為替管理制度

最終更新日:2020年12月28日

管轄官庁/中央銀行

マレーシア中央銀行(Central Bank of Malaysia/Bank Negara Malaysia)

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為替相場管理

複数通貨バスケット方式による変動相場制

マレーシアでは、新たな段階の金融サービスに対応するため、2013年6月30日に次の法律を廃止するとともに、同日付で新たに2013年金融サービス法および2013年イスラム金融サービス法を施行した。

  • 1953年外国為替管理法(Exchange Control Act 1953
  • 1989年銀行・金融機関法(Banking Financial Institutions Act 1989
  • 1983年イスラム銀行法(Islamic Banking Act 1983
  • 1996年保険法(Insurance Act 1996
  • 2003年決済システム法(Payment Systems Act 2003
  • 1984年タカフル法(Takaful Act 1984

またこれにより、マレーシア中央銀行が過去に公布した為替管理通達(ECM通達)は同日をもって廃止され、それまでに出された通達内容で有効な外国為替管理規定(Foreign Exchange Administration (FEA) rules)の要旨が発表された。なお、外国為替管理規定では、居住者と非居住者を区別している。

なお、「居住者」に適用される規定 "RULES APPLICABLE TO RESIDENTSPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(224KB)"では、居住者は次のように定義される。

  • マレーシア国民(マレーシア国外の領域の永住権を所持し、国外に居住する者を除く)
  • マレーシアの永住権を所持し、定住する非マレーシア国民
  • マレーシアで設立、登録、または認可された“人”(法人・非法人、本社・支店を問わず)

また、「非居住者」に適用される規定 "RULES APPLICABLE TO NON-RESIDENTSPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(208KB)"では、非居住者は次のように定義される。

  • 居住者以外の個人
  • 居住者である会社の海外の支店、子会社、地域事務所、営業所、駐在員事務所
  • 大使館、領事館、高等弁務官事務所、超国家機関、国際機関、またはマレーシア国外の領域の永住権を所持し、国外に居住するマレーシア国民

貿易取引

非居住者に対する物およびサービスの支払いは、外国通貨または現地通貨リンギで行うことができる。
2016年12月2日、中央銀行は「輸出収益の75%の外貨は、受け取った当日中にリンギへ両替すること、またはリンギへ両替する為替予約をすること」とし、本規定は2016年12月5日から発効すると発表した。その後も経過措置が追加発表されており、注視を要する。

決済通貨

非居住者に対する物およびサービスの支払いは、原則として外国通貨またはリンギで行うことができる。

2016年12月2日、マレーシア中央銀行は、リンギ決済の促進とオンショア金融市場の発展に向け、「輸出収益の25%は外貨のままで保有することが可能だが、残り75%の外貨については、受け取った当日中にリンギ転(リンギへ両替すること)またはリンギ転の為替予約をすること」とし、本規定は2016年12月5日から発効すると発表した。

外貨は、貿易決済用のTrade Foreign Currency Account(FCA)、その他の決済用のInvestment FCAに分けて管理しなければならない。リンギへ転換した輸出代金については、各銀行が提供するSpecial Deposit Facility(SDF)口座への入金が可能であり、入金日から日ごとに年利3.25%の金利が付与される。

さらに、非居住者によるリンギ決済を促進するため、マレーシア国内の認可銀行グループが国外に置く支店・子会社などの関係金融機関、または国内の認可銀行が任命して中央銀行の承認を受けた国外の金融機関は、マレーシア中央銀行の承認を得た上で、次の業務を行うことができる。

  1. リンギの先物為替予約を行う。
  2. 非居住者にリンギ口座を開設する。
  3. 居住者とのリンギ決済のためリンギ融資を行う。

従来、輸出収益のある居住会社は、居住者間取引でも外貨決済が認められていた。しかし、2017年3月31日までは既存契約による外貨決済は可能だが、規則導入後(2016年12月5日以降)のマレーシア国内における物品・サービスの新規契約および契約更改については、リンギで決済されなければならなくなった。輸出志向の日系製造会社・販売会社が多いマレーシアでは、この変更に伴う影響は大きく、銀行によって規則の解釈も分かれている。マレーシア中央銀行は、その後も経過措置を追加発表しているため、今後も注視を要する。

2018年8月17日付のマレーシア中央銀行の追加通知により、居住者が外貨の支払債務を有する場合は、将来6カ月間の支払債務相当額を上限として、前述の25%の制限を超えて輸出収益を外貨のままTrade Foreign Currency Account(FCA)で保有することが認められることになった。
また、2019年3月27日付のマレーシア中央銀行の追加通知により、2019年5月2日以降、年間の物品およびサービスの輸入額が輸出額を上回る中小企業(SMEコーポレーションが定義する中小企業)については、追加通知に記載された一定の条件と手続きの充足を前提に、輸出収益のある居住者との物品およびサービスに係る国内取引に関して外貨で支払いを受けることが可能になった。

