ジェトロ対日投資報告2024
第2章日本の対内直接投資動向第2節国・地域別対日投資動向

1. フロー

欧米の大幅縮小と中韓の伸びによりアジアが最大の投資元地域に返り咲き

2023年の対日直接投資額(資産負債原則)を地域別に見ると、アジアが1.6兆円(前年比6.5％減)で最多、次いで北米が0.6兆円（同54.7%減）と大きく減少しこれに続いた（図表2-3）。欧州は北米と同様大きく減少した。最多のアジアは、シンガポールが0.8兆円でアジア全体の過半を占め国・地域別でトップとなった。アジアで前年比伸び率が高かったのは、中国0.2兆円（前年比103.8%増）と台湾0.3兆円（同47.5%増）であった。前年1位だった米国は2位に順位を落とし0.6兆円(前年比54.7%減)となった。欧州はフランスと英国で、前年比伸び率は増減正反対の動きとなったが、投資額はほぼ同水準となった。

財務省及び日本銀行の国際収支統計から作成。フローベースでの対日直接投資額を地域別に、2022年と②023年の両年について表示。北米　2022年　１兆8420億円　2023年 6085億円、欧州　2022年　18194億円　2023年　6040億円、アジア　2022年　1兆7570億円　2023年　1兆6436億円、中南米　2022年　7403億円　2023年　1864億円、大洋州　2022年　1258億円　2023年　マイナス1557億円、中東　2022年　20億円　2023年　29億円、アフリカ　2022年　マイナス30億円　2023年　マイナス77億円。 — 図表2-3 対日直接投資額推移(フロー、地域別)

図表2-4 対日直接投資額（フロー、国別）トップ10（単位：億円、％）
順位	国・地域	2023年	2023年伸び率(前年比)	構成比
1	シンガポール	8,385	△ 3.1	29.1
2	米国	5,564	△ 54.7	19.3
3	フランス	3,907	86.1	13.6
4	英国	3,591	△ 68.1	12.5
5	台湾	2,708	47.5	9.4
6	香港	2,201	△ 41.9	7.6
7	中国	1,789	103.8	6.2
8	韓国	1,280	13.3	4.4
9	ケイマン諸島	920	△ 86.1	3.2
10	ルクセンブルク	546	192.0	1.9
―	合計	28,820	△ 54.1	100

〔出所〕「国際収支統計」（財務省、日本銀行）を基にジェトロ作成

2. 残高

米国が最多、フランスはオランダを上回り第4位に浮上

2023年末の対日直接投資残高(資産負債原則)は、欧州が20.8兆円(全体の41.3％)で最大、次いで北米が13.4兆円(同26.5％) 、アジアが11.9兆円(同23.6%)となった(図表2-5)。国別に見ると、米国が12.5兆円(全体の24.7％)と引き続き最多で、次いで英国が8.7兆円(同17.2％)、シンガポールが5.3兆円(同10.4%)で続いた。前年5位であったフランスは3.4兆円（前年3.2兆円) と微増、前年4位のオランダが3.3兆円（前年3.4兆円)に微減となったことから、順位を入れ替えた(図表2-6) 。対日直接投資残高に占める上位10カ国・地域の割合は85.8％となった。

財務省および日本銀行の本邦対外資産負債残高から作成の円グラフ。2023年末における資産負債原則による地域別残高合計　46.2兆円、内訳　欧州20.8兆円(全体の41.3％)で最大、北米13.4兆円(同26.5％) 、アジア11.9兆円(同23.6%)、中南米3.3兆円（6.5％）、その他　1.1兆円（2.1％） — 図表2-5 2023年末対日直接投資残高(地域別)

図表2-6 2023年末対日直接投資残高（国・地域別）（単位：億円、％）
順位	国・地域	残高	前年比伸び率	構成比
1	米国	124,655	23.2	24.7
2	英国	86,989	11.3	17.2
3	シンガポール	52,614	8.1	10.4
4	フランス	34,107	4.5	6.8
5	オランダ	32,542	△ 4.6	6.4
6	香港	27,608	5.3	5.5
7	ケイマン諸島	27,073	6.7	5.4
8	スイス	20,737	△ 4.4	4.1
9	ドイツ	14,015	1.3	2.8
10	台湾	12,993	21.1	2.6
―	その他	71,843	3.1	14.2
―	合計	505,176	9.3	100.0