特集:駐在員が見るアジアの投資環境北東アジア2

2018年4月2日

中国・大連
大連で回転ずしがブーム


回転ずし店「争鮮」(ジェトロ撮影)

台湾ブランドの回転ずし店「争鮮」は、大連市内の主要なショッピングモールに5店舗出店し、いずれも行列の絶えない人気店だ。回転ずしブームの火付け役となった同店の成功の秘訣(ひけつ)はコストパフォーマンスにある。一皿6元(約102円、1元=約17円)の均一価格は誰でも気軽に食べられる値段であるのに加え、刺し身の鮮度や米の味も評判が良く、多くの若者や家族連れで賑(にぎ)わっている。

大連市内にある商業施設の平均賃料は8~20元/平米(1日あたり)だが、入り口近辺などの優良物件は約30元/平米(1日あたり)にはね上がる場合があり、入居交渉で迅速な決断が求められることもあるが、インターネット通販の影響で実店舗の売り上げが伸び悩む中、大連市内の商業施設は集客力の高い店舗、とりわけ飲食業の入居を歓迎している。また、親日的な大連市では日本料理の人気が高いものの、意外にも商業施設には「本場」の日本料理店が少ない。飲食業を営む日系企業にとり大連はビジネスチャンスが広がっており、「争鮮」の戦略はヒントになるのではないか。

執筆者紹介
ジェトロ・大連事務所 呉 冬梅(ゴ トウバイ)
2006年よりジェトロ・大連事務所にて勤務。調査及びヘルスケア事業を担当。

中国・瀋陽
自貿区で変わる製造業


中国(遼寧)自由貿易試験区瀋陽エリアの総合サービス窓口(ジェトロ撮影)

2017年4月に発足した中国(遼寧)自由貿易試験区では、同年末までに2万2,000社が新規に設立登記をした。そのうち、瀋陽エリアへの設立登記が1万4,000社と最も多かった。同エリアでは、貿易・投資の利便化のために200項目に及ぶ措置を発表し、総合サービス窓口におけるワンストップサービスや多証合一(注:複数の許可証を一つに集約すること)にも取り組んできた。

今後注目すべきキーワードとして「ハイエンド再製造業」がある。これは、電子機械などの工業製品を最先端の技術を用いて加工し、従来の品質を超える製品を新たに生み出す業態だ。瀋陽エリアの管理委員会は、2018年の重点政策として、検査・検疫の包括化や通関の迅速化など企業のコスト低減に向けた取り組みをさらに進め「ハイエンド再製造業」の育成に注力するとしている。自貿区を活用した新たな製造業のモデルが構築されれば、企業のコスト削減に加え、瀋陽市の経済成長の起爆剤になるだろう。

執筆者紹介
ジェトロ・大連事務所 匂坂 拓孝(さぎさか ひろたか)
2008年、ジェトロ入構。2013年より1年間、北京にて語学研修。2016年9月より現職。

中国・広州
フォーチュングローバルフォーラム


広州市街の夜景(ジェトロ撮影)

広東省広州市では年々人件費が上昇しており、広州市では製造業の作業員の基本給月額は3,555元(約6万435円、1元=約17円)となっている。こうした背景もあり、いわゆる単純作業を伴う労働集約的な産業は成り立たなくなってきている。この中で、広州市はより付加価値の高い産業を育成する取り組みを進めている。

こうした中、2017年12月、広州市でフォーチュングローバルフォーラムが開催された。フォーチュン500(注)にランクインする企業の代表など36カ国・地域から1000人以上が集まり、科学技術イノベーションによる変化やグローバル経済の未来像、持続可能な開発などのテーマについて議論した。

フォーラム開催前の10月に発表された「広州市における『中国製造2025』モデル都市建設実施案」では、広州市の省ら有為的な重点分野の支援対象としてIAB(I:次世代IT、A:人工知能、B:バイオ・医薬)産業が発表された。フォーラムに合わせて、任学鋒広州市共産党委員会書記をはじめとする広州市政府の幹部は有望企業114社の代表と会見を行い、IAB産業の促進計画をアピールした。

(注)米フォーチュン誌が選定する企業ランキング。

執筆者紹介
ジェトロ・広州事務所経済分析部 陳 志英(チン シエイ)
2005年ジェトロ入構。知的財産部、行政部などを経て2016年より現職。

中国・深セン
賃貸マンション


深セン市の高層ビル街(ジェトロ撮影)

近年、ベンチャー企業やスタートアップ企業が次々と誕生し、イノベーション都市として注目を集めている広東省深セン市。多くの若者が就職や起業を目指し移り住んでいるが、高すぎる住宅価格が生活上の大きな問題となっている。同市福田区の住宅借り上げ料は月額20,000元(約340,000円)と非常に高額となっている。

そこで、深セン市政府は全国から集まる移住者のために、賃貸マンションの整備や費用助成を打ち出した。

同市福田区政府は国有企業の深業集団と連携し、「城中村」(高層ビルに囲まれた都市の中の村落)をマンションに改造した。マンションの約504の物件を借り上げて移住者に貸し出した。条件にあう移住者には政府から住宅補助手当を支給している。

また、羅湖区政府は国有企業の羅湖人材安居集団を通じて、不動産大手の万科集団が運営するサービス・アパートメント約3,000件を貸し出し、区政府が家賃の半額を負担している。

このように、産業を支える上で重要な人材を確保するための住環境の整備が進めば、深センのさらなる発展にもつながるだろう。

執筆者紹介
ジェトロ・広州事務所経済分析部 陳 志英(チン シエイ)
2005年ジェトロ入構。知的財産部、行政部などを経て2016年より現職。

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