なお、マレーシア中央銀行による外国為替規則の通知および追加通知に関しては、次のウェブページを参照。

輸出収益

輸出収益は、売買契約に規定される支払い方法に基づき、輸出日から6カ月以内に、全額マレーシアに送金されなければならない。輸出収益の受取が6カ月を超える場合や非居住者との他の取引により相殺を行う場合は、中央銀行の承認が必要である。

また年間輸出総収益が5,000万リンギ相当額を上回る居住輸出業者は、マレーシア中央銀行に四半期ごとに報告書を提出するよう義務付けられている。同報告書は、各四半期の最終日から21日以内に、次のウェブページを通じて銀行に提出する。

マレーシア中央銀行外国為替管理部(Central Bank of Malaysia/Bank Negara Malaysia, Foreign Exchange Administration
物品輸出に関する報告書の提出:Submission of Report on Export of Goods外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

貿易外取引

非居住者である個人および金融機関は、マレーシアの居住者に対し、直接・間接を問わず預金や保険金を募ったり、保険商品やその他の商品を提供することは認められない。

資本取引

現地法人は、直接株主、グループ企業、国内の銀行からは金額の制限なく外貨借入を行うことができるが、それ以外の非居住者からの外貨借入の場合、国内グループ企業との合計で1億リンギまでしか借入を行うことができない。
居住者および非居住者は、リンギ通貨の持ち込みや持ち出しについて、1万ドル相当額までは認められる。外国通貨の持ち込みや持ち出しには制限がない。

投資

  1. 非居住者によるマレーシアへの投資
    マレーシアへの直接投資家は、資本、収益、配当、利息、報酬、賃貸料については、自由に本国へ送金することができる。非居住者は、その資産を居住者に、リンギ建てまたは外貨建てで売却することができる。ただし、マレーシア国外への送金は、外国通貨で行わなければならない。
  2. 居住者による海外投資

    リンギ建て国内信用供与を得ていない居住者である企業および個人は、自由に海外に投資することができる。リンギ建て国内信用供与を得ている居住者は、貿易用外貨口座の資金や両替で得た外国通貨など一定の資金を用いて、次の金額を上限として自由に海外に投資することができる。

    • 居住者であり親子関係にある同一グループ企業の合計で、暦年ごとに5,000万リンギ相当額まで
    • 個人は、暦年ごとに100万リンギ相当額まで

    さらにすべての居住者は、海外からの資金または投資用外貨口座の資金、外貨建て借入以外の非居住者からの資金を用いて、制限なく海外投資をすることができる。また、外貨建て借入を原資とする場合は、外貨建て借入れ制限の範囲内で、個人であれば1,000万リンギ相当まで、企業であれば制限なく、海外投資をすることができる。

    居住者である投資信託運用会社およびファンド運用会社は、非居住者およびリンギ建て国内信用供与を得ていない居住者に帰属する純資産総額(Net Asset Value:NAV)、または非居住者およびリンギ建て国内信用供与を得ていない居住者のために運用する資金について、いずれもその100%を海外に投資することができる。
    リンギ建て国内信用供与を得ている居住者に帰属する資産またはリンギ建て国内信用供与を得ている居住者のために運用する資金については、イスラム法に則ったシャリア資産への投資にはNAVの100%を、また普通資産への投資にはNAVの50%までを海外に投資することができる。

    認可保険会社は、非居住者およびリンギ建て国内信用供与を得ていない居住者に販売した投資リンク型ファンドについて、NAVの100%を海外に投資することができる。
    またリンギ建て国内信用供与を得ている居住者へ販売した投資リンク型ファンドについては、NAVの50%までを海外に投資することができる。
    Takaful(イスラム保険)運営会社は、居住者および非居住者に販売した投資リンク型ファンドについては、NAVの100%を海外に投資することができる。

信用供与

信用供与(借入など)についての規定の詳細は、マレーシア中央銀行ウェブサイトを参照。
NOTICE 2: BORROWING, LENDING AND GUARANTEEPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(540KB)

  1. 居住者
    1. 居住者に対する外貨建て信用供与

      居住者である個人は、1,000万リンギを上限として、国内の認可銀行や非居住者から外貨建て信用供与を得ることができる。ただし非居住者である家族からの信用供与には金額の制限はない。

      居住者である企業は、国内の認可銀行、同一企業グループ内の居住者・非居住者である他社、居住者・非居住者の直接株主から、あるいは他の居住者に対する外貨建て債券の発行を通じ、金額の制限なく自由に外貨建て信用供与を得ることができる。
      また、合計で1億リンギ相当額を上限として、非居住の金融機関または同一企業グループではない非居住者から、外貨建て信用供与を得ることができる。外貨建て借入れの元本および利息についても、認可額を超えない範囲で借換えが可能である。

    2. 居住者に対するリンギ建て信用供与

      居住者である個人は、マレーシア国内での使用を目的として、非居住者の企業(金融機関を除く)または個人から、100万リンギを上限とするリンギ建て信用供与を得ることができる。ただし、非居住者である家族からの信用供与については、金額の制限はない。

