外国企業の会社設立手続き・必要書類

最終更新日:2024年02月01日

外国企業の会社設立手続き・必要書類

経済部工商カウンセリングセンター(旧経済部中部弁公室)に会社名称および営業項目調査の事前審査を受けた後、経済部投資審議司に投資申請し、認可取得後、会社登記を行う。ただし、科技産業園区または科学園区の場合、単一窓口で手続きできる場合がある。

華僑・外国人の投資案件の審査、認可の手続きに要する期間の目安は次のとおり。

  1. 制限類に属さない5億台湾元以下の案件:2~4日
  2. 制限類に属さない15億台湾元以下の案件:3~5日
  3. 制限類に属する案件、15億台湾元超の案件、M&A案件:10~20日
  4. クロスボーダーM&A案件、特別案件:20~30日

外資制限項目(外資規制業種)については、「外資に関する規制」参照。

管轄官庁

外国人投資申請

外国企業が台湾で会社を設立する際、まず経済部投資審議司に外国人投資を申請し、許可を得る必要がある。

経済部投資審議司(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
所在地:100215 台北市中正区羅斯福路一段7号8階
Tel:+886-2-3343-5700
E-mail:icserve@moea.gov.tw

  • 対内投資審査課
    Tel:+886-2-3343-5763
    Fax:+886-2-2396-3970
会社登記申請

経済部投資審議司の許可取得後、資本金または所在地により、次の機関に会社登記を申請する必要がある。

  1. 払込済資本金5億台湾元以上

    経済部商業発展署:全国商工行政サービスポータルサイト(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

  2. 払込済資本金5億台湾元未満
    1. 台北市:台北市商業処(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    2. 新北市(旧台北県):新北市政府経済発展局(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    3. 台中市:台中市政府経済発展局(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    4. 台南市:台南市政府経済発展局(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    5. 高雄市:高雄市政府経済発展局(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    6. 桃園市:桃園市政府経済発展局(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    7. その他:経済部工商カウンセリングセンター(旧経済部中部弁公室)(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
  3. 科技産業園区(テクノロジーパーク)、科学園区(サイエンスパーク)、農業科技園区、海港自由貿易港区、桃園航空自由貿易港区(以下併せて「科技産業園区等園区」)

    科技産業園区等園区内の会社は、産業園区管理局、科学園区管理局、農業科技園区管理センター、交通部航港局または交通部民用航空局、それぞれで登記申請を行う。

    1. 経済部産業園区管理局(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    2. 科学園区
      1. 新竹科学園区(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます日本語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
      2. 中部科学園区(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます日本語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
      3. 南部科学園区(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます日本語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    3. 農業科技園区管理センター(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます日本語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    4. 交通部航港局(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    5. 交通部民用航空局(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

進出形態

営業活動を行わない連絡事務所と代表者事務所、営業活動を行う工事事務所、支店、現地法人がある。

  1. 営業活動を行わない
    1. 連絡事務所
      情報収集など、本社との連絡業務に限定され、法律行為は駐在員個人の名義で行われる。法人格なし。
    2. 代表者事務所
      営業は行わないが、本社のための法律行為(台湾にて第三者間との契約交渉・締結、台湾での訴訟・非訴訟事件に関する代理行為等)や事実行為(情報収集など)を行う(銀行、保険業など一部の業種は主管機関の許可が必要)。法人格なし。
  2. 営業活動を行う
    1. 工事事務所
      インフラ建設関連工事など、一定期間のみ台湾でサービスを提供する際の税金納付の対応手段として利用(一時的な販売やサービス提供の場合もあるため、必ずしも「工事」に限定せず)。法人格なし。
    2. 支店
      外国法人の支店。法人格とみなす。
    3. 有限責任組合
      法人格あり。人的要素(専門知識)および柔軟な経営体制が重視される小規模事業の利用を想定。
    4. 現地法人(子会社など)
      法人格あり。現地法人として「無限公司」「両合公司」「有限公司」「股份有限公司」の4種類が存在し、うち「股份有限公司」形態での設立が多数を占める。また、「股份有限公司」のうち、株主人数が50人以下、かつ、定款に株式の譲渡制限を設ける「閉鎖性股份有限公司(閉鎖型株式会社)」という形態がある。

      経済部商業発展署:閉鎖性股份有限公司の紹介(中国語PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.27MB)
      経済部商業司:全国商工行政サービスポータルサイト「閉鎖性股份有限公司FAQ」(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

現地法人、支店の設立手続き、必要書類

原則、まず経済部工商カウンセリングセンターに会社名称および営業項目調査の事前審査を受けた後、経済部投資審議司に投資申請し、認可取得後、会社登記を行う。
ただし、科技産業園区の場合、単一窓口で手続きできる場合がある。
また、2015年11月30日〔有限責任組合法〕の施行により、現地法人の形態で、有限責任組合も選択できるようになった。

