暫定文民政府の設立に向けた枠組みに合意

(スーダン)

カイロ発

2022年12月12日

スーダンの首都ハルツームで12月5日、国民選挙に向けた2年間の暫定文民政府設立のための枠組みが合意された。国連統合移行支援ミッション(UNITAMS)、アフリカ連合(AU)、政府間開発機構(IGAD)の立ち合いの下、今回の協定には、主権評議会議長を務めるアブドゥル・ファッターハ・ブルハーン国軍司令官と同副議長のムハンマド・ハムダン・ダガロ迅速支援部隊(RSF)司令官が、民主化勢力からは「自由と変革勢力-中央評議会(FFC-CC)」や元反政府武装組織「ス―ダン革命戦線(SRF)」などが署名した。

スーダンでは、2021年10月に軍がクーデターを起こし、軍民共同統治体制は崩壊(2021年10月26日記事参照)。2022年1月に軍主導で暫定内閣が発足(2022年1月24日記事参照)するも、8月には同国の政治危機を解決するための枠組みからブルハーン国軍司令官が離脱(2022年8月3日記事参照)するなど混迷を極めていた。

今回の協定は、スーダン弁護士会によって提案された暫定憲法草案に基づいている。ここでは、2019年の憲法宣言を廃止し、今後採用される暫定憲法が国の最高法となることが規定されている。暫定文民政府は、立法評議会、首相、内閣で構成され、議席のうちの40%が女性に割り当てられる。今後、新首相任命や暫定憲法の採択、立法評議会設立が行われていく予定だ。もっとも、今回の協定においては、移行期正義、安全保障、ジュバ和平合意の見直し、前政権解体の問題などは留保されており、今後、軍と政治勢力との間でさらなる交渉が行われる予定だ。

暫定文民政府下で軍は、国家元首を軍最高司令官とする安全保障防衛評議会を結成し、安全保障の任務にあたるほか、軍事産業を除いて軍による投資および商業事業の禁止が定められた。ブルハーン国軍司令官は署名式での演説で、軍を憲法下に置き、政治化や党派性を排して中立な機関にする改革を約束し、国民選挙まで民主的移行を支援することを誓った。

一方で、不安要素も指摘されている。ジブリール・イブラヒーム財務相率いる「正義と平等運動(JEM)」と「スーダン解放運動-ミナウィ派(SLM-MM)」は、依然として2019年の憲法文書の維持を求めており、合意への署名を拒否しているほか、ジュバ和平協定未署名の「スーダン人民解放運動北部(SPLM-N)ヘルウ派」や「SLM-AW」は交渉の席にもついていない。

(齊木隆太朗、福山豊和)

(スーダン)

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