税制

最終更新日:2021年11月01日

法人税

石油および天然ガスの探鉱・生産会社については40.55%の法人税が、その他の法人については22.50%の法人税が課せられる。フリーゾーンには優遇制度がある。

所得税法に基づき、法人の純利益に対して法人所得税が毎年課せられる。課税対象は、エジプト居住法人がエジプト内外で得た収益であるが、非居住法人がエジプト国内に恒久的施設を保有する場合は、かかる施設から生じる利益にも課税される。

  1. 法人所得税
    1. 石油および天然ガスの探鉱・生産会社:40.55%
    2. a以外:22.50%

    なお、投資法(2017年法律72号)および同実施規則により、新たな投資への優遇措置として新たな法人を設立した場合、生産機械等の購入費用の30%相当、経済特区においては50%が所得税から控除されることとなった。詳細は「外資に関する奨励」参照。

  2. 配当税
    居住法人が得た配当金に対しては10%の配当税が課せられるが、次の場合は5%となる。
    1. 配当企業の資本の25%以上または議決権を保有している場合。
    2. 株の保有期間が2年以上である場合。

    なお、他の居住法人から受け取る配当金および関連コストは、課税価額には含まれない。

  3. キャピタルゲイン税
    2014年法律53号により、居住・非居住法人によってエジプト株式市場に上場された証券の売却益に対しては、10%が課税されることが規定されたが、2015年5月18日付の内閣府発表により、本課税の適用開始は2年間延期された。その後、2017年法律76号により、2020年5月17日まで延期された。エジプト証券取引所(EGX)によると、本課税の適用開始は2021年12月31日まで再度延期された。
    ただし、居住・非居住法人によってエジプト株式市場に非上場の証券の売却益については、その利益がエジプト国内外のどちらで生じたかにかかわらず、2014年法律53号の規定に従って引き続き課税対象となり、標準税率によって課税される。また、2018年法律158号によって不動産売却益について2.5%の課税が規定された。

法人税に関連する主な根拠法:2014年法律53号、大統領令2015年17号、2015年法律96号、2018年法律158号

なお法人税は、事業体の形態に関わらず適用される(ただし、駐在員事務所は除く。営利活動が認められておらず、課税所得を生み出してはならないため)。
ただし、フリーゾーン許可証が適用される区域内で活動するフリーゾーン企業については、法人所得税規定の対象外とされ、法人税に代わって税率1~2%のフリーゾーン課税が適用される。通常、法人税は企業収益に対して課税されるが、課税標準額は事業活動内容によって異なる場合もある(投資法2017年法律72号)。

ジェトロ調査レポート「エジプト 税務・会計制度ハンドブック (2014年3月)

二国間租税条約

日本・エジプト租税条約

日本・エジプト間で締結された租税条約により、在エジプト日系企業が得たロイヤルティーに対する源泉徴収税として20%徴収され、還付申請により5%の還付が認められれば、15%の税率となる(租税条約未締結国企業の場合は20%)。なお、利子収入に関しては、租税条約未締結国と同率の20%の税率が適用される。

「税源浸食及び利益移転を防止するための租税条約関連措置を実施するための多数国間条約」(BEPS防止措置実施条約)にエジプトが批准したため、2021年1月1日より、日本とエジプトの租税条約に対するBEPS防止措置実施条約の適応が開始された。
日本の財務省ウェブサイト「BEPS防止措置実施条約が適用される租税条約が増えます(エジプト)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」、「我が国とエジプトとの間の租税条約に対する本条約の適用関係の概要外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を参照。

その他税制

個人所得税、間接税、税の支払方法、統一税手続き法等。

  1. 個人所得税

    所得税法(2005年法律91号)に基づき、居住者および非居住者については、課税所得に対して累進税率による所得税が課せられる。給与税率区分は数年おきに改訂されており、2020年法律26号により、次のとおりの税率区分となった。

    個人所得税の給与税率区分(salary tax bracket)単位:エジプト・ポンド、―:該当なし
    区分 年間純所得 所得税率
    60万以下 60万超~70万 70万超~80万 80万超~90万 90万超~100万 100万超
    月額給与 1~1万5,000 0%
    1万5,000超~3万 1~3万 2.5%
    3万超~4万5,000 3万超~4万5,000 1~4万5,000 10%
    4万5,000超~6万 4万5,000超~6万 4万5,000超~6万 1~6万 15%
    6万超~20万 6万超~20万 6万超~20万 6万超~20万 1~20万 20%
    20万超~ 40万 20万超~40万 20万超~40万 20万超~40万 20万超~40万 1~40万 22.5%
    40万超 40万超 40万超 40万超 40万超 40万超 25%
  2. 間接税
    1. 付加価値税(VAT)
      基本税率は14%に改正された(2017年法律66号)。
      付加価値税法の詳細は「関税制度」のページを参照。
    2. 印紙税(Stamp Tax

