為替管理制度

最終更新日:2017年08月30日

管轄官庁/中央銀行

マレーシア中央銀行(Central Bank of Malaysia/Bank Negara Malaysia)

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為替相場管理

複数通貨バスケット方式による変動相場制

マレーシアでは、新たな段階の金融サービスに対応するため、2013年6月30日、次の法律を廃止するとともに、同日付で新たに2013年金融サービス法および2013年イスラム金融サービス法を施行した。廃止されたのは、次の各法。

  • 1953年外国為替管理法(Exchange Control Act 1953
  • 1989年銀行・金融機関法(Banking Financial Institutions Act 1989
  • 1983年イスラム銀行法(Islamic Banking Act 1983
  • 1996年保険法(Insurance Act 1996
  • 2003年決済システム法(Payment Systems Act 2003
  • 1984年タカフル法(Takaful Act 1984

またこれにより、マレーシア中央銀行が過去に公布した為替管理通達(ECM通達)は同日をもって廃止され、それまでに出された通達内容で有効な外国為替管理規定(Foreign Exchange Administration (FEA) rules)の要旨が発表された。外国為替管理規定では、居住者と非居住者とを区別している。

なお、「居住者」に適用される規定 "RULES APPLICABLE TO RESIDENTSPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(125KB)"では、居住者は次のように定義される。

  • マレーシア国民(マレーシア国外の領域の永住権を所持し、国外に居住する者を除く)
  • マレーシアの永住権を所持し、定住する非マレーシア国民
  • マレーシアで設立、登録、または認可された“人”(法人・非法人、本社・支店を問わず)

また、「非居住者」に適用される規定 "RULES APPLICABLE TO NON-RESIDENTSPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(114KB)"では、非居住者は次のように定義される。

  • 居住者以外の個人
  • 居住者である会社の海外の支店・子会社・地域事務所・営業所・駐在員事務所
  • 大使館、領事館、高等弁務官事務所、超国家機関、国際機関、またはマレーシア国外の領域の永住権を所持し、国外に居住するマレーシア国民

貿易取引

非居住者に対する物およびサービスの支払いは、外国通貨またはリンギで行うことができる。
2016年12月2日、中央銀行が「輸出収益の75%の外貨は、受け取った当日中にリンギへ両替すること、またはリンギへ両替する為替予約をすること」とし、本規定は2016年12月5日から発効すると発表した。その後も経過措置が追加発表されており、注視を要する。

決済通貨

非居住者に対する物およびサービスの支払いは、原則として外国通貨またはリンギで行うことができる。

2016年12月2日、マレーシア中央銀行は、リンギ決済の促進とオンショア金融市場の発展に向け、「輸出収益の25%は外貨のままで保有することが可能だが、残り75%の外貨については、受け取った当日中にリンギ転(リンギへ両替すること)またはリンギ転の為替予約をすること」とし、本規定は2016年12月5日から発効すると発表した。

外貨は、貿易決済用のTrade Foreign Currency Account(FCA)、その他の決済用のInvestment FCAに分けて管理しなければならない。リンギへ転換した輸出代金については、各銀行が提供するSpecial Deposit Facility(SDF)口座への入金が可能であり、入金された日から日ごとに年利3.25%の金利が付与される。

さらに、非居住者によるリンギ決済を促進するため、マレーシア国内の認可銀行グループが国外に置く支店・子会社などの関係金融機関、または国内の認可銀行が任命して中央銀行の承認を受けた国外の金融機関は、マレーシア中央銀行の承認を得た上で、次の業務を行うことができる。

  1. リンギの先物為替予約を行う
  2. 非居住者にリンギ口座を開設する
  3. 居住者とのリンギ決済のためリンギ融資を行う

従来、輸出収益のある居住会社は、居住者間取引でも外貨決済が認められていた。しかし、2017年3月31日までは既存契約による外貨決済は可能だが、規則導入後(2016年12月5日以降)のマレーシア国内における物品・サービスの新規契約、契約更改については、リンギで決済されなければならなくなった。輸出志向の日系製造会社・販売会社が多いマレーシアでは、この変更に伴う影響は大きく、各銀行によって規則の解釈も分かれている。マレーシア中央銀行は、その後も経過措置を追加発表しているため、今後も注視を要する。

