カナダ・カーニー首相訪中で共同声明発表、関税引き下げと新戦略的パートナーシップ締結
(カナダ、中国)
調査部米州課
2026年01月20日
カナダのマーク・カーニー首相は1月16日、中国の習近平国家主席と北京で会談し、共同声明(カナダ
、中国
)と新たな戦略的パートナーシップ
を発表した。カナダ首相の訪中は2017年以来初。両国間の関係は、2018年12月に、カナダが米国の要請に応じ、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)の最高財務責任者(CFO)を逮捕して以降悪化した。2024年10月には、カナダ政府が米国と足並みをそろえるかたちで、中国製電気自動車(EV)、鉄鋼、アルミニウム製品に対し、100%の追加関税を課し(2024年8月30日記事参照)、中国が同関税を「差別的措置」であると判定し、カナダ産の一部輸入品に対する報復関税を賦課する(2025年3月10日記事参照)事態となったが、今回の会談で回復したかたちだ。
カーニー氏は訪中の間、習国家主席以外に、李強首相などとも会談を行った。両国関係および地域・国際問題について、実利的かつ建設的なかたちで深く意見交換を行い、(1)マクロ経済への関与、(2)経済・貿易協力、(3)エネルギー、(4)金融、(5)公共安全と治安、(6)人的・文化的交流、(7)多国間主義のコミットメントの分野で成果を推進することを約束した。また、共同声明では、両国は新戦略的パートナーシップを推進し、両国民により多くの良い成果をもたらすと約束した。
発表された新パートナーシップでは、農産食品と貿易はカナダと中国の長年の関係の基盤であり、中国は引き続きカナダにとって第2位の輸出市場であるとして、関係強化のため、貿易障壁の撤廃と関税削減のための画期的な措置を含む予備的な原則合意を獲得した。具体的には次のとおり。
- EV:カナダは中国に対し、年間4万9,000台のEV輸入を国別割当で提供し、最恵国待遇(MFN)税率6.1%を定める。カナダはまた、中国の自動車メーカーと協力し、カナダの自動車安全基準を満たすために適時な車両認証を進める。
- キャノーラ種子、ならびにキャノーラ粉、ロブスター、エンドウ豆、カニおよびその他の製品:2026年3月1日までに、中国がカナダ産キャノーラ種子の関税を現在の合計関税水準84%から約15%に引き下げる予定。キャノーラ種子以外の製品については、中国による報復的関税の対象外となると予定している。
- 鉄鋼・アルミ:カナダ国内で供給が不足している特定の中国製鉄鋼・アルミニウム製品に対して、2026年末まで過去の減免措置を延長する。カナダはまた、7つの鉄鋼製品、2つのアルミ製品、4つの鉄鋼派生製品に対して免除範囲を拡大する。この拡大は2026年3月1日までに施行され、2026年1月1日まで遡及(そきゅう)適用される。
カナダはまた、この関係を強化するため、2030年までに中国への輸出を50%増やすという野心的な新目標を設定した。
カーニー氏は中国との関係について、記者団に対して「ここ数カ月の中国との関係強化は、米国より予測可能だ」と語り、中国との関係改善を強調するかたちで、米国依存からの脱却という政府方針をあらためて示した。
(谷本皓哉)
(カナダ、中国)
ビジネス短信 d16e43925d027430




閉じる
