外資に関する奨励

最終更新日:2022年12月16日

奨励業種

奨励業種は、製造業、農業、観光業(ホテル業を含む)、R&D(研究開発活動)、職業訓練事業、環境保護に資する事業、プリンシパル・ハブ、ICT事業などである。

マレーシアでは、1986年投資促進法(Promotion of Investment Act, 1986:PIA)、1967年所得税法、1967年関税法、1976年物品税法、1990年自由地域法(集合的に「法令」)など、さまざまな法令において、税制上の優遇措置が与えられる。これらの優遇措置は、奨励業種である製造業、農業、観光業(ホテル業を含む)、R&D(研究開発活動)、職業訓練事業、環境保護事業、プリンシパル・ハブ、ICT事業などを対象としている。
税制上の優遇措置の申請先は、マレーシア投資開発庁(MIDA)である。

優遇措置の詳細および1986年投資促進法に基づくパイオニア・ステータス、または投資控除(ITA)の対象となる奨励事業および奨励製品リストは、マレーシア投資開発庁(MIDA)のウェブサイトを参照。

マレーシア投資開発庁(Malaysian Investment Development Authority:MIDA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
E-mail:investmalaysia@mida.gov.my

2020年度予算発表によれば、政府は、1986年投資促進法および1967年所得税法の下での優遇税制のフレームワークの包括的な見直しと刷新を行うこととしている。2023年度税制改正案では、優遇税制の新たなフレームワークが発表された。

各種優遇措置

奨励業種は、法人税免除や投資控除などの、法人税に関する優遇措置が受けられる。

税制上の優遇措置

  1. パイオニア・ステータスと投資控除(ITA)
    パイオニア・ステータス

    パイオニア・ステータスは、法人所得税の免税を享受できるステータスである。パイオニア・ステータスを認められた企業は、生産開始日と認定された日から5年間にわたり、法定所得の70%が免税となる。

    奨励事業を、サバ、サラワクなどの大型長期開発地区(5.大型長期開発計画(コリドー開発)参照)の奨励地域に立地する場合、あるいはハイテク事業として定められている事業(最先端の素材産業、医療関連機器産業、バイオテクノロジー、代替エネルギー産業など)を行う場合、法定所得の全額免除が認められる場合もある。

    さらに、国家的・戦略的に重要なプロジェクトについては、所得税の全額免除が10年間認められる場合がある。その例としては、自動車産業などの広範な産業間連携を創出するプロジェクト、あるいは経済に大きな影響を与える可能性がある、多額の設備投資や高度科学技術を伴うプロジェクトが挙げられる。

    パイオニア・ステータス期間中に対象企業で発生した未処理損失および未処理控除は、繰越して、パイオニア・ステータス終了後、7賦課年度を上限として繰り越して、同一の奨励事業または奨励製品に関する事業の所得からの控除が認められる。

    新型コロナウイルスの影響を受け2020年6月5日に短期経済回復計画の一つとして、外資がマレーシアの新設会社に製造を移管する新規投資に対して、免税制度が設けられた。翌2021年度税制改正では、外資がマレーシアにサービス事業を移管する新規投資に対して同様の免税制度を設けていた。これらの製造、サービス事業の移管に対する免税制度の申請期間は2022年12月31日までとされていた。2023年度税制改正案では、電気電子(E&E)企業のみを対象として以下の免税制度が延長された。

    1. 投資額が3億リンギから5億リンギの場合:10年間の法人税免除
    2. 投資額が5億リンギを超える場合:15年間の法人税免除

    申請先はMIDAで、期間は2020年7月1日から2024年まで。

    投資控除(ITA)

    パイオニア・ステータスに代わる税制上の優遇措置として、企業は投資控除(Investment Tax Allowance:ITA)を申請することができる。ITAが認められた企業は、通常の税務上の減価償却とは別に、最初に適格資本的支出(認可プロジェクトで使用される工場、プラント、機械、その他の設備に対する支出)が発生した日から5年以内に発生した適格資本的支出に対して、60%の控除が得られる。この控除額で、各年度の法定所得の70%を相殺することができ、未利用の控除額については、全額が利用されるまで次年以降に繰越すことができる。

