アフリカ、2022年は政治・社会的に不安定な年に

(アフリカ)

中東アフリカ課

2023年01月13日

アフリカでは2022年、一部諸国で選挙が行われた(添付資料表参照)。以下に主な国の状況を紹介する。

まず、ケニアでは202289日、ウフル・ケニヤッタ前大統領の下で副大統領を務めていたウィリアム・ルト氏がライラ・オディンガ元首相に競り勝ち、新大統領に選出された(2022年8月17日記事参照)ことが注目された。

次にチュニジアでは20221217日、議会選挙の1次投票が行われた。2次投票後の202333日に結果が発表される(2022年12月22日記事参照)。同国では、20227月に憲法改正が行われ、行政権や閣僚任命権が大統領に移ったほか、大統領罷免に関する規定が削除されるなど、カイス・サイード大統領の権限が大幅に強化されている(2022年7月28日記事参照)。

そして、南アフリカ共和国では20221219日、与党・アフリカ民族会議(ANC)の党首選挙でシリル・ラマポーザ大統領が再選した(2022年12月21日記事参照)。同大統領は、党首選前に自身の汚職疑惑(2022年12月2日記事参照)もあったが、今回当選したことで、2024年の議会選でANCが勝利すれば、大統領再任となる。

テロやクーデター、政情不安続く

一部地域では、政情不安が続いた。ブルキナファソでは、2022年の1月と9月に2度のクーデターが発生した(2022年1月26記事参照2022年10月3日記事参照)。そのほか、2月にギニアビサウ、11月にサントメプリンシペ(2022年11月29日記事参照)、12月にガンビア(2022年12月22日記事参照)でクーデター未遂が発生した。

イスラム過激派によるテロが拡大している地域もある。西アフリカでは、サヘル地域に加え、ギニア湾沿岸にテロが拡大しているほか、モザンビークのカーボ・デルガド州はテロ組織の拠点になっているとされる(2022年7月11日記事参照)。こうした中、国連安全保障理事会は20221110日、アフリカのテロ対策に係る会合を開き、テロ対策の見直しの必要性が強調された(2022年11月22日記事参照)。

コンゴ民主共和国(DRC)では、政府と反政府勢力「323日運動(M23)」間の戦闘が続いている(2022年12月9日記事参照)。また、リビアでは、正統性を主張する2つの政府が乱立しており、首都トリポリで断続的に武力衝突が生じている。一方、エチオピアでは202211月、政府とティグライ人民解放戦線(TPLF)が停戦に合意した(2022年11月8日記事参照)。

スーダンでは202212月、選挙に向けた2年間の暫定文民政府設立の枠組みに関して合意(2022年12月12日記事参照)。今後、軍と民主化勢力との間で交渉が継続される予定だが、一部勢力は交渉への参加を拒否している。

(梶原大夢)

(アフリカ)

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