なお、マレーシア中央銀行による外国為替規則の追加通知に関しては、次のウェブページを参照されたい。

輸出収益

輸出収益は、売買契約に規定される支払い方法に基づき、輸出日から6カ月以内に、全額マレーシアに送金されなければならない。輸出収益の受取が6カ月を超える場合や非居住者との他の取引により相殺を行う場合は、中央銀行の承認が必要である。

また年間輸出総収益が5,000万リンギ相当額を上回る居住輸出業者は、マレーシア中央銀行に四半期ごとに報告書を提出するよう義務付けられている。同報告書は、各四半期の最終日から21日以内に、次のウェブページを通じて銀行に提出する。

外国為替管理部、物品輸出に関する報告書の提出(マレーシア中央銀行):Central Bank of Malaysia/Bank Negara Malaysia, Foreign Exchange Administration, Submission of Report on Export of Goods外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

貿易外取引

非居住者である個人および金融機関は、マレーシアの居住者に対し、直接・間接にかかわらず預金や保険金を募ったり、保険商品やその他の商品を提供することは認められない。

資本取引

居住者は、非居住者に対するリンギ建てまたは外国通貨建ての支払いが20万リンギまでの場合は、中央銀行への報告は不要である。
居住者および非居住者は、リンギ通貨の持ち込みや持ち出しについて、1万ドル相当額までは認められる。外国通貨の持ち込みや持ち出しには制限がない。

投資

  1. 非居住者によるマレーシアへの投資

    マレーシアへの直接投資家は、資本、収益、配当、利息、報酬、賃貸料については、自由に本国へ送金することができる。非居住者は、その資産を居住者に、リンギ建てまたは外貨建てで売却することができる。ただし、マレーシア国外への送金は、外国通貨で行わなければならない。

  2. 居住者による海外投資

    国内信用供与を得ていない居住者である企業および個人は、自由に海外に投資することができる。リンギ建て国内信用供与を得ている居住者は、外国を源泉とする資金の保有外国通貨で、自由に海外に投資することができる。
    また、株主資本10万リンギ以上で開業後1年以上の企業は、同一企業グループ内で暦年ごとに5,000万リンギまで、個人は同100万リンギまで、リンギを外国通貨に転換して海外投資を行うことができる。
    2011年5月のさらなる緩和発表により、中央銀行により適格と判断された会社は、年間5,000万リンギの上限なしに一定の海外直接投資ができることとなった。
    さらに、すべての居住者は、外貨建て借入れ制限の範囲内で、調達した資金を使って海外投資をすることができる。

    居住者である投資信託運用会社およびファンド運用会社は、非居住者およびリンギ建て国内信用供与を得ていない居住者に帰属する純資産総額(Net Asset Value:NAV)、または非居住者およびリンギ建て国内信用供与を得ていない居住者のために運用する資金について、いずれもその100%を海外に投資することができる。リンギ建て国内信用供与を得ている居住者に帰属する資産またはリンギ建て国内信用供与を得ている居住者のために運用する資金については、イスラム法に則ったシャリア資産への投資にはNAVの100%を、また普通資産への投資にはNAVの50%までを海外に投資することができる。

    認可保険会社は、非居住者およびリンギ建て国内信用供与を得ていない居住者に販売した投資リンク型ファンドについて、NAVの100%を海外に投資することができる。またリンギ建て国内信用供与を得ている居住者へ販売した投資リンク型ファンドについては、NAVの50%までを海外に投資することができる。Takaful(イスラム保険)運営会社は、居住者および非居住者に販売した投資リンク型ファンドについては、NAVの100%を海外に投資することができる。