      居住者である企業は、マレーシア国内の実需に基づく活動のために、同一企業グループ内の非居住者の他社(非居住者金融機関を除く)または非居住者の直接株主から、金額の制限なく自由にリンギ建て信用供与を得ることができる。
      また、合計で100万リンギ相当額を上限として、マレーシア国内での使用を目的として、同一企業グループ以外の非居住者企業からリンギ建て信用供与を得ることができる。

  2. 非居住者
    1. 非居住者に対する外貨建て信用供与
      非居住者は、マレーシア国内の認可銀行から、金額の制限なく自由に外貨建て信用供与を得ることができる。またマレーシア国内において、国内外での使用を問わず、外貨建てイスラム債券(sukuk)/普通債券を自由に発行することができる。
    2. 非居住者に対するリンギ建て信用供与

      非居住者は、マレーシア国内の実需に基づく活動や、マレーシアの住宅や商業用不動産購入のために、国内の認可銀行(国際イスラム銀行を除く)からリンギ建て普通債券またはイスラム債券の発行を通じ、金額の制限なく自由にリンギ建て信用供与を得ることができる。

      非居住者である個人は、居住者である家族や雇用主から、金額の制限なく自由にリンギ建て信用供与を得ることができる。また非居住者は、証券取引ライセンス保有の居住者から、信用取引のためのリンギ建て信用供与を金額制限なく得ることができる。さらに非居住者である個人は、購入した保険の解約返戻金を上限として、居住者である保険会社からリンギ建てによる借入れができる。

      非居住者の証券会社およびカストディアン銀行は、マレーシア証券市場(Bursa Malaysia)におけるリンギ建て証券取引決済、またはリアルタイム電子決済システム(Real Time Electronic Transfer of Funds and Securities System:RENTAS)を通じた決済において、決済資金の受取が予想外に遅れた際には、国内の認可銀行から、金額の制限なくリンギ建て信用供与を得ることができる。

銀行預金

  1. 居住者の外貨口座
    居住者は、マレーシア国内の認可銀行または海外の銀行に、外貨口座(FCA)を開設することができる。入金する外貨の種類について、特に制約はない。居住者である個人については、居住者である個人もしくは非居住者である個人(家族)との共同名義外貨口座の開設が可能である。
  2. 非居住者の外貨およびリンギ口座
    マレーシア中央銀行によれば、非居住者は、国内の認可銀行に自由に外貨またはリンギの口座を開設することができ、これらの口座から自由に外貨での送金を行えるとしている。しかし、マレーシアの地場銀行では、資金洗浄・テロ資金供与などの対策に関するマレーシア中央銀行の指導もあり、顧客デューデリジェンスの一環として、外国人が個人口座を開設する際には、マレーシア滞在の目的を証明するため、雇用パス、学生ビザなどの長期滞在ビザの提示を求めており、これらの書類がない場合、口座開設は難しい。
    なお、非居住の旅行者のリンギでの持ち出しや持ち込みは、1万ドル相当額までとされている。

利子、配当、利益などの海外への送金

利子、配当、利益などの海外への送金に関する規則については、前述の「資本取引 投資」の項を参照。

その他

  1. 特別ステータスを得た会社に与えられる優遇措置
    認可された経営統括本部(Operational Headquarters:OHQ)は、OHQとしての適格サービスを行うために、金融機関を含む非居住者より外貨による借入れを自由に行うことができる。認可された金融管理センター(Treasury Management Centre:TMC)は、次の事項を制限なく行うことができる。
    1. 非居住者からの外貨の借入れ
    2. 居住・非居住を問わず、関連会社への外貨の貸付け
    3. マレーシアの銀行口座において、グループ企業の外貨資金を統合管理すること
    4. マレーシアにある関連会社への、またはマレーシアにある関連会社からの、外貨での支払いもしくは受取り
    5. グループ企業の事業運営に関わって海外から得た物品・サービスの対価を、マレーシア居住のサプライヤーに対し外貨で支払うこと
    6. グループ会社の代理として、国内銀行と先物予約を行うこと
    7. 自社または関連会社の非居住者からの輸出代金の受取りを相殺すること
  2. ラブアンの会社

    1990年ラブアン会社法(Labuan Companies Act 1990)に基づき、ラブアン国際オフショア金融センターに設立または登録された事業体は、外国為替管理の目的上、非居住者として位置付けられる。

    1990年ラブアン会社法:Labuan Companies Act 1990PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(762KB)

関連法

2013年金融サービス法(Financial Service Act 2013)、2013年イスラム金融サービス法(Islamic Financial Service Act 2013)、1990年ラブアン会社法(Labuan Companies Act 1990)、2001年反マネー・ロンダリング、反テロ金融及び犯罪収益法(Anti-Money Laundering, Anti-Terrorism Financing and Proceeds of Unlawful Activities Act 2001)がある。

マレーシア中央銀行ウェブサイトを参照。
2001年反マネー・ロンダリング、反テロ金融及び犯罪収益法:Anti-Money Laundering, Anti-Terrorism Financing and Proceeds of Unlawful Activities Act 2001外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

その他

特になし。