関税制度

最終更新日:2023年12月15日

管轄官庁

税関

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コールセンター:1300-888-500 / 603-7806 7200

その他の関係官庁

2013年3月21日、政府機関への問い合わせなどを1カ所で対応する「1 Malaysia One Call Centre(1MOCC)」が設置された。問い合わせ先は次のとおり。

マレーシア政府公式ポータル(The Government of Malaysia’s official Gateway外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
Tel:603-8000 8000
Fax:603-8888 3721
E-mail:80008000@1mocc.gov.my
Short Messaging System(SMS):603-8000 8000
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関税率問い合わせ先

税関

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マレーシア税関の所在地リスト:Customs Offices外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

関税率検索サイト:(JKDM HS Explorer外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

※検索方法の例:日本から日本マレーシア経済連携協定を利用した場合の関税率の場合は、「Tariff Type」で「MJEPA」を選択し、調べたい物品のHSコード(最低4ケタ)を入力して「Search」をクリック。

関税体系

一般税率、および各FTA/EPAで適用される優遇税率。

品目分類

分類は、国際統一商品分類(HS分類)に基づく。

2017年関税令(Customs Duty Order 2017)が2017年4月1日より施行され、9ケタの関税番号が10ケタとなった。また同関税令により、2012年ASEAN共通関税品目分類表(ASEAN Harmonized Tariff Nomenclature 2012:AHTN2012)も差し替えられた。
その後、2022年関税令(Customs Duty Order 2022)が2022年6月1日より施行され、2017年関税令は廃止された。2022年関税令は、世界関税機構(World Customs Organization)による第7版の輸出統計品目表(Harmonized System (HS2022))に沿ったものであり、ドローン、スマートフォンなどの新しい分野の製品をカバーする修正がなされている。
詳細については、次の参考資料・情報を参照。

税関:

2017年関税令(Customs Duties Order 2017PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(20.15MB)
2022年関税令(Customs Duties Order 2022外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(24.9MB)
2022年関税令 正誤表(Customs Duties Order 2022 Corrigendum外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(279KB)
2023年関税(改定)令(Customs Duties (Amendment) Order 2023外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(587KB)

参考資料・情報

関税の種類

品目の大部分に従価税が課せられるが、いくつかの品目では従量税が課せられる。税率範囲は0~60%である。

課税基準

CIF価格

対日輸入適用税率

日本マレーシア経済連携協定(JMEPA)による税率が適用される(2006年7月13日~)が、一部には一般特恵税率が適用される。日ASEAN包括的経済連携(AJCEP)による税率は、マレーシア・日本間では2009年2月1日に発効した。

