(410KB)
      日本台湾交流協会:日台民間租税取決め(日台租税協定)(2016年6月15日付)和文仮訳PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(303KB)

  2. 居住者
    1課税年度において、台湾滞在が183日を超えるの場合は「居住者」に該当し、当該年度の各種源泉所得、および台湾での役務提供に支払われる海外雇用主からの報酬などの合計から各種控除を行った後の残額が課税所得となり、累進税率に従い総合所得税の納税申告を行う。

財政部:外国人の納税について(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
財政部台北国税局:外国人の綜合所得税について(日本語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

特種物品および労務税(ぜいたく税)

不動産市場の健全化および租税公平性の強化のため、2011年5月4日に〔特種物品および労務税条例〕を公布、同年6月1日より施行。
これにより、特種物品とされる不動産(2年以内に売却されたもの)や高額商品(300万台湾元以上の9人以下乗用車、50万台湾元以上の毛皮製品、家具等)、および特種労務とされる販売価格が50万台湾元以上の入会権は、販売の際に10%の税金が徴収される(1年以内に売却された不動産は15%)。
2016年1月1日より、2年以内に売却された家屋およびその土地、または法により建築許可を取得できる都市部土地および工業区土地につき、特種物品および労務税の徴収が停止され、房地合一税(不動産取引税)が徴収される。

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証券取引所得税

2012年8月8日に改正された〔所得税法〕および〔所得基本税額条例〕により、2013年度から、証券取引所得税が徴収されることになったが、2015年11月に〔所得税法〕が改正され、2016年1月1日より再び徴収中止になった。2021年1月1日より、所得基本税額条例の改正により、主務機関の認定を受けた設立5年未満のハイリスクの台湾スタートアップ企業の株式等を除き、個人の未上場会社株式等の取引による所得は、証券取引所得税が再び徴収されるようになった。

域外電子サービス業者に対する課税

2016年12月28日に改正された〔付加価値型および非付加価値型営業税法〕によれば、2017年5日1日より、台湾に固定営業所のない外国事業者が、台湾域内の個人に対して次の電子サービスを提供する場合、その売上高が財政部の定める基準を上回った場合、台湾で税籍番号を登録し、営業税を納付し、デジタル式の統一発票(クラウド統一発票)を発行する必要がある。2020年1月1日以降にクラウド統一発票を発行しない場合、付加価値型および非付加価値型営業税法等により過料の処罰を課される〔付加価値型および非付加価値型営業税法第48条、第52条、税務調査徴収法第44条〕。
なお、財政部の当該基準は2023年12月時点で、48万台湾元〔財政部2017年3月22日台財税字第10604539420号通達〕。

  1. インターネットまたはその他電子方式により、コンピューターまたはモバイル端末にダウンロードし使用するサービス
  2. ダウンロードが不要とされ、インターネットまたはその他電子方式により、使用するサービス(オンラインゲーム、広告、映像の閲覧、音楽・ラジオ放送、コンテンツ(映画、TVドラマ、音楽など)、双方向通信などデジタルサービス)
  3. その他インターネット、またはその他電子方式により提供されるサービス

また、財政部は2018年1月2日に〔台財税字第10604704390号通達〕を公布し、2017年度より、外国事業者による海外からの台湾域内の買受人(個人、営利事業者または機関、団体を含む)への電子サービスの販売によって得られる報酬について、電子サービスの形態に基づき、台湾源泉所得と認められた場合には、当該外国事業者は、関連規定に基づき課税所得を計算し、法人税(営利事業所得税)を納付しなければならない。

財政部 eTaxポータルサイト:域外電子サービス業者課税専区(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

関連法規は、全国法規資料庫(Laws and Regulations Database of the Rep. of China)で入手できる。

その他

2002年12月11日に公布された〔地方税法通則〕により、各自治体政府は財政の必要に応じて、自治体議会の立法を経て、次の課税の徴収が可能となった。

  • 新規特別課税(最長4年)
  • 臨時課税(最長2年)、または既定の税に対する付加課税(最長4年。地方税に属する印紙税、土地増値税および国税に属する関税、物品税、営業税を除く。既定税率の30%が上限)

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