      企業の結成、銀行取引、株券・債権の移転、賃貸借などの書類作成時に課税される。税率例として、各四半期の融資残高に対して税率0.1%、広告宣伝の価額に対して税率20%、保険料に対して0.08~10%の範囲で課税される(1980年法律111号「印紙税法」)。
      2017年法律76号の改定により、証券取引の印紙税率は、次のとおり段階的に引き上げられた(改定前は0.1%)。

      • 2018年6月1日~2019年5月31日:購入者0.15%、売り手0.15%
      • 2019年5月31日以降:購入者0.175%、売り手0.175%

      また、エジプト企業の株式を33%以上取得する際などには、0.3%が課税される。

    3. 不動産税

      得られた年間賃貸料価額から非居住用不動産の関連費用に充当する賃貸料価額32%相当額を控除した金額に対して、税率10%が適用される。不動産の年間賃貸料価額は、税務当局により5年ごとに再評価される(2008年法律196号「固定資産税法」)。

      不動産税庁(Egyptian Real Estate Taxation Authority外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

    4. 加算税(additional tax

      一定の商品・サービス(※)の国内供給に課せられる税で、2013年法律310号によって導入された。
      ※ 商品・サービスの詳細については、ジェトロ調査レポート「エジプト 税務・会計制度ハンドブック (2014年3月)」を参照。

税の支払い・還付方法

2018年法律269号にて、以下のとおり関税を含む税の支払い方法について規定された。

  • 現金:5,000エジプト・ポンドまでの納税で利用可能
  • 小切手:10万エジプト・ポンドまでの納税で利用可能
  • 電子決済:10万エジプト・ポンド以上の納税では利用が必須

なお、2019年1月に管轄省庁へのVATの納付、還付の電子申請、電子決済が導入された。所得税、源泉徴収税、配当分配、資本収入の税申告について、2019年財務省令643号にて電子決済・申請手続きを開始した。加えて、2020年財務省令144号にて、雇用主による四半期ごとの確定申告(従業員数、給与額など)および年末調整手続きの電子申請を開始した。

統一税務手続き法

2020年法律206号にて、税務査定、徴税、納付の手続きについて、統一・一体化された電子納税システムへの移行、納税者登録番号の設定などが規定された。脱税についての罰則を規定したが、一方で、税務当局への税額の事前照会制度、異議申し立てについても規定した。

新法は所得税、給与税、付加価値税(VAT)、印税、公共資源開発税、および同種の様々な税査定の際に適応される。
各種税の申告期限は以下のように設定された。申告後5年間は、税務関連書類、帳簿、記録の保管が納税者(企業)側に求められる。

  • 月ごとの付加価値税:課税対象期間の最終日から1カ月(新法制定以前は2カ月)。輸入業者など特定業種は税務当局の承認があれば、申告時期の変更が可能。
  • 四半期ごとの給与税:雇用主は、1月、4月、7月、10月に四半期ごとの給与税申告が必要。従業員数・従業員情報・給与総額・その他報酬などの記載が必要。
  • 年間法人税:各企業が定める会計年度最終日から4カ月(従来通り)。1年以内であれば修正申告・還付申告が可能と規定。

800万エジプト・ポンド以上の取引を行う企業は、活動、資産、移転価格設定基準、財務実態、資本金、法人税納付額、内部留保額などについて、関連会社の情報を含めて報告するよう規定された。

参考:ジェトロ調査レポート「エジプトにおける統一税務手続き新法について(2021年3月)

社会保険

2019年8月、新たな社会保険法(2019年法律148号)が制定され、2020年1月より施行された。さらに2021年には施行規則(2021年省令2437号)が公布された。新法は、保険適用の範囲を拡大したため「包括的社会保険法」とも呼ばれる。高齢者保険(年金)、障がい者保険、生命保険、労災保険、健康保険、失業保険に対する、雇用者と被雇用者の義務や受給制度について規定した。

社会保険は以下の通り、雇用者と被雇用者が、それぞれ定められた負担割合により支払う。

社会保険の負担割合
各種保険制度 雇用者側負担 被雇用者側負担
高齢者保険(年金)・障がい者保険・生命保険 12% 9%
労災保険 1.5% なし
健康保険 3.25% 1%
失業保険 1% なし

参考:ジェトロ調査レポート「エジプト新社会保険法について 2019年148号 (2020年3月)