ジェトロ・グローバル・アクセラレーション・ハブ シンガポール

グローバル企業のRHQ、R&D拠点、VCが集積しASEAN全域をカバー。シンガポール政府主導のトップダウン型エコシステムは急速に発展し、インターネットの外の世界にアイディアとテクノロジーの実装が進む。

エコシステムの特徴・トレンド

特徴

  • エンタープライズ・シンガポールを初めとする政府機関が起業家育成や海外エコシステムとの接続を担い、政府主導のトップダウン型エコシステムを形成し、成熟度が増している。
  • 社会的安定性、確立した法律・金融制度、立地優位性、税制上のメリット、英語を公用語とすること、情報収集の容易さ、FTA等の整ったビジネス環境を背景にグローバル大手企業の多くが新規事業創造を行っている。
  • 東南アジア全域をカバーするため各国からVCやスタートアップが集積。人材や金融のハブとして、資金調達や新規事業創造を行う際のスタートアップ拠点としての存在感が高まっている。

注目分野

・ディープテック
政府による補助金制度や「SWITCH」などのテックイベントの開催、さらにシンガポール国立大学やA*STARなどの研究機関との連携機会を通じて、東南アジアにおけるディープテック・ハブとしての地位を確立。AI、量子技術、バイオ分野を中心に、今後さらなる成長が期待される。
・フィンテック
シンガポール通貨金融庁(MAS)の主導のもと、規制サンドボックス制度による実証実験の機会提供や「Fintech Innovation Lab」などのプラットフォーム整備が進められている。ASEAN最大のフィンテック集積地として、決済、融資、保険、資産運用など多様な分野でスタートアップが活躍。
・ヘルステック
高齢化社会への対応ニーズを背景に、政府による資金・研究支援の提供や、Biopolisなどの医薬研究拠点の整備が進められている。特に、予防医療、遠隔医療、個別化医療といった分野が注目されており、医療の高度化と効率化に貢献するスタートアップの成長が期待される。
・フードテック/アグリテック
食料自給率の向上(2030年までに30%)を国家目標に掲げ、官民による積極的な投資が行われている。Nurasaフードイノベーションセンターの設立や、培養肉の販売に関する規制緩和など、革新的な技術が生まれやすい環境が整備されており、代替タンパク質やスマート農業などの分野で注目が集まっている。

サービス内容

ブリーフィング、メンタリング、コネクション形成(マッチング)

提携先

Enterprise Singaporeシンガポール企業庁(政府機関)

  • 貿易産業省(MTI)傘下の政府機関。スタートアップを含む中小から大手までの地場企業の支援を行う。地場企業の労働生産性向上や海外展開を支援しており、広域なネットワークを有する。
  • スタートアップ・VC・アクセラレーター等のエコシステムビルダー向けの政府支援策施策の統一ブランドである「Startup SG」、シンガポールのスタートアップを支援するイニシアティブである「Global Innovation Alliance」を所管している。

EDB Singaporeシンガポール経済開発庁(政府機関)

  • 貿易産業省(MTI)傘下の政府機関。対シンガポール投資の促進に加え、大手地場企業・外資企業の既存事業の変革や生産性向上の促進を支援している。
  • 近年イノベーションによる経済活性化を図り、国内外のエコシステムと連携して、グローバル企業とのネットワークを強化している。シンガポールをベースにした大手企業がスタートアップ、テック企業と行うオープンイノベーションの支援にも力を入れている。

Sandbox Connect(アクセラレーター)

  • スタートアップ、大企業、VC、アクセレーター等のエコシステムビルダーを繋げるために設立。官民双方のエグゼクティブにネットワークを有していることが特徴。ヘルスケア、モビリティ、IoT、ハードウェア、マニュファクチャリング等の多岐にわたる業界にインサイトを有する。

Meet Ventures(VC・アクセラレーター)

  • Meet Venturesは、アーリーステージのVCであると同時に、大企業とスタートアップ企業のコラボレーションを支援しており、特に海外スタートアップ企業の東南アジア市場参入支援に重点的に取り組んでいる。シンガポール(本社)、インドネシア、マレーシア、ベトナムに拠点を置いている。

Balboa Ventures(VC・アクセラレーター)

  • AIおよびディープテック分野のスタートアップ企業の海外展開支援、ならびに企業や大学とのオープンイノベーション推進を専門とする。支援ネットワークは、東南アジアおよびシリコンバレーの投資家・スタートアップ・企業で構成されており、シンガポール・日本の政府機関や国立大学をはじめとする多様なステークホルダーとの協働実績を有する。

Tenity(VC・アクセラレーター)