特恵等特別措置

一般特恵関税(GSP)、ASEAN物品貿易協定(ATIGA)をはじめ、日本やパキスタンなどとの二国間自由貿易協定も締結している。

協定等に基づく関税

特恵関税協定
  1. 一般特恵関税(GSP)
    マレーシアは現在、ノルウェー、スイス、ベラルーシ、カザフスタン、ロシアなどの諸国から特恵関税の適用を受けている。適用品目は、主に関税番号25-97の工業製品であり、1-24で始まる農産物への適用については限定的である。日本からは、関税番号76について適用を受けている。
    EUのGSP適用は、2013年12月31日で終了した。
  2. 貿易特恵制度‐イスラム諸国会議機構(OIC)
    マレーシアは2004年6月30日および同年8月23日、OICとの間で貿易特恵制度に関する枠組み協定に署名し、これを批准した。OIC加盟国間では、特定の製品に関する特恵関税譲許の取り決めが合意されている。
    関税率25%超の品目は25%に、15~25%の物品は15%に、10~15%のものは10%にすることが目標。OICの特恵税率は、10カ国が署名して批准されてから発効し、適用が可能となる。
    2022年12月現在、マレーシア、ヨルダン、オマーン、カタール、トルコ、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、ソマリア、シリアの9カ国が同協定を批准している。
  3. 特恵関税協定‐発展途上国8カ国グループ(D-8)
    D-8参加国(マレーシア、バングラデシュ、インドネシア、イラン、エジプト、ナイジェリア、パキスタン、トルコ)の間で、特恵関税協定(D-8 PTA)が締結され、実施されている。マレーシアの輸出業者は加盟国市場において、特定の製品に関して特恵関税待遇が受けられる。すなわち、関税率25%超の品目は25%に、15~25%の物品は15%に、10~15%のものは10%の特恵税率が適用される。
    本協定は、形式的には2011年8月に発効したとされているものの、いずれの国においても国内手続き中であることから、実態としては関税譲許はなされていないものと解釈される。
ASEAN地域の経済・貿易協定
  1. ASEAN物品貿易協定(ATIGA)
    ASEAN加盟国間で合意されたASEAN共通実効特恵関税(CEPT)は、ASEAN加盟国の原産地証明を有する製品に適用されていた。CEPT協定を利用する際の原産地規則については、2008年8月1日より、従来の「付加価値基準」から同基準または「関税番号変更基準」のどちらかを選択する方式に変更になったことにより、さらなるASEAN域内の貿易拡大が図られることとなった。ASEAN6カ国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ブルネイ)では、2010年1月1日にはほとんどの物品について関税が撤廃され、完全な自由貿易地域が実現した。ASEAN物品貿易協定(ASEAN Trade In Goods Agreement:ATIGA)が発効したのに伴い、2010年5月17日をもって、CEPTはATIGAに置き換えられた。原産地証明には「ATIGA CO Form D」が使用される。2020年9月20日にATIGAの修正議定書の運用が開始され、認定輸出者による原産地の自己申告制度が導入された。また、2023年4月から関税減免の規制・手続きが改正され、ASEAN統一関税分類品目コード(AHTN)がHS2022をベースとするものに切り替わるなどした。
  2. 地域的な包括的経済連携(RCEP)協定
    2020年11月15日、ASEAN10カ国(ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)、日本、中国、韓国、豪州およびニュージーランドの計15カ国による、RCEP首脳会議および協定署名式が開催された。
    その後、2021年11月2日にオーストラリア、ニュージーランドの両国がRCEP協定を批准し、RCEP協定の発効要件が充足された。これにより、RCEP協定は2022年1月1日に発効した。
    マレーシアは、2022年1月17日に批准手続きを終え、3月18日に発効した。
    RCEP協定は、署名国15カ国で、世界のGDP、貿易総額および人口の約3割を占める広域な経済連携協定である。RCEPにより、地域の貿易・投資の促進およびサプライチェーンの効率化に向けて、市場アクセスが改善され、発展段階や制度の異なる多様な国々の間で知的財産、電子商取引などの幅広い分野のルールの構築が期待される。
  3. ASEAN‐日本経済連携協定(AJCEP)
    ASEAN諸国と日本の間における貿易・投資連携強化を目指し、2008年4月に署名されたAJCEPでは、ASEAN-6と呼ばれるブルネイ、インドネシア、フィリピン、シンガポール、タイ、マレーシアと日本との間で、センシティブ品目を除くほとんどの物品の関税が2015年に撤廃された。マレーシアに関しては、ノーマル・トラックに課せられていた93.57%の関税を撤廃している。
    また、2015年4月1日より、原産地証明書(Certificate of Origin:CO)に新しい書式「CO Form AJ」が使用されることとなった。これにより、原産地証明に域内原産割合(Regional Value Content)を採用する場合を除き、FOB価額の記載は不要となった。
