事業戦略と課題
越境EC販売アンケート調査(2)

2026年10月26日

前編では、JAPAN STOREプログラム参加企業へのアンケート結果を基に、越境ECで売り上げを創出する企業の傾向を分析した。後編では、同じく2025年度に同プログラムに参加した企業を対象として、2026年3月に実施したアンケートの結果を基に、アマゾンを活用した海外販売の社内における役割や売り上げ目標、企業規模と売り上げ状況の関係、さらには参加継続期間別・売り上げ状況別に企業が認識する課題について分析する。

具体的には、アマゾン販売の社内での位置付けについてはアンケート回答企業971社全体を対象として分析した。売り上げ目標、企業規模、認識する課題については、このうち2026年度も同プログラムに継続参加する746社(以下、「2026年度継続参加企業」)を対象とした。

その結果、越境ECはテスト販売や新規販路としてだけでなく、一定の売り上げがある企業では主要事業の一つとして位置付けられることが確認された。また、売り上げを創出している企業とそうでない企業の間で、企業規模に大きな差は確認されなかった。さらに、参加継続年数や売り上げ状況別に、企業が認識する課題に違いがみられた。

売り上げ規模別に異なる越境ECの役割

2025年度JAPAN STOREプログラム参加企業の社内におけるアマゾン販売の位置付けについて、同年度の売り上げ状況別に分析した(図1参照)。全体では、約4割がアマゾン販売を「今後強化したい重点・成長チャネル」と位置付けており、約3割が「主要事業の柱」と回答した。また、約3割が「テスト販売・検証目的」と位置付けていた。つまり、越境ECの活用目的は複数存在し、かつ企業ごとに異なっている。

また、売り上げ状況別に、アマゾン販売の価値の捉え方に特徴がみられる。参加企業のうち、アンケート実施時点の米国アマゾンおよび英国アマゾンにおける年間売上高が上位10%に達した企業(以下、「売り上げ上位企業」)では、約6割がアマゾン販売を「主要事業の柱」と位置付けており、越境ECが中核事業の1つとして機能している可能性がみられた。一方、売り上げを創出した企業(売り上げ上位企業を除く)や未出品企業では、「重点・成長チャネル」として位置付ける割合が高かった。これらの企業では、越境ECの成長可能性は認識しているものの、主力事業として定着する段階には至っていないことがうかがえる。

また、「テスト販売・検証目的」としての活用は売り上げ上位では少なく、売り上げ規模が比較的小さい、または売り上げ未創出や未出品において多くみられた。このことから、商品の市場投入初期において、越境ECを市場適合性やニーズを検証する場として利用していることがうかがえる。米国アマゾン販売に取り組むある企業では、消費者の反応や市場動向を把握した上で、商品開発や訴求方法の改善を重ねることで、マーケットに合わせた戦略を設定し売り上げを伸ばしている(2026年8月7日付地域・分析レポート参照)。売り上げ規模の異なる企業間で、アマゾン販売の社内での位置付けに違いがみられた。

図1:2025年度 JAPAN STORE参加企業の社内におけるアマゾン販売の価値の捉え方
(売り上げ状況別、複数回答)(N=971社)
売上上位企業では、多い順に「主要事業の柱として位置づけている」66%、「今後強化したい重点・成長販売チャネル」43%、「ブランド認知向上のためのチャネル」25%、「新規顧客獲得を目的としたチャネル」23%、「テスト販売・検証目的」7%、「他チャネルを補完するためのサブ販売チャネル」6%、「在庫消化・効率改善の販売チャネル」5%、「最低限のリソースで運用している(優先度は高くない)」1%。売上あり企業では、多い順に「今後強化したい重点・成長販売チャネル」45%、「テスト販売・検証目的」32%、「主要事業の柱として位置づけている」29%、「ブランド認知向上のためのチャネル」28%、「新規顧客獲得を目的としたチャネル」21%、「他チャネルを補完するためのサブ販売チャネル」11%、「最低限のリソースで運用している(優先度は高くない)」10%、「在庫消化・効率改善の販売チャネル」4%、「その他(記述)」2%。売上なし企業では、多い順に「テスト販売・検証目的」32%、「今後強化したい重点・成長販売チャネル」22%、「ブランド認知向上のためのチャネル」20%、「主要事業の柱として位置づけている」16%、「新規顧客獲得を目的としたチャネル」16%、「最低限のリソースで運用している(優先度は高くない)」9%、「他チャネルを補完するためのサブ販売チャネル」6%、「在庫消化・効率改善の販売チャネル」4%、「その他(記述)」4%。未出品企業では、多い順に「今後強化したい重点・成長販売チャネル」43%、「主要事業の柱として位置づけている」34%、「テスト販売・検証目的」30%、「ブランド認知向上のためのチャネル」24%、「新規顧客獲得を目的としたチャネル」21%、「他チャネルを補完するためのサブ販売チャネル」10%、「最低限のリソースで運用している(優先度は高くない)」6%、「在庫消化・効率改善の販売チャネル」4%、「その他(記述)」2%。

