先端技術の研究開発を後押しする台湾版CHIPS法を施行

(台湾)

中国北アジア課

2023年01月16日

台湾の経済部は1月7日、「産業創新条例」第10条の2と第72条の改正案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが同日に立法院を通過したと明らかにした。同条例は、産業イノベーションの促進や産業環境の改善および競争力の向上を目的としたもの。新たに追加された第10条の2では、半導体をはじめとする先端技術の研究開発費用および関連設備投資に対する法人税の控除を定めていることから、同改正案は「台湾CHIPS法」とも呼ばれる。適用期間は2023年1月1日から2029年12月31日まで(第72条修正)。主な内容は以下のとおり。

(1)適用条件:当該年度の研究開発費および売上高に占める研究開発費の割合が一定規模に達しており、かつ法人税の実行税率が一定比率に達していること(一定比率は、2023年度は12%、2024~2029年度は原則15%に設定。ただし2024年度分については、中央主管機関および財政部で調整・決定の上、公告する)。

過去3年以内に環境保護、労務および食品衛生などの関連法に違反していないこと。その他の法律で所得税上の優遇を受けている場合、本法との重複適用は不可。

(2)適用対象:台湾内でイノベーションおよび国際サプライチェーンにおける重要な地位を占める企業。産業および法人の国籍は問わない。

(3)控除額:当該年度の先端技術研究開発費に25%を乗じた金額と、先進設備の購入費に5%を乗じた金額(ただし金額が一定規模以上であることが条件)を当該年度の法人税から控除する。なお、控除額の合計は、当該年度に納付すべき法人税額の50%を超えてはならない。

なお、適用要件となる研究開発費の具体的な規模や、申請手続きなどを定める細則については、経済部および財務部によって6カ月以内に定めるとしている。

経済部は同日の発表に当たり、本条例の改正の背景について、日本、米国、欧州、韓国などが、研究開発関連の奨励策を打ち出し自国・地域内でのサプライチェーン強化に力を入れる中、台湾も国際サプライチェーンにおける重要な地位をさらに確固たるものとし、企業の対台湾投資を積極的に促すためと説明した。

(江田真由美)

(台湾)

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