    前述の奨励地域における事業、ハイテク事業、国家的・戦略的に重要なプロジェクトには、最初の適格資本的支出が発生した日から5年以内の適格資本支出に対し、100%の投資控除が認められる場合がある。

    2020年度税制改正により導入された、再投資控除(RA)の利用を終えたE&E企業に対するITAについては、以下の「2. 再投資控除(RA)」の箇所を参照。

    2023年度税制改正案により、電気自動車充電設備の製造業者は、5年間100%の投資税額控除を受けることができ、各年度の法定所得の100%まで相殺することができる。申請先はMIDAで、期間は2022年10月8日から2025年12月31日まで。

  2. 再投資控除(RA)

    操業開始から少なくとも36カ月間を経過しており、かつ既存事業を拡大・近代化・自動化するため、または既存事業の活動を同産業内における何らかの関連製品に広げるために適格資本的支出が発生している製造会社は、再投資控除(Reinvestment Allowance:RA)を適用することができる。

    再投資控除は、通常の税務上の減価償却とは別に、対象企業で発生した適格資本的支出に対して60%の割合で認められ、各賦課年度における法定所得の70%と相殺することができる。ただし、2015賦課年度以降、会社の法定所得ではなく再投資控除対象事業の法定所得のみが相殺の対象となった。
    再投資控除は、適用開始年度より連続して15賦課年度期間中に発生した適格資本的支出が対象となる。当年度に相殺できなかった部分は、全額を次年以降に繰越すことができるが、2019年1月1日より繰越期間の制限が新設され、再投資控除の期間の終了後、連続する7年間のみ繰越しが可能になった。

    再投資控除の対象分野は、次のとおり。

    1. 製造業
    2. 農業のうち、次に該当するもの。
      • コメ、トウモロコシの生産
      • 野菜、塊茎類、根菜類の生産
      • 果物の生産
      • 畜産
      • 水産物の養殖
      • 財務省から承認を受けた事業
    3. ホテルおよび一部の観光業

    企業は、パイオニア・ステータスの失効前に再投資控除を利用する意向であれば、パイオニア・ステータスの取り消しを申し出て、再投資控除を利用することもできる。
    2016年度税制改正により、15年間の再投資控除の期間を終了した会社でも、2016賦課年度から2018賦課年度までに行った再投資について、「特別再投資控除」が認められていた。

    2020年6月5日に発表された短期経済再生計画により、15年間の再投資控除の期間を終了した会社でも、「特別再投資控除」として、2020賦課年度から2022賦課年度に行った適格な再投資について再投資控除が認められることになった。2022年度税制改正により、この「特別再投資控除」の期間が、2020賦課年度から2024賦課年度までに延長された。さらに、2023年度税制改正案により、ホテルおよび一部の観光業に対して、2023賦課年度から2027賦課年度まで再投資控除が導入される。

    制度詳細(マレー語)※別添15:LANGKAH CUKAI DI BAWAH外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(211KB)

  3. 拠点機能に対する優遇措置

    2015年5月1日より、マレーシアにおけるグローバル・ビジネス拠点機能の強化に向け、新しい税制優遇措置「プリンシパル・ハブ・インセンティブ (Principal Hub Incentive)」が導入された。
    プリンシパル・ハブとは、グローバル・ビジネスおよびオペレーションを行う拠点として、マレーシアでリスク管理、方針決定、戦略的事業活動、貿易、金融、人事などに関する運営やサポートを行う法人と定義されている。

