ガンビアでクーデター未遂

(ガンビア、アフリカ)

中東アフリカ課

2022年12月22日

西アフリカのガンビアで12月20日、軍の一部兵士によるクーデター未遂事件が発生した。政府は翌21日に声明で「軍の一部兵士が民主的に選出されたバロウ政権の転覆を企てているという情報に基づき、20日に実施した軍事作戦で、クーデター計画の疑惑につながる4人の兵士を逮捕した。さらに、3人の共犯者を追跡している」と発表した。

アダマ・バロウ大統領は2021年12月の大統領選挙で2期目の当選を果たした(2021年12月28日記事参照)。同大統領は2016年の選挙で、当時22年にわたって政権を握り続けていた元軍人のヤヒヤ・ジャメ氏に勝利して大統領に就任。それ以降、ジャメ政権下で行われていた数々の犯罪行為を徹底的に調査してきた。また、同大統領の身辺警護をセネガルの軍に担当させているほか、主要な空港や海港の警備にそれぞれナイジェリアやガーナの軍を配置するなど、軍の役割も縮小させてきた。

こうした背景もあり、メディア報道では、今回のクーデター未遂事件について、ジャメ前政権の関与が指摘されている。ジャメ前大統領は2016年の選挙での敗北後に赤道ギニアに亡命したが、それ以降もガンビア国内で影響力を保持しているとされており、2019年には、同氏の軍側近がクーデター未遂事件を起こしている。もっとも、今回の事件については、各容疑者の身元を含め、詳細は明らかにされておらず、ジャメ前政権との関連性も不明だ。

西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)は21日、今回のクーデター未遂事件を「強く非難」し、ガンビアの「民主的に選ばれた政府を支持」するとの声明を発表している。

(梶原大夢)

(ガンビア、アフリカ)

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