経済部商業発展署:有限責任組合法の紹介(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(719KB)
経済部商業発展署:全国商工行政サービスポータルサイト「有限責任組合FAQ」(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

ジェトロ:台湾「現地法人(会社、有限責任組合)および支店設立手続き」PDFファイル (255KB)

原則、外国語による書類は中国語翻訳、委任状や会社登記簿謄本は台湾の在外機関による認証がそれぞれ必要。場合によっては、補足資料の提出が求められることがある。

工場の設置

工場の設置場所によって手続きが異なる。

華僑および外国人が台湾に工場を設置する場合、工場設置場所が一般工業区、科技産業園区等園区のいずれかによって、投資申請手続き、工場設置手続きの流れは異なる。

  1. 一般工業区

    会社登記までは現地法人設立(または支店設立)と同様。その後、工場登記を申請、取得し、税籍登記(営業登記)をする。
    なお、営業の都合などにより、先に税籍登記を済ませ、後から工場登記を追加することもできる。

  2. 科技産業園区等園区

    投資申請、会社登記申請、工場登記申請、税籍登記申請は、単一窓口で手続きできる場合がある。

代表者事務所、連絡事務所、工事事務所の設立手続き、必要書類

代表者事務所は設立申請と税籍登記が、連絡事務所と工事事務所は税籍登記が、それぞれ必要である。

ジェトロ:台湾「外国企業の代表者事務所、連絡事務所および工事事務所設立手続き」PDFファイル(156KB)

原則、外国語による書類は中国語翻訳、委任状や会社登記簿謄本は台湾の在外機関による認証がそれぞれ必要。場合によっては、補足資料の提出が求められることがある。

外国企業の会社清算手続き・必要書類

外国企業が台湾の投資拠点から撤退し、台湾現地法人を解散する場合、経済部投資審議司に対し投資撤退許可を取得し、会社登記の主務機関および税務機関に対し、解散登記手続き、税籍抹消手続きを完了しなければならない。

会社解散の手続き

外国企業が設立した台湾現地法人の解散について、次の手続きが必要である。

  1. 株主総会で会社の解散を決議、清算人を選任、清算手続きを開始。
  2. 経済部投資審議司に対し、外国人投資撤退を申請し、許可を取得。
  3. 主務機関に対し会社解散登記を行う。
  4. 税務機関に対し税籍(統一番号)登録抹消手続きを行う。
  5. 税務機関に対し当期営業税を申告する。
  6. 清算手続き開始後6カ月以内に清算手続きを完了し、裁判所に清算完了報告を行う。6カ月以内に清算手続きを完了することができない場合、清算人が裁判所に清算期間の延長を申請することは可能〔会社法第87条第3項、第334条〕。

会社解散、清算の手続き・必要書類

経済部投資審議司への外国人投資撤退の手続き

原則、外国語による書類は中国語翻訳が必要。場合によっては、補足資料の提出が求められることがある。

必要書類は次のとおり。

  1. 外国人投資撤退申請書
  2. 解散決議に関する株主総会議事録のコピー
  3. 会社登記簿謄本のコピー
  4. 代理人が代行する場合、委任状の原本および代理人の身分証明書のコピー

外国人投資撤退申請書(僑外F)(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(ダウンロード、54KB))(参考用英訳外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(ダウンロード、80KB)

問い合わせ先:経済部投資審議司(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
所在地:100215 台北市中正区羅斯福路一段7号8階
Tel:+886-2-3343-5700
E-mail:icserve@moea.gov.tw

主務機関への解散登記の手続き

株主総会が決議した解散日より15日以内に、会社設立時の登記機関に対して解散登記を申請する。
原則、外国語による書類は中国語翻訳が必要。場合によっては、補足資料の提出が求められることがある。

必要書類は次のとおり。

  1. 解散登記申請書(代理人が代行する場合、委任状が必要)
  2. 主務機関の許可書のコピー(許可が必要な業務を行う場合)
  3. 解散決議に関する株主総会議事録のコピー
  4. 会社登記簿謄本2通

問い合わせ先:会社設立時の登記機関

全国法規資料庫:会社登記弁法(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

税務機関への税籍登録抹消の手続き

主務機関の解散許可を取得した日より15日以内に、税籍登録抹消手続きを行わなければならない。
原則、外国語による書類は中国語翻訳が必要。場合によっては、補足資料の提出が求められることがある。

必要書類は次のとおり。

  1. 税籍登録抹消申請書
  2. 統一発票購入証
  3. 当期売上額および税額申告書および営業税納付証明書

財政部:eTaxポータルサイト「税籍登録抹消申請書」(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

問い合わせ先:管轄の国税局

労務上の注意点

会社を解散する場合、従業員に対する普通解雇退職金の支払いは次のとおり。労働契約終了後30日以内に支給する必要がある。

  1. 旧制度〔労働基準法〕適用労働者に対し、勤続年数に応じて1年につき平均賃金(労働契約終了前6カ月間の平均賃金)の1カ月分を支給。
  2. 新制度〔労働者定年退職金条例〕適用労働者に対して、勤続年数に応じて1年につき平均賃金の0.5カ月分(最高6カ月間の平均賃金)を支給。

