カナダ政府、10月から中国製EVに100%の追加関税を賦課
(カナダ、中国)
トロント発
2024年08月30日
カナダ政府は8月26日、中国製電気自動車(EV)に100%の追加課税を課すと発表した。対象は、EVと一部のハイブリッド乗用車、トラック、バス、輸送用バンが含まれる。追加課税は10月1日から、現在の6.1%の輸入関税に加えて適用される。
今回発表された対中EV関税は、カナダ政府が7月2日~8月1日に開催していた公開協議を受けてのものだ(2024年8月6日記事参照)。カナダ財務省によると、カナダの自動車製造業は12万5,000人の雇用を直接支え、EVサプライチェーンの将来性は世界一となっている。また、鉄鋼、アルミニウム産業は13万人以上の雇用を支えている。しかし、昨今の中国による不公正で非市場的な政策や慣行は、カナダの長期的な経済繁栄を損なう恐れがあるとして、協議会を開催し、例外的な措置が必要と踏み切った。
カナダ政府は併せて、中国からの鉄鋼とアルミニウム製品に対しても、10月15日から25%の追加課税を賦課すると発表した。対象製品はパブリックコメントを経て10月1日までに発表される。なお、発効日に輸送中の中国製品に追加課税は賦課されない。
カナダ政府はさらに、バッテリー、バッテリー部品、半導体、ソーラー製品、重要鉱物など、カナダの将来の繁栄に必要な分野に関し、さらなる措置を検討するため、30日間の意見公募を行うことを発表した。
クリスティア・フリーランド副首相兼財務相は今回の追加関税に関し、「主要な貿易相手国と足並みをそろえ、競争条件を公平にして、労働者を保護するために断固たる行動をとる」と声明を発表した。
また、ジャスティン・トルドー首相は「国家主導による過剰生産からカナダの労働者と主要経済部門を保護するための措置」「世界の諸外国と歩調を合わせ行動することが重要」と記者団に語った(ロイター8月26日)。中国製EVについては、米国も5月に100%の追加関税を賦課することを発表している(2024年5月15日記事参照)。
(幡野裕一)
(カナダ、中国)
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