与党総裁選の目前、ラマポーザ大統領の汚職疑惑が再燃

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2022年12月02日

南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領に関する汚職疑惑(2022年6月27日記事参照)に関して、専門委員会が11月30日、調査報告書を国会に提出した。同委員会は、ラマポーザ大統領が憲法と汚職行為防止法に違反した可能性があるとして、「盗まれた外貨の出所などについて明確にすべき」とした。報告を受け、与党のアフリカ民族会議(ANC)は12月1日、緊急会合を開催した。

ラマポーザ大統領は、2021年にジェイコブ・ズマ前大統領を汚職容疑の罪で収監(2021年7月14日記事参照)するなど、大統領就任以降、政治界の汚職撲滅を掲げてきた(2017年12月19日記事参照)。しかし、今回は自らに汚職の疑いがかけられており、当地メディアでは、辞任の可能性がささやかれるなど、同大統領の今後の進退に注目が集まっている。

南アでは、12月16日からANCの全国党大会が予定され、5年ぶりの総裁選が実施される。それに先立ち、11月21日には総裁を含む各役職の候補者が公開され、各支部の代議員が候補者指名の投票を行っている。ラマポーザ大統領は3,543支部のうち2,000を超える票を獲得しており、州ごとの得票数でも9州のうち8州で指名を獲得するなど、総裁2期目の続投が有力視されていた。しかし、今回の汚職疑惑によって野党は大統領の弾劾を求め、党内でも反対派による退陣要求の可能性が高まるなど、先行き不透明な状況となっている。

南アでは2024年に議会総選挙が予定されており、そこでANCが勝利をした場合、12月に決まるANC総裁が大統領に就任することとなる。

(堀内千浪)

(南アフリカ共和国)

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