米税関、232条に基づく自動車部品関税の相殺制度に関するガイダンス発表
(米国)
ニューヨーク発
2025年11月04日
米国税関・国境警備局(CBP)は10月31日、自動車部品に課している追加関税の相殺制度についてガイダンス
を発表した。11月3日から相殺制度を利用した申告が可能となった。
トランプ政権は5月3日から自動車部品に対して、1962年通商拡大法232条に基づき、25%の追加関税を賦課している。ただし、追加関税を相殺する制度も設け、商務省国際貿易局(ITA)は6月に申請方法を発表していた(2025年6月13日記事参照)。発表当初、相殺期間は2025年4月3日~2027年4月30日の約2年間だったが、中・大型トラック部品に対しても同様の相殺制度を設けた際、自動車部品に対する期間を2030年4月30日まで延長すると規定した(2025年10月21日記事参照)。
今回発表したガイダンスによると、自動車部品への追加関税の相殺に関する申請は、11月3日から税関の電子申請システム(ACE)を通じて可能となった。申請に当たっては、商務省が通知した相殺制度の利用に関するライセンス番号を記載する必要がある。
同相殺制度は、商務省が承認した輸入業者のみが同省から付与された金額の範囲内でのみ利用できる。日本、英国、EU加盟国からの自動車部品輸入に対しては、232条に基づいて賦課された追加関税分のみが相殺対象となる(注1)。同制度によって追加関税が相殺された場合でも、232条に基づく鉄鋼、アルミニウム、銅、木材への追加関税や、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく相互関税、カナダ、メキシコ、ブラジル、インドに対する追加関税は課されない。ガイダンスではまた、仮に払い過ぎた関税がある場合、事後修正(PSC、注2)を通じて還付請求ができることも示した。
(注1)自動車部品の輸入で、英国に対しては一般関税率(MFN税率)を含めて10%(2025年6月18日記事参照)、日本とEUに対しては一般関税率が15%未満の場合は合計して15%、一般関税率が15%以上の場合は232条関税は課さないと定めている(2025年9月16日記事、2025年9月25日記事参照)。従って、仮に日本産自動車部品の一般関税率が2.5%の場合、12.5%分の関税が還付の対象になると考えられる。
(注2)ACEを通じて申請できる。PSCの詳細はCBPのウェブサイト
、ユーザーズガイド
参照。
(赤平大寿)
(米国)
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