注1:「売り上げ上位」とは、2025年度 JAPAN STORE参加企業のうち、アンケート実施時点の米国アマゾンおよび英国アマゾンにおける年間売上高が上位10%の企業。
注2:「売り上げあり」は、「売り上げ上位」に含まれる企業を除いた売り上げ創出企業。
出所:2025年度 JAPAN STORE参加企業向け最終アンケート(2026年3月実施)を基にジェトロ作成

売り上げ創出企業と未創出企業では企業規模に大きな差は見られず

年間売り上げ目標を2025年度の売り上げ状況別に見ると、売り上げ上位では6割以上が年間売上高1億円以上を目標としている。一方、売り上げ上位以外の企業では、100万円以上1,000万円未満の目標設定が最多となっていた(図2参照)。

図2:2026年度 JAPAN STORE継続参加企業の年間売り上げ目標
(売り上げ状況別)(N=746社)
売上上位企業では、「未定/わからない」2%、「1円以上」0%、「1万円以上」0%、「100万円以上」0%、「1000万円以上」32%、「1億円以上」53%、「10億円以上」13%。売上あり企業では、「未定/わからない」3%、「1円以上」0%、「1万円以上」8%、「100万円以上」44%、「1000万円以上」35%、「1億円以上」10%、「10億円以上」0%。売上なし企業では、「未定/わからない」2%、「1円以上」2%、「1万円以上」20%、「100万円以上」53%、「1000万円以上」19%、「1億円以上」3%、「10億円以上」2%。未出品企業では、「未定/わからない」9%、「1円以上」1%、「1万円以上」7%、「100万円以上」43%、「1000万円以上」32%、「1億円以上」8%、「10億円以上」1%。

注1:「売り上げ上位」の定義は図1と同じ。
注2:「売り上げあり」の定義は図1と同じ。
出所:2025年度 JAPAN STORE参加企業向け最終アンケート(2026年3月実施)を基にジェトロ作成  

売り上げ状況別に従業員数および企業売上高を見ると、売り上げ上位は他の企業と比較してやや企業規模が大きい傾向がみられた(図3、図4参照)。一方で、売り上げあり企業と未創出企業、未出品企業との間では、大きな差は確認されなかった。

従業員数に関して、売り上げ上位では従業員数51人以上が約3割を占める一方、売り上げあり企業、未創出および未出品企業では、いずれも15%前後にとどまった(図3参照)。

また、米英アマゾン以外の売り上げを含む年間売上高についても、売り上げ上位では年間売上高10億円以上が34%を占めていた。一方、売り上げあり企業および未創出企業は、いずれも2割弱であった。

これらの結果から、企業規模が比較的大きいことは売り上げ上位の特徴の1つではあるものの、売り上げ創出の有無を直接的に説明する要因とは言い切れないことが分かる。少なくとも本アンケートにおいては、企業規模が比較的小さい企業であっても売り上げ創出に至っている事例が確認されていることから、越境ECでは企業規模以外の要因も売り上げ創出に影響している可能性が示唆された。

