広汽ホンダが東風本田発動機の株式取得を決定

(中国)

武漢発

2025年10月15日

中国の広東省広州市に本社を置く広州汽車集団(以下、広汽集団)は9月30日、董事会(取締役会に相当)を開催し、広東聯合産権交易中心(注)で入札にかけられていた、東風本田発動機の株式を広汽本田汽車(以下、広汽ホンダ)が取得することを決定した(2025年8月22日記事参照)。

今回の株式取得に必要な資金は、広汽集団による現金増資によって供給される。広汽集団と本田技研工業(以下、ホンダ)の合弁会社である広汽ホンダが東風本田発動機の株式50%を取得した後、広汽ホンダに対して前述の現金増資を実施する。同時に、ホンダにも東風本田発動機の保有株式50%を用いて、広汽ホンダに現物出資するよう促す。これによって、今回の現金増資および現物増資が完了した後も、広汽ホンダにおける広汽集団とホンダの持ち株比率はともに50%で維持されるとともに、東風本田発動機は広汽ホンダの完全子会社となる。

東風本田発動機は、広汽ホンダに主にエンジンおよび部品を供給している。広汽集団は、今回の株式取得と増資が実現すれば、広汽ホンダのエンジン分野における事業の一体化に寄与し、サプライチェーンの安定性と自主性の向上につながるとしている。また、管理業務の効率化、コスト削減、経営効率の改善にもつながり、さらなるスマート化および電動化への転換を加速させるための基盤強化に資するとした。

広汽集団の関係者は現地メディアの取材に対して、「この取引が順調に終了すれば、1998年から続く、中国におけるホンダの『広汽、ホンダ、東風』の3者協力モデルに大きな転換がもたらされることを意味する」と述べた。また、「今回の措置は広汽ホンダが産業チェーンの構築に寄与するだけでなく、企業の長期的な発展を促進する重要な一歩となるだろう」と期待感を示した(「中国経営報」10月1日)。

(注)広東聯合産権交易中心は、国務院国有資産監督管理委員会が指定する、中央国有企業の財産権譲渡、増資、現物資産譲渡を行うためのプラットフォーム。

(高橋大輔)

(中国)

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