    資本金が250万リンギ以上のマレーシア設立会社が、一定数のネットワーク企業に対して一定のサービスを提供する必要がある。
    現行のプリンシパル・ハブ3.0の下では、プリンシパル・ハブとして認められた新設会社は、5年間、適格所得に対して0%または5%の法人税率が適用される(追加5年の延長申請も可能)。適用される税率は、対象となる法人における従業員の給与や人数、最低事業支出額などの条件によって異なる。また、既存会社の場合は、同様に一定の条件の充足を要件として、5年間、適格所得に対して10%の法人税率が適用される(追加5年の延長申請も可能)。
    追加5年の申請を行うには、当初5年の申請時よりも厳しい条件が課される。

    申請先はMIDAで、申請期間は2023年1月1日から2025年12月31日までとされている。
    MIDA:Guidelines for Principal Hub Incentives外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(264KB)

  4. グローバル・トレーディング・センターの優遇措置

    2021年度税制改正により、貿易事業に対するプリンシパル・ハブの優遇措置を切り離すものとして、グローバル・トレーディング・センターの優遇措置が導入された。
    グローバル・トレーディング・センターの優遇措置を付与された会社は、5年間、10%の法人税率が適用される(追加5年の延長申請も可能)。
    MIDAのガイドラインによると、申請にあたっては、以下の条件を課される。

    • 2016年会社法に基づき設立された新会社であること
    • 取引相手が国内外および関連者・非関連者にかかわらず、材料・部品・製品の戦略的な調達・供給に係る国際貿易拠点としてマレーシアを活用すること
    • 資本金100万リンギ以上
    • 貿易事業から生じる年間売上が3億リンギ以上
    • 貿易事業の収益活動に係る運営に係る事業経費が年間150万リンギ以上
    • 月給5,000リンギ以上の高付加価値の従業員が15人以上(マレーシア人が過半数)
    • 保税工場(LMW)、フリーゾーン(FZ)、保税倉庫のいずれかで事業を行う
    • マレーシアの港や空港の利用
    • その他の条件が個別に課される可能性あり

    申請先はMIDAで、申請期間は2023年1月1日から2025年12月31日までとされている。
    MIDA "Guidelines on Incentives for Setting up a Global Trading Centre外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(192KB)"

  5. マレーシア・デジタル(MD)に対する優遇措置

    マレーシア・デジタル(Malaysia Digital:MD)とは、1996年に、アジアにおけるIT開発の拠点として、マルチメディア製品やサービスを創出して流通させ、あるいは利用する場をマレーシア政府が同国内で提供するために導入され25年間実施されたマルチメディア・スーパー・コリドー(Multimedia Super Corridor:MSC)の後継戦略にあたる。MDはMSCよりもマレーシアのデジタル経済の持続可能な成長を加速させ、デジタルツールなどへの公平なアクセスを通じて、実質的なデジタル経済波及効果を生み出すことを目的としている。MSC下で承認されていたインセンティブは、MD下で要求される条件を遵守することで引き続き適用される。
    マルチメディア・デジタル経済公社(Multimedia Digital Economy Corporation:MDEC)により、Cyberjaya、Kuala Lumpur City Centre、Technology Park Malaysia、ペナンのBayan Lepas、ケダ州のKulim Hi-Tech Parkなどが、サイバー・シティとして認められている。ロケーションの詳細については、次のウェブサイトを参照。

    MDEC "Cybercities & Cybercentres, Digital Hubs外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

    MDステータスの取得条件およびインセンティブの内容は以下のとおり。

    1. インセンティブの対象となるMD事業が20分野に特定された。MD事業のうち、1つ以上を実施していることが条件となり、販売業(Trading)、製造業(Manufacturing)、電気通信サービスの提供(Provision of Telecommunication Services)は対象外となる。
    2. 主な条件として、月給5,000リンギ以上の従業員(知的労働者を含む)を2人以上雇用すること、年間の事業経費が50万リンギ以上であること、および資本金1,000リンギ以上であること。
    3. MDステータス企業は、MD Bill of Guarantees(BoGs)の適用を受けて、インセンティブや特権を享受することができる。2022年12月現在、ガイドラインなどでは、税制上の優遇措置としては、所得税免除と投資税控除があると記載されているのみで新たな税率や期間については発表されておらず、MSC下の条件が適用されると考えられる。MSC下では、充足する条件のレベルに応じて3つのティアを設け、ティア1とティア2では対象所得の100%、ティア3では対象所得の70%が免税となる。免税期間は5年間で、さらに5年間の延長申請が可能である。
    4. さらに、MDでは、マルチメディア・ICT機器の輸入関税と売上税(Sales Tax)を免除される。

    MDEC “GUIDELINES ON MALAYSIA DIGITAL STATUS外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(174KB)

  6. デジタル経済圏促進スキームの優遇措置

    2022年度税制改正において、デジタル経済圏促進スキーム(Digital Ecosystem Acceleration Scheme)の優遇措置の導入が発表された。優遇措置の概要は以下のとおり。

    1. デジタル技術の提供会社
      • 新会社:0%から10%の法人税率(最大10年間)
      • 既存会社(新事業分野に進出):10%の法人税率(最大10年間)
    2. デジタルインフラの提供会社
      • 新会社/既存会社:100%の投資控除(ITA)

      申請期間は2021年10月30日から2025年12月31日までとされるが、2022年12月時点ではガイドラインが公表されておらず、条件など制度の詳細は不明である。

  7. 大型長期開発計画(コリドー開発)

    地域格差是正を目的として、マレーシア政府は第9次5カ年計画(9MP)において国内5カ所を指定し、長期の大型開発計画を進めている。
    各コリドー開発の監督官庁では、それぞれインセンティブを用意し、外資を歓迎している。

  8. クアラルンプール国際金融地区(Tun Razak Exchange:TRX)に対する優遇措置

    クアラルンプールを金融および関連サービスの国際的ハブにしようとするTRX構想に関連して、次の優遇措置が与えられる。

    1. TRXマーキー会社(商業銀行、保険などの金融サービスを提供する企業)に対し、建物のキャピタル・アローワンス(Industrial Building Allowance)および建物以外の固定資産の加速償却(Accelerated Capital Allowance)を認める。また、一定の引越費用の損金算入および10年間にわたり賃借費用の50%の追加控除を認める。さらに、サービス契約、不動産に係る購入契約または最初の賃貸契約、最初の不動産取得のためのローン契約、に係る印紙税を免除する。
    2. TRX開発不動産会社に対し、5年間、不動産売買および賃貸で得た所得の70%に対し、法人税の免税措置を認める。
  9. 自動化に関する優遇措置(Automation Capital Allowance Expenditure

    2015年度予算案では、経済成長の強化を図ることを目的に、労働集約型の製造業を対象として自動化を促すための優遇措置が発表された。その後、2018年度税制改正、2020年度税制改正および2023年度税制改正案で、適用期間が延長されている。
    特に労働集約型とされる、ゴム、プラスチック、木材、家具、繊維の製造業を「カテゴリー1」とし、このカテゴリーに属する企業に対しては、2023年までに自動化に伴って発生する適格資本的支出のうち最初の400万リンギについて、20%+80%の加速度償却および100%相当額の免税が受けられる。申請は、2027年12月31日までにMIDAに対して行う。

    前記以外の製造業は「カテゴリー2」とされ、 2023年までに自動化に伴って発生する適格資本的支出のうち最初の200万リンギについて、20%+80%の加速度償却および100%相当額の免税が受けられる。
    申請対象となる会社は、36カ月以上製造事業を行っている、マレーシアで設立された法人で、自動化の設備は直接製造に使用されるものでなければならない。また、自動化の設備は、直接的に生産性を高め、労働者削減に結びつくものでなければならない。
    生産性の効果については、マレーシア工業標準規格院(SIRIM)の認証を受ける必要がある。テクニカルでない要件についての申請はMIDAに、機械設備の生産レベルの認証申請についてはSIRIMに行う。

    MIDA:GUIDELINES AND PROCEDURES FOR THE APPLICATION OF AUTOMATION CAPITAL ALLOWANCE (AUTOMATION CA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(513KB)

    2020年度税制改正では、カテゴリー2にサービス業を含めることが提案され、2020年12月にガイドラインが公表された。サービス事業を行う会社が2020課税年度から2023課税年度までに取得する機械、設備、ソフトウエアが対象であり、20%+80%の加速度償却および100%相当額の免税が受けられる。サービス事業における生産性の向上に関して、SIRIMの認証を受ける必要がある。2023年度税制改正案では、農業を含めることが提案された。申請は2027年12月31日までにMIDAに対して行う。

    MIDA:GUIDELINES AND PROCEDURES FOR THE APPLICATION OF AUTOMATION CAPITAL ALLOWANCE (AUTOMATION CA) FOR SERVICES SECTOR外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(488KB)

  10. 第4次産業革命「インダストリー4.0」の取り組みに対する優遇措置

    政府は、製造業および関連サービスに対しては、さまざまな税制上の優遇措置を提供している。
    2019年度予算案では、中小企業へのインダストリー4.0の導入が促進されることを重視し、次のような提案がなされた。

    A. インダストリー4.0(I4.0-RA)の実現可能性評価のための税制上の優遇措置および補助金

    以下、a.~c.までの制度に関する詳細。
    ジェトロ:Industry 4WRDに関連する制度についてPDFファイル(582KB)

    1. 実現可能性評価プログラム(Readiness Assessment
      企業が、包括的な評価プロセスにより自社の対応度と現状の能力、インダストリー4.0の技術への移行に向けた可能性を評価することができるよう、インダストリー4.0の実現可能性評価(Readiness Assessment:RA)のために支出した費用に対する損金算入が提案された。RAには2種類あり、中小企業の場合は、政府からの承認を得れば政府指定機関によるRAが、政府の全額費用負担で受けられる。大企業や多国籍企業の場合は、第三者機関などを通じて費用自己負担で独自にRAを実施した場合、2万7,000リンギまでを損金算入の対象とできる。

      マレーシア国際貿易産業省(MITI):Industry 4WRD外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

    2. Industry 4WRD Intervention Fund
      政府が全額補助するインダストリー4.0の実現可能性評価プログラムを実施した中小企業は、実現可能性評価結果を元に実際の技術導入を進めるために支出した費用に対して、補助金をMIDAに申請することができる。補助金は政府70:企業30のマッチング補助金である。発生した費用の30%相当額は企業の自己負担となるのに対し、政府が70%相当額の補助金(上限50万リンギ)を受領することができる。

      MIDA:Industry 4.0(Industry4WRD)Incentives外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

    3. Industry 4WRD Domestic Investment Strategic Fund(DISF)
      政府全額補助、企業自己負担に関わらず、インダストリー4.0の実現可能性評価プログラムを実施したマレーシア人資本60%以上の企業については、インダストリー4.0のための研究開発や教育訓練、設備の現代化や更新、新技術のライセンス取得や購入、国際標準/認証の取得に係る費用に対して、国内投資戦略基金(DISF)からの補助金をMIDAに申請することができる。この補助金は60:40のマッチング補助金となっており、実際に発生した費用の60%相当額を政府が負担する。

      MIDA:Industry 4.0(Industry4WRD)Incentives外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

    B. インダストリー4WRD(Industry4WRD)におけるベンダー企業育成プログラム(VDP)に対する税制上の優遇措置
    インダストリー4.0においてマレーシアのベンダー企業を育成したアンカー企業については、ベンダー企業育成プログラムの導入により発生した製品開発費用、ベンダー企業の能力向上・スキルアップのための研修費用について、二重控除を認める。国際貿易産業省(MITI)により認証を受けた費用であることが条件。なお、優遇措置の対象となる営業支出は、年間100万リンギまでとなっており、連続した3課税年度において適用を受けることが可能である。
    C. 人材開発に対する税制上の優遇措置
    1. エンジニアリングやテクノロジーの分野における、技術、職業訓練、修士、学位の取得に向けて学ぶマレーシアの学生に対して企業が提供した奨学金の二重控除。対象となる学生は、以下の要件を満たす者となる。
      • マレーシア人でマレーシアの居住者であること
      • 全日制の課程を受講していること
      • 自身が財力を有していないこと
      • 両親もしくは保護者の月額収入の合計が8,000リンギを超えていないこと
    2. 人的資源省(Ministry of Human Resources)の承認を受けたインダストリー4.0のプログラムのための国家二重訓練スキームに参加している企業が支出した費用の二重控除
    3. 私立高等教育機関による新たなインダストリー4.0およびエンジニアリングに関するコースの開発に要した費用の損金算入。ただし、新規のコースは教育省の認証を受ける必要あり。
    4. マレーシア投資開発庁(MIDA)による承認を受けたトレーニングプログラムに関して、インダストリー4.0の技術における従業員の専門技術の更新や開発のために企業が支出した費用に対する二重控除
    5. エンジニアリングや技術分野における学部生のために、人的資源省(Ministry of Human Resources)による承認を受けたインターンシッププログラムの実施において企業が支出した費用の二重控除
    6. 人的資源省(Ministry of Human Resources)もしくは教育省による認定を受けた技術開発センター、工科大学もしくは職業訓練大学に企業が寄贈した装置や機械設備に係る損金算入
  11. 環境技術(グリーン・テクノロジー)に関する優遇措置

    環境技術関連の優遇措置は、2018年11月の2019年度予算発表で拡充が発表され、その後2019年に入り、法令やガイドラインの改正が行われた。
    本優遇措置は、マレーシア環境技術公社(MyHIJAU)のリストにおいて承認されている環境投資減税(GITA)対象資産を取得する場合に、申請により当該資産につき100%のITAを享受することができるものである。GITA対象資産は、エネルギー効率、再生可能エネルギー、ごみ処理、水処置、建物のいずれかの領域で環境に資する資産で、2019年度改正により、9種類から40種類に拡大されている。対象資産は、MyHIJAUのウェブサイトで確認できる。

    マレーシア環境技術公社(MyHIJAU):DIRECTORY外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

    GITA対象資産の取得以外にも、環境技術プロジェクトを行う会社や環境技術関連のサービスを提供する会社も、申請により承認を受ければ、それぞれITA、サービスから得る所得の免税を享受することができる。2022年度税制改正により、雨水貯留システム(Rainwater Harvesting System)のプロジェクトも優遇措置の対象に加えられることになった。
    2020年度税制改正により、MIDAへの申請期限が2023年12月31日まで延長された。2023年度税制改正案では、2024年1月1日以降に受領した申請については、2025年12月31日までとする。なお、サービスから得る所得の免税は、2020年12月31日までにMIDAに申請した場合は法定所得の100%が免税だったが、2021年1月1日以降の申請の場合は、法定所得の70%が免税になる。また、2019年度税制改正前から認められていた9種類のGITA対象資産取得の場合は、マレーシア環境技術公社への申請となる。

    MyHIJAU:GREEN TECHNOLOGY TAX INCENTIVE GUIDELINES外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(713KB)

  12. 造船・船舶修理業に対する優遇装置

    国際貿易産業相は、2016年8月9日、造船・船舶修理業に対する優遇措置を発表した。新会社は、生産開始日と認定された日から5年間、法定所得の70%が免税となるパイオニア・ステータス、または最初に適格資本的支出(認可プロジェクトで使用される工場、プラント、機械、その他の設備に対する支出)が発生した日から5年以内に発生した適格資本的支出に対し、60%の控除が得られるITA(投資控除)が受けられる。既存の会社でもITAが受けられる。申請は、MIDAに対して行う。2023年度税制改正により、申請期限が2027年12月31日まで延長されている。

    MIDA:GUIDELINE FOR SHIPBUILDING AND SHIP REPAIRING (SBSR) INCENTIVEPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(176KB)

  13. 製薬会社の新規投資に対する優遇措置
    2021年度税制改正では、医薬品(COVID-19などのワクチンを含む)に係る製薬会社のマレーシア新規投資を促進するために、以下の優遇措置が提案された。
    • 最初の10年間:0%から10%の法人税率
    • その次の10年間:10%の法人税率

    申請先はMIDAで、申請期間は2022年1月1日から2025年12月31日までとされている。MIDAが発行したガイドラインでは、優遇措置を利用するための条件も列挙されている。

    MIDA:Guidelines for Incentive for Manufacturers of Pharmaceutical ProductsPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(112KB)

輸出奨励措置

  1. 輸出信用リファイナンス(ECR)制度

    直接・間接輸出業者に対して短期融資を提供する制度で、融資はマレーシア輸出入銀行(Export-Import Bank:EXIM Bank:2005年12月にマレーシア輸出入銀行およびマレーシア輸出信用保険会社の合併により誕生)によってリファイナンスされた商業銀行を通じて行われる。輸出業者は、いかなる外貨建てによるインボイスも発行できるが、融資はリンギ建てで行われる。この制度を利用するには、輸出業者が商業銀行に関連資料を提出し、輸出信用リファイナンスの信用供与の権利を確保済みであることが条件となる。

    ECR融資には、次の2種類がある(融資の最低限度額は1万リンギ、最高限度額は5,000万リンギ)。

    1. 船積み前輸出信用リファイナンス
      海外のバイヤー向け商品の積み出し前に、国内または海外の供給業者からの商品購入用資金として提供される融資。輸出受注書による方法と輸出実績証明書(CP)による方法と、2つの方法がある。輸出受注書による方法では、輸出注文書または発注書を提示し、輸出受注額の95%の融資を受けることができる。また、CPによる方法では、EXIM Bankが発行するCPを提示することで、CP限度額を上限として融資を受けることができる。融資の最長期間は120日。
    2. 船積み後輸出信用リファイナンス
      直接輸出業者に対し、海外のバイヤー向け商品の積み出し後に提供される融資。手形割引によって行われ、商業銀行に輸出関係書類一式を提出することで割引を受けられる。融資の最長期間は183日。

      マレーシア輸出入銀行(EXIM Bank) "EXPORT CREDIT REFINANCING外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

  2. 輸出信用保険の二重控除
    輸出信用保険料は、二重控除の対象となる。
  3. 輸出促進費用の二重控除

    居住者である企業が、マレーシアの工業製品および農産物の輸出を促進するために費やす特定の経費は、二重控除の対象となる。
    具体的には、次の経費が対象となる。

    1. 海外での広告費
    2. 海外への無料サンプルの提供費
    3. 輸出市場調査費
    4. 海外での商品入札応募の準備費
    5. 契約の交渉または締結に係る費用
    6. 貿易・産業展示会、バーチャル・トレード・ショー、トレード・ポータルへの展示や参加にかかる旅費、輸送費、現地での人件費、水道光熱費、賃借料などの費用
    7. 海外への技術情報の提供費
    8. 輸出に関連するPR費
    9. 海外に設置した輸出促進用販売事務所の維持費
    10. 輸出用パッケージをデザインするため、マレーシアでプロフェッショナルなデザインサービスを受けた場合の費用
    11. 海外での特許、商標の登録費用または物品のライセンシング費用

    また、専門的なサービスの輸出促進のために発生する次の費用は、二重控除の対象となる。

    1. 海外における入札可能性を探るための事前調査費
    2. 国際レベルのコンペに参加するに際し、建築模型、エンジニアリング・モデル、概念図、3次元アニメなどを制作する費用(これは2005賦課年度から有効)
    3. 市場調査費用
    4. 技術的な情報の作成費用
    5. 国内外の貿易・産業展示会への参加費
    6. マレーシアにおける常設展示や海外のエキシビション・センターで開催される展示会への参加にかかる費用
    7. 国外出張に係る旅費、宿泊費、日当
    8. 海外に設置した販促用の事務所の維持費
    9. PR費、広告宣伝費

その他

特になし。