大統領選でルト副大統領が当選、敗れたオディンガ氏は異議申し立てへ

(ケニア)

ナイロビ発

2022年08月17日

ケニアで815日、大統領選挙の集計結果が独立選挙管理・選挙区画定委員会(IEBC)から発表され、与党・統一民主同盟(UDA)のウィリアム・ルト副大統領が勝利した。得票率はルト氏が50.49%(7176,141票)、投票前の世論調査ではルト氏を若干上回っていた対立候補の野党・オレンジ民主運動(ODM)のライラ・オディンガ元首相は48.85%(6942,930票)で、1.64ポイントの僅差での勝利だった。

ルト氏は当選発表後の記者会見で「マニフェスト(公約)を着実に実行していく」と述べた。主なマニフェストは次のとおり(一部抜粋)。

  • 農業と食料安全保障〔農業生産性向上のため2,500億ケニア・シリング(約2825億円、KSh、1KSh=約1.13円)を5年以内に投資し、食料輸入を30%減らす〕
  • 零細・中小企業への金融支援(500KShの基金で中小企業向け貸し付けを行う)
  • 住宅補助(毎年25万戸の低廉な家を供給する)
  • ヘルスケアへのアクセス〔国民保険(NHIF)の整備を行う〕

今回は集計結果発表でIEBC委員(7人)の間で内紛が発生した。委員長のワフラ・チェブカティ氏に反発したジュリアナ・チェレラ副委員長を含む4人の委員が記者会見で「開票管理のプロセスは受け入れられない、これから発表される当選結果の責任を負うことができない」との声明を発表した。

予定では830日に大統領就任式が行われるが、敗北したオディンガ氏は「選挙の集計プロセス、方法で不正があった」として、最高裁判所への異議申立書の提出を表明した。敗れた候補者は7日間以内に最高裁判所への異議申立書の提出が可能で、最高裁判所は受領してから14日以内に結審しなければならないと憲法で規定している。仮に選挙が無効とされれば、60日以内の再選挙が実施されることとなる。

前回2017年の選挙でも、オディンガ氏は事前の世論調査で優勢だったが敗北し、異議申し立てを行った。ここでは、最高裁判所が選挙の無効を認め、再選挙が実施された。

(中川翼)

(ケニア)

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