ジェトロ対日投資報告2024

2024年版のポイント

ジェトロは、外国企業・外資系企業が日本におけるビジネスを検討する際の情報提供、また、外国企業の対日投資を支援する上での参考材料の提供を目的として、対日投資に関する包括的な報告書「ジェトロ対日投資報告2024」をまとめた。ポイントは以下のとおり。

1.日本の対内直接投資残高は50兆円超え

  • 2023年末の対日直投残高は前年比9.3%増の50.5兆円(3,506億米ドル)と、50兆円の大台を突破。日本の実質GDPの約8.5%を占めるまでに伸長した。
  • 地域別にみると特に米国(前年比23.2%増)、台湾(同21.1%増)の伸び率が大きかった。背景として、台湾の大手半導体メーカー台湾積体電路製造(TSMC)の熊本県における第二工場建設や、米半導体大手マイクロンテクノロジーによる広島工場への最新技術導入といった大型の対日投資案件がある。

2.日本のグリーンフィールド投資受入額は前年比3倍超

  • 世界のグリーンフィールド投資額は前年比5.4%増の1兆3,804億米ドル。先進国・地域への投資が減少したが、新興国・地域への投資はアジアを中心に好調であった。日本は前年比3倍超と著増。308億米ドルで世界17位となった。
  • 対日グリーンフィールド案件としては、上述の半導体大型案件に加え、シンガポールや米国の企業によるデータセンター建設関連の投資が散見された。
  • 対日M&Aは、物流、ヘルスケア、不動産の業種が金額として大きかった。また、個々の案件では海外投資ファンドによる経営立て直し等を目的としたマネジメント・バイアウト(MBO)が目につく。

3.2030年の対内直接投資残高100兆円を目標に、政府が優先プログラム設定や税制改正実施

  • 2024年5月に開催された対日投資促進会議は、「対日直接投資加速化に向けた優先プログラム」として(1)日本での投資機会の拡大、(2)アジア等の高度人材の確保、(3)国内企業と海外企業との協業促進、(4)ビジネス環境・生活環境の整備、の4本柱10施策を提示。
  • 同年度の税制改正では、国内投資促進のために(1)戦略分野の国内生産促進税制の創設と(2)イノベーション拠点税制(イノベーションボックス税制)の創設を決定。(1)は電気自動車や半導体等を戦略分野とし、生産・販売量に応じて税額控除を行う。(2)は国内発祥の知的財産権から生じる所得に対して所得控除30%を措置するもの。
  • これらを含む各種施策により、日本政府は2030年に対内直接投資残高100兆円を目指すとしている。

※本報告書は2024年9月時点の情報を取りまとめたものである。