ジェトロ、米テネシー州で通商政策セミナー開催、関税対応やUSMCA見直し巡り日系企業と意見交換

(米国、日本)

アトランタ発

2026年10月05日

ジェトロは9月29日、米国テネシー州メンフィスで、メンフィス日本商工懇話会(注1)およびグレーターメンフィス商工会議所と連携し、日本企業向けに通商政策セミナーを開催した。11人が参加した。意見交換では、トランプ政権の関税措置への対応や1962年通商拡大法232条に基づく関税によるコスト増加などが主要な話題となった。

写真 セミナーの様子(ジェトロ撮影)

セミナーの様子(ジェトロ撮影)

セミナーでは、トランプ政権による関税措置の概要や米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の見直し(注2)、11月の中間選挙に向けた動向などを解説した。さらに、各参加者が近況や事業運営上の課題を共有する意見交換会も実施した。

意見交換会では、関税措置への対応が主要な話題となった。国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき徴収された関税の還付処理(2026年9月17日記事参照)については、還付手続き自体はおおむね円滑に進められているとの声があった一方で、申請書類の作成などの事務負担を指摘する声も聞かれた。また、米国内調達への関心が高まる中でも、価格面で米国内製品の競争力が十分でないことから、関税負担を考慮しても海外からの調達を継続しているとの意見もあった。

一方、232条に基づく鉄鋼・アルミニウム・銅への追加関税についても、企業活動への影響を指摘する声が相次いだ(注3)。例えば、日本から輸入する金型が同関税の対象となり、想定を上回るコスト増につながった事例が紹介された。また、別途実施した企業ヒアリングでも、鉄鋼・アルミニウムについてはUSMCA原産品であっても232条関税の対象となるため、コスト増加の一因となっているとの指摘が聞かれた(注4)。

セミナー後には、グレーターメンフィス商工会議所主催のレセプションに参加し、地元の経済開発機関などとのネットワーキングを実施した。その後、世界最大級の航空貨物拠点であるフェデックス・エクスプレスのワールドハブ(2024年5月16日付地域・分析レポート参照)を視察した。

写真 フェデックス・エクスプレスのワールドハブ視察の様子(ジェトロ撮影)

フェデックス・エクスプレスのワールドハブ視察の様子(ジェトロ撮影)

(注1)メンフィスおよびその周辺にて事業を行う日系企業で構成される団体。

(注2)2026年7月のUSMCAの共同見直しで延長に同意できず、参加国の米国、カナダ、メキシコは見直し協議を継続している(2026年7月2日記事、7月28日記事参照)。

(注3)2025年1月の第2次トランプ政権発足以降、短期間で複数回の見直しが行われており、直近では一部対象品目に軽減措置が導入されたものの、全体として、関税率は引き上げ、対象品目は増加、課税方法は複雑化する方向で措置が拡大されてきた(2026年5月20日付地域・分析レポート参照)。

(注4)第1次トランプ政権時には、USMCA批准に向けた環境整備の一環として、2019年5月にカナダおよびメキシコに対する232条関税を撤廃した(2019年5月21日記事参照)。一方、第2次トランプ政権では、USMCA原産品であっても鉄鋼・アルミニウムに対する232条関税が適用される措置となっており、メキシコ政府は関税率の引き下げに向けて米国政府と交渉を行っている(2026年7月31日記事参照)。

(檀野浩規)

(米国、日本)

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