信用供与

  1. 居住者
    1. 居住者に対する外貨建て信用供与

      居住者である個人は、1,000万リンギを上限として、国内の認可銀行や非居住者から外貨建て信用供与を得ることができる。また、外貨建て借入の元本および利息については、資金再調達が可能である。

      居住者である企業は、非居住者金融機関、グループ外からの借入れを目的とする特別目的会社を除いて同一企業グループ内の居住者・非居住者である他社から、また居住者・非居住者の直接株主はマレーシア国内の認可銀行等から、居住者に対する外貨建て債券の発行を通じて、金額の制限なく自由に外貨建て信用供与を得ることができる。
      また、同一企業グループ内の非居住者である他社、もしくは直接株主以外の非居住者から、同一企業グループ内で親子関係にある居住者企業との合計で1億リンギを上限として、外貨建て信用供与を得ることができる。また、外貨建て借入れの元本および利息についても、資金の再調達が可能である。

    2. 居住者に対するリンギ建て信用供与

      居住者である個人は、マレーシア国内での使用を目的に、非居住者の企業(金融機関を除く)または個人から、100万リンギを上限とするリンギ建て信用供与を得ることができる。ただし、非居住者である家族からの信用供与については、金額の制限はない。

      居住者である企業は、マレーシア国内の実需に基づく活動のために、同一企業グループ内の非居住者の他社(非居住者金融機関を除く)または非居住者の直接株主から、リンギ建て普通債券またはイスラム債券の発行を通じ、金額の制限なく自由にリンギ建て信用供与を得ることができる。
      また、同一企業グループ内で親子関係にある居住者企業と合計で100万リンギを上限として、マレーシア国内での使用を目的に、同一企業グループ内の非居住者企業または個人からリンギ建て信用供与を得ることができる。

  2. 非居住者
    1. 非居住者に対する外貨建て信用供与

      非居住者は、マレーシア国内の認可銀行、国内の他の非居住者、居住者である企業や個人・家族から、金額の制限なく自由に外貨建て信用供与を得ることができる。ただし、リンギ建て国内信用供与を得ている居住者がリンギを外貨に転換することで信用供与を行う場合、その居住者側の制限として、個人は年間100万リンギ、企業は同一企業グループ内で年間5,000万リンギを信用供与の上限とする。

    2. 非居住者に対するリンギ建て信用供与

      非居住者は、マレーシア国内の実需に基づく活動や、マレーシアの住宅や商業用不動産購入のために、国内の認可銀行からリンギ建て普通債券またはイスラム債券の発行を通じ、金額の制限なく自由にリンギ建て信用供与を得ることができる。また非居住者である個人は、居住者である家族や雇用主から、金額の制限なく自由にリンギ建て信用供与を得ることができる。

      非居住者の証券会社およびカストディアン銀行は、決済資金の受取が予想外に遅れた際には、マレーシア証券市場(Bursa Malaysia)におけるリンギ建て証券取引決済のために、国内の認可銀行から金額の制限なくリンギ建て信用供与を得ることができる。また非居住者は、証券取引ライセンス保有の居住者から、信用取引のためのリンギ建て信用供与を金額制限なく得ることができる。さらに非居住者である個人は、購入した保険の解約返戻金を上限として、居住者である保険会社からリンギ建てによる借入れができる。

銀行預金

  1. 居住者の外貨口座

    居住者は、マレーシア国内の認可銀行または海外の銀行に、外貨口座(FCA)を開設することができる。入金する外貨は、リンギから転換したもの、居住者から得たもの、非居住者から得たものである。リンギを転換する場合、リンギ建て国内信用供与を得ていない居住者については、金額の制限がない。リンギ建て国内信用供与を得ている居住者は、リンギを外貨に転換して海外投資ができる範囲が上限である。居住者が他の居住者から外貨を得ても、中央銀行から認可された目的以外では、外貨を口座内に保有することはできない。非居住者から得た輸入代金は、認可された国内銀行のFCAへのみ、入金できる。居住者である個人には、いかなる目的であれ、共同名義外貨口座を開設したり、維持することが認められている。他方、居住者である企業は、共同名義外貨口座の開設には中央銀行の事前認可を要する。

