東風汽車が東風本田発動機の株式を売却する意向示す

(中国)

武漢発

2025年08月22日

中国の湖北省武漢市に本社を構える東風汽車集団は8月18日、広東聯合産権交易中心(注)で東風本田発動機の持ち株50%を売却する意向を示した。最低入札価格は未定で、入札期限は9月12日となっている。東風本田発動機は、1998年に東風汽車集団と本田技研工業(以下、ホンダ)が合弁で設立し、エンジンおよびエンジン部品の研究開発、製造、販売を行っている会社だ。本社は広東省広州市、出資比率は東風汽車が50%、ホンダが40%、ホンダの中国現地法人である本田技研工業(中国)投資が10%となっている。

広東聯合産権交易中心に掲載された東風本田発動機の財務指標によると、2024年の営業収入は約96億元(約2,016億円、1元=約21円)、利益総額の赤字額が約2億元、資産総額は約54億元、負債総額は約33億元となっている。

東風汽車集団の2024年度報告資料によると、東風本田発動機は広州汽車とホンダの合弁会社である広汽ホンダ汽車(以下、広汽ホンダ)に対し、同年にエンジンおよび自動車部品を約88億元販売しており、東風本田発動機は広汽ホンダの主要サプライヤーとなっている。しかし、広汽ホンダの自動車販売台数は2020年に約81万台だったが、2024年には前年比26.5%減の約47万台、2025年1~7月には前年同期比29.2%減の約17万台となっている。2021年以降、販売台数の減少が続いているが、ここ数年で、販売台数の減少幅が大きくなっている。

東風汽車集団は8月8日、2025年上半期の利益見通しを、前年同期比で90~95%減となる3,000万元から7,000万元と発表した。同社は、この見通し修正の要因として、東風汽車集団の合弁会社の乗用車販売台数と利潤が大幅に低下したことを指摘。そして、激しい市場競争に対処するため、独自の事業分野の研究開発、ブランドおよびチャンネル構築、マーケティングおよび販売への投資を増加させているとした。

「第一財経」の8月18日付の報道によると、東風汽車集団は、今回の株式売却を通じて、自社のガソリン車の資産構造の最適化、調整に期待すると同時に、これは新エネルギー車への転換加速にも資するものとした。

(注)広東聯合産権交易中心は、国務院国有資産監督管理委員会が指定する、中央国有企業の財産権譲渡、増資、現物資産譲渡を行うためのプラットフォーム。

(高橋大輔)

(中国)

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