  4. ASEAN‐中国自由貿易協定(ACFTA)
    2003年7月1日に発効した枠組み合意に基づき、ASEAN‐中国自由貿易協定の全内容が2010年1月に発効した。物品貿易協定では、2005年7月から物品の関税引き下げおよび撤廃が段階的に実施され、2008年6月30日には「2008年関税(ASEAN‐中国アーリー・ハーベスト・プログラムおよび包括的経済協力の枠組み協定に基づく物品)令」が発効した。同令の改定は2010年12月30日付官報に公示され、2011年1月1日に発効した。また、ASEAN・中国間のさらなる経済協力の強化と充実を図り、他の自由貿易協定に匹敵する内容とするため、2015年11月22日には、枠組み協定の修正に関するプロトコールの調印が行われた。
    2022年11月から、ACFTAのアップグレード版、いわゆる「ACFTA3.0」に向けた交渉が行われている。
  5. 香港(ASEAN‐香港(中国)FTA:AHKFTA)
    2013年3月8日、ベトナムのハノイで行われた第19回ASEAN経済相会議の場において、ASEAN諸国は香港との自由貿易協定の締結を目指すことで合意し、2014年7月より香港との交渉が開始された。また、それと同時並行する形で、香港との自由投資協定(AHKFIA)についても交渉することとなった。これまでに9回の交渉がなされ、2017年11月の第31回ASEANサミットにおいて両協定の調印が行われた。香港は、マレーシアにとっては第9番目の輸出相手国であり、AHKFTAの締結は、中国が押し進める一帯一路の広域経済圏構想とも相まって、香港への輸出増大を見込んでいる。2019年6月11日に香港、ラオス、ミャンマー、シンガポール、タイ、ベトナムで発効。マレーシアでは、2019年10月13日に発効した。
  6. ASEAN‐オーストラリア・ニュージーランド自由貿易協定(AANZFTA)
    2010年1月1日に発効したAANZFTAは、物品・サービス・投資・知的財産権などの分野を含み、ASEANが締結したFTA/EPAの中で最も包括的なものとされる。12カ国、約6億人の自由貿易地域が誕生することとなり、それによる貿易拡大が見込まれている。
    2022年11月にはAANZFTAのアップグレード交渉が実質的に妥結し、2023年8月には、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、シンガポール、オーストラリアおよびニュージーランドの経済相は第2議定書に署名した。改正AANZFTAでは、貿易円滑化のためのルールが改善しており、例えば自己証明制度の利用が可能になるなど、特恵関税利用のハードルが下がる。
  7. ASEAN‐韓国自由貿易協定(AKFTA)
    ASEANと韓国の間では、物品貿易における関税および非関税障壁の撤廃、ならびに開かれた投資体制の確立を目的として、2005年12月13日に枠組み協定が調印された。2007年6月1日、マレーシアはASEAN‐韓国包括的経済協力枠組み協定に基づき、韓国から輸入される対象品目について関税引き下げを開始した。2009年2月27日、ASEAN10カ国の通商担当相は、タイのホアヒンにおいて、韓国・ASEAN間の物品およびサービス協定加入議定書に署名し、これによってタイがAKFTAに加入することとなり、韓国はASEAN加盟10カ国すべてと物品およびサービス協定を締結したことになった。韓国は、マレーシアを含むASEAN6との間では2012年までに、ベトナムとは2018年までに、カンボジア、ラオス、ミャンマーとは2020年までに、ほとんどの物品で関税を撤廃した。
  8. ASEAN‐インド自由貿易協定(AIFTA)
    タイのバンコクで2009年8月13日に開催されたASEAN‐インド経済相協議に基づき、2010年1月1日、ASEAN・インド物品貿易協定(ASEAN-India Trade in Goods Agreement)が発効した。
地域間の協定
  1. ASEAN‐EU 自由貿易協定(AEUFTA)
    2003年4月、EU‐ASEAN間の貿易・投資拡大を目的とする地域間の枠組みである「EU‐ASEAN地域間貿易イニシアチブ(Trans Regional EU-ASEAN Trade Initiative:TREATI)」が合意された。これを受けて、両地域メンバー国による共同委員会が設けられ、AEUFTAに向けた交渉が開始されることになった。EUとASEANは2007年に地域間FTA交渉を開始したが、ASEAN加盟国間の経済レベルや市場の開放度の差に加え、ミャンマーの人権問題などが交渉を阻害し、2009年5月に中断した。2017年3月、フィリピンで開催されたASEAN経済相・欧州委通商担当委員会合において、両地域間の自由貿易協定(FTA)交渉の再開に向けた準備作業を開始することが合意された。
  2. 環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)
    2018年10月31日にオーストラリアが11カ国のうち6カ国目の国内の批准手続きを終え、2018年12月30日に発効した。マレーシアは、2022年9月30日に寄託国であるニュージーランドに対し、国内手続きの完了を報告し、9番目の批准国となった。これにより、CPTPPは2022年11月29日にマレーシアで発効した。
二国間協定
  1. 日本‐マレーシア経済連携協定(JMEPA)

