米国の1~7月の対中輸入額は12.3%減、第3弾が押し下げに寄与

(米国、中国)

米州課

2019年09月11日

米国商務省が9月4日に発表した貿易統計(通関ベース、原数値)によると、米国の2019年1~7月の対中輸入額は2,605億5,300万ドルとなり、前年同期比で12.3%減少した(表参照)。7月単月では415億900万ドルで、前年同月比で11.9%減少となった。

対中追加関税措置の弾別に対象品目の対中輸入額を試算すると、1~7月の第3弾の対象品目の輸入額は791億ドルで、前年同期比24.7%減少し、対中輸入額の減少に最も寄与した(寄与度マイナス8.74ポイント)。続いて、第1弾の輸入額が79億ドルで34.9%減少し、第2弾は38億ドルで45.4%減少した。また、企業の申請により適用除外となった品目(注)についても、除外申請が認められるまでの間は輸入額が減少し、輸入額88億ドルで23.3%減少した。一方、トランプ大統領が9月1日から追加制裁措置を発動した(2019年8月14日記事参照)第4弾Aの対象品目の対中輸入額は685億ドルで18.5%増加した。12月15日からの発動を予定している第4弾Bの対象品目は801億ドルで、0.3%増とほぼ横ばいだった。なお、追加関税の対象外品目の対中輸入額は124億ドルで48.1%減となっている。これは、米国通商代表部(USTR)が追加関税対象品目を細分化するために、2018年1月以降、約180品目のタリフラインを廃止する一方で、約300品目のタリフラインを設立し、その多くが制裁対象品目となっていることが影響している。

表 米国の制裁弾別の対中輸入額(試算)

米国の1~7月の対中輸入額をHTS上位4桁でみると、電話機およびその他の機器(HTS8517項)が20.9%減の286億5,200万ドルと大幅に減少したが、同期間のベトナムからの輸入は2.4倍の76億ドルと増加している。また、自動データ処理機械(HTS8471項)は、中国からは8.8%減の263億2,000万ドルと減少したが、台湾やメキシコからの輸入が増加している(添付資料参照)。

一方、モニターおよびプロジェクター(HTS8528項)は21.0%増の74億ドル、玩具(HTS9503項)は10.4%増の54億ドルと増加しており、第4弾Aや第4弾Bの追加関税発動を見越した駆け込み輸入が目立った。

(注)第1弾に関する1度目の適用除外対象品目の発表は2018年12月28日(2019年1月4日記事参照)、2度目は3月25日(2019年3月28日記事参照)、3度目は4月18日(2019年4月18日記事参照)、4度目は5月9日(2019年5月13日記事参照)、5度目は6月4日(2019年6月5日記事参照)、6度目は7月9日(2019年7月16日記事参照)。第2弾に関する1度目の適用除外対象品目の発表は2019年7月31日(2019年8月1日記事参照)。第3弾に関する1度目の適用除外対象品目の発表は2019年8月7日(2019年8月7日記事参照)。

(中溝丘)

(米国、中国)

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