図3:2026年度 JAPAN STORE継続参加企業の従業員数
(売り上げ状況別)(N=746社)
売上上位企業では、「1~10人」47%、「11~50人」20%、「51~100人」13%、「101~300人」13%、「301~999人」4%、「1000~2000人」2%、「2001人以上」0%。売上あり企業では、「1~10人」63%、「11~50人」23%、「51~100人」5%、「101~300人」5%、「301~999人」3%、「1000~2000人」0%、「2001人以上」0%。売上なし企業では、「1~10人」66%、「11~50人」22%、「51~100人」3%、「101~300人」8%、「301~999人」0%、「1000~2000人」0%、「2001人以上」0%。未出品企業では、「1~10人」57%、「11~50人」26%、「51~100人」5%、「101~300人」4%、「301~999人」4%、「1000~2000人」2%、「2001人以上」2%。

注1:「売り上げ上位」の定義は図1と同じ。
注2:「売り上げあり」の定義は図1と同じ。
注3:数値は小数点以下を四捨五入しているため、内訳の合計は必ずしも100%と一致しない。
出所:2025年度 JAPAN STORE参加企業向け最終アンケート(2026年3月実施)を基にジェトロ作成

図4:2026年度 JAPAN STORE継続参加企業の米英アマゾン以外を含む年間売上高
(売り上げ状況別)(N=746社)
売上上位企業では、「100億円以上」10%、「10億円以上100億円未満」24%、「1億円以上10億円未満」40%、「1000万円以上1億円未満」21%、「100万円以上1000万円未満」0%、「100万円未満」3%、「なし」1%。売上あり企業では、「100億円以上」4%、「10億円以上100億円未満」15%、「1億円以上10億円未満」36%、「1000万円以上1億円未満」33%、「100万円以上1000万円未満」7%、「100万円未満」4%、「なし」1%。売上なし企業では、「100億円以上」0%、「10億円以上100億円未満」16%、「1億円以上10億円未満」33%、「1000万円以上1億円未満」36%、「100万円以上1000万円未満」7%、「100万円未満」5%、「なし」3%。未出品企業では、「100億円以上」8%、「10億円以上100億円未満」17%、「1億円以上10億円未満」37%、「1000万円以上1億円未満」27%、「100万円以上1000万円未満」4%、「100万円未満」5%、「なし」2%。

注1:「売り上げ上位」の定義は図1と同じ。
注2:「売り上げあり」の定義は図1と同じ。
出所:2025年度 JAPAN STORE参加企業向け最終アンケート(2026年3月実施)を基にジェトロ作成

物流・通関は共通の課題、売り上げ上位企業ではブランド構築・差別化が課題

企業が認識する課題を参加開始年度別に分析したところ、参加年数によって違いがみられた(図5参照)。 2021年度からの継続参加企業では、「自社ブランド認知度向上の難しさ」を挙げる割合が最も高く、同年度より後から参加している企業と比較してもその割合は高かった。このことから、比較的長年にわたり事業参加を継続している企業においても、さらなる売り上げ拡大や競争力向上に向けたブランド力の強化には苦戦している可能性が示唆される。

一方、2022年度以降の参加企業では、「物流、通関、関税負担、返品対応に伴うリスク」を挙げる割合が最も高かった。その背景として、越境ECでは消費者までの配送や輸出入制度対応に関する負担が大きいことが挙げられる。なお、この課題は全ての参加開始年度で高い割合を占めており、参加年数にかかわらず共通して認識される課題といえる。