    2006年7月13日に発効したJMEPA(Japan-Malaysia Economic Partnership Agreement)により、日本とマレーシアの両国は、すべての農産物および工業製品の関税を2016年までに段階的に引き下げ、または撤廃することになった。

    マレーシアの関税減免実行表(投資貿易産業省):Malaysia - Schedule of Tariff Commitments-JADUAL KEDUA/SECOND SCHEDULEPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.82MB)

  2. マレーシア‐パキスタン経済連携協定(MPCEPA)
    MPCEPA(Malaysia-Pakistan Closer Economic Partnership Agreement)は、2008年1月1日に発効した。
  3. マレーシア‐ニュージーランド自由貿易協定(MNZFTA)
    2010年8月1日に発効したMNZFTA(Malaysia-New Zealand FTA)により、両国間の関税は、2016年までに段階的に引き下げが実施されることになった。これを受け、ニュージーランドは全品目について2016年までに関税撤廃を行う一方、マレーシアは「ノーマル・トラック1」ではプラスチックや自動車部品などについて、「ノーマル・トラック2」ではベニヤ板、化学製品、鉄鋼製品の関税撤廃を実施することになった。これにより、銃器、銃弾、たばこなどの除外品目89品目、液体ミルク、豚、卵などの関税割当品目15品目を除き、98.9%の品目について関税を撤廃することになった。
  4. マレーシア‐オーストラリア自由貿易協定(MAFTA)
    マレーシアとオーストラリアとの間における非関税措置への取り組み、特に農産品分野における貿易と投資の流れを促進することを目的として締結されたMAFTA(Malaysia-Australia Free Trade Agreement)は、2013年1月1日に発効した。これにより、両国間の自由化は物品・サービス・投資の各方面で進められ、マレーシアによるオーストラリア向け輸出においては、同協定の発効と同時に100%の物品についてオーストラリア側で関税撤廃が実行され、民間病院、マレーのマッサージやアーユルベーダ、漢方などの伝統的な医療サービスについても、100%マレーシア資本の事業者の市場参入が認められることになった。また教育・通信・金融分野においても、70~100%のオーストラリア資本保有が認められることになった。
  5. マレーシア‐チリ自由貿易協定(MCFTA)
    2012年2月25日にMCFTA(Malaysia-Chile Free Trade Agreement)が発効したことを受け、マレーシアは「関税(マレーシア-チリ物品に関する自由貿易協定)令2012年[Customs Duties (Goods under the Free Trade Agreement Malaysia - Chile) Order 2012]」を発効させた。
    マレーシアはMCFTA発効と同時に、全品目の89.5%(9,311品目)について、チリからの輸入品の関税を撤廃し、その後の3年以内に405品目(全体の4.0%)の関税を撤廃、5年以内に現行関税率25~50%の500品目(5%)について関税撤廃もしくは上限5%の引き下げを行った。なお、花火・爆発物・爆弾、コメ、たばこ、アルコール飲料を含む138品目は、対象から除外される。
    一方チリは、MCFTA発効と同時に90.2%(6,960品目)の関税を撤廃し、その後段階的に5年以内に全体の98.9%の品目について関税撤廃を実施した。ワイン、アルコール、たばこ、コメ、小麦などの96品目については除外品目となっている。
  6. マレーシア‐インド包括貿易協定(MICECA)
    マレーシアではMICECA(Malaysia-India Comprehensive Economic Cooperation Agreement)が2011年7月1日に発効したが、同日付で「2011年関税令(マレーシア・インド包括的経済協力協定に基づく物品)(MICECA)(Customs Duties [Goods under the Malaysia-India Comprehensive Economic Cooperation Agreement] (MICECA)Order 2011)」も施行された。
  7. マレーシア‐トルコ自由貿易協定(MTFTA)
    2015年8月1日に発効したMTFTA(Malaysia-Turkey Free Trade Agreement)により、70%のタリフラインについて、マレーシアにおいてトルコから輸入される製品に課せられる関税が即時撤廃され、その後の8年間で、タリフラインの86%について関税が軽減・撤廃されることになった。
    マレーシアとトルコの両政府は、2021年7月13日に、サービス、投資、電子商取引に関する内容を協定に含めるために、自由貿易協定の拡大に関する共同宣言に署名した。
  8. マレーシア-欧州連合(EU)自由貿易協定(MEUFTA)、マレーシア‐EUパートナーシップ協力協定(MEUPCA)
    マレーシアとEU諸国連合は経済連携・協力を深めるため、2010年10月5日からMEUFTAおよびMEUPCAの交渉を開始した。2012年以降、MEUFTAの交渉は中断している。MEUPCAについては、2015年12月に妥結した。