全国法規資料庫:労働基準法(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
全国法規資料庫:労働者定年退職金条例(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

駐在員の帰任

現地法人は、駐在員との労働関係または委任関係が終了した日より3日以内に、管轄の主務機関、移民署事務所、警察機関に対して、駐在員の名前、性別、年齢、国籍、入国日、勤務期限、労働許可書番号、外僑居留証のコピーなどを書面で通知しなければならない〔就業服務法第56条、雇用主の外国人雇用にかかわる許可および管理弁法第68条〕。
駐在員が台湾を出国する前に、管轄の移民署事務所に対し、外僑居留証を返却し、出国手続きを完了しなければならない。

労働力発展署:外国人の台湾就業サイト(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

なお、内政部移民署は外国人生活ホットラインを設置しており、ビザ、居留、就業関連の問い合わせにつき、24時間で中国語、英語、日本語等多言語で対応する。

現地フリーダイヤル:1990
海外:+886-800-001-990

全国法規資料庫:就業服務法(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
全国法規資料庫:雇用主の外国人雇用にかかわる許可および管理弁法(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

その他

2018年台湾会社法改正

2018年台湾会社法改正について

2018年台湾会社法の改正は、同年11月1日より施行。改正された条文は148条に及び、2001年の同法改正以来、最も大きな改正となった。改正ポイントは、企業経営の柔軟性向上、コーポレートガバナンスの強化、株主権益の保障、イノベーション・創業環境の整備など。

  1. イノベーション・創業環境の整備
    額面株式あるいは無額面株式の選択制導入(第156条、第156-1条)、黄金株などの種類株式の追加(第157条)、年4回の利益配当が可能になった(第110条、第228-1条)。
  2. コーポレートガバナンスの強化
    取締役会招集権者の範囲拡大(第203-1条):一定条件を満たした場合、過半数の取締役は自ら取締役会を招集できるようになった。事実上取締役の適用範囲の拡大(第8条)、法人格否認法理の適用範囲の拡大(第99条)。
  3. 企業経営の柔軟性向上
    1. 株式公開発行会社以外の会社の再投資に対する制限(払込済資本金の40%)を緩和(第13条)
    2. 取締役会設置の緩和:改正前は取締役人数が少なくとも3名と定められたが、改正後は取締役会を設置する必要はなく、1名または2名の取締役を置くことが可能になった。さらに、株主が単一法人の会社(完全子会社)の場合は、監査役を設ける必要はない(第128-1条、第192条)。
    3. 株式非公開発行会社は、株券発行の有無を自ら決定(第161-1条)
    4. 会社発起人が1年間以内に株式譲渡できないという規定を削除(第163条)
    5. 取締役会の招集通知期間は原則7日間前から3日間前まで短縮(第204条)
    6. 従業員報酬制度の適用対象拡大(第167-1~2条、第235-1条、第267条)
    7. 株式非公開発行会社取締役会の書面による議決権の行使可能(定款記載必要)(第205条)
  4. 株主権益の保障
    株主総会招集通知に記載・概要を説明すべき事項の追加(第172条)、株主提案権の保障強化(第172条)、株主総会の招集権の緩和(3カ月以上、発行済株式の2分の1超を保有する株主は、自ら臨時株主総会を招集できる)(第173-1条)。
  5. デジタル・ペーパーレス化
    株券のペーパーレス化(第161-2条)、株主提案の電子化(第172-1条)、株式非公開発行会社はテレビ会議によって株主総会を開催することができる(定款記載必要)(第172-2条)。
  6. グローバル環境の構築
    外国会社の認許制度撤廃(第4条、第370~386条)、会社の外国語(英語)名称の追加登記(第392-1条)。
  7. 閉鎖性股份有限公司(閉鎖型株式会社)の経営柔軟性の向上
    取締役、監査役の選任に関する投票制度の緩和(第356-3条)
  8. マネーロンダリング防止
    取締役・監査役・経理人(支配人)および発行済株式総数の10%超を有する株主に関する情報の届出(第22-1条)、無記名株式制度の廃止(第137条、第164条、第166条、第169条、第172条、第175条、第176条、第240条、第273条、第279条、第291条、第297条、第311条、第316条、第447-1条)。

なお、5.デジタル・ペーパーレス化については、2021年12月29日の第172-2条、第356-8条の改正で、テレビ会議による株主総会の開催に関する規定(天災地変等不可抗力により物理的開催が困難である一定期間内にテレビ会議による株主総会の開催を認める旨)に基づきテレビ会議による開催、株主全員の同意の上株主総会を招集せず、当該株主総会の議案が書面により議決されることが認められると定められた。

経済部:会社責任者および主要な株主に関する情報届出プラットフォーム(中国語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます