技術・工業および知的財産権供与に関わる制度

最終更新日:2026年05月04日

技術・工業および知的財産権供与に関わる制度

ラオスの知的財産については2023年11月20日付の改正知的財産法第50号を基本法とし各種大臣令により定められている。主管官庁は商工省知的財産局(DIP)。

知的財産権

知的財産は大きく「産業財産権」「植物新品種」「著作権および著作隣接権」の3つのカテゴリーで構成され、それぞれ次の要素が含まれる。

  1. 産業財産権
    特許、実用新案、意匠、商標、商号、半導体回路配置、地理的表示(GI)、企業秘密。このうち、商号と営業秘密を除き、権利保護には登録が必要。
  2. 植物新品種
    一般的に生息しており、品種改良によって新品種となったもの、もしくは自生していて新たに発見され開発されたものを指す。ラオス国内において1年以上販売や配布されていない、あるいは他国において4年以上(樹木とつる植物の場合は6年以上)販売や配布されていないものが対象となる。
  3. 著作権および著作隣接権
    • 著作権は、芸術分野、文学分野、コンピューター・プログラムを含む科学分野における、それぞれの作品や成果に対する権利を指す。
    • 著作隣接権は、実演家、レコード製作者、放送機関による作品に関する権利を指す。

各知的財産権の有効期間、登録料の支払頻度・手数料は次表のとおり〔改正知的財産法、手数料・サービス料に関する国家主席令第2号(2021年6月17日付)第19条〕。以下の手数料の他にも、技官サービス料やフォーム代金がかかることに注意。

表1 産業財産
登録対象 有効期間 登録保護料の支払 申請手数料(*1)
a. 特許 20年 5年目以降毎年 証明書取得100万キープ、5年目まではかからず、6年目は20万キープ。以降、経年ごとに増額
b. 実用新案 10年 毎年 証明書取得50万キープ、2年目は15万キープ、以降経年ごとに増額
c. 意匠 15年 5年ごと 登録料40万キープ、6~10年目は80万キープ/件、11~15年目は100万キープ/件
d. 商標 10年(その後10年ずつ更新) 10年ごと 商標および国際商標ともに80万キープ/回
e. 集積回路の配置 12年 3年目以降毎年 登録料40万キープ、3年目は25万キープ。以降、経年ごとに増額
f. 地理的表示 無期限 初回のみ 80万キープ/件
表2 植物新品種
登録対象 有効期間 登録保護料の支払 申請手数料(*1)
a. 樹木、ブドウ 25年 5年目以降毎年 登録料30万キープ、5年目は15万キープ/件。以降経年ごとに増額
b. 他の植物 20年 5年目以降毎年 登録料30万キープ、5年目は15万キープ/件。以降経年ごとに増額
表3 著作権および著作隣接権
登録対象 有効期間・登録
絵画、彫刻、建築デザイン、写真、文学、詩など、およびその派生物 著作権は作者の没後50年(ただし映画は一般公開あるいは制作時から50年)、著作隣接権は作品が完成した年の年末から50年で、登録は不要。ただし写真は撮影後30年。

*1:手数料・サービス料に関する国家主席令第2号(2021年6月17日付)から抜粋。

出願実務における重要事項

  1. 言語:願書はラオス語で作成しなければならない。添付書類が英語の場合、出願日から90日以内にラオス語訳を提出する必要があり、これに従わない場合は出願放棄とみなされる。
  2. 代理人の義務:ラオス国内に住所または拠点を持たない外国人は、法的に認められた「知的財産登録サービス代理人」を通じて手続きを行わなければならない。
  3. 商標の使用義務:商標登録後、正当な理由なく5年間継続して使用されていない場合、第三者からの申し立てにより登録が取り消される可能性がある。

産業財産権(特許、実用新案、意匠、商標、地理的表示、半導体回路配置)および植物新品種の登録申請は、ラオス商工省知的財産局、またはラオスが締結している国際条約に基づき、外国もしくは国際機関の登録機関に対して行う。外国に居住する者、ラオス国内に事業地がない者は、ラオスでの知的財産登録サービス代理人を任命し、手続きを委託しなければならない。代理人は知的財産に関する専門知識を有し、知的財産局の承認を得た者である必要がある。

登録申請に必要な主要書類

登録時に必要な主な書類は次のとおり。

  1. 各財産権の取得申請書(知的財産局が定める様式)
  2. 委任状(申請代理人を立てる場合)
  3. 申請する財産権の詳細説明書(文章、写真、図面、3Dモデルなどにより財産権の内容と用途を説明。植物新品種の場合は、その新規性、区別性、均一性、安定性を説明する技術資料)
  4. 登録料の支払領収書

登録申請書類は英語での作成が可能だが、提出から90日以内にラオス語に翻訳した資料を提出しなければならない。法的準拠資料はラオス語版となる。財産権の有効期間中、その権利を保護するためには、前払いで登録料を支払うことが必要。

著作権および著作隣接権の保護

著作権および著作隣接権については、作品が完成し、何らかの媒体(物理的または電子的な形式)に記録された時点で権利が自動的に発生する(無方式主義)。従って、権利取得のための登録は法的に不要である。ただし、権利侵害や紛争に備えた証拠確保として、商工省知的財産局に対し、権利の発生を通知し、受領証を取得することが強く推奨される。

地理的表示

地理的表示(GI)は、ある国、地域、または特定の土地を起源とする商品の出所を示す名称または記号を指す。その商品の品質、評価、またはその他の特性が、本質的にその地理的根源(土壌、気候などの自然要因、および生産者の熟練した技術などの人的要因)に由来するものが対象となる。主な対象産品は、農産物、食品、飲料、および手工芸品である。ラオスでは、カオカイノイ(もち米品種)、サントン香米(もち米品種)、ボラベンコーヒー(コーヒー豆)、パクソンティー(茶葉)、ポンサリー郡サーコーメーン(茶葉)、ルアンパバーンテキスタイル(織物)、ホアパンシルク(織物)の登録が完了している。

国際協力

ラオスは2016年3月に、商標の国際登録により締約国においてその知的財産権を保護することができる「標章の国際登録に関するマドリッド協定議定書」に加盟している。
2016年11月1日から、日本国特許庁とラオス知的財産局との間で「特許の付与円滑化に関する協力(Cooperation for facilitating Patent Gran:CPG)」が開始された。同協力により、日本で審査を経て特許となった出願に対応する出願について、出願人からの申請により、ラオスでも実質的に無審査で特許として認められることになる。また、2025年4月1日に、欧州特許庁(EPO)との間で有効化協定が発効した。詳細は、ジェトロの記事「欧州特許庁とラオス政府との有効化協定が発効(2025年4月3日付)」を参照。

ロイヤルティー、技術料の本国送金にかかわる制限規定

特に規定はない。

ラオスの知的財産に関連する法制度、協定、登録などは、ラオス商工省知的財産局のウェブサイト "Department of Intellectual Property外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"および世界知的所有権機関(WIPO)のウェブサイト "Lao People's Democratic Republic外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"を参照。