これまで述べてきた貿易協定のうち、既に発効したものに関連して原産地証明を取得する場合は、DagangNet Technologies Sdn Bhdが運営するePCOと呼ばれる電子原産地証明システム(Electronic Preferential Certificate of Origin System:ePCO)を通じて、オンラインで申請手続きを行うことになっている。

DagangNet Technologies Sdn Bhd:Electronic Preferential Certificate of Origin System(ePCO)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

その他の関税に関する制度

  1. 主関税地域(Principle Customs Area:PCA)
    マレーシアの関税は主関税地域への輸入および主関税地域からの輸出を対象としており、主関税地域とは、フリーゾーン(FZ)、ラブアン、ランカウイ、ティオマンを除くマレーシア国内のすべての地域を意味する。
    2019年7月9日に成立した2019年関税(修正)法により、2020年1月1日よりパンコールも主関税地域から除外されることになった。
  2. フリーゾーン(FZ)における関税免除措置

    マレーシアにはいくつかの指定されたFZがあるが、FZに立地する企業は、基本的に製品の80%以上を輸出することが求められる。また、製品の原材料や部品は、主に輸入品であることが想定されているが、マレーシア政府は国内産の原材料や部品の使用も奨励している。FZ内に持ち込まれ、生産、製造、供給される物品およびサービスについては、輸入税および物品税が免除される。物品・サービス税(GST)の廃止に伴い2018年9月1日に導入された売上税(Sales Tax)に関しても、FZ内に持ち込まれる物品は、原則として課税対象外となっている。

  3. 保税工場(Licensed Manufacturing Warehouse:LMW)

    マレーシアにおいては、各企業は自社の工場敷地内へのLMWの設置を税関に申請することができる。FZ以外の主関税地域(Principle Customs Area:PCA)に事業所を設置する輸出品製造業者に対する輸入税の保税措置であるLMW制度では、FZと同様、原則として、製品の80%以上を輸出または間接輸出することが条件になる。売上税に関しては、FZと同様に、LMW内に持ち込まれる物品は、原則として課税対象外となっている。

  4. 製造者の輸入における関税免除
    1. 機械の輸入税の免除

      製造者が、自社の製造工程に使用する目的で輸入するかFZ・LMWから購入する機械・設備の関税については、「2017年関税免除令(Custom Duties (Exemption) Order 2017)」によって、自主申告制度の下で輸入税の免除が受けられる。手続きとしては、主関税地域(PCA)に立地する製造者であることの確認書「Confirmation Letter as a Manufacturer in the PCA」を投資開発庁(MIDA)から入手した上で、各種該当書式を税関に提出して通関を行う。なお、スペアパーツおよび消耗品は、免税の対象外である。前述の確認書の申請は、MIDAのウェブサイトを通じて行う。

      確認書の申請ウェブページ:Application for MIDA Confirmation Letter [Surat Pengesahan MIDA (SPM)] for Import Duty and/or Sales Tax Exemption外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

    2. 原材料の輸入税の免除

      製造者が、自社の製造工程に直接使用する目的で輸入する原材料の輸入税については、免除申請ができる。マレーシア国内に該当する原材料がなければ、通常は免除される。マレーシア国内に同等の製品がある場合では、輸入しなければならない明確な理由や、国内メーカーからの同意書などが求められる場合もある。
      手続きについては、MIDAのウェブサイトを参照。

      原材料・部品の輸入税免除申請に関するガイドラインおよび手続き:GUIDELINES AND PROCEDURE FOR APPLICATION FOR IMPORT DUTY AND/OR SALES TAX EXEMPTION ON RAW MATERIALS AND COMPONENTS FOR MANUFACTURING SECTORS PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(128KB)

