第3回米メキシコUSMCA見直し協議終了、USTRはメキシコとの協議の進展も発表

(米国、メキシコ、カナダ)

ニューヨーク発

2026年07月28日

米国通商代表部(USTR)は7月23日、ジェミソン・グリア代表とメキシコのマルセロ・エブラル経済相による共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。両国は7月21日から、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の見直しに関する3回目の2国間協議を行っていた。

共同声明によると、グリア代表は7月23日にメキシコのクラウディア・シェインバウム大統領と会談し、今回のエブラル経済相との協議で議論した、経済安全保障、労働、農業、電子決済サービス、鉄鋼・アルミニウムおよびその派生製品、自動車に関する協議の進捗を確認した。また、北米における製造業の拡大、域内のサプライチェーン強化、USMCA締約3カ国以外の国・地域によるフリーライダー問題(注1)に対処する必要性を確認した。また、エブラル経済相とは、4回目の2国間協議を9月に米国の首都ワシントンで行うことで合意した(注2)。

なお米国は、メキシコやカナダに対して抱えている課題を解決できなければUSMCAの延長に合意しないとの立場から、7月1日に行われた3カ国での共同見直し会合で延長に反対した(2026年7月2日記事参照)。ただし、USTRの7月17日の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、メキシコは米国の懸念に対処するため、これまでに次の改善措置を取っている。

  • 経済安全保障:米国の輸出管理とより密接に整合させるため、デュアルユース品目の輸出を規制する改正措置を7月に公表した。
  • 知的財産:USTRのスペシャル301条報告書で指摘した(2026年5月7日記事参照)、医薬品の知的財産に関する刑事・行政上の法執行、水際での法執行、オンライン海賊行為に対する法執行などに関する課題に対し、実質的な措置を講じた。
  • 税関および貿易円滑化:シングルウィンドウ・システムのアップグレードと、国境を越える貿易業務を効率化するための新たな枠組みを5月に導入した。7月には、メキシコ国内の全ての港湾において、通関業者代理店プログラムの運用を開始した(注3)。
  • 環境:違法に森林伐採された土地で栽培されたアボカドの輸出に対処するための措置を講じた。米国南西部への産業廃水の排出をより効果的に規制するための措置も講じた。
  • 通信機器:試験要件を簡素化し、米国からメキシコへの通信機器の輸出を促進した。

グリア代表は声明で、「これらの取り組みは多くの成果をもたらしており、その中には『2026年外国貿易障壁報告書』(NTE、注4)で特定された課題への対処も含まれている」と評価している。

一方で、カナダとの協議は難航しているもようだ。特に、米国が7月20日に発表した1930年関税法第338条に基づく50%の対カナダ追加関税は、USMCA見直し協議において、米国側の要求を受け入れるようカナダに圧力をかけることが目的の1つだとの指摘がある(2026年7月28日記事参照)。

USMCAを延長するには、3カ国で合意する必要がある。グリア代表は7月22日に行われた連邦上院財政委員会の公聴会で、2026年末までにメキシコ、カナダそれぞれに何らかの暫定的な取り決め案を提示し、2027年以降に、原産地規則や労働、環境といった分野で議論を深めるとの方向性を示している(注5)。

(注1)域外国で生産された部材を利用している場合でも、輸入される製品が原産地規則を満たしている限り、FTAが定める特恵関税の恩恵を受けられること。

(注2)メキシコ側の発表は、2026年7月24日記事参照

(注3)メキシコでは、通関士が活動可能な港の数が制限されているため(現在は4カ所のみ)、この制限を拡大するためのプログラム。

(注4)USTRがNTEで指摘したメキシコの貿易障壁は、2026年5月29日付地域・分析レポート参照

(注5)USMCA見直しのポイントは、2026年2月20日付地域・分析レポート参照

(赤平大寿)

(米国、メキシコ、カナダ)

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