図5:2026年度 JAPAN STORE継続参加企業が認識する課題
(参加開始年度別、複数回答)(N=746社)
2021年度からの参加企業では、多い順に「自社ブランド認知度向上の難しさ」55%、「物流や通関、関税支払い、返品にかかるリスク」52%、「コストに見合った利益が得られない」41%、「販売先国・地域(市場・制度・ECサイト・提携相手)に関する情報不足」40%、「規制対応や商品開発」35%、「ECサイト構築や販売促進(SEO対策・プロモーション)への対応」32%、「商品の価格競争」28%、「必要な社内人材の不足」25%、「必要な社内リソース(資金、設備、情報)の不足」22%、「海外ユーザー・現地語への対応」9%、「その他(記述)」2%、「課題になるものはない/わからない」1%。2022年度からの参加企業では、多い順に「物流や通関、関税支払い、返品にかかるリスク」54%、「コストに見合った利益が得られない」49%、「自社ブランド認知度向上の難しさ」36%、「規制対応や商品開発」34%、「販売先国・地域(市場・制度・ECサイト・提携相手)に関する情報不足」28%、「ECサイト構築や販売促進(SEO対策・プロモーション)への対応」26%、「商品の価格競争」23%、「必要な社内リソース(資金、設備、情報)の不足」14%、「必要な社内人材の不足」11%、「海外ユーザー・現地語への対応」8%、「その他(記述)」5%、「課題になるものはない/わからない」0%。2023年度からの参加企業では、多い順に「物流や通関、関税支払い、返品にかかるリスク」56%、「コストに見合った利益が得られない」46%、「販売先国・地域(市場・制度・ECサイト・提携相手)に関する情報不足」40%、「自社ブランド認知度向上の難しさ」39%、「規制対応や商品開発」26%、「ECサイト構築や販売促進(SEO対策・プロモーション)への対応」26%、「商品の価格競争」26%、「必要な社内人材の不足」24%、「必要な社内リソース(資金、設備、情報)の不足」17%、「海外ユーザー・現地語への対応」12%、「その他(記述)」3%、「課題になるものはない/わからない」1%。2024年度からの参加企業では、多い順に「物流や通関、関税支払い、返品にかかるリスク」51%、「自社ブランド認知度向上の難しさ」48%、「コストに見合った利益が得られない」44%、「販売先国・地域(市場・制度・ECサイト・提携相手)に関する情報不足」40%、「規制対応や商品開発」27%、「ECサイト構築や販売促進(SEO対策・プロモーション)への対応」24%、「商品の価格競争」23%、「必要な社内人材の不足」20%、「必要な社内リソース(資金、設備、情報)の不足」14%、「海外ユーザー・現地語への対応」15%、「その他(記述)」4%、「課題になるものはない/わからない」4%。2025年度からの参加企業では、多い順に「物流や通関、関税支払い、返品にかかるリスク」50%、「コストに見合った利益が得られない」47%、「販売先国・地域(市場・制度・ECサイト・提携相手)に関する情報不足」47%、「自社ブランド認知度向上の難しさ」46%、「ECサイト構築や販売促進(SEO対策・プロモーション)への対応」33%、「商品の価格競争」29%、「規制対応や商品開発」26%、「必要な社内人材の不足」25%、「必要な社内リソース(資金、設備、情報)の不足」22%、「海外ユーザー・現地語への対応」18%、「その他(記述)」2%「課題になるものはない/わからない」4%。

出所:2025年度 JAPAN STORE参加企業向け最終アンケート(2026年3月実施)を基にジェトロ作成

次に、企業が認識する課題を2025年度の売り上げ状況別に分析した(図6参照)。売り上げ上位では、「物流、通関、関税負担、返品対応に伴うリスク」と「自社ブランド認知度向上の難しさ」を、それぞれ約半数が課題として挙げている。さらに、売り上げ上位は、売り上げあり企業(売り上げ上位を除く)と比較して、「規制対応・商品開発」および「価格競争」を課題として認識する割合が15ポイント以上高かった。これは、売り上げ規模の拡大に伴い類似商品が増加することや、アマゾンというECプラットフォームの特性上、競合商品との比較がされやすいため、強い価格競争圧力が生じることが要因として推測される。そのような環境下では、制度変更や市場ニーズに応じた新商品開発に加えて、価格競争に陥らないための差別化や付加価値の訴求が重要だ。