  2. 非居住者の外貨およびリンギ口座

    マレーシア中央銀行によれば、非居住者は、国内の認可銀行に自由に外貨またはリンギの口座を開設することができ、これらの口座から自由に外貨での送金を行える。しかしながら2016年9月現在、マレーシアの地場銀行の中には、非居住者が口座を開設する際、雇用パスなどの長期滞在ビザの取得を求めることもある。
    非居住の旅行者のリンギでの持ち出しや持ち込みは、1万ドル相当額までとされている。

利子、配当、利益などの海外への送金

利子、配当、利益などの海外への送金に関する規則については、前述の「資本取引 1.投資」の項を参照されたい。

その他

  1. 先物外国為替契約

    居住者は貿易取引に関し、国内の認可銀行との間で自由に先物予約ができる。保有する外貨資産に対する先物予約も可能である。
    非居住者(金融機関を除く)は、物品サービスの売買、フィー、コミッション、ロイヤルティー、賃金給与、配当、利子、利益から発生する授受といった経常取引(current account transaction)については確定した取引実額または予想額ベースで、また非経常取引では確定した取引実額ベースで、それぞれ先物予約ができる。非居住者の代理人としての非居住者金融機関は、確定した取引実額ベースで先物予約ができる。

  2. 資金調達

    居住者は非居住者に対し、普通株式(無償増資、有償増資を含む)、非償還型優先株、私募負債証券を自由に発行できる。それ以外の証券の発行については、マレーシア中央銀行の認可を要する。また居住者は、マレーシア国内でリンギ建て債券を自由に発行でき、調達資金は国内で自由に使用できる。さらに海外投資については、それを含む国外投資額が年間5,000万リンギを超えない限り、使用が可能である。外貨建て債券は、それを含む外貨建て借入れが1億リンギを超えない限り発行可能で、国内外で自由に使用できる。

    非居住者がマレーシア国内でリンギ建ての債券を発行する場合は、マレーシア中央銀行の承認が必要である。調達資金の使途は、マレーシア国内での物品サービス(金融サービス、金融証券商品を除く)、不動産(土地のみを除く)の取得に限られる。外貨建ての場合は、金額や用途に制限なく自由に発行できる。

  3. 特定の企業に与えられる特別ステータス

    マルチメディア・スーパー・コリドー・ステータスを取得した企業は、自社のための取引に関しては、リンギのオフショア取引以外はすべての為替管理規則から除外される。

    また、1990年ラブアン会社法(Labuan Companies Act 1990)に基づいてラブアン国際オフショア金融センターに設立または登録された事業体は、外国為替管理の目的上、非居住者として位置付けられる。

    認可された経営統括本部(OHQ)は、保有する外貨や借入れにより自由に海外投資が可能である。また、他の居住者への貸付目的や他の居住者の代理でない限り、国内の認可銀行や非居住者から自由に外貨建て信用供与を得ることができる。マレーシア証券市場(Bursa Malaysia)のメインボードに普通株式を新規上場することで調達した資金は、自由に外貨建て資産に投資できる。また、外国の証券市場に上場することで調達した外貨資金は、同一企業グループのマレーシア国内の他社に対し、自由に貸し付けできる。

    地域流通センター(RDC)および国際調達センター(IPC)には、居住者としての規則が適用される。

    イスカンダル開発地域政策および国家バイオテクノロジー政策に則って承認された居住者である企業は、居住者との間で自由に外貨の受け払いができ、国内の認可銀行や非居住者から、自由に外貨建て信用供与を得ることができる。また国内外の外貨建て資産に自由に投資でき、輸出代金をオフショアに留めておくこともできる。

関連法

2013年金融サービス法(Financial Service Act 2013)、2013年イスラム金融サービス法(Islamic Financial Service Act 2013)、1990年ラブアン会社法(Labuan Companies Act 1990)がある。

その他

特になし

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