新たな地域でテロ活発化、治安情勢に警戒高まる

(モザンビーク)

マプト発

2022年07月11日

モザンビーク北部でのイスラム系武装勢力によるテロ活動が、これまで襲撃が報告されていなかった地域に飛び火している。メディアの報道によると、65日にカーボデルガード州アンクアベ郡で襲撃があり、12日にチウレ郡、17日にはカーボデルガード州との境に近いナンプラ州メンバ郡ルリオで被害が報告された(614日、17日付「ジタマール」)。これらの襲撃の後には「イスラム国モザンビーク」を自称する組織が同襲撃を行ったとする声明をウェブ上で発表している。

アンクアベ郡とチウレ郡はカーボデルガード州の南部にあり、州都ペンバから100キロ圏内に位置する。ナンプラ州はモザンビーク北部の経済・物流の中心となっている。

同国のフィリペ・ニュシ大統領は616日、アンクアベ郡を含むカーボデルガード州の一部地域を視察し、住民や治安関係者との意見交換を実施したものの、20日時点で政府から明確な対応方針は示されていない。治安情勢の変化を受け、在モザンビーク日本大使館は18日付で、治安情勢に関する緊急領事メール外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを邦人に向けて発出した。米国大使館も17日付で、カーボデルガード州への大使館職員の旅行制限を布告するなど、各国の警戒が高まっている。

これまで同勢力が活動していた同州北部では、20217月以降のルワンダ軍と南部アフリカ開発共同体(SADC)待機軍による介入(20211012日記事参照)もあり、南部からの主要幹線道路の国道380号線が軍の護衛つきでモシンボア・ダ・プライア郡までの通行が可能になるなど復興が進んでいる。もっとも、同地でも完全にテロがなくなったわけではないため、引き続き警戒が必要だ。

(松永篤)

(モザンビーク)

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