コンゴ民主共和国で政府とM23の対立激化、和平交渉は難航

(コンゴ民主共和国、ケニア、アンゴラ、ルワンダ、米国)

中東アフリカ課

2022年12月09日

コンゴ民主共和国(DRC)東部の北キブ州において、DRC政府と反政府武装勢力「3月23日運動(M23)」間の対立が再び激化している。事態を受け、11月23日にアンゴラの仲介で関係国が和平交渉のための会合(ルアンダ・プロセス)を開催。11月28日~12月6日にはケニアの首都ナイロビにおいて、東アフリカ共同体(EAC)が主導する3回目の和平交渉(ナイロビ・プロセス)が行われた。報道によると、こうした努力にもかかわらず、その後も断続的に戦闘が続いており、和平プロセスは難航している。

M23は、DRC政府軍から離脱した反政府勢力で、2012年4月に活動を開始したとされる。2013年11月には停戦を宣言するも、その後も断続的な攻撃が続き、2021年11月にM23による大規模な戦闘が発生したことで、以降、情勢は深刻化している。

DRC政府とM23は、2022年11月23日のルアンダ・プロセスで停戦協定を締結。この会談にM23は参加していなかったが、リーダーのバートランド・ビシムワ氏は「M23は各国首脳が勧告した停戦を尊重する」として、占領地域から撤退するなど、和平プロセスは一定の成果を上げていた。しかし、29日に北キブ州キシシュ村でM23が民間人を殺害したことを皮切りに、戦闘が再開した。

その後のナイロビ・プロセスでは、政府とM23を含むDRC国内の諸グループやEACの代表からなる委員会の設立のほか、2023年1月にDRCのゴマおよびブニアで会合を実施することなど、中・長期的な視点で和平プロセスを実施していくことで合意に至った。M23はこの交渉にも参加しなかったが、声明を発表し、「M23運動は停戦状態を維持する」として、和平プロセスに協力的な姿勢を示した。

なお、DRCは、隣国ルワンダがM23を支援していると主張している。DRC情勢については、米国のアントニー・ブリンケン国務長官が2022年12月4日、ルワンダのポール・カガメ大統領と会談を行い、和平プロセスへの支持を表明した上で、締結された諸協定について実効性を持たせることを求めた。加えて、ルワンダによる支援を含め、M23に対するいかなる支援について、ただちに終了させる必要があるとした。なお、ルワンダはかねてM23への支援を否定している。

(梶原大夢)

(コンゴ民主共和国、ケニア、アンゴラ、ルワンダ、米国)

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