  • Tenityは、アーリーステージ投資家であり、グローバルなイノベーションエコシステムとして、イノベーションを機能させ、ファイナンスの未来を推進している。私たちは、コラボレーションがイノベーションの鍵だと確信しており、野心的なファウンダーと大手企業、先見の明のある投資家、情熱的なメンターを結びつけ、共に金融の未来を後押しするエコシステムを作り出している。

Better Earth Ventures(アクセラレーター)

  • 2020年に設立、気候変動に立ち向かい、持続可能な暮らしを広げるための革新的な技術やプロジェクトを支援。シンガポールを拠点に、アジア太平洋地域への展開をサポート。成長中の企業が国境を越えてスケールできるよう、投資家やメンター、パートナーと幅広いネットワークを有する。起業家と協力しながら、より良い未来づくりに取り組むことを目指している。

Upsight(アクセラレーター)

  • エコシステム構築とインサイト提供のプラットフォーマーであり、企業が新しい市場機会を見つけ、意味のあるパートナーシップを築くためのサポートを行う。AI、ヘルスケア、スマートシティなどを含む幅広い分野を対象に、ハイレベルなイベントの企画、専門家とのネットワークづくり、イノベーションを後押しする取り組み、ニーズに合わせた市場アドバイザリーを実施。

メンター例

Mr. Justin Chin, Director, Sandbox Connect
元Deep Techアクセラレーターのパートナーシップ責任者。イノベーション領域で10年以上の経験を有する。各産業や分野に関するインサイトを共有することで、スタートアップと大企業のコラボレーションを促進してきた実績がある。
Mr. John Lim, Partner, Meet Ventures
シンガポール政府機関ファンドであるSG Innovate(2億 US$ファンド)や、Long Hash Ventures(1億 US$ファンド)でキャリアを開始。IBM、CISCO、WingArc1st、Nitto Denkoなどの大手企業がシンガポールで行うイノベーションプログラムのマネジメントをした実績がある。
Mr. Farhan Firdaus,  Partner, Meet Ventures
東南アジア最大のデンタルクリニックグループでCOOや、投資持株会社のグループヘッドを歴任。直近10年は様々なポジションでスタートアップの立ち上げと成長支援を行い、700名以上のアントレプレナーへのサポートを行ってきた。また、SWITCH、AT&SG、FlyAsia等のアジアの主要なピッチコンテストの審査員も務めている。
Mr. Kiko Uehara, Founder, Balboa Ventures
グローバルVCファンドでの投資・ハンズオン支援、大企業での新規事業立ち上げ経験、さらにCTOとしての技術的バックグラウンドを持つ。シリコンバレー流の支援方式で、日本の起業家と海外スタンダードのギャップを埋めることに注力。
Mr. Jonas Thürig, Managing Partner, VP APAC, Tenity
Tenity APACの2020年創業以来、事業統括している。 自身もかつて起業し経営に携わっていた経験を持ち、現在はベンチャーキャピタリストとして活動している。それ以前は、スイス証券取引所(SIXグループ)やスイス大使館(中国)に勤務していた経験を有する。
Ms. Rebecca Sharpe, Founder and Director, Better Earth Ventures
起業と企業のイノベーション領域で18年以上の経験を持ち、アグリフードや気候テクノロジーの発展に注力。これまでに世界中のアクセラレーター、投資家、企業、政府機関と連携し、370以上のテックスタートアップを支援。地球規模の課題に取り組む先端ソリューションの加速を推進している。
Ms. Valerie Lim, Co-Founder & CEO, Upsight
15年の経験を持つエコシステム構築、マーケット展開、ビジネスアドバイザーの専門家。東南アジアへの進出を目指す世界中の企業を支援し、企業、政府、投資家、各種ステークホルダーとの連携を通じて、インパクトのあるパートナーシップを多数構築してきた。地域に広がる豊富なネットワークを活かし、事業成長を後押ししている。

※メンターは一例。お申込案件毎に審査あり。

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ジェトロ担当者

山田 和則(やまだ かずのり)
ジェトロ入構後、メディアリレーション担当、岐阜事務所等を経て、2019年よりバングラデシュに駐在。日本企業の事業展開・進出検討の支援、投資環境課題に係わる政府機関との折衝等を担当。2024年10月よりシンガポールにて、イノベーション関係のプロジェクトを運営。
竹村 淳史(たけむら あつし)
ジェトロ東京本部で、アクセラレーションプログラムJ-starXの運営やCES、Singapore Fintech Festival、LEAPなどのテックカンファレンス出展支援等、日系スタートアップの海外展開支援に携わった後、2025年4月よりジェトロシンガポールに赴任。X-HUB TOKYO OUTBOUND PROGRAMやSWITCHの出展支援などを担当。

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ジェトロ・スタートアップ課
E-mail: JHUB@jetro.go.jp