  5. 支払った輸入税の還付請求
    輸入税が支払われ、いったんマレーシア国内に輸入された物品を再輸出する場合、1967年関税法(Customs Act 1967)に基づく条件が満たされ、かつ必要な手続きが適切にとられていれば、支払った輸入税の90%を還付申請することができる。ただし、通関して輸入税を支払った時点で還付請求する旨を申し立てていることが前提であり、申請後は担当官の求めに応じて関連書類を改めて提出するなど、手続きにはかなりの時間を要し、実際に還付を受けるのは難しい。なお、還付請求に必要な主な書類は、次のとおり。
    1. 申請書
    2. 所定の書式による請求申立書
    3. フォームJKED 2
    4. 委任状(代理人によって請求が行われる場合)
    5. 税関フォームNo. 1、2、9、SP3D、Eksais 7、Eksais 8のいずれか該当するフォーム(注)
    6. インボイス
    7. パッキングリスト

    なお、税関フォームに関しては、次の資料を参照。
    各種税関フォーム (CUSTOMS (AMENDMENT) REGULATIONS 2018PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.20MB))(政府法令サイト)

関連法

関税に関する主たる法律は、1967年関税法(Customs Act 1967)である。

関税に関する関連法規には、次のものがある。

  • 1967年関税法(Customs Act 1967
  • 1993年相殺関税およびアンチダンピング関税法(Countervailing and Anti-Dumping Duties Act 1993
  • 1976年物品税法(Excise Act 1976
  • 1990年フリーゾーン法(Free Zone Act 1990

関税以外の諸税

売上税および物品税がある。
2018年5月の政権交代により、売上税は2018年9月1日、物品・サービス税(GST)が2018年8月31日に廃止されたのに伴い導入された。
2022年1月1日から9月30日まで、間接税の特別自主開示プログラム(Special Voluntary Disclosure Program)が実施された。売上税、サービス税、物品税、関税などの間接税を対象として、納税者が過去の無申告や過少申告、過少納付などを自主的に修正する場合には、罰則が減免された。具体的には、2022年1月1日から2022年6月30日までの第1フェーズではペナルティの金額の100%の免除、2022年7月1日から2022年9月30日までの第2フェーズではペナルティの金額の50%の免除とされた。
また、2023年6月6日から2024年5月31日まで、特別自主開示プログラム2.0(Special Voluntary Disclosure Program 2.0)が実施されており、直接税および間接税を対象として、納税者が過去の無申告や過少申告、過少納付などを自主的に修正する場合には、ペナルティの金額の100%が免除される。

売上税(Sales Tax

売上税は、課税物品の輸入および課税事業者たる製造業者がマレーシア国内で製造する課税物品に課され、税率は5%または10%である(石油製品を除く)。課税事業者が材料などを輸入または他の課税事業者から購入する場合、免税を適用することができる。指定地域(ラブアン、ランカウイ、ティオマン、パンコール)および特別地域(フリーゾーン、保税倉庫、保税工場など)は、原則として売上税の対象外とされている。

また、オンライン市場で販売され、陸路、海路または空路でマレーシアに配送される500リンギ以下の価格の低価格商品についても、10%の売上税が課されることとなった。
低価格商品に対する課税は、2024年1月1日から施行される。
低価格商品に対して課税がなされることに伴い、2023年1月1日より、低価格商品の販売額が年間50万リンギを超える者は、マレーシア国内外を問わず納税義務者となり、登録販売者(RS)として税関に届け出を行う必要がある。

税関:
登録申請ウェブページ:Application for Sales Tax on Low Value Goods (LVG) Registration外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
Sales & Service Tax(SST)公式ウェブサイト:MySST外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

物品税(Excise Duty

ビール、スタウト・ビール、その他の酒、一定の加糖飲料、たばこの葉が含まれた巻たばこ、電子たばこなどのたばこ製品、自動車、トランプを含む特定品目に対しては、物品税が課せられる。物品税の税率は課税対象品によって異なり、物品税の課税対象となる製品の製造業者は、当該品目を製造するライセンスを取得しなければならない。物品税の課税対象品の保管にも、倉庫ライセンスが必要となる。
物品税は、一般に当該品目が製造地を離れた時点で支払うが、自動車の物品税については、当該車両が道路交通局に登録された時点で支払われる。輸出品には、物品税は課されない。

税関:物品税に関するウェブページ:Excise & Levy外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

その他

特になし。