メキシコのエブラル経済相、鉄鋼・アルミの米国232条追加関税50%を10%に引き下げるよう交渉

(メキシコ、米国)

メキシコ発

2026年07月31日

メキシコのマルセロ・エブラル経済相は7月29日の早朝記者会見で、米国の鉄鋼・アルミニウムに対する1962年通商拡大法232条に基づく50%の追加関税について、「われわれが(米国に)提案しているのは、英国に適用している税率(注1)と同様の待遇、すなわち鉄鋼・アルミニウムがメキシコで溶解・鋳造されたものについては10%ほどの税率を適用してもらうことだ」と発言した。現在、メキシコは同追加関税に関して、鉄鋼・アルミニウムが米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の原産品であったとしても、他国と同様50%(派生品の場合は25%)の関税率が課されている。

エブラル経済相は、米国が同追加関税を賦課する主な理由として米国側の貿易赤字を挙げていることに対して、「米国はメキシコとの間では(貿易)黒字である。なぜなら、メキシコは他のどの国よりも米国からの鉄鋼を多く購入しているからだ」と批判した。アルミニウムについても「(メキシコは)必要な鉱石(ボーキサイト)を保有していないため、常に貿易赤字となる。メキシコで生産するアルミニウムはスクラップを原料として再加工したものだ」と説明し、メキシコとの関係では鉄鋼・アルミニウムともに米国側が貿易黒字であるにもかかわらず、50%の追加関税を課していることに苦言を呈した。

こうした中、イタリア・アルゼンチンの鉄鋼大手テルニウムがヌエボレオン州ペスケリア市に40億ドル規模の工場を建設(2023年6月29日記事参照)していることを引き合いに、「(工場が)2027年に完成すれば、スラブや特定の鋼種を海外から輸入する必要がなくなる」と述べ、自国での鉄鋼生産を強化する方針を示した。

クラウディア・シェインバウム大統領も、同会見の中で「われわれは米国にとって極めて重要な貿易パートナーである。われわれは彼らにとって最大の輸出入相手国であり、長年にわたる自由貿易により、両国の経済は深く統合されている」と述べた。一方で、「米国の動きや貿易協定(USMCA)だけに依存しているわけではない」とし、「国内市場向け販売、および米国や他地域への輸出を目的とした国内企業の投資および外国直接投資を拡大する」と強調した。その例として、EUとの協定の現代化(2026年5月26日記事参照、注2)を示し、「われわれは輸出の多角化も模索している」と述べた。

(注1)英国産の鉄鋼・アルミニウムについては、95%以上が英国で溶解・注湯された鉄鋼、精錬・鋳造されたアルミ、精錬・鋳造された銅から製造される製品で、付属書I-A掲載品目に対する232条関税率は25%、付属書I-B掲載品目に対する232条関税率は15%となっている。

(注2)EUとの自由貿易協定(FTA)を含む通商協定を現代化する協定についての詳細は、2026年7月2日付地域・分析レポート参照

(阿部眞弘)

(メキシコ、米国)

ビジネス短信 cc38c157b6152162