図6:2026年度 JAPAN STORE継続参加企業が認識する課題
(売り上げ状況別、複数回答)(N=746社)
売上上位企業では、多い順に「物流や通関、関税支払い、返品にかかるリスク」55%、「自社ブランド認知度向上の難しさ」51%、「販売先国・地域(市場・制度・ECサイト・提携相手)に関する情報不足」46%、「規制対応や商品開発」46%、「商品の価格競争」41%、「ECサイト構築や販売促進(SEO対策・プロモーション)への対応」35%、「コストに見合った利益が得られない」32%、「必要な社内人材の不足」24%、「必要な社内リソース(資金、設備、情報)の不足」23%、「海外ユーザー・現地語への対応」16%、「その他(記述)」3%となった。また、「課題になるものはない/わからない」は1%。売上あり企業では、多い順に「物流や通関、関税支払い、返品にかかるリスク」52%、「コストに見合った利益が得られない」49%、「自社ブランド認知度向上の難しさ」44%、「販売先国・地域(市場・制度・ECサイト・提携相手)に関する情報不足」39%、「ECサイト構築や販売促進(SEO対策・プロモーション)への対応」29%、「規制対応や商品開発」28%、「商品の価格競争」26%、「必要な社内人材の不足」20%、「必要な社内リソース(資金、設備、情報)の不足」18%、「海外ユーザー・現地語への対応」13%、「その他(記述)」2%となった。また、「課題になるものはない/わからない」は1%。売上なし企業では、多い順に「コストに見合った利益が得られない」51%、「自社ブランド認知度向上の難しさ」53%、「物流や通関、関税支払い、返品にかかるリスク」49%、「販売先国・地域(市場・制度・ECサイト・提携相手)に関する情報不足」44%、「ECサイト構築や販売促進(SEO対策・プロモーション)への対応」44%、「必要な社内人材の不足」29%、「商品の価格競争」27%、「必要な社内リソース(資金、設備、情報)の不足」24%、「規制対応や商品開発」20%、「海外ユーザー・現地語への対応」12%、「課題になるものはない/わからない」2%、「その他(記述)」2%。未出品企業では、多い順に「物流や通関、関税支払い、返品にかかるリスク」50%、「販売先国・地域(市場・制度・ECサイト・提携相手)に関する情報不足」46%、「コストに見合った利益が得られない」42%、「自社ブランド認知度向上の難しさ」43%、「必要な社内人材の不足」25%、「ECサイト構築や販売促進(SEO対策・プロモーション)への対応」24%、「規制対応や商品開発」23%、「商品の価格競争」23%、「海外ユーザー・現地語への対応」18%、「必要な社内リソース(資金、設備、情報)の不足」17%、「課題になるものはない/わからない」5%、「その他(記述)」3%。

注1:「売り上げ上位」の定義は図1と同じ。
注2:「売り上げあり」の定義は図1と同じ。
出所:2025年度 JAPAN STORE参加企業向け最終アンケート(2026年3月実施)を基にジェトロ作成

まとめ:売り上げ状況別に見る越境EC活用の多様性

本調査の結果から、越境EC事業への継続参加年数および売り上げ規模によって、企業内での位置付けや目標設定、さらには直面する課題の内容に違いがみられた。

売り上げ上位では、アマゾン販売を「主要事業の柱」と位置付ける割合が高く、年間売り上げ目標についても1億円以上を掲げる企業が多数を占めていた。一方、売り上げ規模が小さい企業では、越境ECを「重点・成長チャネル」や「テスト販売・検証目的」として価値を置く傾向がみられ、販売段階に応じて事業戦略上の役割が変化していることがうかがえる。

また、本分析では、売り上げあり企業と売り上げ未創出企業との間で、従業員数や企業全体の年間売上高に大きな差はみられず、企業規模のみでは売り上げ創出の差を十分に説明できなかった。前編で確認された継続的な取り組みや施策との関係を踏まえると、越境ECの成果には、企業規模だけでなく、運営上の取り組みも影響している可能性がある。

さらに、企業規模や売り上げ規模にかかわらず、「物流、通関、関税負担、返品対応に伴うリスク」は共通の課題として認識されていた。一方で、売り上げ上位企業ではブランド認知向上、商品開発、価格競争への対応など、競争力強化や差別化に関する課題を挙げる割合も高かった。従って、越境ECの売り上げ規模が大きくなれば課題がなくなるのではなく、別の課題への対応が迫られるといえる。越境ECで必須となる物流への対応や、ECプラットフォームの特性に応じた競争力強化は、販売が軌道に乗った後でも対応し続ける必要があるだろう。

越境EC販売アンケート調査

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(1)売り上げ創出企業の傾向

執筆者紹介
ジェトロ・ニューヨーク事務所
清野 華蓮(きよの かれん)
2024年、ジェトロ入構。デジタルマーケティング部ECビジネス課を経て、2026年7月から現職。